生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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劇の終幕

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sideリラ


「お前いい加減にしろよ!!」
「きゃっ!!!」



ルディはすぐにダリアちゃんに飛びついた。



「リラ!早く逃げろ!!」


ルディの声が地下に響いた。


「退いて!!!」
「ダリア!!!リラは殺させないからな!!」


かなり真剣に揉み合っている二人。



「退けって言ってるの!!」
「ぐはっ!!!」



ルディは豪快なまでにダリアちゃんに吹っ飛ばされた。



ドン!!


ルディが岩壁に食い込んでる……大丈夫かな…?


「ルディ、うっ!!!」


心配も束の間、私はダリアちゃんに髪を掴まれた。


「リラ……逃げろ…!!」

「きゃっ!」


ガシャン!!!



私は引きずられ、魔女の折に顔面を押し付けられた。


鉄の棒にぶつかった衝撃で額から血が垂れる。



その血は一滴だけ床に垂れた。



その血を喉から手が欲しそうに見つめている魔女。



どれだけ私の血に魅了されているんだろう。


「後悔しなさい!!みんな殺してやるんだから!!」


ダリアちゃんが再び私の喉に刃を当てた。


ピシッ!!


肌が切れる音と、血管が切れるこの感じ。


鳥肌が立つような痛み、私はこの痛みを知ってる。


死ぬ寸前の痛みだ。



「やめろ!!」


それは魔女にも伝わったみたいで、かなり焦っている。


「あの男にその小娘の血を飲ませろ!禁断の果実の血だけが癒せる!」


「それだけじゃライアス様は救えない!!あの木の老人、アイツの呪いを解かないとライアス様は殺されるの!
どうやって呪いを解けばいい?」



ここぞとばかりにダリアちゃんは魔女を追い詰めた。


「ひっ!!」


ナイフは容赦なく私の喉に突き刺さる。



「やめろ!!私の血を使えば呪いは解ける!!」


それを聞いた瞬間、ダリアちゃんが私を離した。


「リラちゃん!早く飲んで!!」



そして、私の胸元に入っていた薬を取り出して私に飲ませてくれた。



「げほっ…」


こんな事を思ってはいけないんだろうけど、この薬相当まずい。



「小娘どもが…っ」


この様子を見て魔女が怒らないわけない。



「あんたも案外バカね。」



ダリアちゃんがトドメの一言をくれてやった。



「まぁいい……ここから解放されたその時はまずお前から殺してやろう、小娘。」



ダリアちゃんが目をつけられてしまった。



あまり嬉しい事じゃない。



「言ってなさいよ、年増!」


ダリアちゃんは私を起き上がらせてくれた。


薬の効果は絶大で、傷はほぼ完治している。



「行こう。ルディも、あんたいつまでそこにいるの?」


ダリアちゃんは呆れたように、壁に埋まったルディに話しかける。



「うるせぇ、足が抜けねぇんだよ。」



かなり派手に食い込んだから仕方のない事だ。



「全く、本当に世話の焼ける駄犬ね。」


文句を言いつつ、ダリアちゃんはルディを引っ張り出す。



「お前たち!!この私をコケにしてタダで済むと思うな!!必ず報いは受けさせる!!覚悟しておけ!!」



魔女の呪いのような言葉が響き渡った。



私たちはそれを無視して、この不気味な地下牢を後にした。
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