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バチェラー
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sideリラ
今日は仕事はお休み。
朝ごはんをしっかり食べて、顔を洗って、朝からいい調子!
だったんだけど……
「/////////」
お昼になってから私は窮地を迎えていた。
「ライアス…様…。」
もちろん、私を窮地に追いやったのはライアス様だ。
私はライアス様の膝の上に横向きに乗っていた。
「ねぇ、リラ。昨日は誰の膝に座ったの?」
そんなことを耳元で囁くから私の顔は真っ赤っか。
ライアス様は涼しい顔で読書をしてる。
「赤目の人////」
ルシアス様だと言っても分からないだろうからとりあえず今は赤目の人で。
「赤目…ね。」
なんだろう??何かおかしいこと言ったかな??
「その赤い目の人はリラにひどいことしない?」
ルシアス様は私を犬呼ばわりするし、口を曲げようとしてくる。
けどそんなこと言ったらライアス様が心配しそうだから…
「うん!口も曲がってないから大丈夫!」
一瞬の沈黙が流れた。
私何言ってるの。
いきなり口が曲がる話をされたらライアス様だってびっくりするよ。
「その赤目の人はリラの口を曲げたい変な人なの?」
「ふっ…!!!」
私はたまらず吹き出した。
ルシアス様は今この瞬間絶対、ライアス様の中で変人枠に入った。
「そう!変な人なの!」
私がケラケラ笑っていたら、ライアス様が本をテーブルに置いた。
読み終わったのかと聞く前に、ライアス様が私の体勢を変える。
ライアス様は本当に力持ちだ。
横向きに座ってた私を簡単に持ち上げて…
「ライアス様/////」
あっという間に、ライアス様と向き合わせになるように座らされていた。
こうやってライアス様の膝の上にまたがるのはかなり恥ずかしい…。
「な…なんで?体勢変えたの…?」
顔が近くてドキドキする。
「この方がリラの顔がよく見える。」
そんな風に笑わないで。
格好良すぎて倒れそうになるから。
私今変な顔してないかな?
緊張してうまく笑えていない気がする。
「それからね…」
ライアス様の言葉には続きがあった。
一体なんだろう。
「せっかくの休みなんだから仕事と同じ座り方はどうかと思ってね。」
だからって向き合わせは私の心臓に悪い。
「ライアス様が楽な方でいいよ?」
前でも横でもなんでもいいのに。
「じゃあこっちがいい。」
今日の私の心臓も壊れること決定だ。
「わかった!」
けどこれはこれで嬉しい。
「ふふ/////」
簡単にライアス様に抱き着ける。
私がライアス様に抱きついて、首筋に額をスリスリするとライアス様が少し笑った。
そして、両手で優しく私の体を包み込んでくれる。
「ねぇ、ライアス様。」
この楽しい雰囲気をぶち壊すことを言わせて。
「ん?」
嫌な気分にならないでね。
今から言うことは私の本心なの。
「私を殺す時もこうしてギュってしててね。」
そうすればきっと、安心して眠りにつけるから。
最後の最後まで、ライアス様に触れていたい。
「まだ先の話だよ。」
先っていつ?
もう半年も経ったのに。
「…….うん。」
ライアス様は私の頭を撫でた。
「もう少し、僕と一緒にいて。今リラがいなくなってしまったら僕は寂しいよ。」
…え?
ドキ、ドキ、と胸を打つ鼓動が期待に塗れていた。
ライアス様、寂しいんだ。
こんなに余裕のある大人の男の人に見えても、心の中には脆さもある。
今少しだけそれを垣間見た気がした。
「わかった…ライアス様の気が済むまで私ずっと一緒にいるね。」
本当の最期を迎える時に、あなたが寂しさで潰れないように。
*********************
sideダリア
「あ!お疲れ様ー!リラちゃん!」
昨日リラちゃんは休みだった。
そして今日は出勤だけど、ライに取られちゃったから2人で踊ることはできなかった。
それでもこうして仕事終わりにばったりなんてやっぱり私たち最高の友達な気がする。
「ダリアちゃん!お疲れ様!」
リラちゃんは本当に可愛いしいい子。
「リラちゃん!せっかく会ったんだしご飯でも食べに行こうよ!」
ヴァンパイアは血でも食べ物でも栄養がつく。
「行きたい!けど…私買うものがあるんだよね…。」
買いたいもの??
