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第11話 何で妹じゃなくて兄の俺がストーカーに遭うとかありえない!
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俺とすみれ、竹中は高校の食堂で昼食を取っていた。実は今日2人に聞いてもらいたい事があり、食堂に呼んだのだ。
「兄貴がストーカーに遭ってる? ちょっと妄想もそこまでいくと怖いわね」
すみれは食べていたランチの魚のフライを食べるのを一旦止める。
最近俺は誰かにストーカーに遭っていると、2人に相談したのだが、真っ先にすみれに失笑された。「馬鹿も大概にしてほしいわね」と、言わんばかりに胡乱気味にこっちを見てくる。何もそんな被害妄想って決めつけてほしくないものだ。
そりゃすみれや竹中ならともかく、俺がそんな目に遭う事などまるで予想がつかないっての。俺は超が付くイケメンでもない。どこにでもいる普通の高校生だからな。
「それってもしかしたら、赤坂君不良に目を付けられたんじゃないの。あー怖い怖い」
他人事の様に竹中は自分のカレーうどんを啜っている。カレーうどんを食べ慣れているのだろう、まったく汁が飛び散っていない。こいつは確か毎日カレーうどんばかり食べていたよな。よく飽きないもんだと感心すらする。
「あのなぁ~、お前ら面白半分で聞いているんだろうが、こっちは真面目に困ってるんだよ」
「じゃあ、具体的な被害とかあるの?」
すみれに聞かれて俺は制服のポケットから5通のピンク色の手紙を取り出し、テーブルに載せた。
「俺の下駄箱に入っていたんだよ。ほら、これだよ」
「ふぅ~ん。下駄箱って事はうちの学校の生徒ね。兄貴の知り合いとか?」
「そんなわけあるか」
俺の知り合いにそんな危険な女性はいない。まぁ、いない、多分。
すみれと竹中が手紙を取って中身を確認する。その内容はまるで、新聞記事の切り抜きを集めた、テンプレの犯罪予告みたいな字で『イツモミテマス』とか、『ダイファンデス』、『オウエンシテマス』、『スキデス』、『ホカノオンナノコハダレデスカ』と書かれていた。
これを見て2人は突然笑い出した。
「あはははっ! もう痛烈なラブレターじゃん。良かったじゃん、兄貴。きっと相当好かれてるわね」
「しかし、最後の文章は私たちの事に対して嫉妬してるのかな。案外とっても乙女で可愛い子かも知れないよ」
2人は明らかにこれをメシのネタにしている。しかし、実際の所この手紙と、たまに後をつけられているっぽい気配だけで、後は何もない。嫌がらせ電話や家に来たりとか、そこまではさすがに今はないが。しかし今後どうなるかは俺にも予想がつかない。強硬手段で怖い事をしてこないとは、絶対無いとは言えんからな。
「じゃあ、放っておけって言うのかよ。しかしなぁ……。2人に何か迷惑がかかる可能性もあるかも知れないし。最後の手紙は多分お前らの事だぞ」
男の俺は1人でも対処出来ると思うが、2人は女性だ。もしもの事があったらさすがに困る。相手が絶対に2人に何もしないとは否定できないと思う。
「赤坂君が私とすみれの事そんなに心配してくれてるの……。やだぁ、照れちゃう私」
竹中が身体をくねくねして、恥ずかしがっている。
「このシスコン、気持ち悪いわよ」
「シスコン言うな!」
妹よ、心配しているんだから、ここでそんな事堂々と言わないでおくれ。そしてそんな汚物を見る目で見ないでほしいのだがな。周にはそれなりの生徒が食堂で食事しているのだから。しかもちらちら見られてるから。
「もー、そんな気になるなら、そのストーカーもどきをとっ捕まえれば早いじゃん!」
「おっ、捕まえちゃう? その子を捕まえちゃう?」
「おい捕まえるにしたって、どんな方法で捕まえるんだよ?」
俺がすみれに聞くと、やれやれと言わんばかりにため息を吐く。そしてさも当たり前のように、その方法を口にした。
「本当にこの子が兄貴の事が好きなら、かなり気持ち悪いけど、私と兄貴で恋人同士のふりであそこに入ろうとすれば、すぐその姿を現すわ。これならさすがに鬼の形相で出てくるわよ、きっと」
むふふと含み笑いしている。
「なんだよ、そのあそこに入るのを見せつけるって?」
俺はすみれの意図が分からず、首を傾げる。しかし竹中はピンと来たらしく、
「なるほど。私がそこで姿を現したストーカーをぱくっと捕まえると」
「さっすが朱里。私達がデートをして、その後あそこに行く。それならストーカーもどきなら出ざるを得ないはずだわ」
さっきから2人で話を進めて、こっちはさっぱり話が見えない。一体どうして俺とすみれが恋人同士のふりをしたら、犯人が出てくるんだよ。デートをして、炙り出す。あり得ない話じゃないが、そう簡単に出てくるだろうか?
