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恐怖の巣窟
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sideダリア
「恐怖のお城に到着。」
キジャさんが馬車を止め中にいる私たちに声をかけた。
ルディとラルフが先に出て、ラルフが私の手を取り馬車からおろしてくれる。
ルディはリラちゃんの手を取った。
降りるとそこはお城の目の前。
私たちの目にはものすごく大きな怪物に見える。
「リラ、ダリア、緊張しすぎだ。美人が台無しになるぞ?」
ラルフはどうしてそんなに肝が据わってるの?
「だって、ここ怖い場所だよ?」
みんなが思っているような煌びやかな場所じゃない。
「私なんて何なら死んだ場所。」
リラちゃんはもっと怖いはず。
「リラ、大丈夫だって。第二の人生が始まった場所でもあるだろ?」
ルディのくせにいいこと言うじゃん。
「そうだけど…。……王様が私たちを受け入れてくれないかもしれない、ルシアスを取られるかもしれないし、また逃亡生活になるかも…そしたらみんな離れ離れになるかもしれない」
リラちゃんは思ったよりも不安に駆られていた。
私なんかとは心配の桁が違う。
私は情けないことにそんなリラちゃんになんて声をかけていいかわからなかった。
無責任な事は言えないから。
「リラ、大丈夫。俺らチーム☆ゴーストだよ?」
ルディはリラちゃんの肩をポン!と叩いた。
「知ってるよ。でも今はそんな事関係ないよ。」
リラちゃんはかなりナーバスになってる。
「関係大ありだって。チーム☆ゴーストは戦闘力はめちゃくちゃ高いとは言えないけど、世界一美人なリラと、ポンコツな俺と、頭のいいラルフと、怪力のダリアがいる。
それに、互いのラブパワー全開じゃん。」
ルディがこんな時に緊張感のないことを言う。
何??ラブパワーって。
「ラブパワー??」
ほら、リラちゃんだって動揺してる。
「そう、ラブパワー、愛の力。俺ら家族並みに愛し合ってんだから大丈夫。離れ離れになったって絶対にルームシェアするし、王様に怒られたってリラのためなら世界の果てまで一緒に逃げるよ?」
ルディがいつものアホ面をやめてる。
「ルシアスの野郎に最悪な扱いされたって俺がリラを笑わせてあげる。とりあえず何が言いたいかって言うと」
「え、え!?」
ルディがリラちゃんを子供のように持ち上げた。
「ルディ、下ろして!」
動揺しているリラちゃんはまるで高い高いされている子供だ。
「見える?リラには俺とダリアとラルフがいる。リラは1人じゃないってことだよ。」
リラちゃんが暴れるのをやめて困ったように笑った。
「嫌だな….なんか、感動しちゃったよ。」
その力の抜けたような笑みを見て私も少し安心した。
********************
sideリラ
ルディの見せてくれた景色は私の大好きな友達がいる景色だ。
この景色、どんな絶景よりも価値がある。
「そうだね…私、ルシアスに捨てられたら人生終わりだって思ってたけど、私にはこんなに頼もしい友達がいるんだね。」
たとえ愛した人から愛されなくても、どんなに苦しくて悲しくても、私はひとりぼっちじゃないんだ。
胸に広がる暖かさは私の心の芯を温める。
私が心の底から笑えるようになると、ルディが私を地面に下ろしてくれた。
「ビビってないで頑張ろう、それこそラブパワー全開で。」
ルディが可愛く笑った。
少年なんだよね、ルディは何があっても。
その心の真っ直ぐさは何があっても変わらない。
太陽みたいな男の子だ。
「そのフレーズいいな、気に入った。」
ラルフは珍しくルディの意見に賛成して肩を組む。
「ま、悪くないんじゃない?私のリラちゃんに対するラブパワーが一番強いけどね。」
ダリアちゃんもラルフと同じように私の肩に腕を乗せる。
ドレスを着ていてもお構いなしに私はダリアちゃんと肩を組んだ。
「は!?俺に決まってんじゃん!馬鹿言うなよな!」
「はぁ!?馬鹿はあんたでしょ!?脳天かち割るわよ!」
「ふふっ。」
あぁ、いつもの会話だ。
何気ない会話。
ここがどんなに怖い場所でもルディたちはそのままでいてくれる。
私、こんなに素敵な友達に囲まれているのに何に怖気付いたんだろう。
今更分かんなくなってきた。
「ほら。こいよ。」
ラルフが私とダリアちゃんを呼ぶ。
ダリアちゃんがラルフと肩を組み、私がルディと肩を組んで円陣になった。
互いに気合が入りすぎて…
ガツッ!
「いっ!」ダリア
「いたっ!」私
「いで!」ルディ
「痛っ。」ラルフ
4人で一斉に頭突きをしてしまった。
それがおかしくて私たちは吹き出す、その後優しく頭と頭をくっつけてまた笑った。
「そうそうこれこれ。めっちゃいいチームじゃん、俺ら。」
ルディの優しさに溶かされたようだった。
「そうだね…乗り越えよう、どんなことが起きても。」
私がそう言うと3人は頷いてくれた。
「あのー、すっごい話しかけづらいけど、みーんな待ってるから急ぎなさいねー。」
キジャさんの言葉に私たちはハッとする。
大人組は微笑ましそうに私たちを見ていた。
私たちは気を取り直して大人たちの方へ進む。
情けないことを言うのはもう終わり。
大丈夫、私は1人じゃない。
みんなで行く。
いざ、恐怖の巣窟へ。
「恐怖のお城に到着。」
キジャさんが馬車を止め中にいる私たちに声をかけた。
ルディとラルフが先に出て、ラルフが私の手を取り馬車からおろしてくれる。
ルディはリラちゃんの手を取った。
降りるとそこはお城の目の前。
私たちの目にはものすごく大きな怪物に見える。
「リラ、ダリア、緊張しすぎだ。美人が台無しになるぞ?」
ラルフはどうしてそんなに肝が据わってるの?
