【R18】ヒロインのお孫様にお仕えします!

榎本ペンネ

文字の大きさ
10 / 16

5 魔術初体験(後)

しおりを挟む
「ルチア、今説明したことはわかりましたか」
「はい、お母さま」
 私は先日初潮を迎え、今日はお母さまから性教育を受けている。その内容は前世の知識にあったことばかりだった。より細かいことについてはさすがに口にするのがためらわれるのか、「もう少し大きくなったらこの本を読んでね」と一冊の薄い本を渡された。ぱらぱらと見たところ、どうやって快感を得るかについて詳しく書かれているようだった。

 女性の社会進出とかはまだまだ全然なのに、そんなところだけ進んでいるな。さすがR18世界。
 そんな性教育の締めが、以上の魔術事情だった。

「さあ、ルチア、魔術をかけさせてね」

 お母さまが、術式の書かれた小さな紙を取り出す。

「それを触ってみてもいいですか」
「いいわよ。でも、魔力を通しちゃだめよ。発動しちゃうからね。貴重なものですし」

 かなり精緻な魔方陣が、特殊な調合で作られた紙に、これまた特殊なインクで描かれている。

「これをね、ルチアの、その、大切な部分に当てて、魔力を流すの。ちょっと恥ずかしいかもしれないけれど、すぐ終わるから」

 難しいのは位置取りで、奥過ぎることはまずないけれど、手前過ぎて失敗することはたまにあるらしい。なので、目視しないわけにはいかない。
 この歳で母親にパンツの中を見られ触れられるのは相当に恥ずかしいが、前世の記憶を探ったら、そう変わらない年頃に高熱を出して、解熱剤をお尻に入れられた経験があった。似たようなものだと思おう。

「じゃあ、いくわよ。……はい、終わり」

 スカートを戻されながら、拍子抜けして間抜けな顔をしてしまった。

「あら? どうしたの?」
「何も感じなかったから……」

 試しにこっそり指で突いてみると、確かにはっきりと壁ができている。

「それはそうよぅ。感覚があったら、気になってしょうがないでしょう」
「いえ、最初だけは、もっと、魔術がかかった! っていう感じがするのかと思ったんです」

 期待外れだと残念そうにしていると、お母さまは小首を傾げた。

「うーん、そういうものかしら? まあ、ルチアが十三歳になったら、実技でいろいろ経験できるわよ。楽しみね!」
 残念ながら先は長そうだ。



 そんなわけで、私はしばらくは貪欲に知識を蓄え、魔術の理論面と魔力以外の研究を進めた。十三歳になってからは、しばらく魔術実験を伴う研究に注力して、成果を出した。

 最初にお金になった術式は、この初体験術式のための鍵魔術だった。魔術協会以外が術式を解けてしまってはいけないけれど、秘密裏に解こうとする人たちはいるもので。例えば、誘拐した貴族の子女のお股を守るこの魔術を解こうとする犯罪組織とか。セキュリティ頑張ってもハッカーに破られる的な攻防があるわけです。
 犯罪に利用されないよう、セキュリティレベルを高め、一方でいざという時は魔術協会が解くこともできる鍵魔術は、娘を持つ貴族たちからの熱い支持を受けて、研究予算がめっちゃ増えた。

 そんなわけで、私は若干十四歳にして魔術塔に研究室を得た。
 充実した日々はあっという間に過ぎ、シシリー様の侍女のお仕事と、魔術塔での研究をなんとか両立しているうちに、結婚もしないまま二十一歳になった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

処理中です...