完結済み『愛されぬお飾りの聖女ですが、どうやら私、捨てられた方が幸せになれるみたいです』

干し芋さん

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番外編 世界一幸せなおはよう

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最初に私を現実に引き戻したのは、カーテンの隙間から差し込む、柔らかな朝の光だった。
身体が、重い。特に腰のあたりが、心地よい疲労感と共に、甘く痺れている。

ゆっくりと目を開けると、視界に飛び込んできたのは、静かな寝息を立てるアレクの寝顔だった。
昨夜、私を激しく求めた覇者の面影はなく、そこにはただ、無防備で、少しだけ幼くも見える愛しい人の顔がある。

そっと、その頬に触れてみる。少しだけ伸びた髭が、私の指先をくすぐった。
自分の身体に視線を落として、私は息を呑んだ。

白いシルクのシーツの上に横たわる私の肌は、昨夜の彼の愛を物語るように、あちこちに赤い花が咲いていた。特に、胸元や太腿の内側には、彼の所有印だとでも言うように、濃い色の痕がくっきりと残っている。

「……ん」

低い唸り声と共に、アレクの瞼がゆっくりと持ち上がる。
現れた銀色の瞳が、まだ夢現つのように私を捉えた。

「……おはよう、アリア」

その声は、朝特有の掠れと、昨夜の情事の熱を帯びていて、私の鼓膜を甘く震わせた。
その一言だけで、私の身体の奥が、またきゅんと疼く。

「……おはようございます、アレク」

私がそう返すと、彼は満足げに目を細め、長い腕を伸ばして私の腰を抱き寄せた。
裸の肌が、ぴたりと触れ合う。彼の熱が、再び私に流れ込んでくるようだった。

「…昨夜は、よく眠れたか?」
「…っ、あなた様のせいで、あまり…」

私が恥ずかしさで俯くと、彼は楽しそうに喉の奥で笑った。

「俺のせい、か。…違いないな」

彼は、私の髪を優しく撫でると、その流れで私の顎をくいと持ち上げる。
そして、おはようの挨拶代わりの、優しいキス。

…のはずだった。

唇が触れ合った瞬間、彼の瞳に、再び昨夜と同じ暗い炎が揺らめいたのが見えた。
キスはすぐに深くなり、彼の舌が、遠慮なく私の口内へと侵入してくる。

「ん……んぅ…」

シーツの上で、彼の大きな手が再び私の身体を彷徨い始める。
昨夜、何度も愛された敏感な場所を、的確に、そして意地悪くなぞるように。

「ひゃ…! あ、アレク、朝…です…」
「ああ、朝だ。だから、もう一度お前を愛しても、誰にも文句は言わせん」

彼は私の抵抗をものともせず、私の脚を軽々と持ち上げ、その間に自分の腰を滑り込ませた。
昨夜の記憶で、すでに潤んでいた私の中心に、彼の熱く硬い欲望が、ゆっくりと当てがわれる。

「…見てみろ、アリア。もう、俺を受け入れる準備ができている」

彼の言葉に促され、恐る恐る視線を下ろすと、二人が結合しようとしている部分が、朝の光の中に恥ずかしげもなく晒されていた。
そのあまりに扇情的な光景に、私の頭はくらくらする。

「や…だめ…そんな…」
「ダメじゃない。…お前も、欲しいんだろ?」

図星だった。
身体は、正直だった。
彼を、もっと、求めている。

私が声にならない声で頷くと、アレクは「良い子だ」と囁き、一気に、その全てを私の中に埋め込んだ。

「―――っ!」

痛みはない。
あるのは、身体の芯まで満たされる、圧倒的な充足感だけ。
彼は、昨夜よりもずっとゆっくりと、確かめるように、動き始めた。

「おはよう、アリア。…俺の、愛しい花嫁」

彼の囁きと、身体が擦れ合う甘い水音だけが、静かな寝室に響き渡る。
窓の外で、小鳥がさえずる声が聞こえた。

なんて、淫らで、なんて幸せな朝なのだろう。
私の人生で、一番美しい朝だった。
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