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124.このままキス出来たらどんなにいいか…。◆
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◆◆◆
川で冒険者に回復魔法をかけて以来、私は暇な時を見つけては路地裏や危ないところなどは除いた町の表側をルーカスと徘徊して回復魔法が必要な人に無償で回復魔法を施していった。
魔法を掛ける条件は一つ、治したことを言わない事。バレたら面倒な事になりそうなのは目に見えている。
条件を蹴る人はおらず、私は水面下で治療を続けていった。
2ヶ月が過ぎようとしたある日の朝。
私の顔を見るなり不機嫌に顔を歪ませた神父に嫌な予感を抱いてしまった。
だが、祈りの時間も治療の時間も何も言われず、私を見るときだけ顔を歪ませていただけだったため、治療が終わる頃にはすっかりそんなことも忘れていた。
「ロティ、こちらに来なさい。」
「…?はい?」
最後の治療者が帰り私とルーカスも孤児院に戻ろうとした時、神父は無表情で私を呼び寄せた。
なんだろうと思いつつ、私は神父の前に近寄ると椅子から立ち上がった神父が私の目の前に立った。
私の前に聳え立つとかなり大きく見えるなとど、余計なことを考えていると、突然神父が手を振りかざしてきたのだ。
バシッ!!!ドダンッ!
乾いた音に倒れる音。
神父の大きな体から繰り出された手を食らえばその小さな体は衝撃と共に倒れるに決まってる。
だがそれを食らうのは私であったはずなのに、今床に倒れているのはルーカスの方だ。
ルーカスは咄嗟に私を押し除け自分の体を前に出すと、神父の一撃をモロに食らってしまった。
床に倒れたルーカスはすぐに起き上がり、口からプッと血混じりの唾を吐くとすぐに私の前に出てきて私を守るように神父に立ち塞がった。
ルーカスが叩かれた頬を見て真っ赤になっているのに血の気がサッと引いてしまう。
「ルーカス!?大丈夫っ!?なにするの!?」
「ッチ、ロティを狙ったんだがな。飛び出して来たそいつが悪いだろう。
それよりも…勝手に外で回復魔法を使ったな…。」
叩かれた事を悪びれる様子もなく、舌打ちをしながら私を問い詰める神父。
ルーカスが代わりに叩かれてしまった事が悲しくて涙が出そうになる。
「いけない事なの…!?」
「お前は教会のみで魔法を使え。」
「怪我や病気の人が町にもいるのに!?なんのための回復魔法なの!?」
「そいつらがいたら言えばいい。
教会に来れば治療すると、金になるものをタダで振り撒くな…!他の孤児にもそこの奴にも恩恵がいかなくなるからな!従わないのなら強行手段をとるぞ…!」
神父の睨みと脅しに私は涙目で怯えてしまったが、ルーカスは神父を睨んだまま口を開いた。
「話はそれだけか。」
「ああ、そうだ。わかったらするな…!
とっとと出て行け。」
ルーカスはふん、と鼻を鳴らすと私の手を引き治療室から出ていった。
黙ったまま2人で手を繋ぎながら孤児院の私の部屋に来ると、私は緊張の糸が切れルーカスに縋りながら頬を優しく触り謝った。
頬の赤い跡と口の周りに少し血がついていて少し熱を持った頬が痛々しくて胸が裂けそうだ。
「ごめんねっ…ルーカスッ…。」
「ロティ、大丈夫だよ。ほっとけばそのうち治る。」
「嫌だよ!私のせいでそうなったのに…!!それにっ、ルーカスが傷付いているのを見るのは嫌だよ…!《回復》」
一瞬拒否をされたかと思ったが、私の手が触れてもルーカスは引かなかったため回復魔法を掛けた。赤く少し腫れた頬のルーカスはしゃんとしているのに私の方はもう涙が溢れそうだ。
私の魔法の緑の光がルーカスに当たるとポワポワ光り、ルーカスの頬を優しく包み込んで赤みと腫れを直して行く。
光が消えるとルーカスの痛々しい跡も消えてほっとする。直った頬を撫でて確認すると、ルーカスは目を細めていた。
「…ありがとう。」
「っ、こっちのセリフだよ…!守ってくれてありがとう…ルーカス…ごめんねっ…。」
折角我慢していた涙がポロっと落ちると、次から次へと溢れてしまった。
止めようと手で目を押さえるが収まらない。
そんな私を心配そうに見つめ、今度はルーカスが私の頬を両手で包んでそっと目元を撫でた。
「ロティを守る事が僕の役目だ。
