生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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乱入

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sideライアス


なかなかルルドは起きない。


さっきより、反応は良くなったけど目が覚めるまでには至らない。 


ルルドが元気になってくれないと僕も好きに動けない。


けど眠ってるわけじゃなくて眠らされていることを考えたら、ここで僕が何をしても正直無駄に等しい。



ルルドは未だにうなされている。


無理矢理起こそうとするときっと苦しむ事になる。


僕もあまり突き回さない方がいいね。


ルルドは優秀だけど、こういった催眠の類には弱いところがあるから。


わざわざ苦しめる必要はない。


今はルルドには何もできないから、とりあえず僕はやる事をやろうか。


死者を生き返らせる方法を探そう。


やってはいけないだけで、きっとあるに決まってる。


誰に何を言われようとリラを取り戻す。


必ず生き返らせてみせる。


とりあえず……


「リラをここに連れて来ようかな。」



ガラスの棺に入れて、生き返った時のために体を腐らせない魔法をかけよう。


大丈夫、リラは必ず生き返る。


また僕の名を呼んでくれる。


絶対にそうに決まっている。


「死んだ、なんて嘘だよ………。」


別にいいよ、何回死んでも。


何回でも甦らせるだけだ。



********************

sideルシアス


「ルシアス。」


部屋の中にいきなり現れたライアス。


今は作戦会議中だ。


キジャも、他のメンバーも、俺も驚いた。


「復帰が早いね、散々甘いこと言ってたけど、本物の愛とは到底思えないよ。」


あ???


「何の話してんだ?」


甘い?本物の愛?



「てか、乱入してくんな。見りゃわかんだろ、仕事中だ。帰れ。」



ライアスはいきなり俺の胸ぐらを掴んできた。


下手くそな作り笑いからは狂気が滲み出ている。


「帰れ…?」


ライアスがキレた。

俺はこの顔をよく知っている。


俺はよくコイツを怒らせるからな。


でも、俺は今回ライアスを怒らせるようなことはしていない。


そんな面倒なことするわけもないのに、何キレてんだ?



「僕のこの手の中から奪った挙句に、一瞬でも目を離して死なせたのは誰だ?死なせてしまうくらいなら僕が繋ぎ止めておけばよかった。」


怒りが抑えられないのか、この部屋にある軽いものが浮き上がった。


俺以外のメンバーはその様子に震え上がる。


それもそのはず、圧倒的力を見せつけられているからな。


「いきなり乱入してきた挙句にこれは何だ?それから訳の分からん妄想を俺に押し付けんな、ぶっ飛ばすぞ。」


俺の言葉を聞いたライアスがついに作り笑いをやめた。


その後は、とは思えない程の拳が俺の顔にめり込む。


バキッ!!!!


拳がめり込むと同時に俺の顔の骨が折れる音がした。


これはかなりキレてる。


いきなり現れて訳の分からないこと散々言って、さらにはいきなり殴ってくるとか…


「お前、情緒大丈夫か?」


別に普段のライアスを知っている訳じゃないが…


「今のお前相当おかしいぞ?」


あぁ、めちゃくちゃ痛い。


顎にヒビがいった。


喋るのがつらい。


「おかしいのはお前だ。あんなに愛してるだのなんだの言っておいて、今ではもう何も無かった事にしてる。リラがその程度の女なら僕から取り上げる必要なんかなかっただろう…」


あぁ…痛ぇな……


俺もいきなり殴られて腹が立ってきた。


そもそも…


って誰だよ。それからお前の女を寝取る趣味はない。」



ライアスがいきなり俺の目の前に現れた。


そして俺の首を相当な力で掴んでくる。


今日はヤケに動きが速い。


それだけキレてる証拠だ。


「おま」
「いいよ、もう。それならそれで。ただどこに埋めたかだけは教えてもらうよ。」



埋めた?死なせた?何のことだ。


「団長!!」


さすがにここまで来たらキジャが声を上げた。


「動くな!」


この場だけの感情でキジャが殺されたらたまらない。



「手を離せ。話せることも話せなくなるぞ。」


ギチギチと、ライアスの爪が俺の首に食い込んでくる。


「それから場所も変える。広いところで話し合った方がよさそうだ。」


俺とライアスの死ぬ程くだらない言い合いに巻き込みたくはない。


「うん、じゃあ表に出てくれる?」


そこまで殺る気があるなら俺も答えてやらねぇとな?


「あぁ、お外でお話といこうか?お兄様?」


殴られた分は必ず返す。


この俺が一発殴られたままって訳にはいかない。


鼻くらいは折ってやろうか。


とにかくあれだ。


今の俺は最高に気分が悪い。
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