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第1章 異世界に転移しました
4.落とし物
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食事の後片付けをし、身だしなみを整えて旅の準備。
クローゼットにあった布製の背負い鞄に旅人と名乗っても不審がられないよう着替えや手拭き用の布を詰め、キッチンからは竹の水筒、リビングからはこれ見よがしに置かれていた発煙玉と呼び笛というのをすぐ取り出せるポケットに入れていく。
途中で魔物や盗賊が出たら使うものと鑑定に出て、そう言うのがいる世界なんだと実感した。
神具の懐中時計は鎖部分をベルトに巻いたうえで皮のズボンのポケットに。
最後に現金……を入れようとして、ようやくお金がどこにあるのかという疑問に至った。
「えー……?」
部屋の中に金庫はない。
ATMももちろん、ない。
こうなったら何としても現金に繋がるものを見つけねばと、部屋の中にあるものを片っ端から鑑定したところ、寝室のクローゼットの奥に「僧侶のグローブ」という装備品があることが判明した。
指の付け根から手首までを覆う、右手の分しかないそれの甲に刻まれた紋章が正教会に所属する僧侶という身分を証明するものだから、常に肌身離さず装備しておけと、なんと手書きのメッセージカードが添えられていた。
「まさかリーデン様の直筆……?」
カードを置いておくぐらいなら最初から説明してくれたらいいのでは。
メッセージカードを机の上に置いて、グローブを鑑定……しようとして気付いた。
「もしかして家中を鑑定させてスキルを使うのに慣らさせるのが目的だったり……?」
鑑定で生存率が上がると説明があったし、情報量は練度に依存ともあった。
つまりそういうことな気がする。
「なんだかなぁ」
雑なのか優しいのか、どちらだ。
思わず笑ってしまいながら、鑑定で出た情報を確認すると、この紋章は身分証であると同時に日本のマイナンバーカードみたいな個人番号も加工して組み込まれているから、印鑑やキャッシュカードの役割も果たすし、大きな宿屋や商店ならこれで清算も出来るそうだ。
そして現金を引き出す場合は、どの街にもある各種ギルドの受付で申請したらいいだけ。
口座残高は所有者本人にしか見えず、不足していれば精算時に判る。
「700万円あればしばらくは大丈夫かな」
普通は冒険者なら冒険者ギルド、商人なら商業ギルドなど、所属しているギルドでしか出来ないことだが、正教会の僧侶だけはどこでも構わないらしい。
さすが主神を信仰する組織だ。
そうこうして支度を整え、神具を片付け、いよいよ出発。
懐中時計が示す通り、東に向かって移動を開始した。
不思議なもので、行先の見えない旅の始まりだというのに全くと言っていいほど進路に不安を感じない。
予感と言うべきか、この先にはちゃんと街がある気がするからだ。
湖畔から東に歩き始めて約15分。
木々の連なりが途切れて視界が開けたと同時に大きな道に出た。道と行ってもアスファルトのそれではなく人や馬車が行き来して踏み固められたのだろう土の道だ。
「……左?」
予想して、懐中時計を確認。
針も左側を指していて嬉しくなる。
「どんな街なんだろ。何があるのかなぁ」
年甲斐もなくわくわくしながら先を進む。……いや、いまは12歳なのだから年相応だ。微妙なバラバラ感が気持ち悪くて身を捩り、早く心と体と魂が馴染みますようにと祈った。
それからしばらくは道の左側に林。
右側には見渡す限りの草原が続く。
「……見晴らしは良いし、林側に気を付けておけば大丈夫かな」
あえて声に出しながら草原に近い側道を歩くのは、未知との遭遇を楽しみにする反面、人気のない周囲の様子が胸ポケットに入れた発煙玉や呼び笛の存在を意識させたからだ。
腰に佩いた檜の棒。
左腕にバンドで固定した樫の盾。
