生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

文字の大きさ
上 下
174 / 471

動物に変身!

しおりを挟む
sideリラ


クロウ先生はきっかり1時間で戻ってきた。



「さぁ、できたぞ。とりあえずこれは一分間だけ動物になる薬だ。2人が何になるかまずは確認しておく。」



クロウ先生が持ってきたのは小さいスプーンだった。


そのスプーンの中には水色の薬が入ってる。

あれが変身薬らしい。


「よしきたー!!」


ダリアちゃんが楽しそうでよかった。


私も嬉しいよ。


「リラ!早く飲んでくれよ!」


ルディは私を急かす。


「わかった、わかった、飲むよ。」


どうか変な動物になってみんなに笑われませんように。


「せーので飲もうよ!!」


ダリアちゃんはきっと白鳥になる。


私はそう信じてるよ。


「いいよ。」


きっと綺麗だろうな。


今から楽しみ。



「じゃあ行くよ!せーの!!!」


ダリアちゃんの掛け声ですごい色の薬を口に入れる。


味はなんとも酷い。


甘ったるくて酸っぱくて渋くて苦い。


目がぐるぐる回ってきた。



あれ??あれれ??


なんかフラフラする!!


「おぉ!!何だ!何になるんだ!!」


ルディが興奮して私を見ているけど、私は倒れて行っているのか床との距離が近くなる。


咄嗟に手を着いて顔を守ろうとしたけど……


あれ??


手がおかしい………


何??この手は。



「きゅーん。」


何!?この声は!!



「んなぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」


私の鳴き声を聞いてルディが雄叫びを上げた。


「めぇぇえっちゃ可愛いー!!!!!!」


ルディの大声はきっと世界中の人に聞こえてるね。


「おい、うるさい。」


ほら、ルディ。


ラルフに怒られてるよ。


「可愛い!可愛い!!無理ー!可愛い~!!!」
「きゅーん。」


ルディはいきなり私を抱き上げた。


「リラ~可愛い~もう俺が飼う~」


何を言っているのかさっぱり分からないけど、私は何の動物になったの?


「リラ、なかなかにいいぞ。ほら。」


ラルフは気を効かして鏡を持ってきてくれた。


そこに写っていたのは……


「わん!!」


1匹の耳が垂れた子犬だった。


な…なるほど。


こ、これはこれでなかなか可愛い。

自分で言うのもあれだけど…


「きゅーん」

それよりダリアちゃんは!?


やっぱり白鳥??


「…フッ…いいんじゃないか?お前らしくて。」


ラルフが笑いを堪えている。


「うわぁ、おっかねぇ…。リラ見てみ。」


ルディが私を抱っこしてくるっと振り返る。


するとそこにはめちゃくちゃ強そうな豹が1匹。


そっちにいったのね!


可憐な方じゃなくて強さが出たね。


「きゅーん!」


さすがダリアちゃん、綺麗で格好いいよ!最高!!


「ん~?なになに?」


ルディは私にデレデレだった。


「おい、そろそろ離してやれ。魔法薬の効果が切れる。」


そうか。


効果は確か1分だった。


早くどこかに隠れないとみんなに裸を晒すことになる!!


「そ、そうだな!リラ、とりあえず向こうの部屋に…」


ルディは焦って私を運ぼうとする。


それを制したのは…



「あぁぁぁあ!!ダリア!返せ!!食うな!食っちゃダメ!!」


ダリアちゃんだった。


見事に私をルディから奪い隣の部屋へ行く。


「やめて!お願い!リラを食わないで!!俺のリラがぁぁあ!!!」


暴れるルディを抑えたのはラルフだった。


「喧しい、ダリアがリラを食う訳ないだろう。お前じゃあるまいし。」


「俺のリラがぁぁあ!!」

「お前たちうるさいぞ。」



男性陣は本当に賑やかね。



あれ??


なんか体から煙が出てきた。


魔法薬が切れる時はこうなるんだね。


縮んだ手足は伸びて元通りの形になる。


全てが元に戻った時は私もダリアちゃんも丸裸だった。


「リラちゃん!最っ高に可愛かったね!!」


ダリアちゃんは裸で目をキラキラさせる。


私はスタイルの良さに倒れそうだよ。


「でも….あんまり役には立たなさそうだよ。ダリアちゃんは綺麗で格好いいのに。」


私はただの子犬だったし。


「でも、豹だよ!?街中歩けないよー!」


ダリアちゃんはケラケラと笑っていた。


「確かに、街に豹が出たらみんなびっくりだね。」


きっと大パニックが起きる。


「2人とも、服を着たらこっちに来てくれ。」


「「はぁーい。」」


クロウ先生の言葉に返事をした私たちは近くにあったラルフとルディの服を着た。


ちなみにここはラルフとルディが使っている部屋。


ダリアちゃんがラルフの服を着て、私がルディの服を着た。


「変身、楽しかったね!」

「そうだね!私初めてだよ、動物に変身したの。」


私たちが話しながら出ていくと……


「ダリア、それ俺の…」
「リラが俺の服」バタッ!!


ラルフは顔を真っ赤にしてルディは勢いよく床に倒れた。


「ルディ!」


私が心配して駆け寄ろうとしたらダリアちゃんが私の手を掴む。


「いいのいいの、その内ケロッと起きてくるから。」


え?えぇー??


「あぁ、その通り。作戦を改めて固めていくぞ。」


クロウ先生も全く心配していない。


「……ご、ごめんね、ルディ。」


私はルディに悪いと思いながらも、ダリアちゃんに引かれるままさらに隣の部屋へ移動した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:97,030pt お気に入り:2,180

自由に語ろう!「みりおた」集まれ!

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:22

あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:1,640pt お気に入り:37

処理中です...