喋る3匹の猫と天才の健太

福猫

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最終話

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「……」

気配を感じ小梅が立ち止まると律と和香も立ち止まり律が声をかけた。

「小梅、どうした?」

「人間になっても猫の感覚があるんだろうな、健太の匂いがするんだ」

「本当か?」

律と和香が問いかけると小梅は頷いた。

同じ頃、健太は赤い花アネモネの中で松本智弘に身体を奪われ続けていた。

「……」

顔をそらしながら健太は目を閉じ我慢し続けた。

「健太、小梅と律と和香が来ているよ」

「え!」

驚き健太が目を開くと松本智弘は健太の顔を小梅と律と和香の方に向かせ見せた。

「……」

健太は驚きながら見つめた。

「今の姿を小梅と律と和香が見たらどう思うかな」

「小梅達に見せないよな」

「どうしようかな」

「最低だなお前」

「本当、最低だな智弘」

「誰だ」

声に向かって松本智弘が叫ぶとピンクの髪にピンクの瞳にピンクの私服、ピンクの宝石ローズクォーツのネックレスを身につけた男性が現れた。

松本智弘は健太から離れ立ち上がり口を開いた。

「誰だ、お前」

「長尾健太さんに夢中で俺のこと忘れたか」

「……」

「思い出せないか」

「……」

「……」

男性は松本智弘に近づき口を開いた。

「俺はお前が発明して生まれたローズだ」

「ローズ…」

「思い出したか」

「……」

ローズと松本智弘は見つめ合った。

健太は身体を起こしローズと松本智弘の姿を見つめた。

ローズは松本智弘から目線をそらし健太に近づいた。

「智弘に代わって謝ります、ゴメンなさい」

健太の左右の手首の紐を外しながらローズが口にすると健太が口を開いた。

「あなたに謝られても俺の心と身体は癒されません」

「そうだよね」

「俺は松本智弘を許さない」

そう言って健太は立ち上がりローズも立ち上がった。

健太はズボンを穿きローズに向かって口を開いた。

「俺をここから出してください」

「ゴメンなさい、俺にそんな力はありません」

「……」

健太は松本智弘に近づき口を開いた。

「俺をここから出してください」

「嫌だと言ったら?」

「……」

健太は無言で松本智弘の頬を叩いた。

「何すんだ」

「……」

松本智弘と健太は睨み合った。

その時、赤い花アネモネの景色が消えた。

小梅と律と和香は突然、現れた健太と松本智弘とローズに驚いた。

「健太!」

小梅と律と和香が叫ぶと健太は振り向き近づいた。

小梅と律と和香は引き裂かれた健太の上服を見て怒りが混み上がり松本智弘に向かって口を開いた。

「健太の身体を奪ったのか」

「あぁ、奪ってやった」

「貴様…」

松本智弘の言葉に小梅と律と和香の怒りは爆発し殴りかかった。

その姿を見て健太は「小梅、律、和香、やめろ」と叫んだ。

その叫びに小梅と律と和香には届かず松本智弘と激しい喧嘩を始めた。

「喧嘩は…ダメだ…」

小梅と律と和香の姿を見つめながら健太の目から1粒の涙が流れた。

その時、1粒の涙が水晶に変わった。

健太は驚いた。

水晶は小梅と律と和香に向かって光の光線を放った。

その光線を受けた小梅と律と和香は突然、苦しみだし松本智弘は驚いた顔で見つめた。

「何だ」

「うあああ」

「うあああ」

「うあああ」

小梅と律と和香は叫び続けた。

「小梅!律!和香!」

心配そうな顔で健太が見つめると小梅と律と和香の身体からピンクの宝石ローズクォーツと銀色の宝石と金色の宝石が現れた。

その後、小梅は三毛猫、律は灰色のハチワレ猫、和香は茶トラ猫に戻り倒れた。

ピンクの宝石ローズクォーツと銀色の宝石と金色の宝石は水晶に近づき1つになった。

健太は水晶に触れた。

「……」

水晶から手を離し健太はローズに向かって口を開いた。

「あなたも水晶に触れてください」

「俺も?」

「……」

健太が頷くとローズは水晶に近づき触れた。

「ローズ」

松本智弘が声をかけるとローズは手を離し松本智弘に近づいた。

「水晶の命令を受けた」

「命令?」

「その命令に俺は従う」

「その命令とは何だ」

「……」

松本智弘に顔を近づけローズは唇を重ねた。

その後、ローズは唇を離し松本智弘を見つめながら口を開いた。

「水晶に触って俺は力を得た」

「力?」

「智弘、お前の天才の力を消した」

「何だと」

「天才にならなくても普通の知能で良いじゃないか」

「ローズ」

「俺は天才の智弘より普通の知能の智弘が好きだ」

「ローズ…」

松本智弘とローズは見つめ合った。

手を差し出しながらローズが口を開いた。

「智弘、やり直そう」

松本智弘はその手を掴み「ローズ、やり直そう」と言って松本智弘とローズはその場から消えていった。

「どうなってんだ」

松本智弘とローズがいなくなり健太が立ち尽くしていると宙に浮いている水晶が語りかけてきた。

「……」

健太は無言で左右の手のひらを差し出した。

水晶は手のひらに落ち水晶から紐が現れネックレスに変身した。

健太はネックレスを掴み身につけた。

その時、三毛猫の小梅と灰色のハチワレ猫、律と茶トラ猫の和香が立ち上がった。

「小梅、律、和香」

健太が近づくと小梅が口を開いた。

「松本智弘は?」

「ローズと一緒にどこかに消えていった」

「俺達、猫に戻ったんだな」

「俺が人間にしてやる」

「健太」

「小梅、律、和香、別荘に帰ろう」

「あぁ」

小梅が返事をし律と和香が頷くと健太と小梅と律と和香は別荘に向かって歩き出した。

ー1年後ー

別荘の発明部屋で健太は水晶を使った発明をしていた。

その時、ノック音がした。

発明をしながら「どうぞ」と健太は返事をした。

ドアが開き水晶のネックレスを身につけた白と黒と茶色の髪に白と黒と茶色の私服に白と黒と茶色の尻尾が生えた人間、小梅が現れた。

「健太、ご飯が出来たぞ」

「わかった」

発明を止め椅子から立ち上がると健太と小梅は部屋を出ていきダイニングに向かった。

ダイニングでは水晶のネックレスを身につけた灰色と白の髪に灰色と白の私服、灰色と白の尻尾が生えた人間、律と水晶のネックレスを身につけた茶色の髪に茶色の私服、茶色の尻尾が生えた人間、和香が席に着きながら待っていた。

「律、和香、おはよう」

「おはよう」

「おはよう」

律と和香が挨拶をすると健太と小梅も席に着き食事を始めた。

水晶によって天才の中の天才になった健太は食事を終え依頼者から頼まれている発明品を作りに発明部屋に向かった。

       完結
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