215 / 471
禁断の書
しおりを挟む
sideルシアス
会って数分で俺たちは決断を下した。
トントンと決まって楽でいい。
「じゃあ作戦をまとめるか。まず、俺とライアスで城に戻り図書室に空間魔法を張る。それが無事に終わったら俺らは見晴らしのいい中庭で大喧嘩を始める。城中の奴らが俺らに気を取られている隙に、図書室の空間魔法とお前の空間魔法を繋げて飛んできてくれ。」
ざっくり言えばこんな所か。
「空間魔法で飛ぶのはいいが、本には厄介な魔法がかかっているんだろう?どんな魔法なんだ?」
クロウが難しい質問をした。
どんな魔法と言われてもな……
「そうだな…………厄介な魔法。」
俺が答えたらクロウはため息をついた。
「なるほど。で、どう厄介なんだ?」
どう厄介と言われてもな…
俺が答えに困っていたら、ライアスが口を開いた。
「持ち出そうとしたら閉じ込められるんだよ。その本を持っていたら見事に魔法が使えなかった。」
これは俺も経験したことがある。
俺は違う禁断の書だったが、確かに魔法は使えなかった。
「魔法が使えなくなる?俺から魔法取ったらただの人間になることを忘れてないか?」
確かにただの人間だな。
「でも、お前はそこらの魔法使いじゃない。だから大丈夫だ。」
俺たちは散々クロウに手を焼いてきた。
おそらくあの本にかけられたおかしな魔法も解けるだろう。
「まさか、作戦ってこれだけじゃないだろうな?」
クロウは何をおかしなことを言っているんだ?
「これだけだ。何か問題あるか?」
確かに後何個か作戦は欲しいが、正直そんなに甘くない。
時間もかけられないしな。
「なるほど……お前達は行き当たりばったりが得意だったな。まぁいいさ、失敗したら俺が即興で何か考えよう。」
俺とライアスとクロウ、この3人なら滅多な事はない。
各々自分の身の守り方もしっているしな。
「じゃあ決まった所で、僕とルシアスは城に戻るよ。空間魔法を図書室の一部とここに繋げるから繋がった瞬間から作戦開始って事で。」
ライアスがまとめて、俺たちが出かけようとしたら…
「待て。」
クロウが俺たちを止めた。
そして手を翳すと空間が歪み、入口ができる。
「城の図書室には行った事ないが、庭なら行ったことがある。俺は一度行ったところには空間魔法を使える。これで時間短縮だ。何ならこのまま俺も一緒に図書室に行けるが?」
確かにそれが手っ取り早い。
でも…
「それはダメだな。」
クロウは不思議そうにした。
「なぜ?」
「秘密裏に禁断の書を持ち出す作戦だから。遅かれ早かれ本がないことは気付かれる。」
ライアスの単純明快すぎる言葉でクロウはすぐに理解した。
「なるほど。うっかり俺とお前達がいるのを誰かに見られたら、グルになってやったとバレるからか。
本がなくなったのがバレるのがいつにしろ、お前達は中庭で大喧嘩ショーを開催しているから本を取ったとは疑われない。
俺はお前達の用意してくれた空間魔法で直接図書室に行き、ここへ帰る。
見事、透明人間の完成ってわけか。」
飲み込みが早くて助かる。
「まさしくその通り。図書室に空間魔法を張ったらピアスで連絡するから待っててくれ。」
俺はそれだけ言ってクロウが作った空間をライアスと潜った。
・
・
・
数日ぶりに城に戻れば目があった全員が頭を下げる。
俺らはそれを素通りした。
「で?どうする?」
「とりあえず空間魔法を」「それはわかってる。喧嘩の理由だ。」
一応は必要だろ?
