生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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語りかける声

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sideライアス



ーリラ……ー



リラの名を心の中で呼んでみる。


やっぱり答えてくれない。



ーリラー


それでも僕は呼び続けた。



ーリラ、僕の声に応えて。ー



リラの声が聞きたい。



ーリラー



僕の声を辿れば自然と会話はできるはずなんだけど。


やっぱりリラには少し難しかったかな?



*******************


sideリラ


タランテラは…



「っ!!この小娘が!!!」


血まみれで歩けなくなった私を引き摺り回す。


髪の毛を掴まれているからすごく痛い。


手も足も出ないとはこのこと。



この人は強い。



少しでも攻撃が入ったのが奇跡だ。




ー……ー



あれ?



何かざわついた気がする。



なんだろう。



ー…ラー



やっぱりそうだ。


朦朧とする意識の中で何か聞こえてくる。



ーリラ。ー



!!!!



はっきりと聞こえた!


これはライアスの声だ!!



「ライアス…!」


絶対に聞こえた!



「ライアス…!!!」


近くにいる!


「黙れ!!!!」


魔女は発狂してもっと私の髪の毛を強く掴みあげた。



「っ!!離してよ!!!」


私は子供のように怒鳴り散らした。



「早く私の中から出て行って!!いい加減目障りなのよ!!!」



体中は痛いし、髪は掴み上げられているし、こんな扱いを受ける理由が分からない。



「それなら魂を明け渡せばいい、何も感じなくなる。」


タランテラは意地悪く笑った。


「誰があんたなんかに!!」
バシッ!!!



痛い、口の中が切れた。


もう嫌になってくる。


泣きそう……。



「黙りなさい!!ギャーギャー猿のように騒いで喧しい!!耳障りで目障りなのはお前だ!!!!」


金切声を上げられて私は少しだけ怯む。


だけど…



「ふふっ……」

「何がおかしい!!小娘!!」



笑いが込み上げてきた。



こんなに、我を失って私を怒鳴りつけるなんて…



「余裕がないわね…可哀想に。」



私が魂を明け渡さないことに苛立って冷静さを欠いている。



「もう諦めなよ、あんたは絶対に勝てない。」


バキッ!!!



殴られたけど、私は泣かなかった。



口より先に手が出るなんて、図星だと認めているようなもの。



「ねぇ、死ぬのって怖い?」


口から血を垂れ流す私はきっと化け物に違いない。



「ずっと、ずっと、人の体を借りてまで生きてきたんだもんね…怖くて仕方ないんでしょう?」

バキッ!!!



頬骨にヒビが入った。


かなり痛い。


私の顔こそ化け物と言える。



「息ができなくなる瞬間は苦しいよ?私は一度あなたの駒に殺されてるから、よーくわかる。
死ぬときはね、本当に体が冷たくなる。
今からちゃんと頭の中に入れておいた方がいい。
泣き喚いて死ぬのは嫌でしょ?
うぐっ!!!!」



細い指が首に食い込んできた。


「黙っていればベラベラと!!」



ギチギチと首の骨が嫌な音を立てた。


「っ!ぐっっ!」
ピキッ!!



あぁ、これはまずい。


首の骨を折られる!!!!
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