死神ちゃんと天使くん 【完結】

君影 ルナ

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第1部 相棒との出会い

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「はあー。」

 お茶を入れてソファに座り一息つく。今日決めた分の仕事は終えたのだからダラダラしていてもいいだろう。誰に咎められるわけでもないし。

『おばあちゃん! ねえ! 起きてよ!』

 一人になって気が抜けた時に限って思い出す声。数日は耳にこびりついて離れないんだろうな。今までもそうだったから。

 私は生前から今に至るまでずっとなのだが、共感力が高いからかすぐボロボロ泣いてしまう。ほら、今だって……

 目頭が熱くなってくる。

「駄目だ、泣いちゃ……」

 人の命を刈り取るこの仕事は精神的にくるものがある。私のせいで命がなくなるなんて考えただけでもう……。

 しかしこれは自殺した私への罰なんだ。だから耐えるしかない。

「分かっているけど……辛いよ……」

 じわりと包帯が濡れるのが分かる。我慢しようと思ったけどやっぱり無理だ。

「うっ……辛い、辛いよ……」

 私の口から溢れ出た言葉は空気に溶けて消えていった。










 泣いていたのも落ち着いてきた頃、リリリンと音がした。

「……。」

 今の音は来客を知らせるベルの音……だった気がする。えー、出たくない。泣いていたのバレるじゃん。目の辺りにある包帯が、私の涙を含んで冷たくなっている。

 リリリン

「あーうるさいうるさい。私は留守でーす。」

 リリリン

 耳を塞いでみるが、尚も鳴らされるそれ。

「……もー、仕方ない。」

 もしかしたら重要な用事があるのではと考えついた私は仕方なく出ることにする。

 替えの包帯はソファの近くにあるので巻き直して玄関へ。









 カチャリと音を立てて開いた扉。その向こうにいるのは……音が聞こえないから誰だか分からない。人が立っているかすら危うい。気配がほとんどないもの。

「えーと? どなたですか?」

「ああ、すみません。お初にお目にかかります、わたくし天使協会の者です。死神様が代替わりされたと拝聞したので、新しい死神様の元で働く天使を派遣しに参りました。」

「は、はあ……」

 ちょっと分かんない。っていうか天使が派遣されるなんて先代から聞いてないんだけど。

 先代よ、ちゃんと引き継ぎしてくれ。

「ほら、自己紹介してください。」

 まさかここにはもう一人くらいいるということかい。全然気配なかったわ。怖いんだけど。一緒に仕事出来るかな。

「はいっ! えと、俺は天使協会から派遣された天使です! 名前はありません! よろしくお願いしまっふ!」

 しまっふ……しまっふ……


 ……今抱いた恐怖を返してくれ。全然怖くないじゃないか。この噛み噛み天使くんめ!

 声を聞いてみて分かったのは、噛み噛み天使くんはきっと十代から二十代くらいの男の人だろうこと。

「っ……せめて笑ってほしかった! 無言でスルーされるのが一番辛い!」

 きっと赤面しているのだろう。見ることが出来たならきっと面白かったろうに。くっ……この包帯が邪魔だ。取りたい衝動に駆られるが、先代との約束を思い出して踏みとどまる。

「新人、頑張ってくださいね。」
「はい!」
「それでは私はこれで帰ります。夜分遅くに失礼致しました。」
「あ……はい、ありがとうございました。」

 ちょっと色々ありすぎて分かんないけど、まあいいか。流れに身を任せよう。

 ツカツカと一人分の足音が遠ざかって行ったので、きっと天使協会の人は帰っていったのだろう。そんで噛み噛み天使くんはここに残ったと。

「と、取り敢えず上がっていってくださいな。」
「ありがとうございます! 失礼します!」
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