「何でもいいよ。」
何でもいい、か。
まぁ、俺たちがその辺で喧嘩してても誰も不思議には思わない。
仲が悪いとこんな時役に立つな。
いろいら話しているうちに一瞬で図書室に着いた。
ライアスは禁断の書の近くの本棚に空間を作る。
「クロウ。ライアスがそっちに繋げようとしてる。魔力の切れ端を探して俺の家と繋げてくれ。」
俺はすぐさまピアスで連絡した。
15分あればできるだろう。
その間に俺は喧嘩のシナリオでも考えておくか。
「よし、本はどれだ?」
俺とライアスは驚きを隠せなかった。
王専属の魔法使いでもこの手の魔法は5分は必要なのに。
クロウは一瞬でやってのけた。
「あ…あぁ、この辺りかな。本にかかった魔法を解きつつそこの空間に投げ入れて。必要なものが全て取れたらこの魔法を解除して先に調べていてくれないかな?」
「わかった、お前たち帰りはどうする?」
クロウに空間を作ってもらった方が楽なのは楽だが、誰かに見られたら厄介だな。
「走って帰る。じゃ、俺たちは大喧嘩ショーでもやってくるからこっちは頼んだぞ。」
さて、ショーの始まりだ。
ショーついでにまたライアスをボコボコにしてやるか。
「手加減できなかったらごめんね?」
何を言ってるんだ?コイツは。
「あぁ。俺もお前を殺さないように気をつける。」
楽しいショーになりそうで何よりだ。
会って数分で俺たちは決断を下した。
トントンと決まって楽でいい。
「じゃあ作戦をまとめるか。まず、俺とライアスで城に戻り図書室に空間魔法を張る。それが無事に終わったら俺らは見晴らしのいい中庭で大喧嘩を始める。城中の奴らが俺らに気を取られている隙に、図書室の空間魔法とお前の空間魔法を繋げて飛んできてくれ。」
ざっくり言えばこんな所か。
「空間魔法で飛ぶのはいいが、本には厄介な魔法がかかっているんだろう?どんな魔法なんだ?」
クロウが難しい質問をした。
どんな魔法と言われてもな……
「そうだな…………厄介な魔法。」
俺が答えたらクロウはため息をついた。
「なるほど。で、どう厄介なんだ?」
どう厄介と言われてもな…
俺が答えに困っていたら、ライアスが口を開いた。
「持ち出そうとしたら閉じ込められるんだよ。その本を持っていたら見事に魔法が使えなかった。」
これは俺も経験したことがある。
俺は違う禁断の書だったが、確かに魔法は使えなかった。
「魔法が使えなくなる?俺から魔法取ったらただの人間になることを忘れてないか?」
確かにただの人間だな。
「でも、お前はそこらの魔法使いじゃない。だから大丈夫だ。」
俺たちは散々クロウに手を焼いてきた。
おそらくあの本にかけられたおかしな魔法も解けるだろう。
「まさか、作戦ってこれだけじゃないだろうな?」
クロウは何をおかしなことを言っているんだ?
「これだけだ。何か問題あるか?」
確かに後何個か作戦は欲しいが、正直そんなに甘くない。
時間もかけられないしな。
「なるほど……お前達は行き当たりばったりが得意だったな。まぁいいさ、失敗したら俺が即興で何か考えよう。」
俺とライアスとクロウ、この3人なら滅多な事はない。
各々自分の身の守り方もしっているしな。
「じゃあ決まった所で、僕とルシアスは城に戻るよ。空間魔法を図書室の一部とここに繋げるから繋がった瞬間から作戦開始って事で。」
ライアスがまとめて、俺たちが出かけようとしたら…
「待て。」
クロウが俺たちを止めた。
そして手を翳すと空間が歪み、入口ができる。
「城の図書室には行った事ないが、庭なら行ったことがある。俺は一度行ったところには空間魔法を使える。これで時間短縮だ。何ならこのまま俺も一緒に図書室に行けるが?」
確かにそれが手っ取り早い。
でも…
「それはダメだな。」
クロウは不思議そうにした。
「なぜ?」
「秘密裏に禁断の書を持ち出す作戦だから。遅かれ早かれ本がないことは気付かれる。」
ライアスの単純明快すぎる言葉でクロウはすぐに理解した。
「なるほど。うっかり俺とお前達がいるのを誰かに見られたら、グルになってやったとバレるからか。
本がなくなったのがバレるのがいつにしろ、お前達は中庭で大喧嘩ショーを開催しているから本を取ったとは疑われない。
俺はお前達の用意してくれた空間魔法で直接図書室に行き、ここへ帰る。
見事、透明人間の完成ってわけか。」
飲み込みが早くて助かる。
「まさしくその通り。図書室に空間魔法を張ったらピアスで連絡するから待っててくれ。」
俺はそれだけ言ってクロウが作った空間をライアスと潜った。
・
・
・
数日ぶりに城に戻れば目があった全員が頭を下げる。
俺らはそれを素通りした。
「で?どうする?」
「とりあえず空間魔法を」「それはわかってる。喧嘩の理由だ。」
一応は必要だろ?
「何でもいいよ。」
何でもいい、か。
まぁ、俺たちがその辺で喧嘩してても誰も不思議には思わない。
仲が悪いとこんな時役に立つな。
いろいら話しているうちに一瞬で図書室に着いた。
ライアスは禁断の書の近くの本棚に空間を作る。
「クロウ。ライアスがそっちに繋げようとしてる。魔力の切れ端を探して俺の家と繋げてくれ。」
俺はすぐさまピアスで連絡した。
15分あればできるだろう。
その間に俺は喧嘩のシナリオでも考えておくか。
「よし、本はどれだ?」
俺とライアスは驚きを隠せなかった。
王専属の魔法使いでもこの手の魔法は5分は必要なのに。
クロウは一瞬でやってのけた。
「あ…あぁ、この辺りかな。本にかかった魔法を解きつつそこの空間に投げ入れて。必要なものが全て取れたらこの魔法を解除して先に調べていてくれないかな?」
「わかった、お前たち帰りはどうする?」
クロウに空間を作ってもらった方が楽なのは楽だが、誰かに見られたら厄介だな。
「走って帰る。じゃ、俺たちは大喧嘩ショーでもやってくるからこっちは頼んだぞ。」
さて、ショーの始まりだ。
ショーついでにまたライアスをボコボコにしてやるか。
「手加減できなかったらごめんね?」
何を言ってるんだ?コイツは。
「あぁ。俺もお前を殺さないように気をつける。」
楽しいショーになりそうで何よりだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
58
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる