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顎
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sideリラ
ラルフとルシアス様は何か話し込んでる。
あの2人が話しているのを初めて見た。
ルディじゃないから喧嘩にはならないから安心だけど。
「リラ、こんなにも傷だらけになって。」
ライアスが私の両手を優しく取る。
「大丈夫だよ、すぐ」
治るから。
そう言いたかったけど、ライアスに手のひらにキスをされて黙ってしまう。
「/////////」
ライアスは恐ろしい程こういう紳士的な行動が似合う。
王子様の品格はいつになっても失われない。
「治る、なんて言わないでよ。僕からリラにキスする口実を奪わないで?」
ライアスがふと私の後ろに視線を移す。
その瞬間、ライアスの笑みが一瞬にして消えた。
「キス?とんでもない言葉が聞こえたんだが?」
ルシアス様がいつの間にか私の後ろに立っていた。
「まさか俺以外としてないよな?」
後ろからルシアス様の手が回ってきて、顎を掴まれて上をむかされた。
「ルシアス様…/////」
なんかこれ恥ずかしいよ!!
「あぁ、俺とのキスの話でもしてたのか?お前、キス好きだもんな?」
自分の顔が真っ赤になっているのが分かる。
顔が熱い、みんなの前で言わないで。
「だけどこんな人前で盛るな、帰ったらたくさんしてやるから。」
心臓が爆発しそう。
「ルシアス。」
ライアスは私たちに近づいて、私の顎を掴んでいるルシアス様の手を掴んだ。
「女の子の顔をそんなに強く掴んだらいけないよ、大事にする気ある?」
ライアスやめて、ルシアス様を怒らせないで。
私の顎が粉砕される……。
「お前よりはあるから安心しろ。」
何でこの兄弟は口を開けば喧嘩しかしないんだろう。
ライアスも、ルシアス様をからかわなければいいのに。
「安心なんてできないよ、僕のリラがこんな野蛮な男と一つ屋根の下で暮らしているなんてね。」
え??僕の???
それはさすがにルシアス様が怒るんじゃ……
怒ったら私の顎も無事では済まされない!!
「怖くて離婚も切り出せない、そうでしょ?」
ライアスが上をむかされた私の顔を覗き込んだ。
「あ……あ……」
私の顎……もう少し頑張って……
「ねぇ、リラ。早く僕を間男から夫に変えてくれない?」
「嫌だって言ってやれよ。しつこい男は嫌いだ、ってな。」
私が言いたい言葉は、嫌でも嫌いでもない。
「あ………」
「「ん?」」
ルシアス様、お願いです、早く離して。
そしてどうか傷つけないで、私の………
「……顎。」
********************
sideダリア
リラちゃんが兄弟2人から迫られてる。
それはもう慣れたことだから驚かないけど…
「……顎。」
この一言には驚いた。
だって何の脈絡もないし、目は据わっている。
一瞬、また変異途中のリラちゃんに戻ってしまったとすら思ったよ。
「私の………顎、トテモダイジ。」
うん、戻ってるかも。
「アゴ、ホントニダイジ。」
私は隣にいたルディと視線を酌み交わす。
「どうする?」
そんなこと聞かれても……
「どうしよう。」
助けるのは助けるけど、ルシアス様から奪うのは至難の技だしなぁ……
「あぁ、顎は確かに大事だな。ライアスが嫌いだって言ったら顎は無事に返してやる。」
ダメだ、ルシアス様の意地悪スイッチが完全に入ってる。
それに、顎を無事に返すとは……??
「ライアス、キライ。」
リラちゃんは心にもない事を言っている。
ライアス様はその様子を見て笑っていた。
「ふふ…やめなよ、ルシアス。惨めになるだけだよ?顎を人質に取るなんて。」
あれ?
この兄弟、もしかしなくても幼稚かもしれない。
「おいおい、またやってるのか。」
来た!救世主!苦労先生!
「全く馬鹿どもが。今すぐそのくだらない争いをやめろ、先に謝った奴にはリラの小さい頃の似顔絵をやる。」
「ごめんね、ルシアス。」
「悪かった、ライアス。」
私たちが手が出せないほどのくだらない争いは、クロウ先生の登場により収まった。
**********************
sideリラ
いつも、世界が滅びても謝らない2人が私の似顔絵ほしさに秒で、いや瞬で落ちた。
「2人同時だったから、今度適当にどっちがもらうか決めとけよ。それより、ライアス。お前は話があって俺たちを呼びつけたんだろう?」
クロウ先生は争いの火を消してからまた争いの種を蒔いた。
「僕の方が早かったよ。似顔絵は僕がもらうとして、話があるのも事実だからとりあえずみんなリビングに行こうか。」
「俺の方が早かっただろうが、性格どころか耳まで腐ってんのか。」
ライアスがキッチンを出て、ルシアス様がそれについて行き、ダリアちゃんとラルフとルディも安心したようにその後をついていく。
「リラ。」
そんな私に深刻そうな顔でクロウ先生が話しかけてきた。
「はい。」
私の気のせい?
