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「んっ、……はっ、んんっ」
私は今、手首を掴まれたまま、もう片方の手でマッサージされている。体の前面を。
「やはりそなたの肌は触り心地がいいな。それに、興奮しても魔力が暴れない。ふむ」
そういえばまだ名前も知らない、王様だか王子様だかもわからない男の人は、少し考える素振りを見せたあと、オイルに塗れた手で豪奢なサッシュベルトを外した。そして、あっという間に私の手首を縛ってベッドのどこかに括りつけてしまった。
「やっ、外して! ください!」
一度は落ち着かせたはずの恐怖が蘇って、とっさに逃げようとしたが、手首と腿のあたりを固定されていては、ほとんど何もできない。むしろ体を左右に捻ったことで、小ぶりながらも柔らかな膨らみが揺れて、彼の目を愉しませただけだった。
「駄目だ。大人しくしていられるなら別だが」
「……」
それはさすがに無理だと思う。一応処女ではないし、眼前のイケメンは正直まじで好みだけれど、見ず知らずの人間に犯されるのを大人しく受け入れるのは容易くない。きっと暴れてしまうと思う。
「せっかくだから両手で触れたいしな」
彼は機嫌良さそうに「なかなかいい眺めだ」と言いながら、惜しげもなく私の体にオイルを垂らして広げていく。本当に気持ちが良さそうな顔をするから、なんだかとても淫靡な、いけないことをしているような気分になってくる。
いや、しているんだけれど。まだシていないというか。
それにしても、恥ずかしいし、ほのかに気持ちがいい。
「ぁ、ふぅ……」
「もうだいぶ温まったな」
「ぅえ?」
「先程は随分体が冷えていたから、温めるためにマッサージをしてやったのだ。本来なら俺がされる立場だがな?」
皮肉気にそう言いながらも楽しげに私を撫で回してくる。胸から脇腹まで万遍なくオイルを塗りたくられると、体が温まるどころか、徐々に熱くなってきた。
「ぁんっ」
無骨な指が尖りきった胸の先を通り過ぎると、しびれるような快感が腰に響く。
「感度がいいことだ」
にやりと笑うと、そこばかりを行ったり来たり撫でる。指がばらばらと通り過ぎる度に、立ち上がった乳首が弾かれ、声を我慢することが難しくなっていく。
なのに、それ以上に決定的な刺激は与えられず、焦らされるばかりで息が苦しくなった。
彼はしばらくそうして遊んだあと、今度は私の脇腹から腕までを何度も撫ではじめた。くすぐったさに身を捩るとおもしろそうに目を細めるものだから、つい涙目で睨んでしまった。
「も……っ、くすぐったい、です、やぁ、んんんっ!」
「くすぐったいという反応か? 随分気持ちよさそうだが」
「そんな、わけ、あっ、やんっ!?」
武骨な指が脇をザラリと撫であげた時、予想外の快感が走って変な声が出た。
「ほら」
「ひゃあぁぁぁん!」
そこをくすぐるように指先で掻かれると、先程までのくすぐったさがすべて快感に書き換えられたように全身に広がり、腰が震えた。足の間からぬるりとしたものが溢れるのを感じて愕然とする。
私の表情から何かを察したのか、彼は再び口の端を上げた。
「このオイルには軽い媚薬も含まれているからな。まあ、元々の素質がなければこうはなるまいが」
そう言いながらも手を止めず、指先で、手のひらで、上半身中の柔らかいところを撫でていく。その度に気持ちよくなってしまう箇所が増えていき、最後にはどこを触られてもビクビクと反応してしまうほどに体中が敏感になってしまった。
目の端に涙がにじむ。
「ぁあ、も、やだぁ……」
「本当に不思議な肌だな。このままいつまでも撫でていたくなる。反応も声もなかなか愛らしい。……が」
束の間、快感から解放され、荒い息をなんとか落ち着かせようとしていたら、ふいに太腿の上の重みが消えた。組み敷かれていた脚が、胡座をかいた彼の脚の上に載せられ、広げられる。
「ふ。オイルなどいらないほどに濡れているぞ」
「や、み、見ないで……」
なけなしの力を振り絞って脚を閉じようとしたけれど、もう腰に力が入らなくて、私の脚の間にいる人の胴体を軽く挟んだだけで終わった。挙げ句、膝の裏を持ち上げられてしまって、何も隠せなくなる。
「それに、これは、新しいな」
「え……?」
「毛を処理しているのか。見事なものだな」
「……っ!」
直接指摘された恥ずかしさに身を捩るも、より深く膝裏を押さえられ、腰を上げさせられただけだった。
(ていうか、ハレムがあるような文化では、女は脱毛するものじゃなかったっけ?)
