生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

文字の大きさ
上 下
75 / 471

大惨事

しおりを挟む
sideリラ


「うっ…頭痛い…」

寝返りを打つと…

ジャリッ

聴き慣れない音がした。

心なしか体も痛い。


何?


「え!!?」


私の目に飛び込んできた景色はびっくりするものだった。


眩しい太陽に砂浜に海。

ま、まさか?ここで野宿した??

昨日何があったの?


どうしよう、何も思い出せない。


ラリッタさんのお店を出た後から何一つとして思い出せなかった。

あれ?ダリアちゃんは?


「ダリアちゃーん!!」


私の大声は波の音にかき消された。


そしてもう一つ謎がある。


どうして裸足?

せっかく色違いで買ったワンピースも今じゃ砂まみれだ。


まって、何か思い出せるよ。


…………



だめだ、何も思い出せない。


私がどれだけ焦っても海は広くて風も気持ちいい。


少しここに座っていようかな。

状況を整理して、少し休んで、それから行動しよう。


あぁ、それより2連休でよかった。


*******************

sideダリア 


「うっ…頭痛い…」

寝返りを打つと…

ガサガサれ!!

聴き慣れない音がした。

心なしか体も痛い。


何?


「は!!?」


私の目に飛び込んできた景色はびっくりするものだった。


砂と石と緑!


ま、まさか?ここで野宿した??

昨日何があったの?


どうしよう、何も思い出せない。


ラリッタさんのお店を出た後から何一つとして思い出せなかった。

あれ?リラちゃんは?


「リラちゃーん!!」


私の大声は木に止まっていた鳥を脅かしただけだった。


そしてもう一つ謎がある。


どうして裸足?

せっかく色違いで買ったワンピースも今じゃ砂まみれだ。


まって、何か思い出せるよ。


…………



だめだ、何も思い出せない。


私がどれだけ考えてもここには森しかない。


少しここに座っていようかな。

状況を整理して、少し休んで、それから行動しよう。


あぁ、それより2連休でよかった。


(※リラとダリアは考え方が同じ)
*********************

sideキジャ


今日俺は朝から大忙しだった。

忙しい理由はなんとも単純。

ヴァンパイアと人間が行方不明になったからだ。


「ここに包囲網を張れ!それからお前らは西を、俺らは東を探す!絶対に生きて連れ帰れ!!」


いや、いやいやいや、団長。


大袈裟すぎません?


「団長、あの子とお友達はもう子供じゃないんですよ?もしかしたら他の男のベッドで」
「アイツがそんな尻軽なわけないだろ!!」


そう思いたいのも分かりますけど…


「とにかく見つけるまで探す!見つけたらすぐに俺に教えろ!いいな!!」

「「「「はい!!!」」」


リラのことになるとこれだ。


もうなんで付き合ってないんだ?本当に疑問だ。


けど俺もちゃんと探してあげないと。

団長は本気で心配してる。

団長は昨日からロクに寝てない。


昨日の夜、集合場所に何時間も現れず探してもどこにもいなかったらしい。

それでこんな捜索隊を出している訳だけど……


「大袈裟すぎません?」


*******************

sideリラ

私が遭難?してから30分経ったくらいに、奇跡が起こる。



「リラちゃーん!!」


この可愛らしい大声は…


「ダリアちゃーん!!!」

私の親友の大声が聞こえた。


私の声を聞いたダリアちゃんが一瞬で私の目の前に現れた。


「リラちゃん!おはよう!無事!?」


どんな状況でも挨拶を忘れないダリアちゃん。

挨拶大事だもんね。


「おはよう!無事だよ!ダリアちゃんは大丈夫?」


一体どこからきたんだろう。


「もちろん大丈夫。それよりここどこかわかる??」


私はにっこり笑って首を横に振った。


「だよね!私もわかんない!」


こんな状況でも2人でいれば楽しいなんて。


「靴もなくしちゃったし、記憶もない。」


私がそう言うと、ダリアちゃんは笑った。


「同じ、同じ。」


2人いればどうにかなる気がする。


「とりあえず適当に歩いてみる?」


私がそう提案するとダリアちゃんは可愛く笑った。


「うん!もちろん!」

それなら決定だ。


「じゃあ適当に歩こう!」










「歩いてはみたけど……」


私は辺りを見渡した。


私が元々いた砂浜の奥は森になっていた。


海にいてもどうしようもないから、ダリアちゃんがいた森から抜けようとしたんだけど……


「うん、歩いてはみたけどここはどこだろうね。」


ダリアちゃんも私も絶望的に方向感覚がなかった。


「そもそもここはどこなんだろう。2人で酔っ払って無人島にでも来ちゃったのかな?」


記憶がないのが痛い。


「いくら私がヴァンパイアでも、酔ってる時にリラちゃんを担いで無人島には行けないよ。」


それもそうだよね。


泥酔していたのならなおのこと。


「無人島じゃないなら、まだ帰る見込みがあるね。」


私たちは呑気にたらたら歩いているからもう夕方になっていた。


そんな私たちを林の影から狙う恐ろしい輩がいた。


私はもちろんそんなことには気づかない。

最初に気配に気づいたのはダリアちゃんだった。


「リラちゃん。」


ダリアちゃんは変に落ち着いた声で私を呼ぶ。


「何?」


その落ち着き方が逆に不自然だ。


ダリアちゃんはいきなり近くにあった少し大きめの石を手に取る。


一体何をするの?


「走って!!!!」


ダリアちゃんはそう叫ぶといきなり林にその石を投げた。


ゴンッ!!!


豪速球で投げられた石は何か硬いものに当たった音がした。


私は言われた通り走っていたけど、ダリアちゃんにすぐ追いつかれて手を引かれてすごいスピードで走っていた。


何がなんだか分からないけど、ダリアちゃんが焦ると言うことは危険な何かがあったってことだ。


今はとにかく、ダリアちゃんの言うことを聞いていよう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99,096pt お気に入り:2,225

自由に語ろう!「みりおた」集まれ!

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:22

あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:2,087pt お気に入り:37

処理中です...