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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第194話 力強い味方を得る
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オーロラちゃんの屋敷を訪れた翌日、俺は昼過ぎにアークゲート家の屋敷を訪れていた。目的はユティさんと話をするためだ。同じ屋敷で仕事をするシアが伝えておきましょうかと言ってくれたけど、オーロラちゃんとユティさんの二人には俺の口から直接伝えたかった。
寒い北の地なのにシアの魔法で暖かい入り口に無事にゲートを繋ぐことが出来た俺は、二階へ続く階段へ目を向ける。この屋敷を訪れるのも数えきれないほどになり、最近は特に何の問題もなくゲートを繋げている。
最初の方は間違えてユティさんの部屋に繋いでしまったり、つい最近までは中庭に繋いだりしていたなぁ、なんてことを思いながらユティさんの部屋を目指して階段を上り始めた。
踊り場で右へ伸びる階段へ足を掛けて、二階へ。扉を開いた後に廊下をしばらく歩けば、曲がり角のすぐ近くがユティさんの部屋だ。何度も通った廊下だからこそ、親しみを感じる。
「そういえばそろそろ片づけを手伝う頃合いだな……」
ふとそんなことを思い出した。以前ユティさんの部屋を片付けてから結構な時間が経っているから、そろそろ片づけの時期だろう。本に埋もれるユティさんの部屋にはいつも驚かされるけど、それを片付けて本来の姿を取り戻すまでの過程は結構好きだったりする。
少しだけワクワクした気持ちでユティさんの部屋の前に到着し、扉をノックした。
『はい』
すぐに聞こえるユティさんの声に返答する。
「ノヴァです。相談事があって来ました」
ちょっとだけ待てば扉が音を立てて開く。その奥にはいつも通り元気そうなユティさんの姿があった。
「こんにちはノヴァさん、お待ちしていました。中へどうぞ」
「ありがとうございます、ユティさん」
笑顔で礼を告げて中へと入る。扉がさらに動いて、部屋の中が一望できるようになった。
「…………」
絶句した。ユティさんの部屋には本一つ転がっていなかった。綺麗に整理されていて、まるで俺とユティさんが共同で掃除をした後みたいだった。
「あれ? 片づけを手伝うつもりでもあったんですけど……」
「私だって成長します。片付けられますよ」
「おぉ……」
ユティさんの成長に感動すると同時に少しだけ寂しい気分になる。片付け、楽しかったんだけどな。
彼女に促されて部屋の中にある長椅子へ移動し腰かける。向かいにはユティさんが着席するかと思いきや、声をかけてきた。
「コーヒーで良かったですよね?」
「あ、はい……すみません」
「いえ、自分で淹れるのは慣れていますので、お気になさらず」
良く部屋に籠っているユティさんはオーロラちゃんやシアとは違い、自分でお茶を準備することが多いそうだ。彼女曰く、いちいち呼ぶよりも自分でやった方が早いからなんだとか。その言葉を聞いて、実にユティさんらしいなと思ったくらいだ。
しばらく待てば彼女の淹れてくれた芳ばしい香りのコーヒーがテーブルに置かれる。その香りを少しだけ楽しんで、向かいに腰を下ろしたユティさんに話し始めた。
「今回ユティさんに相談したいのは、フォルス家とアークゲート家を一つにするという案についてなんです」
「フォルス家とアークゲート家を……一つに?」
俺の言葉を聞いてシアやオーロラちゃんと同じような反応を見せるユティさん。それを見て姉妹だなと内心で思ったあと、両家を一つにする案について説明を始める。そう思ったきっかけやシアとオーロラちゃんは受け入れてくれたことなども含めて、話せる限りの事をユティさんに話した。
その間、ユティさんは真剣に耳を傾けてくれた。自分が淹れた紅茶に一切手を付けることもしなかった。ただ反応は無表情か何かを考えているような仕草が多くて、少しだけ緊張してしまった。
「……という感じなんです」
「なるほど……」
全てを話し終えて、ユティさんは考えるそぶりを見せる。かと思えば、意外とあっさりとそのそぶりを解いて俺を見た。
「良いと思います。聞いていて気づいた疑問点は当主様やオーラも考えてくれているようですので、問題はないでしょう。時間こそ少しかかるかなという印象ですが、成功すると思いますよ」
「ありがとうございます……ユティさんにそう言って頂けると嬉しいです」
穏やかに微笑むユティさんを見て、ようやく俺の中の少しの緊張が消えた気がした。なんというか、俺の中でユティさんはとても頼りになる存在だ。もちろん一番はシアだけど、それとはちょっと違う方向性で頼りにしているというか。
だからこそ、今回の俺の案を彼女が受け入れてくれたのが嬉しかった。シアと話しているときに問題はないと思っていたけど、今ユティさんに受け入れられて問題はないと確信できたくらいだ。
「それにしてもフォーゲートですか……安直ですが、それが逆にオーラらしいと言いますか」
「あ、あくまでも候補ですからね?」
新しい一族の名前についてまるで決まったかのように言うユティさん。オーロラちゃんも仮で言っていたこともあり、そう説明するも、ユティさんはクスクスと笑った。
「良いのではないですか? 分かりやすく記憶に残りやすいですから。オーラも喜ぶでしょう」
「……そうですかね?」
どちらかというと、なんとなくで言ったのにそれになったの!? と目を見開いて驚くような気がするけど、と心の中で思ったりした。
「当主様やオーラも言ったと思いますが、私も協力します。……どうせなら両家を一つにする際、あるいは一つにした後の事について打ち合わせをして決めますか」
「本当ですか!? ユティさんがよろしければ、是非お願いします」
「いえ全然構いません。……焦る必要もないので、じっくり見落としの無いように色々なことを決めていきましょう。決まったことについては私の方で当主様やオーラに共有しておきますよ」
「ありがとうございます。本当に助かります」
アークゲート家でシアの補佐をしているユティさんほど今のアークゲート家に詳しい人は居ないだろう。そんな彼女と一緒に案を進められるという事はかなり心強かった。
「まあ、今日はゆっくりして行ってください。そういえばシスティから良いお土産を貰ったんでした。……確かここに……」
そう言ってお土産を取りに行くユティさん。その後、お互いのカップの中が空になるまで、俺達は久しぶりの会話を楽しんだ。
寒い北の地なのにシアの魔法で暖かい入り口に無事にゲートを繋ぐことが出来た俺は、二階へ続く階段へ目を向ける。この屋敷を訪れるのも数えきれないほどになり、最近は特に何の問題もなくゲートを繋げている。
最初の方は間違えてユティさんの部屋に繋いでしまったり、つい最近までは中庭に繋いだりしていたなぁ、なんてことを思いながらユティさんの部屋を目指して階段を上り始めた。
踊り場で右へ伸びる階段へ足を掛けて、二階へ。扉を開いた後に廊下をしばらく歩けば、曲がり角のすぐ近くがユティさんの部屋だ。何度も通った廊下だからこそ、親しみを感じる。
「そういえばそろそろ片づけを手伝う頃合いだな……」
ふとそんなことを思い出した。以前ユティさんの部屋を片付けてから結構な時間が経っているから、そろそろ片づけの時期だろう。本に埋もれるユティさんの部屋にはいつも驚かされるけど、それを片付けて本来の姿を取り戻すまでの過程は結構好きだったりする。
少しだけワクワクした気持ちでユティさんの部屋の前に到着し、扉をノックした。
『はい』
すぐに聞こえるユティさんの声に返答する。
「ノヴァです。相談事があって来ました」
ちょっとだけ待てば扉が音を立てて開く。その奥にはいつも通り元気そうなユティさんの姿があった。
「こんにちはノヴァさん、お待ちしていました。中へどうぞ」
「ありがとうございます、ユティさん」
笑顔で礼を告げて中へと入る。扉がさらに動いて、部屋の中が一望できるようになった。
「…………」
絶句した。ユティさんの部屋には本一つ転がっていなかった。綺麗に整理されていて、まるで俺とユティさんが共同で掃除をした後みたいだった。
「あれ? 片づけを手伝うつもりでもあったんですけど……」
「私だって成長します。片付けられますよ」
「おぉ……」
