生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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喧嘩!

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sideリラ

私は今両手にヴァンパイアと人狼。


右腕にはダリアちゃんが絡み付いてて、左腕にはルディが絡み付いてる。


「……生きてるか?」 


ラルフはそんな私を心配していた。


「ちょっと離れなさいよ!」

「そっちが離れたらいいだろ!」


ダリアちゃんとルディの喧嘩を仲裁したが最後。


私は板挟みだ。


「もう!!せっかくリラちゃんと会えたのに!」

「それはこっちのセリフ!」


リラちゃんとルディがいがみ合っていたら…



「その辺にしてやれ。もう少ししたらテナが昼飯を作り終わる。それまで俺たちは今後やる事について話す。」


空気が一気に変わった。


ふざけていた2人は言い合いをやめて頷いた。


何?そんなに真面目な話?


「私、足りない分の椅子とってきます。」

「じゃあ俺は資料!」


2人はバタバタと私から離れていった。


「そんなに真剣な話なの?」


取り残された私はラルフに聞いた。


「まぁ、話自体は真剣だが……」


ラルフは呆れていた。


「あれは多分、お前の争奪戦の続きだな。」


私争奪戦の続き?


「なんで?」

今そんな話してなかったと思うよ?

2人ともなんか凛々しかったし。

「まぁ、あれだ。早く準備終わった方の隣に座ってやれ。」


どんな並び方で座るの?


「もし横に並んで座るなら2人の真ん中になるよ?私。」


その方がいい気がする。


2人が喧嘩しそうならそうしようかな?


「いや、それはダメだ。そうなると2人ともリラにへばりついて話し合いにならない上にお前を挟んで喧嘩する。2人の間は俺で決定だ。」



なるほど……


「喧嘩するほど仲がいいって言うくらいだし、ちょっと安心したよ。2人が賑やかで。」


これで、真剣な話も暗い気持ちで聞かなくてすみそうだし。


「賑やかすぎる。…いや、お前から離れた時のアイツらを見せてやりたい。酷くれ荒れてたな、特に俺の胃が。」


なるほど。

ラルフは相当なストレスを受けていたとみえる。


「お疲れ様。」


あの2人が目の前で荒れたら私だって胃が荒れちゃうよ。


「ひゃっ!」
「はい!!!俺の勝ち俺の勝ち!!リラ!ご褒美に隣座って!?」


私とラルフが話していたら、ルディがいきなり後ろから抱きついてきた。


ゴンッ!!
「いでっ!!!」


そんなルディの頭にゲンコツを落とすクロウ先生。


「いきなり女に抱きつくな、マナーがなってない。」


ルディは結構痛かったらしく、自分の頭を必死に摩っていた。


「痛ぇよ!クロウさん!!いいだろ!将来俺と結婚するんだから!!」


えー、ルディ、初耳だよ。


「馬鹿を言うな。お前に結婚なんて100年早い。」


クロウ先生は顔がいい。

そう…顔がいい。



だからかしら…



「うっ……大人の色気……」


ルディが既婚者の色気にやられていた。


「馬鹿やってねぇで離れろ。ったく、こんなとこダリアに見られたら血抜きされて吊るされるぞ。」


ガタン!!!


噂をすれば、ダリアちゃんが現れて持ってきた椅子を手から落とした。


「あ……あ…あんたに………負けた?…この私が??」



ダリアちゃんの手がワナワナと震えている。


明らかに朗らかな表情ではない。


「しかも…私のリラちゃんに………抱きついて……」


ラルフは頭を抱えて、ルディは苦笑い。


「な、何だよ、別に抱きつくのなんていつもやってたじゃん。…ねぇ!リラ!」


え!?私に振るの!?


「あ…えっと……うん……あはは。」


ルディの方を見て私も苦笑いした。


「そ、そんなに怒ってもリラの隣は譲らないからな!俺が勝ったんだから!」


え!?ルディ!!?

何でそんなこと言うの!?

何で渾身の力で地雷を踏み抜いたの!?


「っぃー!!!!!」

ダリアちゃんからとんでもない奇声が聞こえた。


「は!?嘘!!ちょ!!こっち来んな!!!」


ルディは命の危機を感じたのか、物凄い速さで部屋を出て行きそれと同時に私の近くで風が吹く。


その風の正体はダリアちゃんだ。


話し合いは昼食を食べた後にする事になった。


******************* 
 
sideライアス



「っ……お前………覚えてろよ……」
   

ルシアスのうなじの皮を何枚剥がしたかな?


僕は剥ぎ取って床に捨てた首の皮を数えた。


1…2…3…4…5…6…7…8…9…10…11…12…13…



「これで14か……」


一番最初に剥がした皮と、今再生したルシアスのうなじを見比べてみた。


「模様の先がほんの少し消えたね。」


14枚でこれしか消えないのか。


全部消すなら後何枚剥がせばいいかな?


100枚で終わればいいけど。


皮を剥がすのも結構力がいる。


僕も手が疲れてきた。


「俺に触るな!」


ルシアスもだいぶ怒ってるし今日はここまでかな。


って言ってあげたいけど、そう言うわけにもいかないよね。



「子供みたいなことを言わないでくれる?そもそもこんな物をつけられる方に落ち度があるよ。」


リラを失って気が動転したんだろうけど、こんな物をつけられるなんて脇が甘すぎるよ。


第一、どうして死んでしまって嘆くの?


また蘇らせればいい。


禁術でも生贄でも呪いでも、何でも使えばいいだけなんだから。


「確かにこんなおかしな物をつけられた俺に落ち度はある。だからってこんな原始的な方法でやったって仕方ないだろ。」


リラと一緒にいたあの期間でさえ、あの呪いを解く方法を僕は見つけられなかった。


今は1秒でも無駄にできないのに、悠長に他の方法なんか探せないよ。



「ルシアス、黙らないと殺してしまうかもしれないよ?」



だからじっとしていようね。



僕がリラを取り戻すまでこの地獄は終わらないよ。
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