生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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届いたエール

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sideリラ



「よし!!リラー!!!!頑張れ!!!!俺が!俺らがずっと一緒にいるからな!!1人じゃないぞ!!!!
俺らが絶対その魔女後で八つ裂きにするから!
それまでもう少しだけ頑張れ!!!!」

「絶対に見捨てないからな!!」




苦痛に悶えている中、ルディの声が届いた。


これは幻聴だろうか。



私が、耐え難い苦痛に抗うために作り出した妄想?


  
タランテラは私をひたすら拷問する。


けど……



「っ!!!」


私の関節は彼女の思い通りにはならなくなってきた。


強い圧迫感がある。



私は守られてる。


一人で戦っているわけじゃない。



「小賢しい害獣どもが!!!」



タランテラがついに怒りを露わにした。


思うように私を痛めつけられなくて悔しいみたい。


こうして見ていると、私以外の仲間がどれほどタランテラを手こずらせているのかがよくわかる。



いい気味ね。



この人は孤独だ。


この人の周りには誰もいない。



「一人ぼっちで、寂しい女…本当に可哀想。」


私が嘲笑混じりに言うと、タランテラの顔は悪魔のような顔になる。



「小娘が!!!一人では何もできない欠陥品が!!!お前は器でしかない!!ただの入れ物よ!!!
器の分際で私にそんな目を向けるな!!!!」



バキッ!!!



拳で思い切り殴られた。


相当な衝撃で脳が揺れる。


普通ならこれは気絶しているくらいの勢いだけど、ここは私の精神の中。


どんなに痛めつけられても気絶なんて概念はない。



「っ!!!!」


私の顔に大きな切り傷が入った。


ナイフなんて使われてない。


怖い魔女の魔法だ。



「あんたなんかに私の魂はあげない!!」


私は待ってくれている人がいるの。


愛している人もいるの。


ここで負けてはいけない理由がある。



「私は絶対に負けないから!!!」


これはその意思表示みたいなもの。



「っ!!!」
「ぎゃっ!!!」



私はタランテラの顔に拳をねじ込んだ。


タランテラは吹っ飛んで這いつくばると私を下から睨みつける。



「次は私の番。嫌なら私の中から出て行って。」



拳を鳴らし、タランテラを踏ん付ける。



「私の仕返しは怖いよ?」



覚悟してよね、邪悪な魔女。



********************

sideライアス


リラの容体が落ち着いた。



束の間の急速に緊張が解れる。


「ねぇ…。」


そして僕は思いついた。


「リラの記憶を見てみようか。」


僕の提案にルシアス以外がポカンとした。


「は?何で??てかどうやって?」



もちろん、1番ポカンとしているのはルディ。


「僕、人の記憶を見る能力があるんだよね。」


ルシアス以外にいうのは初めてかな。


「え。人の記憶見れるのに、今まで捕まえたやつわざわざ拷問して情報吐かせてたの?
趣味悪くね?人格を疑うわ。」


ルディは今までの僕の行動を思い出し怪訝そうに言う。



しかし、散々な言われようだね。



「もちろん、読みにくい人もいるからね。警戒心が強かったりしたら特に。
だから昏睡状態にしてたんだけど…。」


やめようか。


ルディがもっと僕を怖がった。



「まぁ、とにかく。今リラはあの魔女の相手でいっぱいいっぱいでしょ?
おそらく、僕の侵入も簡単に許す。
だからつい数秒前の記憶を見れば今どんな状態か分かるってこと。」



僕はリラが今どんな状況か把握したい。



「できることは何でもすればいい。今すぐやってくれ。」


ルシアスもこう言っているし、反対する人はいなさそうだね。



「じゃあ遠慮なく。」



今のリラを見させてもらうよ。
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