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13章 テラス団
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「竜胆さんっ!」
辛うじて意識はあるようだが、頭を怪我している。
「血が……!」
「あ? こいつ黒髪黒目じゃねえか。人違いか?」
「いや、確かにこいつがターゲットだ。お前が花蘇芳 藍だろ?」
声がした方を向くと、フードを被った二人組がそこにいた。この二人の会話を聞くと私に用があったらしいことが推察出来る。じゃあ何故竜胆さんを殴った……?
「あなた達は誰?」
「俺達はテラス団。お前に用があってここに来た。」
「テラス団……?」
聞いたことないや。その何とか団は何故私に用が……?
「……ぁいさん、逃げろ……」
「竜胆さん!」
「おうおう、逃げられちゃたまったもんじゃねぇからな。」
「やめて!」
二人組のうちの一人が私を押さえつける。こんなの能力使って……
「おいおい、能力使うんじゃねぇぞ? じゃねぇと……」
と言って抵抗すら出来ない竜胆さんをもう一人が担ぎ上げる。
「やめて! 竜胆さんには何もしないで!!」
「お前が大人しく着いてくるってんなら、こいつを助けてやらなくもない。」
「っ……!」
交換条件か。
「……。」
「ほぉ、物分りがいいな。じゃあ連れていくか。」
「うっす。」
その言葉の後瞬きを一度すると、いつの間にか見知らぬ場所に来ていた。
藤side
「あれ、遅いなあ……」
もうあと一分で授業が始まる。竜胆も藍ちゃんも真面目だから授業に遅れることはほぼないだろうし、そもそも龍彦さんはきちんと授業にも間に合うように話を収めてくれるような人だ。なんかおかしい。
「竜胆にメール、と。」
ゴーン、ゴーン
「ありゃ、授業始まっちゃった。」
竜胆はいつもすぐ返事くれるし、まあすぐサボる旨のメールが来るだろう。教科書を開く。
……あれ、何がなんでも遅くない? 十五分は経ったよ? いつも数分で返ってくる返事も全く無い。じゃあ今度は龍彦さんか。
机の下でスマホを弄り、龍彦さんにメールする。龍彦さんの所に二人ともいるならそれでいいし。
マナーモードにしているスマホにすぐ返事が来る。龍彦さんだ。なになに……?
『昼休みが終わったと同時に帰したけど? まだそっちに帰ってきてないの?』
は……? どういうこと?
なんか嫌な予感がする。
「……っ、ちょっと先生! 俺頭痛い! 保健室行ってくるね!」
「酸漿、大丈夫か?」
「大丈夫だけど大丈夫じゃない! ってことで保健室に行くね!」
「ああ。分かった。」
仮病を使って急いで教室から出る。ああ、これからどうしよう。とりあえずスマホは持ってきたけど……
「とりあえず竜胆に電話して……」
出なければ藍ちゃん。それも駄目なら茜。
と、順番を決めながら電話を掛ける。竜胆はまだ出ない。
「出ない。次。」
藍ちゃんに電話を掛ける。
校舎内を探してみるか、と電話を掛けながら学園長室までの道のりを走る。
「……出ない。次は茜……はメールかな。」
授業中だし。
『竜胆と藍ちゃんが消えた。連絡来てない?』
「よし……あれ?」
メールを送信し廊下をふと見ると少し先に何かが落ちている。近くにいって見てみると……
「このスマホ……竜胆のだ。」
竜胆のものらしきスマホを拾うと、スマホがあった場所に赤いものが付いているのに気がついた。スマホにも付いている。
「これって……血?」
待て待て待て。これはヤバいのでは。ただ消えただけではないのかもしれない。
「茜……気付けよ!」
茜から一向に返信が来ない。くそっ、電話してやろうか。
「……、出ないっ!」
また授業中寝てんの!? 早く気付けよ!!
あまりにも焦っていて言葉も悪くなる。
『どうした藤。』
「やっと出た!」
『あー? 何をそんなに焦ってんだ?』
「メール見てないわけ!? 竜胆と藍ちゃんが消えたの!」
『サボってんじゃねえの?』
「多分違う。おかしいと思って仮病使って廊下を探していたら竜胆のスマホが落ちてて、その下には血が付いていた。これでもサボってるって思うわけ?」
竜胆のものらしきスマホの電源を付けたら、俺が送ったメールの受信を確認した。竜胆のもので間違いはないだろう。
『何っ!? ……俺もそっち行く。その間お前は桃と椿にも連絡しろ。特に桃の能力を使うことになるかもしれん。』
「分かった。一応龍彦さんにも連絡するね。」
『ああ。頼んだ。』
ぷつりと電話を切り、次の行動へと移る。桃と椿にはメールを一斉送信し、龍彦さんにも連絡する。
「あ、もしもし龍彦さん? 今いい?」
『いいが……もしかして花蘇芳さんのことかい?』
「そうそう。実は消える前まで藍ちゃんと竜胆が一緒に行動しててね、その二人とも消えちゃったんだよ。」
『なんと!』
学園の門は花学関係者しか通れない。だから花学にある出入口からの侵入ではないと分かっている。だから侵入してきたのはエートスの可能性も捨て切れない。
「竜胆のスマホが落ちてた場所に何かありそうだけど……」
『じゃあ今からそっちに行こう。』
「ありがとう。とにかく今は情報が欲しいからね。場所は学園長室からA組に行く廊下を来れば分かるから。」
『分かった。ちょっと待っていてくれ。』
「はーい。」
後は皆の到着を待つしかないかな。
辛うじて意識はあるようだが、頭を怪我している。
「血が……!」
「あ? こいつ黒髪黒目じゃねえか。人違いか?」
「いや、確かにこいつがターゲットだ。お前が花蘇芳 藍だろ?」
声がした方を向くと、フードを被った二人組がそこにいた。この二人の会話を聞くと私に用があったらしいことが推察出来る。じゃあ何故竜胆さんを殴った……?
