生意気な妹がVTuber活動をやってるなんて、冗談だと言ってほしい!

あすぴりん

文字の大きさ
39 / 44

第39話 旅行先で実況動画を撮ろう!

しおりを挟む
 早朝の小鳥のさえずりで俺は目が覚めた。昨日はビーチに着いて早々海で遊び、夜は花火で随分とはしゃいでしまったな。さすがに少し疲れたが、ベッドが気持ちよくて、良く眠れた気がする。今何時だろうか?

 時間を確認するためテーブルに置いておいたスマホを取ろうと思い、動こうとしたその時何か違和感を覚えた。布団の中で何かもぞもぞ動く物体がある。とても温かくて手を入れると柔らかい感触を感じる。

「えっ、もしかして」

 布団を捲り上げると、俺の布団の中にパジャマ姿の彩夏ちゃんが、さも当たり前の様に潜りこんで寝ているではないか。

「彩夏ちゃんどうしてここに!?」

 俺の声でむにゃむにゃと目を擦りながら、

「あ、渉さん、おはようございますの~。ふぁー……」

 まだ寝ぼけまなこで、小さなあくびをしながらもっさりと起き上ってくる。どうやら夜中の内にこの部屋に侵入していたらしい。これは天然なのか、わざとなのかはさっぱり分からないけど、とにかくここから出て行ってもらわないと。誰かにでも見られたら面倒くさい事になる。

「わたくしいつの間に渉さんの部屋に来たのですの? もしかして渉さんがわたくしを連れ込んで……?」
「変な誤解を招く事を言わないでくれるかな。彩夏ちゃんが知らない間にいたんだけど。とにかく上野さんのいる部屋に戻って!」

 俺は着替えもしたいので、さっさと出て行ってもらいたいのだが。

「すぅ……、すぅ……」
「って言うそばから寝るなー!」





 あれから俺はベッドで未だに起きぬお姫様を起こすために一階に下りて、朝食の支度をしてくれていた上野さんを呼び、彩夏ちゃんを引き取ってもらった。

「申し訳ございません。彩夏お嬢様が粗相をしてしまい、メイドである私の監督不届きでございました」
「いやいや、上野さんのせいじゃないって。それより今日の朝ごはん美味しいですよ」
「遠慮せずじゃんじゃん食べて下さいね」

 俺は用意して頂いたトースト、スクランブルエッグ、サラダにオレンジジュースがテーブルに並んでいる。朝からこれら全部を食べるにはちょっと胃もたれが起きそうだが、どれも手作りで美味しそうな匂いで食欲が湧いてくる。早速フォークとスプーンを片手に食べていく。

 どうにか完食し終えた頃に彩夏ちゃんもリビングにやって来た。すみれと竹中はその間ずっとスマホで何かのゲームで対戦をしている。どうやらとっくに起きて朝食を食べ終えていたらしい。

「ねぇ彩夏たんに、すみれ。今日は何して過ごそっか。また海に行く?」
「海は昨日たくさん遊びましたから、今日は別の事をしたいですの」
「そうねぇ。さすがにまた海は日焼けしちゃうし、どうしよっかー。どこか観光でもする?」

 3人は既に今日は何をして過ごそうか話している。よくもまぁ昨日あんなにはしゃいで、今日もまた遊ぶ事を考えられるものだ。自分で食べた食器とコップを片付けながら思う。しかし観光か。さすがに今日はゆっくりしたいと思うんだがなぁ。

 ぼんやりとそう思っていると、上野さんが全員に話しかけてきた。

「皆様、良かったら私の提案を聞いてもらってよろしいでしょうか?」

 その言葉に全員が上野さんの方を向く。一体どうしたのだろうか。さっきの話を聞いて、お勧めの観光地を教えてくれるかも知れないな。それくらいの下調べなら、この人は朝飯前だろう。

「観光もよろしいと思いますが、皆様はVTuberですよね。ですから今日は実況動画を撮ってみてはいかがでしょうか?」

 いきなり右斜め上の、突拍子もない事を言い出した。

「実況動画ですの?」
「でもパソコンやマイク、ゲーム機、諸々の機材や設定。それがないと出来ないと思いますが……」

 確かにそうだ。当たり前すぎるが、どうしてそんな事を上野さんは言っているのだろうか?

「もちろん私も重々承知です。ですから皆様私に付いて来て下さい」

 全員が疑問に思いながら俺達は上野さんに言われるがまま、2階の誰も使ってない角部屋に到着した。確かこの部屋は最初に来た時はベッドもなく、ただの空き部屋のような部屋だったはず。こんな所に来て何があるのだろうか?

「どうぞ中に入って確認して見て下さい」

 言われるがままドアを開けてみた。すると最初に入った何もない空き部屋だったのが、うって変わってゲーム実況をするためみたいな部屋へと、様変わりしていたのだ。

 デスクに椅子、パソコン、マイク、などなど……。それぞれ自分のスマホがあればアカウントIDとアバターデータがあるので、今すぐにでも実況が撮れる。ただゲーム機とソフトはさすがになかったので、その実況動画は取れない。ただ、いくらでも他の企画を考えれば良いだけの話だ。

「わぁっ。凄い機材が全部揃ってるよ。もしかしてこれを、上野さんが1人で準備したんですか?」
「ほへ~。昨日私達が遊んでいる間に、こんな短時間でセッティングとか上野さんすごっ」

 すみれと竹中が感心してパソコンを立ち上げる。中のソフトもすぐに使えるようにセッティングされており、本当に今からでも収録出来るみたいだった。

「あの、わたくし何か実況を撮りたいですの」
「そうね。でも急にやるとしても。PCゲーム専用サイトで何かDLしてやるしかないかな」
「そうだねぇ。どうしよっか」

 全員でいざ企画を考えるが、なかなか決まらない。

 そういえば、少し前に流行ったサイトがあったのを俺は思い出した。

「俺は今日参加しないけど。何か撮るなら、あれやってみたらどうだ。オンラインクレーンゲーム、『トレール』とか」

 その名前を聞いて3人がこっちを振り返る。

「それ良いね!」

 竹中が目を光らして自分のスマホを弄る。素早くアカウントと携帯決済でポイントを購入したみたいだ。何と行動の早いやつ。

「じゃあ、今日は3人でそれぞれ『トレール』で欲しい物を取まくる動画を撮るわよ」
「わたくしが全ての商品を狩りつくして差し上げますの!」

 そう言う事で急遽2日目は、3人で実況を撮っていく事へとなり、それぞれ共同で動画を撮り始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! *全28話完結 *辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 *他誌にも掲載中です。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...