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タキシード
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sideルシアス
やっぱり気分が乗らない。
舞踏会とかお茶会とかパーティーとか、全部嫌いだ。
それでも、リラが側で俺の着替えを見てくれている時は本当に楽しかった。
大嫌いな集まりごとでも、リラのはしゃぐ顔が見れたらそれも悪くないと思うほどに本当に楽しかった。
俺はふと自分の左手の薬指の指輪を見る。
会いたい、謝りたい。
大人気ないことをした、乱暴なことをして悪かった、大嫌いなんて嘘だ。
そう言いたい。
絶対に別れたくない。
こんなにも愛しているのに心にもないことを言ってしまった。
このパーティーが終わったらリラに会いに行こう。
このままなんて俺が耐えられない。
そもそもリラからキスしたわけでもない。
あんなに顔が赤かったのは驚いたからだろう。
それか、まだライアスに未練でもあるのか?
植え付けられた物とはいえ、本気で愛していた時期もあっただろうからな。
………いや、やめよう。
こんな事を考えたって仕方ない。
「団長ー、遅刻しますよー。」
キジャが俺の部屋をわざとノックした。
「あぁ、もう終わった。」
ドアを開けるとキジャが暇そうに俺を待っていた。
「ん?あれ?前は髪あげてませんでした?」
何回か見せたことがあったからキジャはあの髪型が印象深いんだろう。
「別に適当でいいんだよ。」
格好つけたい相手は今日はいない。
リラがいないなら全部適当でいい。
*********************
sideリラ
「え?本気か?確かに好きなものを選べと言ったがそれは本気なのか?」
クロウ先生は私とダリアちゃんの格好を見て驚いていた。
「変ですか?」
私が聞くとクロウ先生は焦ったように違うと手を振る。
「似合ってる、それはそれは魅力的だ。が、それが問題なんだ。」
クロウ先生何言ってるんだろう。
「魅力的な方がいいじゃないですか。ねぇ?」
私とダリアちゃんは目を合わせて頷いた。
「情報収集しにいくのにこんな美人を2人も連れていたら目立つだろう。愛人を2人連れてきたと思われたらどうするんだ。」
愛人か……私はともかくダリアちゃんは美しすぎてそう見えても仕方ない。
「じゃあ、娘ってことにしましょうよ!」
ダリアちゃんの言う通り、それなら愛人感はなくなる。
「付き添いで、って言ったら只ならぬ関係を勝手に想像されそうだけど、娘ですって言っておけばきっと大丈夫ですよ。」
クロウ先生は少し考えているようだった。
「うん……それもそうだな。」
そして納得している。
「年的にもそんな感じだし、それで行くか!」
クロウ先生、ちょっと楽しそうだ。
「そうしましょ!なんて呼ぼうかなー!」
ダリアちゃんはもっと楽しそう。
「お父様とか?」
私が言うとダリアちゃんはおかしそうに笑った。
「もういっそパパでいいんじゃない??」
「あはは!!」
パパはないでしょ!
「パパはなしだ、しかも貴族の集まりなんだからお父様で頼む。」
クロウ先生をお父様と呼ぶなんて、私まで楽しくなってきた。
「さて、そろそろ行くぞ。遅刻はよくない。」
私とダリアちゃんに悪戯心が芽生えた。
目を見合わせてアイコンタクトを送る私たち。
「「はーい、お父様!!」」
2人で声を揃えてクロウ先生をそう呼ぶと、クロウ先生は少しだけ照れていた。
*******************
sideクロウ
馬車の中で、俺の向かいの席にダリアとリラが座る。
2人は楽しそうに話をしていた。
これが情報収集のためだけのパーティーでなければ、この2人も普通にパーティーを楽しめたはずなのに。
なんて…感情に浸っている場合ではない。
「そうだ、2人とも。少しその容姿を変えないとな?」
2人はかなり目立つ。
「金髪と銀髪、お前たちの素敵な個性だが今夜だけは無難な茶髪にさせてもらう。瞳の色は黒にしようか。」
ダリアは今も黒い瞳だからいいとして、リラの瞳を変えないとな。
俺が魔法でリラとダリアの容姿を少し弄る。
髪の毛の色と瞳の色が違うとまるで雰囲気が違う。
別人と言っても過言ではない。
「完璧だ、2人ともミステリアスな美女って感じだな。」
元がいいから本当によく似合う。
俺が褒めれば2人は嬉しそうに笑った。
********************
sideダリア
ようやく着いた。
王宮に来るのは初めてだから緊張する。
だけど大丈夫だよね。
馬車の中で散々作戦立てたし、何より私にはリラちゃんとクロウさんがいる。
不安になることなんてないよ。
そもそも、人と話すのは苦手じゃない。
カトレアで散々鍛えてきたから私ならできる。
頑張って超がつくほどの重要な情報を引き出してやるんだから!
待ってなさい!!貴族たち!!
