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一部
*****と+++
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初めての感触だった。魔物を倒すなんて当たり前だった。奴らは生き物であっても俺たち人間に害のある殺さなくてはいけなくなるような相手。だが俺の目の前で血を噴出し終わり人の形を多少保っているこいつは人間だ。だが人間であって人間じゃないような気がした。
そうだこいつはクズだ。どうしようもない人間として最底辺の腐った存在。腐敗が始まってしまったのだから切り捨てなければならない絶対悪の存在である。
だがなぜ俺の体は震えているのだ。
肩を叩かれた。体は俊敏に反応し俺の手にはドンキーの使っていた机であろう場所からナイフを手に取り喉の突きつけるつもりが額の辺りに腕は上がり自分の声とは思えない薄汚い声がどこからか聞こえてくる。
「――おいおいどうした……大変だったんか」
全身真っ黒で右手で左肩を抑えていた。よくみれば顔に切り傷がいくつもあり自慢の細長い刃の剣を腰に付けているが半分程刃が無くなっていた。
「ユーゴさんはどうした?」
「……」
「死んだってのか? ブロンズ見習いを残してゴールドが死んだのかよ」
乾いた笑いをJは続けていた。俺だって壊れたいさ。だが俺の体は既に冷静状態になり脳はいつも以上に活発に活動していた気がした。
「一応捕まってた子達は馬車に移動させたがまだ半分は捜索し終わっていない、お前も頼むぞ」
「あぁ……」
Jは何も言わずにただ無言で部屋を出て行った。
そうだそういえば俺は誰かに呼ばれていたな。とりあえず立ち上がろう。それからだ。
どれぐらい歩いたか。体は疲労困憊。すでに限界を過ぎているせいか一歩踏み出すだけでも相当時間がかかっている。今目の前にやっと目的地にやってきたが既に意気が上がり吐き気がしてくる。
とにかくドアを開ける。
白い空間と共に異質な存在二人とあの少女があの時のまま寝転がっていた。
「――どうやら倒したみたいですね」
「それはよかった」
白い服の少女の横に同じく全身真っ白い男……いや少年というべきか。判断しかねる。
少年の顔は虚構で見えない。黒く、真っ黒く顔を認識する事を許されていないペンで塗りつぶされたような何かに隔てられていた。
「私の仕事も終わりましたし、後はそこの女の子を殺してください」
「なぜ?」
白い少女は無表情。そうだこの顔だ、一番怖いのは無表情で平気と人を殺せる。そんな奴が一番恐ろしいんだ。俺よりも年端も無い少女ですら……くそ俺が馬鹿みたいじゃないか。
「*****だめじゃないか彼はまだまだ準備できていないんだ」
「+++それは違うはたとえあなたが先に目を付けていたとしても今は違うのよ」
二人は言い争っている。最初にノイズが走るのはなぜだ。きっと名前の部分だ。そこだけが切り取られている。人間のできる業ではない。なら奴らは別次元……まさか魔人とかいうやつなのか。いやいやそんなの噂に過ぎない。ましてやほら吹きのような宗教団体が言ってることではないか。それならこの殺せといわれている少女の耳が長く魔法を使える事が問題だ。
いままでその存在は噂程度で本当にいるのかわからないエルフがいるんだ。亜人という存在がいる。これが問題なのだ。
「+++の言うとおりなのかも、仕方がないねあの人は神に近いんだし」
「いずれ戦うさ、でも今はすこしだけ傍観者ではなく協力者になりたいとは思ったんだけれどね」
「……、仕方がない今回で二度目なんだからね」
なぜだ俺はこいつらを知っている。以前に出合っている。
くそ耳鳴りがしてきた。
頭が痛い。
かち割れそうだ。
……。
耳鳴りが脳を支配した瞬間頭はまっさらになり自分が吐いているのに気づいたのはどれぐらいかかっただろう。
白い部屋は真っ黒になり少女は無事だった。
そうだこいつはクズだ。どうしようもない人間として最底辺の腐った存在。腐敗が始まってしまったのだから切り捨てなければならない絶対悪の存在である。
だがなぜ俺の体は震えているのだ。
肩を叩かれた。体は俊敏に反応し俺の手にはドンキーの使っていた机であろう場所からナイフを手に取り喉の突きつけるつもりが額の辺りに腕は上がり自分の声とは思えない薄汚い声がどこからか聞こえてくる。
「――おいおいどうした……大変だったんか」
全身真っ黒で右手で左肩を抑えていた。よくみれば顔に切り傷がいくつもあり自慢の細長い刃の剣を腰に付けているが半分程刃が無くなっていた。
「ユーゴさんはどうした?」
「……」
「死んだってのか? ブロンズ見習いを残してゴールドが死んだのかよ」
乾いた笑いをJは続けていた。俺だって壊れたいさ。だが俺の体は既に冷静状態になり脳はいつも以上に活発に活動していた気がした。
「一応捕まってた子達は馬車に移動させたがまだ半分は捜索し終わっていない、お前も頼むぞ」
「あぁ……」
Jは何も言わずにただ無言で部屋を出て行った。
そうだそういえば俺は誰かに呼ばれていたな。とりあえず立ち上がろう。それからだ。
どれぐらい歩いたか。体は疲労困憊。すでに限界を過ぎているせいか一歩踏み出すだけでも相当時間がかかっている。今目の前にやっと目的地にやってきたが既に意気が上がり吐き気がしてくる。
とにかくドアを開ける。
白い空間と共に異質な存在二人とあの少女があの時のまま寝転がっていた。
「――どうやら倒したみたいですね」
「それはよかった」
白い服の少女の横に同じく全身真っ白い男……いや少年というべきか。判断しかねる。
少年の顔は虚構で見えない。黒く、真っ黒く顔を認識する事を許されていないペンで塗りつぶされたような何かに隔てられていた。
「私の仕事も終わりましたし、後はそこの女の子を殺してください」
「なぜ?」
白い少女は無表情。そうだこの顔だ、一番怖いのは無表情で平気と人を殺せる。そんな奴が一番恐ろしいんだ。俺よりも年端も無い少女ですら……くそ俺が馬鹿みたいじゃないか。
「*****だめじゃないか彼はまだまだ準備できていないんだ」
「+++それは違うはたとえあなたが先に目を付けていたとしても今は違うのよ」
二人は言い争っている。最初にノイズが走るのはなぜだ。きっと名前の部分だ。そこだけが切り取られている。人間のできる業ではない。なら奴らは別次元……まさか魔人とかいうやつなのか。いやいやそんなの噂に過ぎない。ましてやほら吹きのような宗教団体が言ってることではないか。それならこの殺せといわれている少女の耳が長く魔法を使える事が問題だ。
いままでその存在は噂程度で本当にいるのかわからないエルフがいるんだ。亜人という存在がいる。これが問題なのだ。
「+++の言うとおりなのかも、仕方がないねあの人は神に近いんだし」
「いずれ戦うさ、でも今はすこしだけ傍観者ではなく協力者になりたいとは思ったんだけれどね」
「……、仕方がない今回で二度目なんだからね」
なぜだ俺はこいつらを知っている。以前に出合っている。
くそ耳鳴りがしてきた。
頭が痛い。
かち割れそうだ。
……。
耳鳴りが脳を支配した瞬間頭はまっさらになり自分が吐いているのに気づいたのはどれぐらいかかっただろう。
白い部屋は真っ黒になり少女は無事だった。
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