生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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友達

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sideリラ


今日も私は踊りの練習をしていた。


そしてやっぱり…



「今日もライアス様来るの!?」
「ライアス様とどんな関係!?」



他の踊り子たちに根掘り葉掘りライアス様のことを聞かれる。



ライアス様はどうやら偉い人みたいだ。



そんな人に拾われたと簡単に口にすれば何をされるかわかったものじゃない。



なによりも、どんな形でライアス様に迷惑がかかるか分からないから詳しいことは誰にも言わないでおこう。



「それは…分からないんですけど…私はその……」



詰め寄ってきた子の視線が痛い。



なんて答えたら良いの?



殺されるために連れて行かれましたなんて口が裂けても言えないし…。



「ちょっと!リラちゃん困ってるじゃん!!」



そんな時に助けてくれたのはダリアちゃんだった。




「ちょっと!ダリア!邪魔しないでよね!」

「そうよ!私たちが話してるんだから!」



なんだか喧嘩になりそうな雰囲気だ。



「別にリラちゃんとライアス様は知り合いってだけでしょ!?人間だからって話すの避けてたくせにこんな時だけ擦り寄るなんて見てて腹立つのよ!!」



今確実に、ダリアちゃんは地雷を踏んだ、と言うより地雷の上で踊り狂った。




「あんた!ちょっと人気があるからって偉そうに!!」

「調子乗ってんじゃないわよ!ブス!!」



はぁ!?



「ダリアちゃんはブスじゃありません!それに大人気です!!」



私はダリアちゃんの悪口を聞いて我慢できなくなり言い張った。


昨日、私に踊りを一生懸命教えてくれたのはダリアちゃんだけだった。


私と一緒に踊ったこの2人は見ているだけで手伝おうともしていなかったのに。



「あんたも人間のくせに生意気なのよ!!」

「そうよ!どうせ餌かなんかで居座ってるだけでしょ!!」



ど正論を言われた私は押し黙った。



「黙って聞いてりゃベラベラと!!私の友達を馬鹿にしたら許さないからね!!あんたたちそんなだから男にモテないのよ!!!」



えぇ!?
ダリアちゃん意外と口が達者…



「同じヴァンパイアだからってそんな口聞いていいと思ってんの??私たち知ってるんだから。ねぇ?」

「そうよ!あんたここに来る前は家も親もなくてゴミ漁ってたんでしょ?」



え!?ダリアちゃんが?
私と同じだ…。




「えぇ、そうよ。だからなに?私から言わせれば、そんなゴミ漁ってたような女に毎回1番取られてるあんたたちの方が恥ずかしいわよ。」


ダリアちゃんは自分の過去を恥じていない。


堂々としていてかっこいい。



「さっさと失せて!次リラちゃんが困るような事したらこんなもんじゃないからね!」



ダリアちゃんが睨みつけたら私に詰め寄ってきた2人は一瞬びくついて逃げて行った。



「ダリアちゃん…。」



どうしよう、庇ってくれて嬉しかったけどダリアちゃんの立場を完全に悪くした。



「リラちゃん気にしちゃダメだよ?私はリラちゃんが困ってたらいつでも助けるし、リラちゃんが人間でもなーんにも関係ないからね!」



ダリアちゃんはそう言って屈託のない笑顔を見せた。



ダリアちゃんは本当に根がいい子なんだ。




会ってまだ3日なのに、どこの誰かもわからない私を庇ってくれる。



本当にすごい。



「ありがとう、ダリアちゃん。…私のこと、もう少し後で話してもいい?ダリアちゃんが信用できないわけじゃないけど、今はまだ…」



私が話したくないだけ。



「分かってるよ!誰にでも事情があるんだから!話したければ話せばいいし嫌なら話さなければいい!私はリラちゃんがどんな子でも友達だって思ってるからね!それにね…。」



ダリアちゃんはまた笑って私に抱きついた。



「ヴァンパイアのこと怖がってるのに私のために言い返してくれて嬉しかったよ!リラちゃん大好き!」



私は今まで、友達という概念がなかった。


どうせすぐ死ぬ、そう思っていたから外に出たいと思わなかったし、友達が欲しいとも思わなかった。



だけど今はそんな気持ちが徐々に和らいで行ってしまってる。



ダリアちゃんともっと仲良くなりたい、遊びたい、働きたい、いろんな感情が込み上げてきた。





「うん…私も、ダリアちゃんのこと、大好き。」




私はまだ生きたい、そう確信していた。




ダリアちゃんは私を友達と言ってくれる。




存在する意味をくれた。



生贄ではなく、友達という言葉で。



「え~照れちゃうなぁ~/////」



ダリアちゃんは本当に可愛い人だ。


心が温まる。




「ふふ////」



ダリアちゃんに出会えてよかった。



人生、捨てたもんじゃないね。
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