目が覚めたらそこは未来

美和

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国のモルモット

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全ての記憶が戻った。独房でファイルの全てに目を通す時間は十分にあった。

そう、僕の最期は死にたくなかった。殺されたんだ。

怒りが込み上げる。まだ生きたかった。それは勝手な事かもしれない。契約をしてしまった以上、相手は国。どうすれば良いのかも分からない。

再び、足音が聞こえる。複数人の足音が。

「さて、今から君の話を聞かせてもらおう。正常に脳が動作しているのか確認したいからね」

白衣の男はニヤニヤしながら言った。後ろには銃を構えた男が二人配置されていた。

言う通りにして、取調室で様々な質問を受ける。常に銃を向けられているため、変な汗が止まらない。

「どうやら、正常に蘇生できているようだね。西山アキラ君。いや、これからはNo.21が君の名前だ」

「国がこんな事をして許されると思っているのか!?訴えるからな!!日本では許されない事だろ!」

僕は最後に怒りをぶつけた。ぶつけられた本人、そして銃を向けている二人まで笑っている。

「あー、そうだね。君は何も知らない」

「何が言いたい!?早くここから出せよ!」

「ここは日本じゃない。もう日本はないんだよ」

意味が理解できなかった。じゃあ僕は今、どこにいるんだろうか。

「今はね、大和(ヤマト)と言う国なんだよ。法律も変わっているからね。訴えてごらんよ?」

話についていけない。白衣の男は何を言っているんだ。国名が変わろうと日本であった事は間違いない…法律が変わっても人権は…?

自分が今を知らない。無知な事に気がつく。しかし、この白衣の男の言葉、意図が分からない。

「そこまで元気なら、独房じゃなくてもいいね。次の部屋で色々と教えてもらいなよ。仲間がたくさんいるよ」

嬉しそうに白衣の男は話す。そして、僕は新しい部屋に案内される。

そこは、独房の方がマシだと思える様な部屋だった。

血が乾いた後だろうか。壁や床に染みがある。独特の臭いもする。

ただ広いだけ。ベッドすらない。あるのは、やはり簡易トイレだけ。

僕は部屋の中に座り込んだ。正にモルモット。まともな環境すら与えらない。それがこの時代の当たり前なのだろうか。
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