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七話
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部屋の中が静まり返ったその時、くぐもった声が聞こえた。
「…………ぁ……、ああっ! イイ!……サイコ…………ハッ……」
時が止まった――ゾーイはそう思った。
次いで動揺が走る。
「あの人達は神殿で一体何を……!」
「は、早く止めに行くんだ」
「なんて事だ。ああ、神よお許しください」
慌ただしく皆が動き出したが、
一番早く冷静になったのは、“一般貴族”であるフェイだった。
「マッサージしているのかも知れませんね~。でも止めに入るのも不味い状況の可能性もありますから、少し待ってみましょうか」
そう言って、のんびりと茶を啜る。
昨日まで市井に身を置いていたゾーイも同じ考えだったので、お茶のお代わりを注いで腰を落ち着けた。
動じない二人の姿に、周囲の動揺も収まってくる。
一人二人と席に着いていった。
何人かが声の伝わる壁の近くに陣取ったのはご愛敬だ。
「時間があるようですので、先程の続きですけれど、何故今までそれを話さなかったのですか?」
「だって聖女を決める為のものだったって、昨日知ったんだもの。まさかあんな特技で優勝すると思わなかったし。知った時はもう言い出し辛い状況で……」
そう言って肩を竦めた。
「なるほど。皆、国の聖女について知っているものと思っていましたからね。国内の活動しかしないので、知らなくても不思議はありませんねぇ」
うんうんと頷いてくれたので、ゾーイの気持ちは随分と楽になった。強引に連れて来られたようなものだったが、騙しているようで少し気が引けていたのだ。
これでお役御免かと思うと、安堵すると同時に、不思議と寂しさも感じる。
「でも問題ありませんよ。要は任期の一年、聖女として務められるかたなら誰でも良いのです! まあ、リナさんの特技次第でどうなるか分かりませんが」
あはははは~、と気軽に笑うが
話の最中にも、妙な声と肉を打つような音が聞こえてくる。決して和めるような状況ではない。
暫く聖女について話していると、リナ達が戻って来た。二人とも頬が上気している。
肌艶の良くなった神官が言った。
「…………すごかった♡」
「…………ぁ……、ああっ! イイ!……サイコ…………ハッ……」
時が止まった――ゾーイはそう思った。
次いで動揺が走る。
「あの人達は神殿で一体何を……!」
「は、早く止めに行くんだ」
「なんて事だ。ああ、神よお許しください」
慌ただしく皆が動き出したが、
一番早く冷静になったのは、“一般貴族”であるフェイだった。
「マッサージしているのかも知れませんね~。でも止めに入るのも不味い状況の可能性もありますから、少し待ってみましょうか」
そう言って、のんびりと茶を啜る。
昨日まで市井に身を置いていたゾーイも同じ考えだったので、お茶のお代わりを注いで腰を落ち着けた。
動じない二人の姿に、周囲の動揺も収まってくる。
一人二人と席に着いていった。
何人かが声の伝わる壁の近くに陣取ったのはご愛敬だ。
「時間があるようですので、先程の続きですけれど、何故今までそれを話さなかったのですか?」
「だって聖女を決める為のものだったって、昨日知ったんだもの。まさかあんな特技で優勝すると思わなかったし。知った時はもう言い出し辛い状況で……」
そう言って肩を竦めた。
「なるほど。皆、国の聖女について知っているものと思っていましたからね。国内の活動しかしないので、知らなくても不思議はありませんねぇ」
うんうんと頷いてくれたので、ゾーイの気持ちは随分と楽になった。強引に連れて来られたようなものだったが、騙しているようで少し気が引けていたのだ。
これでお役御免かと思うと、安堵すると同時に、不思議と寂しさも感じる。
「でも問題ありませんよ。要は任期の一年、聖女として務められるかたなら誰でも良いのです! まあ、リナさんの特技次第でどうなるか分かりませんが」
あはははは~、と気軽に笑うが
話の最中にも、妙な声と肉を打つような音が聞こえてくる。決して和めるような状況ではない。
暫く聖女について話していると、リナ達が戻って来た。二人とも頬が上気している。
肌艶の良くなった神官が言った。
「…………すごかった♡」
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