生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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ライアスとルーカス

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sideダリア


結果は3秒で着いた。


どっちが勝ったって、そりゃもちろん……



「僕の勝ちだね。」


ライアス様。


地面と仲良くハグしている私は何をされたかすら分からなかった。


「待て、まだ俺がいるだろう。」


私の次に名乗りを上げたのはルシアス様。


「ルシアス、着席だ。髪が惜しくないのか?」

「ルシアス、座らなくていいよ。ハゲてくれた方が僕は助かる。」

「俺がハゲる時はお前もハゲになんだよ、表出ろ。」



クロウさんは脅し、ライアス様は煽り、ルシアス様は理性を失っている。



「あの……ライアス様の味方につくわけじゃないですけど、リラちゃんはハゲは嫌いだと思いますよ?」


「リラじゃなくても嫌じゃね?てか若ハゲなら尚更な。」



ルディも私の意見に同調した。


「だいたい、若ハゲは悲惨だ。向こうにはルーカスもいるんだから変なことはしないだろ。いくらライアスでも。」


ラルフもライアス様を生かせる方向で同調する。



「子供に言われてるぞ、ルシアス。大人しく座れ。」


クロウさんにとどめを刺されてかなり不機嫌な様子のルシアス様。


「じゃあ、行ってくるね。」



その真逆でライアス様はご機嫌だ。



誰よりも軽い足取りで図書室を後にした。



*******************

sideルーカス

リラがふわふわした状態が少しマシになってきた。



「ん……なんか熱い……。」



妙に色っぽい。



「水いる?」


もしいるなら水魔法で出してあげよう。



「大丈夫。…ありがとう、ルーカス。」


しんどいのか?



何もできないのがもどかしい。



「リラ。」


意外な声がした。



「ライアス…」


リラもライアスの登場に驚いていた。



「なんでライアスが?」


ルシアスが来ると思っていた…。



「いろいろあってね、僕が毒の継ぎ足し役。」



継ぎ足し役って言っても…


「2人の毒を入れて大丈夫か?」


リラの体が壊れない?



「大丈夫、ヴァンパイアの毒では死なない。」



ライアスはリラに優しく笑いかけた。



「さて、リラ。少し離れたところに行こうか?みんなの前ですることでもないだろうし。」


リラは弱々しく頷いた。



俺は少し危機感を覚える。


「ライアス。」


本当に2人きりにしていいものか。



「大丈夫、僕もすぐ戻らないといけないから。何もしないよ。」



信じていいのか…


「それに、僕はベッドの上以外でリラを抱く気はない。」



聞いてもない事を言われ、俺は少し動揺した。


「早く行けよ。」


そんな話、俺はどう反応したらいいかわからない。



そんな俺を見てライアスは面白いのか少し笑っていた。



******************

sideライアス

「っ……。」


笑いが堪えられない。


少しルーカスをからかいすぎたかな。


「ライアス…ダメだよ。ルーカスをいじめないで…。」


抱き上げたリラにも怒られてしまった。


「ごめんね、許して?」


リラに怒られるのは嫌だからね。



「ん……。」


体中がくすぐったいんだろうね。



反応が可愛い。



「大丈夫だよ、すぐ何も分からなくなる。」



僕の毒でね。


「ルシアスは怒ってない?」



ここで嘘をつくのは良くないよね。


「すごく怒ってたよ。」


僕の答えにリラは笑った。



「だけど、僕は遠慮なんかしないよ。思い切り噛ませてもらうね。」



ライアスの牙か…。


いつ振りだろう。




「痛くしないでね…?」



可愛い事を言ってくれる。


それこそ、魔が差しそうなほど。



「どうかな…、理性を失ったらごめんね?」


ねぇ、どんな顔するの?


僕の意地悪を聞いてどんな顔してくれる?



「意地悪…。」


可愛い、拗ねちゃった。



でも嬉しいな。



もう少し、リラを独占できる。
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