6 / 8
伍夜
しおりを挟む
*
「ふああ……!」
隣から響くレオンの盛大なあくびに、アルバートもつられてあくびがもれそうになった。奥歯を噛んで耐えれば、「なに変顔してんだよ」とからかわれる。
アルバートが家に帰りついたのは明け方だ。それから僅かな仮眠をとり、昼前には登城していた。百夜通いが始まって通常の勤務からは外されていたが、今日はシャルロットが郊外へ視察に行く予定なのだ。副師団長であるアルバートは、当然その護衛につき従わなければならず、連日の睡眠不足と疲労が残る体でエリオットにまたがっていた。
昼間に出かけるのはずいぶん久しぶりで、この一週間近くはほとんど寝て過ごしていた。眩い太陽に目を細めながら、砂利道を進んでいく。
アルバートとレオンが先頭に立ち、シャルロットを乗せた豪華な馬車が続いている。
久しぶりの仕事はアルバートの本来の立場を思い出させ、身を引き締めさせてくれた。間違っても自分の仕事は魔女のご機嫌とりではないのだ。王のため、国のため、民のために仕事をできる栄誉に、無意識のまま背筋を伸ばす。
「師団長こそあくびなんかして、昨日も遅くまで飲んでたんですか?」
アルバートの問いにレオンはニヤリと笑う。その実はわざわざ尋ねなくとも、朝一番に会った時の酒臭さで答えを知っていた。
「おう、その辺にいた宰相とか大臣とっ捕まえて宴会してたんだ」
「その辺にいたってなんですか……あんまり人様に迷惑をかけず、きちんと師団長としての自覚を持って節度ある振る舞いをしてください」
「俺に小言とはふてえ野郎だな。今度の訓練で徹底的にしごいて欲しいのか?」
「そういう脅し文句をつける前に、部下から小言を言われないように振る舞ってください」
真顔で答えれば、レオンが顔を歪める。貴方の方が変な顔ですよと返すのはさすがにやめた。
「そうやって人のことばっか言うがよ、アルこそ魔女様とはどうなんだよ。世界征服計画は進んでんのか?」
「……まだその話を聞きたがるんですか?」
「おいおい、まさか殿下と俺の苦労を忘れたのか?」
ニヤニヤと笑われ、腹の底から溜め息がもれる。下世話な話が好きなこの男は、なにかとアルバートとイザベラの関係を邪推したがった。こんな性格でよく近衛師団の、それも師団長にまでなれたなと、時おり不思議になるくらいだ。
「本当になんでもありませんよ。花束を喜んでもらえて、お茶に誘っていただいた。それだけです」
「ついでによけいなこと言って怒らせたんだろ」
「……なんでわかるんですか?」
「ああ~! やっぱり怒らせたか、お前!」
仰々しく天を仰がれる。その仕草に口をへし曲げた。
「自分が人付き合いの下手な方だという自覚はあります。それでも私は、なにも間違ったことは言ってません」
「アルは真面目すぎるうえ、融通きかずの堅物だからなあ。ちなみになんて言って怒らせたんだよ」
「……怒らせたというより、傷つけたという方が確かだと思います」
そうだ、確かにアルバートが傷つけたのだ。
血の気が失せ、小刻みに震えるイザベラを思い出す。そこには傲慢な魔女の面影など一切なかった。
彼女は息を潜め、気配を殺し、目の前の嵐をなんとかやり過ごそうとしていた。そうすることが体に刻まれた習性だと言わんばかりに見えた。
ギュッと手綱を握れば、エリオットが甲高く鳴く。アルバートを心配する声に、自分が深く考え込んでいたことに気づいた。アルバートの変化に気づいたレオンも、常の軽薄な雰囲気を消し、気遣わしげに覗き込んでくる。
「おい、大丈夫かよ。本当に魔女様となにがあったんだ?」
「……なんでもありません。それよりそろそろ目的地ですよ」
視線の先には小さな街が現れる。広大な森の前にポツンとあるそれが、北の町ラクリマだ。
