生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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洞窟を進む

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sideダリア

「ちょっと!!!また何やってるんですか!!」


リラちゃんがパーになっちゃってる!!


「可哀想じゃないですか!!」


私はライアス様からリラちゃんを奪い取った。


「あんまりですよ!」


リラちゃんは未だに世界の最果てを見ている。


イケメンパワーに充てられて脳が溶けてしまったんだわ。



「リラちゃん、大丈夫?」


一旦ルディの平々凡々な顔を見させて落ち着かせよう。


ルディとラルフの元へリラちゃんを連れて行くと、リラちゃんの痛ましい姿にルディが発狂した。


「いやぁあぁあ!!リラァァァア!!!」


「うるさい、騒ぐな。」



ルディはリラちゃんの両頬をガッチリ掴んだ。


「誰にやられたんだ!こんなパーになっちゃって!!」


ルディにパーと言われたらお終いだよ。


「俺の女がパーなわけないだろうが、そして気安く触るな。」


ルシアス様がすかさず来た。


パーにした原因の一つくせに!


「ルシアス様!リラちゃんに手加減してあげてください!」


俺の女、なんて言ったらリラちゃん喜びすぎて泡吹いちゃうよ。


「これでも十分手加減してやってる。」
「あ!ちょっと!!」


ルシアス様にリラちゃんを奪われた。


「大丈夫だ、心配しなくても心底大事に思ってる。」


その男らしさと潔さに私たち3人はくすぐったくなる。


そんな中でもリラちゃんはルシアス様の腕の中でパッパラパーになっていた。


*******************

sideリラ

ルシアスの一言で私の頭はさらにお花畑になる。


心底大事に思ってる….


私と2人きりの時はあまり言ってくれないのに、どうしてみんなの前で言っちゃうかな。


「俺とライアスとクロウが先頭に行く。陸に上がれといってもどうせ上がらないだろうから、俺たちの後ろをついて来い。絶対に俺たちよりも前に出るなよ?分かったな?」


ルシアスは私たちのしつこさに諦めてついてくることを許してくれた。


「「「はい!!」」」


そんなところもかっこいい。


だって、ルシアスは絶対に守ってくれる。


騎士団の団長だもんね。


まとめるのがうまい。


「お前もだ、分かったか?」


ルシアスに優しく言われて私は不意に上を向いた。


そこにある顔は紛う事なきイケメンイケメンイケメン。


オールバックに濡れた髪に良すぎる顔。


私を殺すには十分すぎる武器だった。


「わわわわわわわわわわわわわわ」


ルシアスがの顔の良さに語彙力が低下して、何も言えない。


そんな私を見てルシアスが声を上げて笑う。


低い声なのに、笑うと子供のような顔になる。


可愛い、かっこいい、好き、大好き。



「本当に飽きないなぁ?俺の妻は。」


これを聞いていた皆々様はもう分かっているよね。



これがトドメだった。


********************

sideクロウ


「ん?リラどうした?」


可哀想に。


リラはトドメを刺された。


「そのまま責任とって抱っこしててやれ。」
  

ルシアスは愉快そうに笑って先へ進んだ。


「全く、さすがだな。ぶっ飛び方が尋常じゃない。」


そんなに堂々と自分のものみたく言うとライアスが黙ってない。


「ライアス、もう子供っぽい喧嘩はやめてくれ。」

俺は先に進みたい。


「あんな戯言に付き合うつもりはないよ。それに、リラは近いうち未亡人になるし、僕の妻になってもらうから何も気にしてない。」


ライアスも涼しい顔をして俺の隣を通り過ぎて行く。


「クロウさん……アイツまさかルシアスを殺す気じゃ…。」


ルディがそっと俺に囁いた。


「あぁ、いつか殺るだろうな。」


今じゃないだけで。


ライアスは虎視眈々とリラを狙っている。


「あの男の性格上、事故に見せかけて完全犯罪にしそうですね。」


ラルフ、人のことをとやかく言える立場か?


お前もその気はあるぞ。


「でも、影のある男ってなんか惹かれちゃうよね。」


俺とルディとラルフは一気にダリアを見た。


「それはそうだがやめておけ。大の大人で男であり、既婚者の俺が断言してやる、ライアスはやめておけ。殺される。」


アイツはリラしか眼中にない。

下手をしたらリラとの仲を邪魔されたと思ってキレる可能性もある。

そんな奴に迂闊に近づくのは危険だ。

絶対殺される。


「そうだぞ、ダリア。お前は確かにゴリラ並みに強いけど、むしろゴリラだけど、ライアス程じゃない。ライアスはゴリラ100頭分に相当する。そんな奴に迂闊にちょっかいかけたら殺されるぞ。」


ルディも心配はしているらしいがかなり失礼だ。


「ヴァンパイアより狼の方が義理人情に厚い。恋人にするなら狼がいいぞ。」


ラルフはサラッと自分のことをゴリ押ししてライアス達について行く。



「え?ちょ、ちょっと!どう言うことそれ!」


ダリアは若干赤くなってラルフの後に続いた。



俺とルディはすぐに顔を見合わせる。


その呆れ顔を見る限り…


「言いたいことはわかる。」


ルディは何年もあの2人を見ているから毎日のように思っている事だろう。


アイツら……


「「はよ付き合え。」」


やっぱりそうだよな。


「2人の親友だろう?背中を押してやれ。」


「崖から突き落とすレベルで押してもアレですね~。」



2人とも頑固なところがあるからな。


「じゃあ時間に解決させよう。俺たちも行くか。前のカップルを邪魔しないようにお前は先生の引率だ。」

「はーい(笑)」
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