守れてよかった…。泣かないで…、ロティ。もう痛くないよ。」
「ルーカス………私の事は庇わないでいいよ…。
ルーカスがこんな痛い目に遭うのは嫌だよ…。」
私が勝手にした行動にルーカスを巻き込んだの自体良く無かったのだ。
罰を受けるなら私だけでいい。
そう思って涙ながらに訴えるとルーカスは薄らと笑って答えた。
「それは無理。」
「っ、ルーカスッ…、お願」
「僕が傷付く方がいい。ロティが叩かれたりなんかしたら…僕はそいつに手を出すかもしれない。
僕の方がロティを傷付けたくないんだ。
僕の事…嫌いじゃないなら守らせて。」
「っ…!…言い方がずるいよ。」
嫌いなわけない。むしろ好きで大好きで困るほどなのに、それを言えないもどかしさが私の中でもやついている。
ルーカスは柔かなまま私をじっと見ていて、どこか嬉しそうなその表情が私の心の中を覗いているようで心臓を掴まれてしまっているような気分だ。
「…ずるいの?」
「…っず…るい…よ。」
ルーカスが見つめてくるものだから涙がいつの間にか引っ込んで、ルーカスの手に包まれた頬が熱くなってしまった。
心臓がバクバクと煩い。
このまま告白してしまおうか。
口から言葉を出すのがまた難しくて喉で突っかかっているみたい。
私が自分に四苦八苦してるとルーカスは私の頭にこつんと額をぶつけてきた。
痛くないその行為はあと少しでキス出来そうな距離感で。
私はキャパオーバー一歩手前で顔面が真っ赤になっているような気がした。
「少し位喜んでもいいのかな…。」
ぼそりとルーカスが呟いた言葉は私の耳から脳に伝達されたはずなのに、全く意味が分からず反応すらできなかった。
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川で冒険者に回復魔法をかけて以来、私は暇な時を見つけては路地裏や危ないところなどは除いた町の表側をルーカスと徘徊して回復魔法が必要な人に無償で回復魔法を施していった。
魔法を掛ける条件は一つ、治したことを言わない事。バレたら面倒な事になりそうなのは目に見えている。
条件を蹴る人はおらず、私は水面下で治療を続けていった。
2ヶ月が過ぎようとしたある日の朝。
私の顔を見るなり不機嫌に顔を歪ませた神父に嫌な予感を抱いてしまった。
だが、祈りの時間も治療の時間も何も言われず、私を見るときだけ顔を歪ませていただけだったため、治療が終わる頃にはすっかりそんなことも忘れていた。
「ロティ、こちらに来なさい。」
「…?はい?」
最後の治療者が帰り私とルーカスも孤児院に戻ろうとした時、神父は無表情で私を呼び寄せた。
なんだろうと思いつつ、私は神父の前に近寄ると椅子から立ち上がった神父が私の目の前に立った。
私の前に聳え立つとかなり大きく見えるなとど、余計なことを考えていると、突然神父が手を振りかざしてきたのだ。
バシッ!!!ドダンッ!
乾いた音に倒れる音。
神父の大きな体から繰り出された手を食らえばその小さな体は衝撃と共に倒れるに決まってる。
だがそれを食らうのは私であったはずなのに、今床に倒れているのはルーカスの方だ。
ルーカスは咄嗟に私を押し除け自分の体を前に出すと、神父の一撃をモロに食らってしまった。
床に倒れたルーカスはすぐに起き上がり、口からプッと血混じりの唾を吐くとすぐに私の前に出てきて私を守るように神父に立ち塞がった。
ルーカスが叩かれた頬を見て真っ赤になっているのに血の気がサッと引いてしまう。
「ルーカス!?大丈夫っ!?なにするの!?」
「ッチ、ロティを狙ったんだがな。飛び出して来たそいつが悪いだろう。
それよりも…勝手に外で回復魔法を使ったな…。」
叩かれた事を悪びれる様子もなく、舌打ちをしながら私を問い詰める神父。
ルーカスが代わりに叩かれてしまった事が悲しくて涙が出そうになる。
「いけない事なの…!?」
「お前は教会のみで魔法を使え。」
「怪我や病気の人が町にもいるのに!?なんのための回復魔法なの!?」
「そいつらがいたら言えばいい。
教会に来れば治療すると、金になるものをタダで振り撒くな…!他の孤児にもそこの奴にも恩恵がいかなくなるからな!従わないのなら強行手段をとるぞ…!」
神父の睨みと脅しに私は涙目で怯えてしまったが、ルーカスは神父を睨んだまま口を開いた。
「話はそれだけか。」
「ああ、そうだ。わかったらするな…!