「だって、ここ怖い場所だよ?」
みんなが思っているような煌びやかな場所じゃない。
「私なんて何なら死んだ場所。」
リラちゃんはもっと怖いはず。
「リラ、大丈夫だって。第二の人生が始まった場所でもあるだろ?」
ルディのくせにいいこと言うじゃん。
「そうだけど…。……王様が私たちを受け入れてくれないかもしれない、ルシアスを取られるかもしれないし、また逃亡生活になるかも…そしたらみんな離れ離れになるかもしれない」
リラちゃんは思ったよりも不安に駆られていた。
私なんかとは心配の桁が違う。
私は情けないことにそんなリラちゃんになんて声をかけていいかわからなかった。
無責任な事は言えないから。
「リラ、大丈夫。俺らチーム☆ゴーストだよ?」
ルディはリラちゃんの肩をポン!と叩いた。
「知ってるよ。でも今はそんな事関係ないよ。」
リラちゃんはかなりナーバスになってる。
「関係大ありだって。チーム☆ゴーストは戦闘力はめちゃくちゃ高いとは言えないけど、世界一美人なリラと、ポンコツな俺と、頭のいいラルフと、怪力のダリアがいる。
それに、互いのラブパワー全開じゃん。」
ルディがこんな時に緊張感のないことを言う。
何??ラブパワーって。
「ラブパワー??」
ほら、リラちゃんだって動揺してる。
「そう、ラブパワー、愛の力。俺ら家族並みに愛し合ってんだから大丈夫。離れ離れになったって絶対にルームシェアするし、王様に怒られたってリラのためなら世界の果てまで一緒に逃げるよ?」
ルディがいつものアホ面をやめてる。
「ルシアスの野郎に最悪な扱いされたって俺がリラを笑わせてあげる。とりあえず何が言いたいかって言うと」
「え、え!?」
ルディがリラちゃんを子供のように持ち上げた。
「ルディ、下ろして!」
動揺しているリラちゃんはまるで高い高いされている子供だ。
「見える?リラには俺とダリアとラルフがいる。リラは1人じゃないってことだよ。」
リラちゃんが暴れるのをやめて困ったように笑った。
「嫌だな….なんか、感動しちゃったよ。」
その力の抜けたような笑みを見て私も少し安心した。
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sideリラ
ルディの見せてくれた景色は私の大好きな友達がいる景色だ。
この景色、どんな絶景よりも価値がある。
「そうだね…私、ルシアスに捨てられたら人生終わりだって思ってたけど、私にはこんなに頼もしい友達がいるんだね。」
たとえ愛した人から愛されなくても、どんなに苦しくて悲しくても、私はひとりぼっちじゃないんだ。
胸に広がる暖かさは私の心の芯を温める。
私が心の底から笑えるようになると、ルディが私を地面に下ろしてくれた。
「ビビってないで頑張ろう、それこそラブパワー全開で。」
ルディが可愛く笑った。
少年なんだよね、ルディは何があっても。
その心の真っ直ぐさは何があっても変わらない。
太陽みたいな男の子だ。
「そのフレーズいいな、気に入った。」
ラルフは珍しくルディの意見に賛成して肩を組む。
「ま、悪くないんじゃない?私のリラちゃんに対するラブパワーが一番強いけどね。」
ダリアちゃんもラルフと同じように私の肩に腕を乗せる。
ドレスを着ていてもお構いなしに私はダリアちゃんと肩を組んだ。
「は!?俺に決まってんじゃん!馬鹿言うなよな!」
「はぁ!?馬鹿はあんたでしょ!?脳天かち割るわよ!」
「ふふっ。」
あぁ、いつもの会話だ。
何気ない会話。
ここがどんなに怖い場所でもルディたちはそのままでいてくれる。
私、こんなに素敵な友達に囲まれているのに何に怖気付いたんだろう。
今更分かんなくなってきた。
「ほら。こいよ。」
ラルフが私とダリアちゃんを呼ぶ。
ダリアちゃんがラルフと肩を組み、私がルディと肩を組んで円陣になった。
互いに気合が入りすぎて…
ガツッ!
「いっ!」ダリア
「いたっ!」私
「いで!」ルディ
「痛っ。」ラルフ
4人で一斉に頭突きをしてしまった。
それがおかしくて私たちは吹き出す、その後優しく頭と頭をくっつけてまた笑った。
「そうそうこれこれ。めっちゃいいチームじゃん、俺ら。」
ルディの優しさに溶かされたようだった。
「そうだね…乗り越えよう、どんなことが起きても。」
私がそう言うと3人は頷いてくれた。
「あのー、すっごい話しかけづらいけど、みーんな待ってるから急ぎなさいねー。」
キジャさんの言葉に私たちはハッとする。
大人組は微笑ましそうに私たちを見ていた。
私たちは気を取り直して大人たちの方へ進む。
情けないことを言うのはもう終わり。
大丈夫、私は1人じゃない。
みんなで行く。
いざ、恐怖の巣窟へ。
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