皮の鎧は急所を守る胸当てと腰巻、ズボンも革製なので頑丈ではあるけど、もし盗賊や魔物が現れたら……と思うと楽観視は出来ない。
「魔法ってどうやって使うのか、もう少しちゃんと聞いてくるべきだったな」
手のひらを見つめながら考える。
食事するためにスパゲッティを茹でた時、電気の代わりが気になって鑑定を使ったことで魔素を消費していることが判った。
魔素は大気中に酸素同様当たり前に存在している元素で、これが濃い場所では魔法の威力が高まり、薄い場所では弱まるといった具合に効果を左右するそうだ。
あの神具『住居兼用移動車両』Ex.の使用エネルギーはほぼ百パーセント魔素だから、移動するようになってもガス欠の心配がないというのは理解したが、では「それを魔法に使うなら?」という疑問の答えにはならない。
「覚えるには勉強、勉強には……教科書? 魔法の教科書ってあるのかな」
あるとして、それはこれから向かう場所にあるだろうか。
「うーん……」
湧いてくる不安や焦燥感など今後の期待に比べれば僅かでしかないのに、そのほんの少しの負の感情が気持ちを落ち着かなくさせる。
(でも落ち着かないと)
そう考えた結果、歩きながら目につくすべてに鑑定を掛けていく事にした。
ちなみに鑑定はスキルなので魔法とは関係ないという。違いがよく判らないので、これについても要勉強である。
『パトゥリニヤ:状態「普通」。薬草の一種で根の部分に鎮痛効果がある。五本一束(相場:3ゴールド)で各ギルドが買い取っている。採取する時は根から掘り起こすこと。』
『エノント:状態「普通」。薬草の一種で葉の部分に解熱効果がある。五本一束(相場:5ゴールド)で各ギルドが買い取っている。採取する時は鮮度を保つため根から掘り起こすこと。』
『トゥルヌソル:観賞用の夏花。種は乾燥させると中身が食用になる。咲くまでまだ時間が掛かる。』
さすが異世界、聞いたことのない名前ばかりだが各ギルドが買い取っているという一文に特に心が惹かれた。これって僧侶が採取しても売れるだろうか。
生活する以上は働いて稼ぐあてが絶対に必要だ。
こちらの常識が不足している自分にも出来る仕事があるなら積極的に取り組むべきだろう。
「これも街で確認だな」
心のメモに刻んで、更に節操なく鑑定を繰り返す。
草花以外にもアリみたいな「フォルミ」という虫、蝶々みたいな「パピヨン」という虫。真っ赤な「ピロケット」という鳥もいた。
地球に居た何かと似ていて異なる、この世界の生き物たち。
魔法の本だけでなく図鑑なんかも欲しくなって来た。
「ん……?」
そうやって鑑定しながら歩いていたら、唐突に今までとは違う情報が表示される。
『落とし物:冒険者ギルドに所属するクルト・デガータのネームタグ。身分証紋が刻まれている』
「んん?」
落とし物はこうやって表示されるのかぁ……ではない。
「身分証紋って、これのことだよな……?」
右手のグローブに刻まれていて、リーデンが「肌身離さず身に付けろ」とわざわざメッセージカードまで書いて置いてあった、これ。
「……え、それを落としたの?」
印鑑でキャッシュカードでマイナンバーカード。
「これ絶対に落としちゃダメなやつだろ……⁈」
急いで鑑定情報が表示されている真下――林の足元に広がる草を掻き分けて見つけたのは、茶色の細い紐が付いた、長さ5センチくらいの銀色のネームタグだった。
オレンジ色で中心に聖母像みたいなイラストが描かれている正教会の紋と異なり、これは青色で、真ん中に描かれているのは剣と杖が盾をバックに交差している絵だ。
所属の違いがこういうところで判るらしい。
タグには此方の文字で「クルト・デガータ/銀級」と書いてある。念のために周囲に目を凝らしてみるけれど人の姿は皆無。耳を澄ませたところで声や草を掻き分けて探すような音も聞こえない。
「拾ったのが俺でよかったね。悪い奴に拾われたらどうなっていたか……」
問題はどこに届ければいいのか、だけど。
