煙草屋さんと小説家

男鹿七海

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番外編 

並んでいるだけ

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 霧弥はヘルメットを受け取り被る。顎紐を留める手つきは慣れていた。 

「どこ行く」 

「決めてない」それだけで、龍二はバイクを出した。 

 街を抜け、川沿いの道に出る。ガードレールの向こうに水面が見え、夕方の光が反射している。風が強くなる。 
 ヘルメット越しに、エンジン音と風切り音が重なった。霧弥は前の背中に軽く体重を預ける。掴む程ではない距離。 

 橋を渡り、少し走って、また曲がる。行き先は分からないまま、時間だけが進む。しばらくして、バイクは引き返した。 
 特に理由はない。商店街の明かりが見えたところで、速度が落ちる。駐車場に入り、エンジンが止まった。ヘルメットを外し、並んで立つ。言葉は出なかった。 それで十分だった。
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