生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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捜査

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sideライアス


もう夜の11時を回った。



リラは家についてるかな?



僕は今、ネメシア騎士団の会議に参加していた。


ネメシア騎士団は僕の配下で、かなり腕が立つ。


ルルドは懐かしい顔が多いんじゃないかな。


ルルドは僕がこの中から引き抜いたからね。


あの時のルルドは初々しくて可愛かった気がする。


「先週も言いましたが、ここの地域で人間、ヴァンパイア、人狼、いずれも女性が7人行方不明になっています。そして今回はここ、被害はまだ人間3人だけですが、増えると我々は考えております。」



昔のことを思い出して少し笑っていたら、大きく張り出された地図に赤丸がつけられる。



リラの職場から近い所だった。



おそらく、前回も今回も人身売買の人攫いだね。



リラが被害に遭うと確定したわけじゃなけど、この件はしっかりと握り潰しておいた方が僕も安心できる。



「ライアス様、ルルド様、どうなさいますか?」



隣にいるルルドが僕を見た。



僕の言う事次第ってことかな。



「潰しておいで、1人残らず。」



戦闘許可を出せば、騎士団のみんなは1度頭を下げてこの部屋を出た。




「ルルド。」



いくら僕の配下とは言え、僕が本当に信頼を置いているのは1人しかいない。



「はい。」



だからこそ、あの中からルルドを引き抜いた。



「やることはわかってるね?」



ルルドは本当に仕事ができるから、僕の一言に忠実に動く。



「かしこまりました、しばらくお側を離れます。」



僕はまだやることがあるから、


「よろしく頼むよ。」



**********************

sideルシアス


「今見せたので全てだ。意見ならなんでも言え、些細なことでもいい。」


俺はルドベキア騎士団に招集をかけて話し合いをしていた。



「この男のこと、着てる服、なんでもいい。俺と団長はもうお手上げだ。」



キジャはかなり内容を絞る。




もちろん今日の話し合いはあの日森で起こったことだ。




魔法石に怪しい男に印。



全てにおいて闇の何かが関わっている。



「………」

「お前ら本当に何も言うことないのか?」



俺とキジャは考え尽くしたぞ。



「団長、勘違いだったらすみません…。」



俺とキジャが顔を見合わせる。



「教えてくれ、セト。」



俺がそう声をかけると、ルドベキア騎士団の最年少のセトは自信なさげに話し始めた。



「この男、確か鍛冶屋だった気がします。前、街で見かけた気がするんです…多分ですからね。」




その意見だけで十分だ。




「じゃあ明日、街の鍛冶屋を1つ残らず調べる。それからおかしな奴が湧きそうな所もな。別に間違ってたっていい、もうそれしか縋るところがないからな。」



セトは18の遊び盛りだ。



街にはよく行ってるからほぼ間違い無いだろう。



「「「はい!!」」」



キジャが1人ずつに地図を配り始めた。




「2人1組でやる、俺はいつも通り団長と組むから他は適当に組んでくれ。ペアが組めた所から配置を決める。」



キジャは絶対に俺よりも団長に向いてる。



あの就任式の日にジャンケンに負けたばっかりに俺が向いていない役をやっていた。




譲ってくれって言うなら簡単に譲るんだけどな。



キジャがそんなことを言うはずがない。



「団長、変な顔してないで地図見てください。」



俺にこんな口を聞くのはコイツと…



「ふっ…。」



あのくらいだ。



「何笑ってるんですか。」



こんなことさっさと片付けないと自分の時間が確保できない。



「何でもねぇよ、地図よこせ。」




これが終わればまたあの子犬を可愛がってやれる。




「俺たちはこの辺にしましょう。ここからここ、このお菓子屋からバチェラーって店までですね。鍛冶屋は1つもないから純粋に人探し兼聞き込みです。」




確かに書き込みは大事だが…



「バチェラーはさすがにハズレじゃないか?あそこは品のいい貴族の坊ちゃんしかいないだろ。あんな奴が使うか?」