街に着いたらギルドで聞いてみればいいだろう、どのみち現金を下ろしに行くのだし。
そう結論付けて、今までより気持ち早めに歩いて街を目指した。
クローゼットにあった布製の背負い鞄に旅人と名乗っても不審がられないよう着替えや手拭き用の布を詰め、キッチンからは竹の水筒、リビングからはこれ見よがしに置かれていた発煙玉と呼び笛というのをすぐ取り出せるポケットに入れていく。
途中で魔物や盗賊が出たら使うものと鑑定に出て、そう言うのがいる世界なんだと実感した。
神具の懐中時計は鎖部分をベルトに巻いたうえで皮のズボンのポケットに。
最後に現金……を入れようとして、ようやくお金がどこにあるのかという疑問に至った。
「えー……?」
部屋の中に金庫はない。
ATMももちろん、ない。
こうなったら何としても現金に繋がるものを見つけねばと、部屋の中にあるものを片っ端から鑑定したところ、寝室のクローゼットの奥に「僧侶のグローブ」という装備品があることが判明した。
指の付け根から手首までを覆う、右手の分しかないそれの甲に刻まれた紋章が正教会に所属する僧侶という身分を証明するものだから、常に肌身離さず装備しておけと、なんと手書きのメッセージカードが添えられていた。
「まさかリーデン様の直筆……?」
カードを置いておくぐらいなら最初から説明してくれたらいいのでは。
メッセージカードを机の上に置いて、グローブを鑑定……しようとして気付いた。
「もしかして家中を鑑定させてスキルを使うのに慣らさせるのが目的だったり……?」
鑑定で生存率が上がると説明があったし、情報量は練度に依存ともあった。
つまりそういうことな気がする。
「なんだかなぁ」
雑なのか優しいのか、どちらだ。
思わず笑ってしまいながら、鑑定で出た情報を確認すると、この紋章は身分証であると同時に日本のマイナンバーカードみたいな個人番号も加工して組み込まれているから、印鑑やキャッシュカードの役割も果たすし、大きな宿屋や商店ならこれで清算も出来るそうだ。
そして現金を引き出す場合は、どの街にもある各種ギルドの受付で申請したらいいだけ。
口座残高は所有者本人にしか見えず、不足していれば精算時に判る。
「700万円あればしばらくは大丈夫かな」
普通は冒険者なら冒険者ギルド、商人なら商業ギルドなど、所属しているギルドでしか出来ないことだが、正教会の僧侶だけはどこでも構わないらしい。
さすが主神を信仰する組織だ。
そうこうして支度を整え、神具を片付け、いよいよ出発。
懐中時計が示す通り、東に向かって移動を開始した。
不思議なもので、行先の見えない旅の始まりだというのに全くと言っていいほど進路に不安を感じない。
予感と言うべきか、この先にはちゃんと街がある気がするからだ。
湖畔から東に歩き始めて約15分。
木々の連なりが途切れて視界が開けたと同時に大きな道に出た。道と行ってもアスファルトのそれではなく人や馬車が行き来して踏み固められたのだろう土の道だ。
「……左?」
予想して、懐中時計を確認。
針も左側を指していて嬉しくなる。
「どんな街なんだろ。何があるのかなぁ」
年甲斐もなくわくわくしながら先を進む。……いや、いまは12歳なのだから年相応だ。微妙なバラバラ感が気持ち悪くて身を捩り、早く心と体と魂が馴染みますようにと祈った。
それからしばらくは道の左側に林。
右側には見渡す限りの草原が続く。
「……見晴らしは良いし、林側に気を付けておけば大丈夫かな」
あえて声に出しながら草原に近い側道を歩くのは、未知との遭遇を楽しみにする反面、人気のない周囲の様子が胸ポケットに入れた発煙玉や呼び笛の存在を意識させたからだ。
腰に佩いた檜の棒。
左腕にバンドで固定した樫の盾。
皮の鎧は急所を守る胸当てと腰巻、ズボンも革製なので頑丈ではあるけど、もし盗賊や魔物が現れたら……と思うと楽観視は出来ない。
「魔法ってどうやって使うのか、もう少しちゃんと聞いてくるべきだったな」
手のひらを見つめながら考える。