ぼんやりとそんなことを考える。私はしばらく前に、高いお金を払って全身脱毛に通い、VIOも含めてすっかり綺麗になっている。私の脚を限界まで開かせている美しい人が、物珍しげにそこを覗いているところを見ると、本当に珍しいのだろうか。
異世界ならば常識が違うのは当たり前で、ますます地球じゃないことが確定しそうで泣きそうになる。
私は今、手首を掴まれたまま、もう片方の手でマッサージされている。体の前面を。
「やはりそなたの肌は触り心地がいいな。それに、興奮しても魔力が暴れない。ふむ」
そういえばまだ名前も知らない、王様だか王子様だかもわからない男の人は、少し考える素振りを見せたあと、オイルに塗れた手で豪奢なサッシュベルトを外した。そして、あっという間に私の手首を縛ってベッドのどこかに括りつけてしまった。
「やっ、外して! ください!」
一度は落ち着かせたはずの恐怖が蘇って、とっさに逃げようとしたが、手首と腿のあたりを固定されていては、ほとんど何もできない。むしろ体を左右に捻ったことで、小ぶりながらも柔らかな膨らみが揺れて、彼の目を愉しませただけだった。
「駄目だ。大人しくしていられるなら別だが」
「……」
それはさすがに無理だと思う。一応処女ではないし、眼前のイケメンは正直まじで好みだけれど、見ず知らずの人間に犯されるのを大人しく受け入れるのは容易くない。きっと暴れてしまうと思う。
「せっかくだから両手で触れたいしな」
彼は機嫌良さそうに「なかなかいい眺めだ」と言いながら、惜しげもなく私の体にオイルを垂らして広げていく。本当に気持ちが良さそうな顔をするから、なんだかとても淫靡な、いけないことをしているような気分になってくる。
いや、しているんだけれど。まだシていないというか。
それにしても、恥ずかしいし、ほのかに気持ちがいい。
「ぁ、ふぅ……」
「もうだいぶ温まったな」
「ぅえ?」
「先程は随分体が冷えていたから、温めるためにマッサージをしてやったのだ。本来なら俺がされる立場だがな?」
皮肉気にそう言いながらも楽しげに私を撫で回してくる。胸から脇腹まで万遍なくオイルを塗りたくられると、体が温まるどころか、徐々に熱くなってきた。
「ぁんっ」
無骨な指が尖りきった胸の先を通り過ぎると、しびれるような快感が腰に響く。
「感度がいいことだ」
にやりと笑うと、そこばかりを行ったり来たり撫でる。指がばらばらと通り過ぎる度に、立ち上がった乳首が弾かれ、声を我慢することが難しくなっていく。
なのに、それ以上に決定的な刺激は与えられず、焦らされるばかりで息が苦しくなった。
彼はしばらくそうして遊んだあと、今度は私の脇腹から腕までを何度も撫ではじめた。くすぐったさに身を捩るとおもしろそうに目を細めるものだから、つい涙目で睨んでしまった。
「も……っ、くすぐったい、です、やぁ、んんんっ!」
「くすぐったいという反応か? 随分気持ちよさそうだが」
「そんな、わけ、あっ、やんっ!?」
武骨な指が脇をザラリと撫であげた時、予想外の快感が走って変な声が出た。
「ほら」
「ひゃあぁぁぁん!」
そこをくすぐるように指先で掻かれると、先程までのくすぐったさがすべて快感に書き換えられたように全身に広がり、腰が震えた。足の間からぬるりとしたものが溢れるのを感じて愕然とする。
私の表情から何かを察したのか、彼は再び口の端を上げた。
「このオイルには軽い媚薬も含まれているからな。まあ、元々の素質がなければこうはなるまいが」
そう言いながらも手を止めず、指先で、手のひらで、上半身中の柔らかいところを撫でていく。その度に気持ちよくなってしまう箇所が増えていき、最後にはどこを触られてもビクビクと反応してしまうほどに体中が敏感になってしまった。
目の端に涙がにじむ。
「ぁあ、も、やだぁ……」
「本当に不思議な肌だな。このままいつまでも撫でていたくなる。反応も声もなかなか愛らしい。……が」
束の間、快感から解放され、荒い息をなんとか落ち着かせようとしていたら、ふいに太腿の上の重みが消えた。組み敷かれていた脚が、胡座をかいた彼の脚の上に載せられ、広げられる。
「ふ。オイルなどいらないほどに濡れているぞ」
「や、み、見ないで……」
なけなしの力を振り絞って脚を閉じようとしたけれど、もう腰に力が入らなくて、私の脚の間にいる人の胴体を軽く挟んだだけで終わった。挙げ句、膝の裏を持ち上げられてしまって、何も隠せなくなる。
「それに、これは、新しいな」
「え……?」
「毛を処理しているのか。見事なものだな」
「……っ!」
直接指摘された恥ずかしさに身を捩るも、より深く膝裏を押さえられ、腰を上げさせられただけだった。
(ていうか、ハレムがあるような文化では、女は脱毛するものじゃなかったっけ?)
ぼんやりとそんなことを考える。私はしばらく前に、高いお金を払って全身脱毛に通い、VIOも含めてすっかり綺麗になっている。私の脚を限界まで開かせている美しい人が、物珍しげにそこを覗いているところを見ると、本当に珍しいのだろうか。
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