「あなた達は誰?」
「俺達はテラス団。お前に用があってここに来た。」
「テラス団……?」
聞いたことないや。その何とか団は何故私に用が……?
「……ぁいさん、逃げろ……」
「竜胆さん!」
「おうおう、逃げられちゃたまったもんじゃねぇからな。」
「やめて!」
二人組のうちの一人が私を押さえつける。こんなの能力使って……
「おいおい、能力使うんじゃねぇぞ? じゃねぇと……」
と言って抵抗すら出来ない竜胆さんをもう一人が担ぎ上げる。
「やめて! 竜胆さんには何もしないで!!」
「お前が大人しく着いてくるってんなら、こいつを助けてやらなくもない。」
「っ……!」
交換条件か。
「……。」
「ほぉ、物分りがいいな。じゃあ連れていくか。」
「うっす。」
その言葉の後瞬きを一度すると、いつの間にか見知らぬ場所に来ていた。
藤side
「あれ、遅いなあ……」
もうあと一分で授業が始まる。竜胆も藍ちゃんも真面目だから授業に遅れることはほぼないだろうし、そもそも龍彦さんはきちんと授業にも間に合うように話を収めてくれるような人だ。なんかおかしい。
「竜胆にメール、と。」
ゴーン、ゴーン
「ありゃ、授業始まっちゃった。」
竜胆はいつもすぐ返事くれるし、まあすぐサボる旨のメールが来るだろう。教科書を開く。
……あれ、何がなんでも遅くない? 十五分は経ったよ? いつも数分で返ってくる返事も全く無い。じゃあ今度は龍彦さんか。
机の下でスマホを弄り、龍彦さんにメールする。龍彦さんの所に二人ともいるならそれでいいし。
マナーモードにしているスマホにすぐ返事が来る。龍彦さんだ。なになに……?
『昼休みが終わったと同時に帰したけど? まだそっちに帰ってきてないの?』
は……? どういうこと?
なんか嫌な予感がする。
「……っ、ちょっと先生! 俺頭痛い! 保健室行ってくるね!」
「酸漿、大丈夫か?」
「大丈夫だけど大丈夫じゃない! ってことで保健室に行くね!」
「ああ。分かった。」
仮病を使って急いで教室から出る。ああ、これからどうしよう。とりあえずスマホは持ってきたけど……
「とりあえず竜胆に電話して……」
出なければ藍ちゃん。それも駄目なら茜。
と、順番を決めながら電話を掛ける。竜胆はまだ出ない。
「出ない。次。」
藍ちゃんに電話を掛ける。
校舎内を探してみるか、と電話を掛けながら学園長室までの道のりを走る。
「……出ない。次は茜……はメールかな。」
授業中だし。
『竜胆と藍ちゃんが消えた。連絡来てない?』
「よし……あれ?」
メールを送信し廊下をふと見ると少し先に何かが落ちている。近くにいって見てみると……
「このスマホ……竜胆のだ。」
竜胆のものらしきスマホを拾うと、スマホがあった場所に赤いものが付いているのに気がついた。スマホにも付いている。
「これって……血?」
待て待て待て。これはヤバいのでは。ただ消えただけではないのかもしれない。
「茜……気付けよ!」
茜から一向に返信が来ない。くそっ、電話してやろうか。
「……、出ないっ!」
また授業中寝てんの!? 早く気付けよ!!
あまりにも焦っていて言葉も悪くなる。
『どうした藤。』
「やっと出た!」
『あー? 何をそんなに焦ってんだ?』
「メール見てないわけ!? 竜胆と藍ちゃんが消えたの!」
『サボってんじゃねえの?』
「多分違う。おかしいと思って仮病使って廊下を探していたら竜胆のスマホが落ちてて、その下には血が付いていた。これでもサボってるって思うわけ?」
竜胆のものらしきスマホの電源を付けたら、俺が送ったメールの受信を確認した。竜胆のもので間違いはないだろう。
『何っ!? ……俺もそっち行く。その間お前は桃と椿にも連絡しろ。特に桃の能力を使うことになるかもしれん。』
「分かった。一応龍彦さんにも連絡するね。」
『ああ。頼んだ。』
ぷつりと電話を切り、次の行動へと移る。桃と椿にはメールを一斉送信し、龍彦さんにも連絡する。
「あ、もしもし龍彦さん? 今いい?」
『いいが……もしかして花蘇芳さんのことかい?』
「そうそう。実は消える前まで藍ちゃんと竜胆が一緒に行動しててね、その二人とも消えちゃったんだよ。」
『なんと!』
学園の門は花学関係者しか通れない。だから花学にある出入口からの侵入ではないと分かっている。だから侵入してきたのはエートスの可能性も捨て切れない。
「竜胆のスマホが落ちてた場所に何かありそうだけど……」
『じゃあ今からそっちに行こう。』
「ありがとう。とにかく今は情報が欲しいからね。場所は学園長室からA組に行く廊下を来れば分かるから。」
『分かった。ちょっと待っていてくれ。』
「はーい。」
後は皆の到着を待つしかないかな。
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