食事するためにスパゲッティを茹でた時、電気の代わりが気になって鑑定を使ったことで魔素を消費していることが判った。
魔素は大気中に酸素同様当たり前に存在している元素で、これが濃い場所では魔法の威力が高まり、薄い場所では弱まるといった具合に効果を左右するそうだ。
あの神具『住居兼用移動車両』Ex.の使用エネルギーはほぼ百パーセント魔素だから、移動するようになってもガス欠の心配がないというのは理解したが、では「それを魔法に使うなら?」という疑問の答えにはならない。
「覚えるには勉強、勉強には……教科書? 魔法の教科書ってあるのかな」
あるとして、それはこれから向かう場所にあるだろうか。
「うーん……」
湧いてくる不安や焦燥感など今後の期待に比べれば僅かでしかないのに、そのほんの少しの負の感情が気持ちを落ち着かなくさせる。
(でも落ち着かないと)
そう考えた結果、歩きながら目につくすべてに鑑定を掛けていく事にした。
ちなみに鑑定はスキルなので魔法とは関係ないという。違いがよく判らないので、これについても要勉強である。
『パトゥリニヤ:状態「普通」。薬草の一種で根の部分に鎮痛効果がある。五本一束(相場:3ゴールド)で各ギルドが買い取っている。採取する時は根から掘り起こすこと。』
『エノント:状態「普通」。薬草の一種で葉の部分に解熱効果がある。五本一束(相場:5ゴールド)で各ギルドが買い取っている。採取する時は鮮度を保つため根から掘り起こすこと。』
『トゥルヌソル:観賞用の夏花。種は乾燥させると中身が食用になる。咲くまでまだ時間が掛かる。』
さすが異世界、聞いたことのない名前ばかりだが各ギルドが買い取っているという一文に特に心が惹かれた。これって僧侶が採取しても売れるだろうか。
生活する以上は働いて稼ぐあてが絶対に必要だ。
こちらの常識が不足している自分にも出来る仕事があるなら積極的に取り組むべきだろう。
「これも街で確認だな」
心のメモに刻んで、更に節操なく鑑定を繰り返す。
草花以外にもアリみたいな「フォルミ」という虫、蝶々みたいな「パピヨン」という虫。真っ赤な「ピロケット」という鳥もいた。
地球に居た何かと似ていて異なる、この世界の生き物たち。
魔法の本だけでなく図鑑なんかも欲しくなって来た。
「ん……?」
そうやって鑑定しながら歩いていたら、唐突に今までとは違う情報が表示される。
『落とし物:冒険者ギルドに所属するクルト・デガータのネームタグ。身分証紋が刻まれている』
「んん?」
落とし物はこうやって表示されるのかぁ……ではない。
「身分証紋って、これのことだよな……?」
右手のグローブに刻まれていて、リーデンが「肌身離さず身に付けろ」とわざわざメッセージカードまで書いて置いてあった、これ。
「……え、それを落としたの?」
印鑑でキャッシュカードでマイナンバーカード。
「これ絶対に落としちゃダメなやつだろ……⁈」
急いで鑑定情報が表示されている真下――林の足元に広がる草を掻き分けて見つけたのは、茶色の細い紐が付いた、長さ5センチくらいの銀色のネームタグだった。
オレンジ色で中心に聖母像みたいなイラストが描かれている正教会の紋と異なり、これは青色で、真ん中に描かれているのは剣と杖が盾をバックに交差している絵だ。
所属の違いがこういうところで判るらしい。
タグには此方の文字で「クルト・デガータ/銀級」と書いてある。念のために周囲に目を凝らしてみるけれど人の姿は皆無。耳を澄ませたところで声や草を掻き分けて探すような音も聞こえない。
「拾ったのが俺でよかったね。悪い奴に拾われたらどうなっていたか……」
問題はどこに届ければいいのか、だけど。
街に着いたらギルドで聞いてみればいいだろう、どのみち現金を下ろしに行くのだし。
そう結論付けて、今までより気持ち早めに歩いて街を目指した。
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