生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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事前準備

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sideリラ

私の泥酔事件から早くも5日が経った。


私は今日いつものように仕事をしてる。


仕事はいつも通りだけど、今日は本当に嬉しい事があった。


それは……


「リラちゃん、これ一緒に待って行こ!」


ダリアちゃんが私と一緒にウエイターをしている事だ。


ウエイターの1人が休みになり人手が足りなくなったから急遽ダリアちゃんに入ってもらった。


仕事が楽しくて楽しくて仕方ない。


「うん!行く!」


毎日ダリアちゃんと働けたらいいのに。


ライさんが作ったカクテルをダリアちゃんと一緒に運んで、またライさんの元へ戻ったら驚きの光景が広がってる。


この室内にいる全員がに頭を下げていた。


ダリアちゃんも頭を下げたから、私も釣られて頭を下げた。


「ライ、部屋借りるぞ。」

「ごめんね、仕事を続けて。」


なんて珍しい。

ルシアス様とライアスだ。

その後ろにはキジャさんとルルドさんがいる。


「リラ、後でいいからいつもの持ってきてくれ。」


ルシアス様は通り過ぎる時にそれだけ言うといつものVIPルームに入って行く。


「お疲れ様。」


ライアスは私の頭を優しく撫でながらそう言ってくれた。


その後ろにキジャさんとルルドさんも続き、全員がVIPルームに入ると全員が安心したように頭を上げる。


「何かあったのかな。」


ダリアちゃんも不思議そうにしていた。


「うん…多分何かあったんじゃないかな?」


むしろ、何かないと集まらないような人たちだ。


「あ、それよりお酒持って行こう?」


私1人があの部屋に入るのは少ししんどい。


「え~、ルシアス様はリラちゃんに頼んでたからなぁ~」


ダリアちゃんはニヤニヤしてる。


「もう!意地悪言わないで!」

「あはは!はいはい、わかった、一緒に行く!」


私がライさんにいつもルシアス様が飲んでいるボトルをもらうと…

「俺らも行く。」


ルディが私に声をかけた。

その隣にはラルフもいる。



「別にあの人たちなら大丈夫じゃない?」


ダリアちゃんの言う通りだ。

別に知らない人と個室に入るわけじゃないのに。


「あの人たちだから心配なんだ。」


私とダリアちゃんはラルフの言葉に顔を見合わせた。


「そうだ!狼の群れに子羊なんか送れないだろ!あ、子羊はお前のことじゃないからな。」


ルディはダリアちゃんを見て余計な一言を付け加える。

もちろん、ダリアちゃんはルディを殴った。


「狼はあんたでしょ!馬鹿ルディ!!」

「馬鹿とはなんだ!馬鹿とは!怪力女!」


睨み合う2人を止めたのはラルフだった。


「お前らやめとけ。」


これはラルフを助けてあげないとね。


「2人ともそろそろ行こう?」


私の言葉を聞いたダリアちゃんは…

「もちろん!バカは放っといて行こ!」

私の方に腕を回して私を連れ去った。


「あ!!!俺のリラに!!」


後ろでルディが悔しそうな声を上げていた。


「お前のじゃねぇだろ、行くぞ。」


ラルフにしっかり釘を刺されたルディは、ラルフに何か文句を言っていたけど詳しくは聞こえなかった。


「全く、本当に幼稚なんだから。」


ダリアちゃんには聞こえたみたいでまた呆れてる。


「ふふ、それがルディのいいところだよ。」


これは本当のこと。

あの純粋さはきっと誰にも真似できない。


「そうかな~」
「そうだよ!」


ダリアちゃんはいつも1番近くにいるから逆に分からないのかもしれない。


いいのか悪いのか分からないね。










ノックをして返事が返ってきたから…


「「失礼します」」


2人で同時に言ってドアを開けた。


するとそこはイケメンと色気の渦巻く世界。


揃いに揃って全員顔がいい。


「やっと来た。」

ルシアス様はそう言って私が渡したお酒のボトルを開けて飲んだ。


「ちょうどよかった、外で見張っている2人も入ってきてくれる?」


ライアスはなぜかラルフとルディを呼んだ。


「分かりました。」


ダリアちゃんはドアから顔を出して2人を呼んだ。


人狼2人は不思議そうに部屋に入り落ち着かない様子。


心配だったけど、私とダリアちゃんは仕事があるからこの部屋を出ざるを得なかった。


後で、どんな話か聞こう。


部屋を出た私たちはお互いに肩をすくめる。


一体なんだろうね。


本当に訳がわからない。


*******************

sideルディ

なんで俺らを呼んだんだ?

そもそも、なんで普段仲の悪い奴が一緒にVIPルームに?

ヴァンパイアのががえる事は本当に訳がわからない。


「立ってないで座りなよ。」

俺とラルフに声をかけたのは、兄貴の方だった。


「すぐに仕事に戻らないといけないから用件だけ話してくれ。」


ラルフはダリアが心配らしい。

大丈夫に決まってんだろ、あの怪力女は下手したら俺らより強い。


「それもそうだね。いきなりで申し訳ないけど、明日2人ともリラとダリアを護衛してくれない?」


護衛?


「明日は俺ら4人とも休みだ。仕事でもないのに護衛の必要があるのか?」


おい待てよ、ラルフ。

そんな言い方したら俺らが護衛を嫌がってるみたいに聞こえるだろう。

俺はリラの護衛なら何百年でもしてていいのに。


「それに、どうせあんたらがリラにもダリアにも見張りはつけてるだろう。」


ラルフはキジャとルルドを交互に見る。


「それが明日はどうしてもできないから頼んでいるんだよ。」


どうしてもできない?


「なんで?」


俺は訳がわからずに聞いた。


「明日、ある女の家に潜入してくる。もしかしたらその女又は家族が例の組織に一枚噛んでるかもしれない。」


俺の質問に答えたのはルシアスの方だった。


「へぇ~別に俺はいいけど?」

リラと一緒にいる時間ができるし。


「あぁ、俺もだ。」


なんだかんだでラルフも了承した。


「じゃあリラとダリアに話してくる。」

俺が向きを変えたら… 


「待って。この事はあの2人には伏せておいてもらえるかな?」


ライアスの訳の分からない頼みに俺はまた振り返った。


「知る権利くらいあるだろ?」


当事者なんだし。


「ダリアはどうか知らないけど、リラは僕たちが敵かもしれないところに踏み込む事実を知ればかなり心配するから。一日中心配させて過ごさせるのはかわいそうだよ。」


それも一理あるけどさ…


「もしあんたらが失敗して追手がきたらどうする?本人たちは何も知らずに襲われるかもしれない。その方が可哀想だろ。」


俺の言いたいことをラルフがバシッと言ってくれた。


「その為のお前らだろうが。それにリラやダリアに追手がいくようなヘマはしない。お前らは念のためだ。だからそう事を荒立てるな。」


俺らは顔を見合わせた。


まぁ、わざわざ事を荒立てて余計な心配をかけるのも可哀想か。


「まぁ、いいや、何でも。とりあえず今回のことがバレないように見張ればいいんだな?」


リラには悪いけど、今回はヴァンパイア軍団の言う事を聞くか。


「あぁ、うまくやれよ。」


ルシアスに言われると余計に腹立たしい。


「それはこっちのセリフだ。」


腹の立つ男のことは忘れて明日はリラと1日中いれるのか。


今から楽しみになってきた。
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