生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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剥製

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sideリラ


「さて、全員揃ったね。おかしな邪魔が入ったけど本題に入ろうか。」



ライアスの声で全員が話を聞く体勢になった。


それはいいとして私の座る位置が絶対的におかしい。


どうして私がライアスとルシアス様の間??


ライアスは私の右にいて、ルシアス様が左にいる。



 クロウ ルディ ラルフ ダリア  


キジャ    テーブル   ルルド


  ルシアス  私   ライアス



何度考えてもおかしい。


なんか緊張するなぁ…


変なこと言わないように気をつけよう。



「率直に言わせてもらうと、リラを王宮に連れて行きたいんだよね。」



あまりの大胆すぎる意見に、チーム☆ゴーストは固まった。


「「は?」」

「「え?」」



3秒後……

「いやいやいや、それはないでしょ!殺されかけたんだよね?は!?なんで!?」←ルディ

「あんた弟並みにイカれてるぞ、そんなの危ないに決まってるだろ、バカも休み休み言え。」←ラルフ

「私はもうあんなところ嫌だよ!絶対行かない!」←私

「行かせませんよ!絶対!そんな危ないとこ!」←ダリア


チーム☆ゴーストは猛反対。


私は身についたばかりの瞬発力を使って、ライアスとルシアス様の間から飛び上がる。


テーブルの上を全宙して超えて…


「わ!!リラ!!」


ルディの膝の上に避難した。



「リラ、座る場所が違うだろ。今戻れば許してやるぞ?ラルフは後で話がある。」


許されなくてもいい、あそこには行きたくない。



「行きたくありません…!」


私がルディにしがみつくと、ライアスがニコリと笑う。


「まぁ、話くらい聞いてよ。何も、無理矢理連れて行こうってわけじゃないよ。僕にもちゃんと策はある。」




*********************

sideルシアス


ライアスが策があると言った途端、4人は互いの顔を見合っていた。


「第1回!チーム☆ゴースト会議開始!!!」


ルディがいきなりそう叫ぶと4人はいきなり走り出し、窓から庭へ出た。



「「「………」」」


残された俺たちはただその様子を眺めていた。


それよりも俺が気になるのは……


「なぁ、チーム☆ゴーストって何だ?」


このセンスのないチーム名だ。


誰が作ったんだ??


「そのままの意味だ。アイツらと俺のチーム名らしい。」


クロウはこのチーム名に何も言わなかったのか?



「面白いね、逃げても僕らには丸聞こえだっていうのに。」


ライアスは心底楽しそうにチーム☆ゴーストの会議を盗み聞きしていた。



ル「ど、どうする?もう隣国とかに逃げる?」

ラ「いや、この庭を出た途端捕まるだろ。」

ダ「でもこのままじゃリラちゃんが連れていかれちゃうよ!」

リ「ライアスの策ってなんだろう。」


盗み聞きしてみれば全員大混乱だな。


リ「一応策だけ聞いてみない?」

ラ「そうだな、聞いてみてダメそうなら、ルディが1人であの兄弟に特攻する。」

ダ「それいいね!」

リ「ダメだよ!ルディが狼の剥製にされる所は見たくない!」

ダ「大丈夫だって、剥製になったら家具としてずっと一緒にいられるしね、私は絶対家に置かないけど。」

ラ「むしろ剥製になった方がいいんじゃないか?煩くないし、餌代もかからない。ま、俺も置かないけどな。」

リ「え…え?そんなこと言ったら可哀想だよ。ルディの剥製は私が引き取ろうかな。部屋に飾る。」

ラ「リラ、嫌な役を引き受けてくれてありがとう。」

ダ「本当にごめんね、リラちゃん。ちょっとルディ!あんたもお礼言いなさいよ!あんたの剥製家に置いてくれるのリラちゃんくらいだよ!分かってるの!?」

ル「うん!お前ら2人が俺を大事に思っていない事だけはよくわかった!」


一連の流れを聞いた俺たちは肩を震わせて笑っている。


クロウは付けているピアスで会話を聞いているらしい。


「剥製か、作り方はよくわからないけどやってみようかな。」



ライアスの言動が本気か冗談かわからない。


「僕、皮剥は得意だからきっと綺麗にできると思うんだよね。」


あ。これ本気の奴だな。


俺がライアスに呆れていたら子供たち4人は帰ってきた。


ルディとラルフを先頭にしている。


リラはこっちを警戒しているように見えた。


「策を聞きに…きました。」


リラはおずおずと切り出して、ルディの服の裾を少し持つ。


ルディが飛び出さないようにしてやってるんだな。


そんなに警戒しなくても俺は剥製なんかにしないのにな。


な。


「そんなに怯えられたら僕傷つくなぁ…ちゃんと教えてあげるからこっちにおいで。」


**********************

sideリラ

ライアスが私を呼ぶ声に体がピリッと反応する。


またさっきのだ。


ライアスに命令されたわけじゃないのに、どうしてか絶対に逆らえない。


「リラ?」


そんな私の様子がおかしいと感じたルディが気付いて声をかけてくれたけど、私の足は止まらない。



私は言われた通りにライアスの目の前に行った。


「ここに座って?」


今度は例の刺激が来ない。

これは断ろう。



「あぁ、間違えた。」


ライアスは絶対にこの仕組みをわかっていて私をからかってる。



「ここに座って。」


ピリッとまた私の体が支配された。



今の言動でわかったよ。



どんな理屈でそうなっているかはわからないけど、私はライアスにされたら逆らえなくなっている。


私は絆されるようにライアスの膝に座った。
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