とんでもない事を言われる気がする。
「暇な時に使っていないお前の私物をくれ。今度からアイツらの喧嘩を止める材料にする。」
私の予想は的中。
「いいですけど…喧嘩のたびに私の私物をあげてたら私、無一文になっちゃいます。」
ラルフとルシアス様は何か話し込んでる。
あの2人が話しているのを初めて見た。
ルディじゃないから喧嘩にはならないから安心だけど。
「リラ、こんなにも傷だらけになって。」
ライアスが私の両手を優しく取る。
「大丈夫だよ、すぐ」
治るから。
そう言いたかったけど、ライアスに手のひらにキスをされて黙ってしまう。
「/////////」
ライアスは恐ろしい程こういう紳士的な行動が似合う。
王子様の品格はいつになっても失われない。
「治る、なんて言わないでよ。僕からリラにキスする口実を奪わないで?」
ライアスがふと私の後ろに視線を移す。
その瞬間、ライアスの笑みが一瞬にして消えた。
「キス?とんでもない言葉が聞こえたんだが?」
ルシアス様がいつの間にか私の後ろに立っていた。
「まさか俺以外としてないよな?」
後ろからルシアス様の手が回ってきて、顎を掴まれて上をむかされた。
「ルシアス様…/////」
なんかこれ恥ずかしいよ!!
「あぁ、俺とのキスの話でもしてたのか?お前、キス好きだもんな?」
自分の顔が真っ赤になっているのが分かる。
顔が熱い、みんなの前で言わないで。
「だけどこんな人前で盛るな、帰ったらたくさんしてやるから。」
心臓が爆発しそう。
「ルシアス。」
ライアスは私たちに近づいて、私の顎を掴んでいるルシアス様の手を掴んだ。
「女の子の顔をそんなに強く掴んだらいけないよ、大事にする気ある?」
ライアスやめて、ルシアス様を怒らせないで。
私の顎が粉砕される……。
「お前よりはあるから安心しろ。」
何でこの兄弟は口を開けば喧嘩しかしないんだろう。
ライアスも、ルシアス様をからかわなければいいのに。
「安心なんてできないよ、僕のリラがこんな野蛮な男と一つ屋根の下で暮らしているなんてね。」
え??僕の???
それはさすがにルシアス様が怒るんじゃ……
怒ったら私の顎も無事では済まされない!!
「怖くて離婚も切り出せない、そうでしょ?」
ライアスが上をむかされた私の顔を覗き込んだ。
「あ……あ……」
私の顎……もう少し頑張って……
「ねぇ、リラ。早く僕を間男から夫に変えてくれない?」
「嫌だって言ってやれよ。しつこい男は嫌いだ、ってな。」
私が言いたい言葉は、嫌でも嫌いでもない。
「あ………」
「「ん?」」
ルシアス様、お願いです、早く離して。
そしてどうか傷つけないで、私の………
「……顎。」
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sideダリア
リラちゃんが兄弟2人から迫られてる。
それはもう慣れたことだから驚かないけど…
「……顎。」
この一言には驚いた。
だって何の脈絡もないし、目は据わっている。
一瞬、また変異途中のリラちゃんに戻ってしまったとすら思ったよ。
「私の………顎、トテモダイジ。」
うん、戻ってるかも。
「アゴ、ホントニダイジ。」
私は隣にいたルディと視線を酌み交わす。
「どうする?」
そんなこと聞かれても……
「どうしよう。」
助けるのは助けるけど、ルシアス様から奪うのは至難の技だしなぁ……
「あぁ、顎は確かに大事だな。ライアスが嫌いだって言ったら顎は無事に返してやる。」
ダメだ、ルシアス様の意地悪スイッチが完全に入ってる。
それに、顎を無事に返すとは……??
「ライアス、キライ。」
リラちゃんは心にもない事を言っている。
ライアス様はその様子を見て笑っていた。
「ふふ…やめなよ、ルシアス。惨めになるだけだよ?顎を人質に取るなんて。」
あれ?
この兄弟、もしかしなくても幼稚かもしれない。
「おいおい、またやってるのか。」
来た!救世主!苦労先生!
「全く馬鹿どもが。今すぐそのくだらない争いをやめろ、先に謝った奴にはリラの小さい頃の似顔絵をやる。」
「ごめんね、ルシアス。」
「悪かった、ライアス。」
私たちが手が出せないほどのくだらない争いは、クロウ先生の登場により収まった。
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sideリラ
いつも、世界が滅びても謝らない2人が私の似顔絵ほしさに秒で、いや瞬で落ちた。
「2人同時だったから、今度適当にどっちがもらうか決めとけよ。それより、ライアス。お前は話があって俺たちを呼びつけたんだろう?」
クロウ先生は争いの火を消してからまた争いの種を蒔いた。
「僕の方が早かったよ。似顔絵は僕がもらうとして、話があるのも事実だからとりあえずみんなリビングに行こうか。」
「俺の方が早かっただろうが、性格どころか耳まで腐ってんのか。」
ライアスがキッチンを出て、ルシアス様がそれについて行き、ダリアちゃんとラルフとルディも安心したようにその後をついていく。
「リラ。」
そんな私に深刻そうな顔でクロウ先生が話しかけてきた。
「はい。」
私の気のせい?
とんでもない事を言われる気がする。
「暇な時に使っていないお前の私物をくれ。今度からアイツらの喧嘩を止める材料にする。」
私の予想は的中。
「いいですけど…喧嘩のたびに私の私物をあげてたら私、無一文になっちゃいます。」
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