一応貴族である俺ですら居心地が悪いのに。



「品が良くても悪くても使う貴族はいますから。どっかの誰かさんも品があるかないかはともかく入ったことあるんですから。誰が出入りしててもおかしくないですよ。」



俺には確かに品がない、それでもキジャに言われたら無性に腹が立つ。



「まぁ、俺は品のある貴族だからな。一度か二度は入ったな。」



俺がそう言えばキジャの冷たい視線が刺さった。




「いやー、王族でありながら俺たちのような騎士団の団長になって品もク○もないですって。」




そうか、キジャ。



お前は猿並みの品の持ち主だったな。




「お前はあの店には入らない方がいいな、入る前から出禁になる。」




あんな店でク○なんて言葉うっかり言ってみろ。



坊ちゃんどもは倒れるぞ。



「大丈夫ですって。俺こう見えて貴族なんで。」



確かにそうだった。




「じゃあ明日はお上品に頼むぞ。」

「いやー、それこっちのセリフですねー。」


こんな調子で本当にあの男の身元なんか分かるのか?


先が思いやられる…。

**********************

sideリラ


「うん!これ美味しい!リラちゃん一口いかが??」



無事にプレゼントを買えた私たちは美味しいディナーを食べていた。



「いいの!?私も一口あげる!!」



私はトマトソースのパスタ、ダリアちゃんはクリームパスタを食べている。



2人でそれぞれのパスタをお互いの口に近づけてパクッと食べると…




「「ん~っ!!」」




どちらも美味しいってことが判明した。




「ここのパスタは最高だね!また2人で食べようね!」



ダリアちゃんとの約束は嬉しい。



「うん!食べる!」



私がもう一口パスタを頬張ろうとした時、あることに気がついた。




「ダリアちゃん、左耳のピアスは?」



さっきまで両耳についてたと思ったんだけど…。




「え!?ない!?」



ダリアちゃんはすぐに左耳を触って確認していた。




「えー!どうしよう!落としちゃった!」



私はすぐに足元を探したけど、ピアスは見つからない。




「このピアスお客さんにもらったんだよね…明後日につけなくちゃいけないのに、私のばかー!」




お客さんのプレゼントなら踊るときにつけなくちゃいけないよね。



これは本気で探さないと。



「ダリアちゃん、急いで食べて探しに行こう?もしかしたら道中に落ちてるかもだし!私も探すの手伝うよ!」



さすがに仕事に支障が出るならいけないからね。




「リラちゃん本当にごめんね…。」



落ち込むなんてダリアちゃんらしくない。



「いいんだよ!その……友達、だもん/////」



言葉にするとちょっと恥ずかしいな。



「ありがとう~!でも急いで食べなくていいよ、せっかくだしゆっくり食べて探しに行こう?見つからなかったらその時だよ。」



ダリアちゃんは全体的に大らかだ。



余裕がある。



友達でもあるけど、ダリアちゃんは私の憧れだ。



**********************


「やっぱりないね。」



何度探してもピアスは道中では見つからなかった。



「うーん…どこで落としたのかなぁ…。」



道中ではないってことは…



「あそこじゃない?バチェラー。」



もうそこしか考えられない。



「でももう閉店しちゃったからなぁ…。」



私たちが行った時も閉店ギリギリだったもんね…。



「また明日、仕事終わりに聞きに行こうよ!私もついていくよ!」



私がそう言うとダリアちゃんは驚いていた。



「いい、いいよ!私のことだし!」



またそうやって遠慮して…



「だって、あの店1人じゃ入りづらいよ?」



ダリアちゃんが緊張するくらいだもん。



「…………ほ、本当にいいの??」




ほらやっぱり、強がってた。



「いいよ!一緒に行こうね!」



私の時だってついてきてくれたんだから。




「ん~もう!!ありがとう!大好き!!」



ダリアちゃんがそう言って私に抱きついた。



「あはは!ちょっと!」



戯れて、笑って本当に楽しい。



友達って、本当にいいものだな。
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