ユティさんの成長に感動すると同時に少しだけ寂しい気分になる。片付け、楽しかったんだけどな。
彼女に促されて部屋の中にある長椅子へ移動し腰かける。向かいにはユティさんが着席するかと思いきや、声をかけてきた。
「コーヒーで良かったですよね?」
「あ、はい……すみません」
「いえ、自分で淹れるのは慣れていますので、お気になさらず」
良く部屋に籠っているユティさんはオーロラちゃんやシアとは違い、自分でお茶を準備することが多いそうだ。彼女曰く、いちいち呼ぶよりも自分でやった方が早いからなんだとか。その言葉を聞いて、実にユティさんらしいなと思ったくらいだ。
しばらく待てば彼女の淹れてくれた芳ばしい香りのコーヒーがテーブルに置かれる。その香りを少しだけ楽しんで、向かいに腰を下ろしたユティさんに話し始めた。
「今回ユティさんに相談したいのは、フォルス家とアークゲート家を一つにするという案についてなんです」
「フォルス家とアークゲート家を……一つに?」
俺の言葉を聞いてシアやオーロラちゃんと同じような反応を見せるユティさん。それを見て姉妹だなと内心で思ったあと、両家を一つにする案について説明を始める。そう思ったきっかけやシアとオーロラちゃんは受け入れてくれたことなども含めて、話せる限りの事をユティさんに話した。
その間、ユティさんは真剣に耳を傾けてくれた。自分が淹れた紅茶に一切手を付けることもしなかった。ただ反応は無表情か何かを考えているような仕草が多くて、少しだけ緊張してしまった。
「……という感じなんです」
「なるほど……」
全てを話し終えて、ユティさんは考えるそぶりを見せる。かと思えば、意外とあっさりとそのそぶりを解いて俺を見た。
「良いと思います。聞いていて気づいた疑問点は当主様やオーラも考えてくれているようですので、問題はないでしょう。時間こそ少しかかるかなという印象ですが、成功すると思いますよ」
「ありがとうございます……ユティさんにそう言って頂けると嬉しいです」
穏やかに微笑むユティさんを見て、ようやく俺の中の少しの緊張が消えた気がした。なんというか、俺の中でユティさんはとても頼りになる存在だ。もちろん一番はシアだけど、それとはちょっと違う方向性で頼りにしているというか。
だからこそ、今回の俺の案を彼女が受け入れてくれたのが嬉しかった。シアと話しているときに問題はないと思っていたけど、今ユティさんに受け入れられて問題はないと確信できたくらいだ。
「それにしてもフォーゲートですか……安直ですが、それが逆にオーラらしいと言いますか」
「あ、あくまでも候補ですからね?」
新しい一族の名前についてまるで決まったかのように言うユティさん。オーロラちゃんも仮で言っていたこともあり、そう説明するも、ユティさんはクスクスと笑った。
「良いのではないですか? 分かりやすく記憶に残りやすいですから。オーラも喜ぶでしょう」
「……そうですかね?」
どちらかというと、なんとなくで言ったのにそれになったの!? と目を見開いて驚くような気がするけど、と心の中で思ったりした。
「当主様やオーラも言ったと思いますが、私も協力します。……どうせなら両家を一つにする際、あるいは一つにした後の事について打ち合わせをして決めますか」
「本当ですか!? ユティさんがよろしければ、是非お願いします」
「いえ全然構いません。……焦る必要もないので、じっくり見落としの無いように色々なことを決めていきましょう。決まったことについては私の方で当主様やオーラに共有しておきますよ」
「ありがとうございます。本当に助かります」
アークゲート家でシアの補佐をしているユティさんほど今のアークゲート家に詳しい人は居ないだろう。そんな彼女と一緒に案を進められるという事はかなり心強かった。
「まあ、今日はゆっくりして行ってください。そういえばシスティから良いお土産を貰ったんでした。……確かここに……」
そう言ってお土産を取りに行くユティさん。その後、お互いのカップの中が空になるまで、俺達は久しぶりの会話を楽しんだ。
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