15 / 15
番外編 世界一幸せなおはよう
しおりを挟む
最初に私を現実に引き戻したのは、カーテンの隙間から差し込む、柔らかな朝の光だった。
身体が、重い。特に腰のあたりが、心地よい疲労感と共に、甘く痺れている。
ゆっくりと目を開けると、視界に飛び込んできたのは、静かな寝息を立てるアレクの寝顔だった。
昨夜、私を激しく求めた覇者の面影はなく、そこにはただ、無防備で、少しだけ幼くも見える愛しい人の顔がある。
そっと、その頬に触れてみる。少しだけ伸びた髭が、私の指先をくすぐった。
自分の身体に視線を落として、私は息を呑んだ。
白いシルクのシーツの上に横たわる私の肌は、昨夜の彼の愛を物語るように、あちこちに赤い花が咲いていた。特に、胸元や太腿の内側には、彼の所有印だとでも言うように、濃い色の痕がくっきりと残っている。
「……ん」
低い唸り声と共に、アレクの瞼がゆっくりと持ち上がる。
現れた銀色の瞳が、まだ夢現つのように私を捉えた。
「……おはよう、アリア」
その声は、朝特有の掠れと、昨夜の情事の熱を帯びていて、私の鼓膜を甘く震わせた。
その一言だけで、私の身体の奥が、またきゅんと疼く。
「……おはようございます、アレク」
私がそう返すと、彼は満足げに目を細め、長い腕を伸ばして私の腰を抱き寄せた。
裸の肌が、ぴたりと触れ合う。彼の熱が、再び私に流れ込んでくるようだった。
「…昨夜は、よく眠れたか?」
「…っ、あなた様のせいで、あまり…」
私が恥ずかしさで俯くと、彼は楽しそうに喉の奥で笑った。
「俺のせい、か。…違いないな」
彼は、私の髪を優しく撫でると、その流れで私の顎をくいと持ち上げる。
そして、おはようの挨拶代わりの、優しいキス。
…のはずだった。
唇が触れ合った瞬間、彼の瞳に、再び昨夜と同じ暗い炎が揺らめいたのが見えた。
キスはすぐに深くなり、彼の舌が、遠慮なく私の口内へと侵入してくる。
「ん……んぅ…」
シーツの上で、彼の大きな手が再び私の身体を彷徨い始める。
昨夜、何度も愛された敏感な場所を、的確に、そして意地悪くなぞるように。
「ひゃ…! あ、アレク、朝…です…」
「ああ、朝だ。だから、もう一度お前を愛しても、誰にも文句は言わせん」
彼は私の抵抗をものともせず、私の脚を軽々と持ち上げ、その間に自分の腰を滑り込ませた。
昨夜の記憶で、すでに潤んでいた私の中心に、彼の熱く硬い欲望が、ゆっくりと当てがわれる。
「…見てみろ、アリア。もう、俺を受け入れる準備ができている」
彼の言葉に促され、恐る恐る視線を下ろすと、二人が結合しようとしている部分が、朝の光の中に恥ずかしげもなく晒されていた。
そのあまりに扇情的な光景に、私の頭はくらくらする。
「や…だめ…そんな…」
「ダメじゃない。…お前も、欲しいんだろ?」
図星だった。
身体は、正直だった。
彼を、もっと、求めている。
私が声にならない声で頷くと、アレクは「良い子だ」と囁き、一気に、その全てを私の中に埋め込んだ。
「―――っ!」
痛みはない。
あるのは、身体の芯まで満たされる、圧倒的な充足感だけ。
彼は、昨夜よりもずっとゆっくりと、確かめるように、動き始めた。
「おはよう、アリア。…俺の、愛しい花嫁」
彼の囁きと、身体が擦れ合う甘い水音だけが、静かな寝室に響き渡る。
窓の外で、小鳥がさえずる声が聞こえた。
なんて、淫らで、なんて幸せな朝なのだろう。
私の人生で、一番美しい朝だった。
身体が、重い。特に腰のあたりが、心地よい疲労感と共に、甘く痺れている。
ゆっくりと目を開けると、視界に飛び込んできたのは、静かな寝息を立てるアレクの寝顔だった。
昨夜、私を激しく求めた覇者の面影はなく、そこにはただ、無防備で、少しだけ幼くも見える愛しい人の顔がある。
そっと、その頬に触れてみる。少しだけ伸びた髭が、私の指先をくすぐった。
自分の身体に視線を落として、私は息を呑んだ。
白いシルクのシーツの上に横たわる私の肌は、昨夜の彼の愛を物語るように、あちこちに赤い花が咲いていた。特に、胸元や太腿の内側には、彼の所有印だとでも言うように、濃い色の痕がくっきりと残っている。
「……ん」
低い唸り声と共に、アレクの瞼がゆっくりと持ち上がる。
現れた銀色の瞳が、まだ夢現つのように私を捉えた。
「……おはよう、アリア」
その声は、朝特有の掠れと、昨夜の情事の熱を帯びていて、私の鼓膜を甘く震わせた。
その一言だけで、私の身体の奥が、またきゅんと疼く。