とっとと出て行け。」
ルーカスはふん、と鼻を鳴らすと私の手を引き治療室から出ていった。
黙ったまま2人で手を繋ぎながら孤児院の私の部屋に来ると、私は緊張の糸が切れルーカスに縋りながら頬を優しく触り謝った。
頬の赤い跡と口の周りに少し血がついていて少し熱を持った頬が痛々しくて胸が裂けそうだ。
「ごめんねっ…ルーカスッ…。」
「ロティ、大丈夫だよ。ほっとけばそのうち治る。」
「嫌だよ!私のせいでそうなったのに…!!それにっ、ルーカスが傷付いているのを見るのは嫌だよ…!《回復》」
一瞬拒否をされたかと思ったが、私の手が触れてもルーカスは引かなかったため回復魔法を掛けた。赤く少し腫れた頬のルーカスはしゃんとしているのに私の方はもう涙が溢れそうだ。
私の魔法の緑の光がルーカスに当たるとポワポワ光り、ルーカスの頬を優しく包み込んで赤みと腫れを直して行く。
光が消えるとルーカスの痛々しい跡も消えてほっとする。直った頬を撫でて確認すると、ルーカスは目を細めていた。
「…ありがとう。」
「っ、こっちのセリフだよ…!守ってくれてありがとう…ルーカス…ごめんねっ…。」
折角我慢していた涙がポロっと落ちると、次から次へと溢れてしまった。
止めようと手で目を押さえるが収まらない。
そんな私を心配そうに見つめ、今度はルーカスが私の頬を両手で包んでそっと目元を撫でた。
「ロティを守る事が僕の役目だ。
守れてよかった…。泣かないで…、ロティ。もう痛くないよ。」
「ルーカス………私の事は庇わないでいいよ…。
ルーカスがこんな痛い目に遭うのは嫌だよ…。」
私が勝手にした行動にルーカスを巻き込んだの自体良く無かったのだ。
罰を受けるなら私だけでいい。
そう思って涙ながらに訴えるとルーカスは薄らと笑って答えた。
「それは無理。」
「っ、ルーカスッ…、お願」
「僕が傷付く方がいい。ロティが叩かれたりなんかしたら…僕はそいつに手を出すかもしれない。
僕の方がロティを傷付けたくないんだ。
僕の事…嫌いじゃないなら守らせて。」
「っ…!…言い方がずるいよ。」
嫌いなわけない。むしろ好きで大好きで困るほどなのに、それを言えないもどかしさが私の中でもやついている。
ルーカスは柔かなまま私をじっと見ていて、どこか嬉しそうなその表情が私の心の中を覗いているようで心臓を掴まれてしまっているような気分だ。
「…ずるいの?」
「…っず…るい…よ。」
ルーカスが見つめてくるものだから涙がいつの間にか引っ込んで、ルーカスの手に包まれた頬が熱くなってしまった。
心臓がバクバクと煩い。
このまま告白してしまおうか。
口から言葉を出すのがまた難しくて喉で突っかかっているみたい。
私が自分に四苦八苦してるとルーカスは私の頭にこつんと額をぶつけてきた。
痛くないその行為はあと少しでキス出来そうな距離感で。
私はキャパオーバー一歩手前で顔面が真っ赤になっているような気がした。
「少し位喜んでもいいのかな…。」
ぼそりとルーカスが呟いた言葉は私の耳から脳に伝達されたはずなのに、全く意味が分からず反応すらできなかった。
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◇◇◇◇
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※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
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