死神ちゃんと天使くん 【完結】

第3部 死神の代替わり

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「如月 瞳さん。」

　女の人の声が聞こえた。ふっと目を開くとそこは……

「綺麗……」

　森の中にある開けた場所、みたいなところだった。なんて言えばいいかな。人の手が加えられていない自然、といえば何となく分かるかな。

　そこに光の玉──蛍の光のようなもの──があちらこちらで光っている。まだ昼間なのに。

　幻想的な空間となっているここに、何故私がいるのだろう。

「ここは狭間。転生の順番が回ってきた魂が一時的に留まる場所。あなたは死神の仕事を全うしたので、転生が許されました。」

　私の疑問に的確に答えてくれた。その声と共にサアア、と木々草花が風に揺れる。まるで私が転生することを祝福しているかのよう。

「転生……」
「そうです。あなたはもう一度『如月 瞳』という名前を持つ人間に生まれます。あなたの行動次第で、前世とは違った人生になるでしょう。」

「私……次第で……」
「はい。……良き人生を。」

　その言葉を最後に、声が聞こえなくなった。あれ、ここからどうすればいいんだろう。その場に立ち尽くす。

　……とにかく歩いてみるか。ここに立ち止まってても何も変わらなそうだし。そう考えつき、歩き出す。












　サクサクと草を踏みしめる度に音が鳴る。それが楽しくてどんどん奥へと進む。奥に行けば奥に行くほど蛍のような光が増えていく。

「綺麗だなあ……」

　そのまま奥へ奥へと進むと急に光が増していき、目を開けられない程となった。



　目を閉じたその瞬間、意識が遠くなった。