「……おはようございます、アレク」
私がそう返すと、彼は満足げに目を細め、長い腕を伸ばして私の腰を抱き寄せた。
裸の肌が、ぴたりと触れ合う。彼の熱が、再び私に流れ込んでくるようだった。
「…昨夜は、よく眠れたか?」
「…っ、あなた様のせいで、あまり…」
私が恥ずかしさで俯くと、彼は楽しそうに喉の奥で笑った。
「俺のせい、か。…違いないな」
彼は、私の髪を優しく撫でると、その流れで私の顎をくいと持ち上げる。
そして、おはようの挨拶代わりの、優しいキス。
…のはずだった。
唇が触れ合った瞬間、彼の瞳に、再び昨夜と同じ暗い炎が揺らめいたのが見えた。
キスはすぐに深くなり、彼の舌が、遠慮なく私の口内へと侵入してくる。
「ん……んぅ…」
シーツの上で、彼の大きな手が再び私の身体を彷徨い始める。
昨夜、何度も愛された敏感な場所を、的確に、そして意地悪くなぞるように。
「ひゃ…! あ、アレク、朝…です…」
「ああ、朝だ。だから、もう一度お前を愛しても、誰にも文句は言わせん」
彼は私の抵抗をものともせず、私の脚を軽々と持ち上げ、その間に自分の腰を滑り込ませた。
昨夜の記憶で、すでに潤んでいた私の中心に、彼の熱く硬い欲望が、ゆっくりと当てがわれる。
「…見てみろ、アリア。もう、俺を受け入れる準備ができている」
彼の言葉に促され、恐る恐る視線を下ろすと、二人が結合しようとしている部分が、朝の光の中に恥ずかしげもなく晒されていた。
そのあまりに扇情的な光景に、私の頭はくらくらする。
「や…だめ…そんな…」
「ダメじゃない。…お前も、欲しいんだろ?」
図星だった。
身体は、正直だった。
彼を、もっと、求めている。
私が声にならない声で頷くと、アレクは「良い子だ」と囁き、一気に、その全てを私の中に埋め込んだ。
「―――っ!」
痛みはない。
あるのは、身体の芯まで満たされる、圧倒的な充足感だけ。
彼は、昨夜よりもずっとゆっくりと、確かめるように、動き始めた。
「おはよう、アリア。…俺の、愛しい花嫁」
彼の囁きと、身体が擦れ合う甘い水音だけが、静かな寝室に響き渡る。
窓の外で、小鳥がさえずる声が聞こえた。
なんて、淫らで、なんて幸せな朝なのだろう。
私の人生で、一番美しい朝だった。
26
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
〖完結〗旦那様には本命がいるようですので、復讐してからお別れします。
藍川みいな
恋愛
憧れのセイバン・スコフィールド侯爵に嫁いだ伯爵令嬢のレイチェルは、良い妻になろうと努力していた。
だがセイバンには結婚前から付き合っていた女性がいて、レイチェルとの結婚はお金の為だった。
レイチェルには指一本触れることもなく、愛人の家に入り浸るセイバンと離縁を決意したレイチェルだったが、愛人からお金が必要だから離縁はしないでと言われる。
レイチェルは身勝手な愛人とセイバンに、反撃を開始するのだった。
設定はゆるゆるです。
本編10話で完結になります。
真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?
ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」
建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。
だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。
「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」
宝石代、夜会費、そして城の維持費。
すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。
「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」
暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。
下着同然の姿で震える「自称・聖女」。
「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」
沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる