生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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懐かしい感覚

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sideルディ


休憩している途中でリラを見た。


そしたらなんとめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ可愛い顔して寝ているではないか。



可愛い、スースー言ってる。


この世の天使?


絶対天使。


「ちょっと、変態!!何リラちゃんの顔凝視してるの!!!」



変態だと!?

この俺が???


「変態はダリアの方だろ!!!一緒にすんなよな!!!」


狼でもないのにダリアはいつも俺に噛みついてくる。


「もちろん一緒じゃないわよ、私は変態じゃないから。」


「俺もだよ!!!」


「二人とも静かにしろ。起こしたら可哀そうだろ。」

「最初に言い出したのはダリアだろ!俺までうるさいみたいに言うなよ!!」


そもそもそんなに声はデカくないし。


「だから両方喧しいんだ、静かにしろ。リラのこともあるが、さっきみたいな巨大な動物に見つかって追いかけられたくないだろ?」


確かにさっきの追いかけっこを思い出すとぞっとする。

さっきは本当にしんどかったからな。


「わかった、静かにするよ。」


不本意だけどな。


「ねぇ、もう日も暮れてきたし今日はここでキャンプしない??」


ダリアが珍しくナイスなアイデアを出した。


「それいいな!!キャンプファイヤーしよう!!」

きっとリラも喜ぶ。


「目立つことは基本するな。見つかったらまずいだろ。キャンプファイヤーは無事に帰れたらする。もちろんクロウさんの家の庭で。」


それは怒られるんじゃないのか…?


「すっごい楽しみ!!!歌って踊って騒ごうよ!!!」


ダリアのはしゃっぎぷりがすごい。


そして、そんなことをしたら怒られるってバカな俺でもわかるぞ。


多分ぶっ飛ばされる。


「そのかわりクロウさんがいいって言ったらな。」


ラルフは条件を付けた。


「いいって言うに決まってるでしょ!ていうか、言わせるし。」


うん、クロウさんに今度ドンマイって言ってあげよう。


「それは任せるとして、焚火は必要だよな。俺らは狼の姿になれば寒さは凌げるが…」


ラルフがダリアとリラを見た。


「私たちは大丈夫だよ、私リラちゃんにくっついて寝るし。」


ん・・・?


今なんて言った・・・?


「リラとくっついて寝るのは俺だけど?」


ダリア何言ってんだ・・・?


「はぁ???大馬鹿ルディ、バカも休み休み言ってくれない?」


何言ってんだ??


「俺、超絶本気だけど?」


俺にはわかる、こんなチャンスは滅多にない。


今ここでダリアに添い寝の権限を取られたらきっと俺は二度とリラと添い寝できない!


「私も本気だけど…?」

 
そうか…


俺もダリアも本気なのか…


それならもう喧嘩して決めるしかない。


この座は絶対に譲れねぇ…


「なぁ、盛り上がってる所悪いけど俺の提案を最後まで聞いてくれ。」


ラルフが俺とダリアの間を割って入る。


今更だけどこんなに騒いでいて起きないリラも最強だ。


「何よ、ラルフ。邪魔しないで。」

「そうだぞ、お前は審判なんだから。」

「誰が審判だ。初耳だ。」


ラルフがため息をついた。


「いいか、よく聞けよ。今下に降りるとさっきのワニに追いかけ回されてまた楽しい追いかけっこをする羽目になる。だけどここは標高も高い、暖は必要だ。だから、俺とルディが狼になってリラとダリアを温めればいい。」



そそそそそそそれはつまり!!!!!!!



「俺とリラが添い寝していいってこと!!?」


そういう事でしょうが!!!!!



「あぁ、そういう事だ。」


ラルフ、お前は話のわかるやつだと思ってたよ!


さすが俺の親友だ。


「やったぁぁぁぁぁ!!!!」


渾身のガッツポーズをしていると、ダリアと目が合った。


その視線の冷たさときたらとんでもない。


「あんた……背中に気をつけなさいよ?」


なるほど、遠回しの殺人宣告だな。

ここで少しでもダリアのことを刺激したら俺はこの崖の上から落とされる、間違いない。


リラとの添い寝が決まった今、大人しくしておくのが大正解だな。


「肝に銘じておきます。」


どうかリラと添い寝するまで殺されませんように!!



********************

sideリラ

「ん………」


なんか暖かい。


そして慣れたこの感覚は何?


目を開けて最初に目に入ったのは大きな狼と夜空。

一瞬びっくりしたけど、その狼がすぐにルディだと気づいた。


さっき感じた慣れた感覚は、ナイトの時に感じたものだ。


ナイト、元気かな。


会いたいなぁ…。


私が少し動くとルディも起きた。


数分寝るつもりが何時間も寝てしまったみたいだね。

ずっと暖かかったのはルディのおかけだ。


「ありがとう、ルディ。」


小声で言うとルディは大きな額を私の額に優しく押し付けた。


「ふふっ…」

シャキン…シャキン…シャキン……



なんだか聞き慣れない音がする。


そう思って振り返ると、ダリアちゃんが殺人鬼のような目をしてナイフを研いでいた。


「ダリアちゃん……?」

私が声をかけるとダリアちゃんはいつもの可愛い笑顔に戻る。


あれ?さっきの顔は気のせいかな?



「あ!おはよう!リラちゃん!」


いつものダリアちゃんだよね…?


「……うん、おはよう。……何してるの??」


こんな夜中にナイフ研いでたら怖いよ?


「明日大型の動物を狩ろうと思って!スパッと切れるようによく研いでるの!」


可愛い笑顔で恐ろしいことを言う。


「そ、そうなんだ!頑張ってね!」

「うん!ありがとう!」


あれ??なんかルディがガタガタ震えてる。


きっと寒いんだね。


もっとくっついて寝てあげよう。
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