「結局そのあそこってどこだよ?」
俺が苛立って聞くと、
「ホテルに決まってるじゃん。あ、ビジネスの方だからね」
我が妹はそう言った。あー、何だ、もっと変なホテルかと思って心配して損したな。
「兄貴がストーカーに遭ってる? ちょっと妄想もそこまでいくと怖いわね」
すみれは食べていたランチの魚のフライを食べるのを一旦止める。
最近俺は誰かにストーカーに遭っていると、2人に相談したのだが、真っ先にすみれに失笑された。「馬鹿も大概にしてほしいわね」と、言わんばかりに胡乱気味にこっちを見てくる。何もそんな被害妄想って決めつけてほしくないものだ。
そりゃすみれや竹中ならともかく、俺がそんな目に遭う事などまるで予想がつかないっての。俺は超が付くイケメンでもない。どこにでもいる普通の高校生だからな。
「それってもしかしたら、赤坂君不良に目を付けられたんじゃないの。あー怖い怖い」
他人事の様に竹中は自分のカレーうどんを啜っている。カレーうどんを食べ慣れているのだろう、まったく汁が飛び散っていない。こいつは確か毎日カレーうどんばかり食べていたよな。よく飽きないもんだと感心すらする。
「あのなぁ~、お前ら面白半分で聞いているんだろうが、こっちは真面目に困ってるんだよ」
「じゃあ、具体的な被害とかあるの?」
すみれに聞かれて俺は制服のポケットから5通のピンク色の手紙を取り出し、テーブルに載せた。
「俺の下駄箱に入っていたんだよ。ほら、これだよ」
「ふぅ~ん。下駄箱って事はうちの学校の生徒ね。兄貴の知り合いとか?」
「そんなわけあるか」
俺の知り合いにそんな危険な女性はいない。まぁ、いない、多分。
すみれと竹中が手紙を取って中身を確認する。その内容はまるで、新聞記事の切り抜きを集めた、テンプレの犯罪予告みたいな字で『イツモミテマス』とか、『ダイファンデス』、『オウエンシテマス』、『スキデス』、『ホカノオンナノコハダレデスカ』と書かれていた。
これを見て2人は突然笑い出した。
「あはははっ! もう痛烈なラブレターじゃん。良かったじゃん、兄貴。きっと相当好かれてるわね」
「しかし、最後の文章は私たちの事に対して嫉妬してるのかな。案外とっても乙女で可愛い子かも知れないよ」
2人は明らかにこれをメシのネタにしている。しかし、実際の所この手紙と、たまに後をつけられているっぽい気配だけで、後は何もない。嫌がらせ電話や家に来たりとか、そこまではさすがに今はないが。しかし今後どうなるかは俺にも予想がつかない。強硬手段で怖い事をしてこないとは、絶対無いとは言えんからな。
「じゃあ、放っておけって言うのかよ。しかしなぁ……。2人に何か迷惑がかかる可能性もあるかも知れないし。最後の手紙は多分お前らの事だぞ」
男の俺は1人でも対処出来ると思うが、2人は女性だ。もしもの事があったらさすがに困る。相手が絶対に2人に何もしないとは否定できないと思う。
「赤坂君が私とすみれの事そんなに心配してくれてるの……。やだぁ、照れちゃう私」
竹中が身体をくねくねして、恥ずかしがっている。
「このシスコン、気持ち悪いわよ」
「シスコン言うな!」
妹よ、心配しているんだから、ここでそんな事堂々と言わないでおくれ。そしてそんな汚物を見る目で見ないでほしいのだがな。周にはそれなりの生徒が食堂で食事しているのだから。しかもちらちら見られてるから。
「もー、そんな気になるなら、そのストーカーもどきをとっ捕まえれば早いじゃん!」
「おっ、捕まえちゃう? その子を捕まえちゃう?」
「おい捕まえるにしたって、どんな方法で捕まえるんだよ?」
俺がすみれに聞くと、やれやれと言わんばかりにため息を吐く。そしてさも当たり前のように、その方法を口にした。
「本当にこの子が兄貴の事が好きなら、かなり気持ち悪いけど、私と兄貴で恋人同士のふりであそこに入ろうとすれば、すぐその姿を現すわ。これならさすがに鬼の形相で出てくるわよ、きっと」
むふふと含み笑いしている。
「なんだよ、そのあそこに入るのを見せつけるって?」
俺はすみれの意図が分からず、首を傾げる。しかし竹中はピンと来たらしく、
「なるほど。私がそこで姿を現したストーカーをぱくっと捕まえると」
「さっすが朱里。私達がデートをして、その後あそこに行く。それならストーカーもどきなら出ざるを得ないはずだわ」
さっきから2人で話を進めて、こっちはさっぱり話が見えない。一体どうして俺とすみれが恋人同士のふりをしたら、犯人が出てくるんだよ。デートをして、炙り出す。あり得ない話じゃないが、そう簡単に出てくるだろうか?
「結局そのあそこってどこだよ?」
俺が苛立って聞くと、
「ホテルに決まってるじゃん。あ、ビジネスの方だからね」
我が妹はそう言った。あー、何だ、もっと変なホテルかと思って心配して損したな。
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