やっぱり気分が乗らない。
舞踏会とかお茶会とかパーティーとか、全部嫌いだ。
それでも、リラが側で俺の着替えを見てくれている時は本当に楽しかった。
大嫌いな集まりごとでも、リラのはしゃぐ顔が見れたらそれも悪くないと思うほどに本当に楽しかった。
俺はふと自分の左手の薬指の指輪を見る。
会いたい、謝りたい。
大人気ないことをした、乱暴なことをして悪かった、大嫌いなんて嘘だ。
そう言いたい。
絶対に別れたくない。
こんなにも愛しているのに心にもないことを言ってしまった。
このパーティーが終わったらリラに会いに行こう。
このままなんて俺が耐えられない。
そもそもリラからキスしたわけでもない。
あんなに顔が赤かったのは驚いたからだろう。
それか、まだライアスに未練でもあるのか?
植え付けられた物とはいえ、本気で愛していた時期もあっただろうからな。
………いや、やめよう。
こんな事を考えたって仕方ない。
「団長ー、遅刻しますよー。」
キジャが俺の部屋をわざとノックした。
「あぁ、もう終わった。」
ドアを開けるとキジャが暇そうに俺を待っていた。
「ん?あれ?前は髪あげてませんでした?」
何回か見せたことがあったからキジャはあの髪型が印象深いんだろう。
「別に適当でいいんだよ。」
格好つけたい相手は今日はいない。
リラがいないなら全部適当でいい。
*********************
sideリラ
「え?本気か?確かに好きなものを選べと言ったがそれは本気なのか?」
クロウ先生は私とダリアちゃんの格好を見て驚いていた。
「変ですか?」
私が聞くとクロウ先生は焦ったように違うと手を振る。
「似合ってる、それはそれは魅力的だ。が、それが問題なんだ。」
クロウ先生何言ってるんだろう。
「魅力的な方がいいじゃないですか。ねぇ?」
私とダリアちゃんは目を合わせて頷いた。
「情報収集しにいくのにこんな美人を2人も連れていたら目立つだろう。愛人を2人連れてきたと思われたらどうするんだ。」
愛人か……私はともかくダリアちゃんは美しすぎてそう見えても仕方ない。
「じゃあ、娘ってことにしましょうよ!」
ダリアちゃんの言う通り、それなら愛人感はなくなる。
「付き添いで、って言ったら只ならぬ関係を勝手に想像されそうだけど、娘ですって言っておけばきっと大丈夫ですよ。」
クロウ先生は少し考えているようだった。
「うん……それもそうだな。」
そして納得している。
「年的にもそんな感じだし、それで行くか!」
クロウ先生、ちょっと楽しそうだ。
「そうしましょ!なんて呼ぼうかなー!」
ダリアちゃんはもっと楽しそう。
「お父様とか?」
私が言うとダリアちゃんはおかしそうに笑った。
「もういっそパパでいいんじゃない??」
「あはは!!」
パパはないでしょ!
「パパはなしだ、しかも貴族の集まりなんだからお父様で頼む。」
クロウ先生をお父様と呼ぶなんて、私まで楽しくなってきた。
「さて、そろそろ行くぞ。遅刻はよくない。」
私とダリアちゃんに悪戯心が芽生えた。
目を見合わせてアイコンタクトを送る私たち。
「「はーい、お父様!!」」
2人で声を揃えてクロウ先生をそう呼ぶと、クロウ先生は少しだけ照れていた。
*******************
sideクロウ
馬車の中で、俺の向かいの席にダリアとリラが座る。
2人は楽しそうに話をしていた。
これが情報収集のためだけのパーティーでなければ、この2人も普通にパーティーを楽しめたはずなのに。
なんて…感情に浸っている場合ではない。
「そうだ、2人とも。少しその容姿を変えないとな?」
2人はかなり目立つ。
「金髪と銀髪、お前たちの素敵な個性だが今夜だけは無難な茶髪にさせてもらう。瞳の色は黒にしようか。」
ダリアは今も黒い瞳だからいいとして、リラの瞳を変えないとな。
俺が魔法でリラとダリアの容姿を少し弄る。
髪の毛の色と瞳の色が違うとまるで雰囲気が違う。
別人と言っても過言ではない。
「完璧だ、2人ともミステリアスな美女って感じだな。」
元がいいから本当によく似合う。
俺が褒めれば2人は嬉しそうに笑った。
********************
sideダリア
ようやく着いた。
王宮に来るのは初めてだから緊張する。
だけど大丈夫だよね。
馬車の中で散々作戦立てたし、何より私にはリラちゃんとクロウさんがいる。
不安になることなんてないよ。
そもそも、人と話すのは苦手じゃない。
カトレアで散々鍛えてきたから私ならできる。
頑張って超がつくほどの重要な情報を引き出してやるんだから!
待ってなさい!!貴族たち!!
応援ありがとうございます!
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