「一緒に買いに行ってその後ご飯とかどう??」
リラちゃんに提案したら、綺麗な金色の瞳がキラキラと輝いた。
「いいの!?」
それ私に聞く!?
「逆にいいの?買い物の邪魔にならない??」
リラちゃんがいいなら絶対ついて行く!
「ならない!!一緒に行こう!」
もう本当に、私リラちゃんが大好きだ。
可愛いし可愛いし可愛いし。
「そうと決まれば~!」
「きゃっ!!!」
私はリラちゃんをお姫様抱っこした。
「街まで出発だぁ~!!!」
**********************
sideリラ
「街なんて久しぶり~!」
私の隣で嬉しそうなダリアちゃん。
あの細い腕と足のどこに私を担ぎ上げ走る筋肉があるの?
それにものすごく速かったし。
むしろ一瞬で着いていた。
「リラちゃんどこ行く??」
ちょっとまだクラクラするなぁ…
「あ、えっと、あそこに行きたいの!男の人の店!高級なところだよ!あの~」
ダメだ、名前が出てこない…!!
「あ!わかったかも!名前は知らないけど、角のお店じゃない??」
確かにあの店は角の店だ。
「うん!そこに行きたい!」
今ならお金も十分貯めたし大丈夫。
日払いのお給料をここ何日かでため込んだから結構な額になった。
これより高かったら違うものを買うしかないんだけど…。
とにかくあの店に行かないとわからないよね。
~10分後~
「着いた…」
私がものすごく入りづらいお店だ。
店の名前はバチェラーだった。
「うん、着いたね…」
ダリアちゃんもこのお店の前だと少し緊張するみたい。
「………よ…よし!」
お金はある、ライアス様に誕生日プレゼントを買う大事な任務もある!
私は行くのよ!
「行ってきます…。」
ダリアちゃん、きっと入りづらいだろうからここで待っててね。
ここまで着いてきてくれてありがとう。
「買ったらすぐに、ご飯行こうね。」
私頑張ってくる。
「もう!リラちゃん!こんな明らかに人間の子がいなさそうな場所に一人で行かせるわけないでしょ!私も行くの!!」
な…なんて優しいの!?
天使!?
「あ、ありがとう~」
私は涙が出そうだよ、ダリアちゃん。
意を決してお店のドアを開けた。
するとそこには明らかな高級感が漂う店内だ。
「いらっしゃいませ。」
出迎えた従業員は執事のような礼儀正しさだ。
「何かお探しでしょうか?」
私は固まった。
どうして固まったんだろう?
そんな単純な思考が頭を駆け巡る。
別に恐言い方をされたわけじゃない、むしろ丁寧な対応だ。
この人、目が笑ってない、だから怖いんだ。
「あ…あの…」
だからって怖気付くのはダメ!
「あそこのガラスケースに入っているペンが欲しいんですけど…。」
おずおずと言うと、男の人はにっこりと笑った。
「かしこまりました、少々お待ちください。」
私が不安がっていると気付いたのかダリアちゃんがぴったりと横についていてくれる。
なんかそれだけで安心だわ…。
少しだけ待つと綺麗に包まれたペンを渡された。
「お待たせいたしました。どうぞ、こちらへ。」
私が思っていたよりもスムーズにことが進む。
「はい。」
スムーズに越したことはない。
言われた額は思ったよりも高くなかった。
むしろお金が結構余ったくらいだ。
お金を支払う時もダリアちゃんはぴったりと横についていてくれた。
本当に心配性なんだなぁ…。
「ありがとうございました、またのご来店をお待ちしております。」
私がお金を払い終えて店を出るとき、やっぱり私の接客をした人の視線が気になる。
あの人の黄色い瞳は氷のように冷たい。
なんでだろう?私が人間だからかな?
まぁいいや、きっとこのお店にはもう来ることはない。
私たちが店のドアを閉めた途端、男の笑みが狂気に染まっていた事を私たちは知る由もなかった。
今日は仕事はお休み。
朝ごはんをしっかり食べて、顔を洗って、朝からいい調子!
