放課後の恋

第5話

「そんなに怖い顔をして幽霊の渚君、どうしたのかな」

「……」

笑みを浮かべ見つめる司に幽霊の渚は握りこぶしを作りそのまま司の顔を殴り司は倒れた。

司は身体を起こし立ち上がると「何、するんだ」と言って険しい顔で見つめた。

渚は司に近づき口を開いた。

「夏生を俺のように苦しめたらお前を呪ってやる」

「……」

司と渚が睨み合ってる頃、直人は自宅の寝室で全裸姿の夏生の身体に服を着せ下着のパンツとズボンを穿かせベッドに寝かせた。

その後、直人はベッドに座り見守った。

「連絡したほうが良いよな」

直人は警察服のポケットからスマホを取り出し上司に連絡をした。

「……」

目を覚ました夏生は身体を起こし電話で会話している直人を見つめた。

「落ち着いたらすぐに戻ります」

スマホを切り直人がスマホをポケットの中に入れると夏生が声をかけた。

「直人さん」

「夏生さん！」

直人は夏生を見つめた。

「大丈夫って聞いても大丈夫じゃないですよね」

「……」

夏生はうつ向き涙を流した。

「夏生さん…」

直人は夏生を抱きしめた。

「止めてください」

夏生は直人から離れ直人の家から裸足で出ていった。

ー寝室ー

「男性を抱きしめるなんてどうかしてるな」

ベッドから立ち上がり寝室から出ようとしたその時、直人は渚を見つめた。

その頃、夏生は裸足で街を歩き続けた。

「……」

「夏生！」

「……」

夏生は立ち止まり振り向いた。

女性は夏生に近づき向かい合った。

「靴を履かないで何してるの？」

「……」

「どうしたの？」

「誰ですか？」

「私よ、小松楓(こまつかえで)よ」

「楓！」

「私の家に行きましょう」

楓は夏生の手を掴み歩き出した。

1時間後、家に着いた楓は夏生を連れて家の中に入りリビングに連れて行った。

「ソファーに座って待ってて」

楓がいなくなると夏生はソファーに座った。

濡れたタオルを持って楓は夏生に近づき濡れタオルを渡した。

「床を汚しちゃったね、ゴメン」

「あとで拭くから良いわよ」

「……」

夏生は濡れタオルで汚れた左右の足を拭き始めた。

その後、夏生はタオルを渡しソファーから立ち上がった。

「どこ行くの？」

「家に帰るよ」

楓の問いにそう答えると楓が口を開いた。

「裸足で帰るき、明日、靴を買ってくるから今日は泊まりなさい」

「……はい」

夏生はソファーに座った。

「仕事、何してるの？」

「中学校の教師をしてたんだけど、いろいろあって辞めた、だから無職」

夏生がそう答えると楓が口を開いた。

「私、高校の教師をしてるの、良かったら高校で働かない？」

「急に行ってすぐに働けるのかな」

「私が紹介するから大丈夫よ」

「ありがとう、楓」

夏生は思った高校の教師なら司に会うことはないと。

翌日、夏生は楓が買った新しいスーツを着て靴を履いて楓と共に高校の学校に歩いて向かった。

ー高校の学校ー

楓は夏生を校長の元に連れて行った。

楓と夏生は校長と向かい合ってソファーに座った。

「電話で話した夏生よ」

「小松楓の父で校長をしています」

「……」

「楓から聞いています、今日からなれるまで楓と一緒に働いてください」

「よろしくお願いします」

校長に向かってお辞儀をすると夏生は楓と共に校長室を出ていった。

その後、夏生は楓と共に教室に向かい授業を始めた。

それから時間が過ぎ放課後になった。

夏生は1人、屋上に向かい風を感じた。

「この学校なら先生をやっていける」

「夏生」

「……」

夏生は振り向き渚を見つめた。

「渚！」

「探したぞ」

「同級生の小松楓に会ってこの学校で働くことになった、楓が教師で楓に会ったから再び教師の仕事ができた」

「……」

嬉しそうに語る夏生の姿に渚は近づき抱きしめた。

「良かったな」

夏生を抱きしめながら渚は見つめる楓と校長にありがとうと目でお礼をした。

楓で校長はその場から姿を消し渚は夏生を屋上で抱きしめ続けた。