悲しき兄妹

福猫

文字の大きさ
4 / 8

第4話

しおりを挟む
「あの?大さん、どうしたんですか?」

抱きしめられながら五郎が問いかけると「すまない」と言って大が離れた。

「多輝は俺の知っている多輝じゃないんでしょうか?」

五郎は悲しげな顔で大を見つめた。

大は真剣な顔で「五郎の知っている多輝じゃない、五郎は嫌かもしれないが多輝と戦うことになる」と答えた。

「そんな…」

2度目のショックに五郎は大に背を向け「1人にしてください」と口にした。

「わかった」

大は歩きドアに近づき屋上から出るとドアを閉めそのまま立ち尽くした。

曇りの空を見つめながら五郎は立ち尽くした。

「多輝…お兄ちゃんが助けてやるからな」

その時、雨が降り出し五郎は濡れながら立ち尽くした。

五郎が気になり大が少しドアを開くと雨に濡れながら立ち尽くしている五郎に驚き大は五郎に近づき屋上から離れさせた。

「雨に濡れて何してんだ」

「大さん、手分けして多輝を探しましょう」

「手分けして探すのは危険だ」

「俺は魔法使いです」

真剣な顔で大を見つめると五郎は階段をおりていった。

「しょうがないな」

大はその場から姿を消した。

外に出た五郎は雨に濡れながら歩き始めた。

その頃、多輝も別の道を傘をさしながら歩いていた。

3時間後、五郎と多輝は再会した。

「多輝!」

「……」

五郎と多輝は向かい合って立ち止まり見つめ合った。

「多輝!」

「お兄ちゃん」

傘をさしながら多輝は五郎に近づき五郎にさしながら「白のダイヤ、持ってる?」と問かけた。

五郎は「持っていた」と答えた。

「持っていた?今は持ってないの?」

「多輝、お前を助けるために俺は魔法使いになった」

「お兄ちゃんもなったんだ」

「多輝、俺と一緒に家に帰ろう」

五郎が手を差し出すと多輝は五郎の手を握り微笑んだ。

「多輝?」

「白のダイヤを持ってないなら私の邪魔をしないで」

五郎の手を握ったまま傘を持っている手を離すと小さなナイフで五郎の腹を刺した。

「多輝……」

「……」

無言のまま多輝は五郎の手を離し倒れる五郎を見つめた。

その頃、多輝は五郎に背を向け歩き出した。

30分後、五郎は救急車で病院に運ばれた。

その後、五郎は手術を受け五郎の命は助かった。

五郎は病室に運ばれベッドで眠っていた。

「……」

そして眠っている五郎の病室に人間に変身した金猫が現れた。

金猫はベッドに近づき白のダイヤを出現させるとそのまま眠っている五郎の身体の中に送り込んだ。

5秒後、五郎が目を覚ました。

「目が覚めたか」

人間の金猫が声をかけると五郎は身体を起こし無言で見つめた。

「……」

「何だ」

「誰?」

「俺は…」

「具合はどうですか」

担当医師が現れると人間の金猫は五郎をお姫様抱っこしそのまま病室から姿を消した。

担当医師は驚きで立ち尽くした。

ー五郎と多輝が住む家ー

五郎の部屋に姿を現した人間の金猫は五郎をベッドに座らせ人間から金猫に戻った。

「人間に変身できんるですね」

ベッドに座りながら五郎が声をかけると「人間が俺の本当の姿だ」と金猫は答えた。

「人間が本当の姿なら何で金猫に」

「黒の魔法使い達の行動を調べるのに金猫が良いんだ」

「そうなんですか」

「俺のことよりお前の心は大丈夫か?」

「……」

金猫の言葉に五郎は悲しい顔でうつ向いた。

金猫は再び人間の姿に変身し五郎の側に座り無言で五郎を抱きしめた。

「……」

「……」

無言で金猫は五郎を抱きしめ五郎は金猫に抱きしめられ30分後、大美と大が現れた。

人間の金猫は慌てて五郎から離れベッドから立ち上がり背を向けた。

その姿を見て大美が「大、五郎さんをお願い、金猫、ちょっと」と言って部屋を出ていき金猫も部屋を出た。

その後、大美は多輝の部屋を借り金猫と共に中に入った。

その頃、大はうつ向いている五郎の側に座り無言で五郎を見守った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜

中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」 大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。 しかも、現役大学生である。 「え、あの子で大丈夫なんか……?」 幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。 ――誰もが気づかないうちに。 専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。 「命に代えても、お守りします」 そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。 そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める―― 「僕、舐められるの得意やねん」 敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。 その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。 それは忠誠か、それとも―― そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。 「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」 最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。 極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。 これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。

悪役Ωは高嶺に咲く

菫城 珪
BL
溺愛α×悪役Ωの創作BL短編です。1話読切。 ※8/10 本編の後に弟ルネとアルフォンソの攻防の話を追加しました。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

処理中です...