だったんだけど……
「/////////」
お昼になってから私は窮地を迎えていた。
「ライアス…様…。」
もちろん、私を窮地に追いやったのはライアス様だ。
私はライアス様の膝の上に横向きに乗っていた。
「ねぇ、リラ。昨日は誰の膝に座ったの?」
そんなことを耳元で囁くから私の顔は真っ赤っか。
ライアス様は涼しい顔で読書をしてる。
「赤目の人////」
ルシアス様だと言っても分からないだろうからとりあえず今は赤目の人で。
「赤目…ね。」
なんだろう??何かおかしいこと言ったかな??
「その赤い目の人はリラにひどいことしない?」
ルシアス様は私を犬呼ばわりするし、口を曲げようとしてくる。
けどそんなこと言ったらライアス様が心配しそうだから…
「うん!口も曲がってないから大丈夫!」
一瞬の沈黙が流れた。
私何言ってるの。
いきなり口が曲がる話をされたらライアス様だってびっくりするよ。
「その赤目の人はリラの口を曲げたい変な人なの?」
「ふっ…!!!」
私はたまらず吹き出した。
ルシアス様は今この瞬間絶対、ライアス様の中で変人枠に入った。
「そう!変な人なの!」
私がケラケラ笑っていたら、ライアス様が本をテーブルに置いた。
読み終わったのかと聞く前に、ライアス様が私の体勢を変える。
ライアス様は本当に力持ちだ。
横向きに座ってた私を簡単に持ち上げて…
「ライアス様/////」
あっという間に、ライアス様と向き合わせになるように座らされていた。
こうやってライアス様の膝の上にまたがるのはかなり恥ずかしい…。
「な…なんで?体勢変えたの…?」
顔が近くてドキドキする。
「この方がリラの顔がよく見える。」
そんな風に笑わないで。
格好良すぎて倒れそうになるから。
私今変な顔してないかな?
緊張してうまく笑えていない気がする。
「それからね…」
ライアス様の言葉には続きがあった。
一体なんだろう。
「せっかくの休みなんだから仕事と同じ座り方はどうかと思ってね。」
だからって向き合わせは私の心臓に悪い。
「ライアス様が楽な方でいいよ?」
前でも横でもなんでもいいのに。
「じゃあこっちがいい。」
今日の私の心臓も壊れること決定だ。
「わかった!」
けどこれはこれで嬉しい。
「ふふ/////」
簡単にライアス様に抱き着ける。
私がライアス様に抱きついて、首筋に額をスリスリするとライアス様が少し笑った。
そして、両手で優しく私の体を包み込んでくれる。
「ねぇ、ライアス様。」
この楽しい雰囲気をぶち壊すことを言わせて。
「ん?」
嫌な気分にならないでね。
今から言うことは私の本心なの。
「私を殺す時もこうしてギュってしててね。」
そうすればきっと、安心して眠りにつけるから。
最後の最後まで、ライアス様に触れていたい。
「まだ先の話だよ。」
先っていつ?
もう半年も経ったのに。
「…….うん。」
ライアス様は私の頭を撫でた。
「もう少し、僕と一緒にいて。今リラがいなくなってしまったら僕は寂しいよ。」
…え?
ドキ、ドキ、と胸を打つ鼓動が期待に塗れていた。
ライアス様、寂しいんだ。
こんなに余裕のある大人の男の人に見えても、心の中には脆さもある。
今少しだけそれを垣間見た気がした。
「わかった…ライアス様の気が済むまで私ずっと一緒にいるね。」
本当の最期を迎える時に、あなたが寂しさで潰れないように。
*********************
sideダリア
「あ!お疲れ様ー!リラちゃん!」
昨日リラちゃんは休みだった。
そして今日は出勤だけど、ライに取られちゃったから2人で踊ることはできなかった。
それでもこうして仕事終わりにばったりなんてやっぱり私たち最高の友達な気がする。
「ダリアちゃん!お疲れ様!」
リラちゃんは本当に可愛いしいい子。
「リラちゃん!せっかく会ったんだしご飯でも食べに行こうよ!」
ヴァンパイアは血でも食べ物でも栄養がつく。
「行きたい!けど…私買うものがあるんだよね…。」
買いたいもの??
