生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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魔女の動き

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sideリラ


「っ!!!」


目が覚めたら知らないところにいて…



「え…何?…なにこれ……!!」



私の体は血まみれだった。



自分の血じゃない、誰かの血。


自分の足元を見ると…


「きゃっ!!」


誰かの手が地面から突き出ている。


女の人の手だ。



「何…?…やだ……何なの?…」



これは悪い夢だ。


こんなの現実じゃないよ。



こんなのまるで私が誰かを殺して埋めているみたいじゃない。



早く起きないと、こんな夢から抜け出すんだ。



現実じゃない、悪い夢よ。


私は誰かを殺したりしない、絶対にしてない!!!



****************

sideルシアス



ライアスの様子がおかしかったその日の夜、俺たちはいつものように眠りにつく。



倒れたリラが心配で腕に抱いて眠ったが、珍しく寝つきが悪く夜中に目を覚ました。



嫌な夢を見たから目が覚めたんだ。



リラが消えてしまう夢だった。



少し神経質になりすぎたか?


離れないように腕に抱いて寝たのに、夢では離れていくなんて最悪なことはない。



喉が渇いたから水を飲もう、そんな当たり障りのない考えに自分の部屋を後にした。



ほんの一瞬、リラから目を離しただけだ。



ほんの数分、水を取りに行っただけの時間。



そんなたったの数分で、リラが俺の部屋から消えてしまった。



「リラ?」



夢が現実になったのか?



嫌な汗が流れた。


「リラ!」



少し大きな声を出した。


それくらい焦っていた。



俺の声を聞いて…



「リラがどうしたの。」



雑にシャツを着たライアスが俺の部屋に来た。


「水を取りに行ったらいなくなった。さっきまでそこでスースー寝てたのに。」


どこに行った?



「全員起こして。」



は?



「全員って」
「全員起こして探せ!!早く!!」


いくらリラがいなくなったからと言ってライアスがここまで焦るのは珍しい。



今日のあの時からおかしい。


コイツが森から出てきた時から本当におかしいぞ。


「なぁ、ライアス。待て。」


俺はここから去ろうとするライアスの腕を掴んだ。


「離して、リラのことが先だよ。」



リラのことになると頭に血が昇る癖は良くない。


人のことは言えないけどな。



「お前だけが知る何かがあるなら俺にも教えてくれ。リラに関係があるなら尚更な。」



ライアスが表情を変えることは無い。



俺には何も教える気がないと言うことだ。



「何も知らなくていい。ただリラを大切にして。」


まるでリラを託すような言い方だ。


そんな言い方したことは一度もなかったのに。


「大切にしてるに決まってるだろ。本当に何なんだ?教えろよ。」


ライアスは俺の手を振り払った。


「今は時間がない。」
「待て、ライアス。」



ライアスは俺の言葉を無視して目の前から消えた。


*******************

sideライアス


思ったより動きが早かった。


あの魔女はリラの体で何をするつもりだ?


何にしてもいいことは絶対にない。


それだけは言い切れる。


早く探さないと。



僕が一番に見つけて全てを把握しないとリラは救えない。
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