『あなた次第』 【本編は完結】

君影 ルナ

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番外編(続)

6 殺気?

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竜胆side

 図書館の中を見て回る。さて、藍さんはどこにいるだろうか。キョロキョロと辺りを見回すと……

「……、」
「……。」

 ひそひそ声が本棚の向こうから聞こえてきた。そこにいるのは誰だろうか。分からないが行ってみてもいいだろう。声のする方へと向かう。

「……で、何読んでんだ?」
「これです。」
「ふーん。」
「……どこら辺まで読んだ?」
「ええと、五十二ページかな……」

 話し声の主は藍さんと……茜と椿だった。何故二人がここにいるのかと思ったが、藤経由だろう。まあ、そこは別にいいけど。

 しかしそれよりも……二人の藍さんとの距離が気にくわない。というか近すぎるだろう。ああほら肩がぶつかってるじゃないか。

 それを見てモヤモヤと心の中が燻る。思わず眉間に皺が寄ったのが自分でも分かった。ああ、二人とも離れてくれないかな……

「っ!!」
「……っ!!」

 そんな風に考えていると茜と椿は藍さんから離れ、ピシッと背筋を伸ばして微動だにしなくなった。何か危険を察知したような風だ。

 これ幸いと私は何にも気がついていない藍さんの元へゆっくり歩く。そして藍さんの背後に立ち、そのまま後ろから抱きしめると、

「ひっ!?」

 とても驚いたようだ。思わず大きめな声が出てしまったらしい。

「藍さん、ここは図書館ですよ。そんなに大きな声を出したら……」
「誰のせいだと思ってるんですか!」

 耳元で囁いてみたが、それに反応してこちらを振り返った藍さんは小声で叫ぶ。その様子を私は可愛いなとジッと見つめると、ハッと藍さんは何かに気がついたように顔を赤くする。なにそれ可愛い。

「おーい、イチャイチャすんなや。」
「……。」

 両隣から鋭い視線が刺さる。まあ別に痛くもかゆくも無いけどね。もう一度ぎゅっと藍さんを抱きしめる。

「あわ、わわわ……」

 するとプシューッと藍さんの頭から湯気が出る。……湯気?

「……りん、さすがにやめてやれ。藍、キャパオーバーしてんぞ。」
「え?」

 そう言われてよくよく藍さんを見てみると、目を回して気絶していた。ありゃりゃ。

「……あーちゃん、顔真っ赤……」

 椿はスッと藍さんの頬に手を当てる。それにすら私はモヤモヤとする。……これが所謂嫉妬、とかいうやつなのだろうか。まだ藍さんの彼氏では無いのに、私の心は実に勝手だ。

「おいりん。さっきと言い今と言い、殺気がダダ漏れだぞ?」
「……?」

 茜にそう言われたが、はて、私はそんなに殺気立っていただろうか。ただ単に藍さんにくっつく二人にイライラしていただけなのに。
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