「一緒に買いに行ってその後ご飯とかどう??」
リラちゃんに提案したら、綺麗な金色の瞳がキラキラと輝いた。
「いいの!?」
それ私に聞く!?
「逆にいいの?買い物の邪魔にならない??」
リラちゃんがいいなら絶対ついて行く!
「ならない!!一緒に行こう!」
もう本当に、私リラちゃんが大好きだ。
可愛いし可愛いし可愛いし。
「そうと決まれば~!」
「きゃっ!!!」
私はリラちゃんをお姫様抱っこした。
「街まで出発だぁ~!!!」
**********************
sideリラ
「街なんて久しぶり~!」
私の隣で嬉しそうなダリアちゃん。
あの細い腕と足のどこに私を担ぎ上げ走る筋肉があるの?
それにものすごく速かったし。
むしろ一瞬で着いていた。
「リラちゃんどこ行く??」
ちょっとまだクラクラするなぁ…
「あ、えっと、あそこに行きたいの!男の人の店!高級なところだよ!あの~」
ダメだ、名前が出てこない…!!
「あ!わかったかも!名前は知らないけど、角のお店じゃない??」
確かにあの店は角の店だ。
「うん!そこに行きたい!」
今ならお金も十分貯めたし大丈夫。
日払いのお給料をここ何日かでため込んだから結構な額になった。
これより高かったら違うものを買うしかないんだけど…。
とにかくあの店に行かないとわからないよね。
~10分後~
「着いた…」
私がものすごく入りづらいお店だ。
店の名前はバチェラーだった。
「うん、着いたね…」
ダリアちゃんもこのお店の前だと少し緊張するみたい。
「………よ…よし!」
お金はある、ライアス様に誕生日プレゼントを買う大事な任務もある!
私は行くのよ!
「行ってきます…。」
ダリアちゃん、きっと入りづらいだろうからここで待っててね。
ここまで着いてきてくれてありがとう。
「買ったらすぐに、ご飯行こうね。」
私頑張ってくる。
「もう!リラちゃん!こんな明らかに人間の子がいなさそうな場所に一人で行かせるわけないでしょ!私も行くの!!」
な…なんて優しいの!?
天使!?
「あ、ありがとう~」
私は涙が出そうだよ、ダリアちゃん。
意を決してお店のドアを開けた。
するとそこには明らかな高級感が漂う店内だ。
「いらっしゃいませ。」
出迎えた従業員は執事のような礼儀正しさだ。
「何かお探しでしょうか?」
私は固まった。
どうして固まったんだろう?
そんな単純な思考が頭を駆け巡る。
別に恐言い方をされたわけじゃない、むしろ丁寧な対応だ。
この人、目が笑ってない、だから怖いんだ。
「あ…あの…」
だからって怖気付くのはダメ!
「あそこのガラスケースに入っているペンが欲しいんですけど…。」
おずおずと言うと、男の人はにっこりと笑った。
「かしこまりました、少々お待ちください。」
私が不安がっていると気付いたのかダリアちゃんがぴったりと横についていてくれる。
なんかそれだけで安心だわ…。
少しだけ待つと綺麗に包まれたペンを渡された。
「お待たせいたしました。どうぞ、こちらへ。」
私が思っていたよりもスムーズにことが進む。
「はい。」
スムーズに越したことはない。
言われた額は思ったよりも高くなかった。
むしろお金が結構余ったくらいだ。
お金を支払う時もダリアちゃんはぴったりと横についていてくれた。
本当に心配性なんだなぁ…。
「ありがとうございました、またのご来店をお待ちしております。」
私がお金を払い終えて店を出るとき、やっぱり私の接客をした人の視線が気になる。
あの人の黄色い瞳は氷のように冷たい。
なんでだろう?私が人間だからかな?
まぁいいや、きっとこのお店にはもう来ることはない。
私たちが店のドアを閉めた途端、男の笑みが狂気に染まっていた事を私たちは知る由もなかった。
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