魔女が住む北の森に隣接し、この辺りの土地を治めるジャービス家の屋敷も、ラクリマにあった。ジャービス家は長年魔女の監視と抑止を担ってきたなどと、勘違い甚だしい自負を持っている。おかげでアルバートが百夜通いに命じられた際は、──どこから聞きつけたのか──何故魔女の代行者たるジャービス家が勅命をくだされなかったのかと、怒り狂っていたのだ。
そんな事情もあり、なにかとやっかんで来るジャービス家と会うことは、アルバートにとって億劫なことのひとつであった。シャルロットやレオンもそれを知っているのか、町に入る前にシャルロットが乗る馬車へ呼ばれる。どうしたのかと向かえば、小窓の奥からシャルロットの鮮やかなブルーアイズが向けられた。
「ウィルソン、ここから先は君の護衛は必要ないよ。夜まで宿を借りて休んでいろ」
「ですが、殿下。私の職務は殿下をお守りすることです。城を離れられている今、殿下のお側を離れるわけにはいきません」
「そうは言うが、君は陛下のご指示で重要な任務についているところだろう。私に付き合わせたせいで今夜の百夜通いが失敗になれば大変だ。いいから今夜に備えてゆっくり休め」
「しかし……」
「いいから、これは命令だ。休むことはときに、戦うことよりも重要だろう」
穏やかに微笑まれ、それ以上何も言えなくなる。「かしこまりました」と言えば、満足そうに頷かれた。
「我々は夕方には町を出るが、お前はここから魔女の森に向かえ。得をしたな、今日の視察がラクリマで」
「はあ……」
「それじゃあな、ウィルソン。また明日」
それだけ言うと、アルバートをその場に残し、一行は早々と町に入ってしまった。ポツンと取り残されたアルバートは、彼らの後ろ姿を見送る。ただの一度も振り返らないレオンに、薄情者と怨嗟を送った。
とは言えこんなところでぼうとしていても仕方がない。諦めると、アルバートもエリオットから降り、手網を引きながら町へと進んだ。
この一週間、ラクリマは通り過ぎるばかりであり、そうでなくとも城務めのアルバートが、最果ての町へ来ることは滅多になかった。
形ばかり見慣れた町をキョロキョロと見回しながら進む。小さな町は、王都に比べれば活気は少なかった。それでも街道に並ぶ露店には、王都とは違う特色が見える。
石造りの町並みは温かなレンガによって照らされていた。整備された街道には、馬が少ない代わりに多くの露店が出ている。そのひとつひとつを興味深く眺めた。
途中で建物に取りつけられた細工の細やかなランプへと目が止まる。ランプは目の前の店だけでなく、様々な店や民家にも飾られていた。こんなもの昨日までもあっただろうかと見つめていれば、近くにいた露店の女主人が声をかけてきた。
「その服、アンタ近衛師団の人かい。さっきも軍服着た連中がぞろぞろ通ってったけど、まさか置いてかれたのか?」
「ああ、いや、自分は……」
怪しい人物だと思われたのかと慌てる。だが話好きなだけらしい女主人は快活に笑った。
「間抜けな兵隊さんだねえ。領主様の屋敷ならあっちだよ、今度は置いてかれないようにね」
「……お気遣い感謝する。だが私は、彼らとは別行動の予定なんだ」
「なんだい、仲間はずれかい?」
「そういうわけじゃないが……とにかく近くに宿はないか? 馬を預けられる場所もあると助かるんだが」
「それならこの先に馬宿があるよ」
詳しい道順を聞き、礼を言って離れようとする。その間際に例のランプへ目が止まった。
ラクリマは、ガラス細工の工芸品が有名だ。職人たちの技を惜しげなく使われた、薄いガラス細工のランプに火が灯れば、街道は艶やかに彩られることだろう。
「ああ、それは星祭りの準備だよ」
「星祭り?」
「ラクリマの伝統行事さ。都の兵隊さんでも聞いたことあるだろう?」
確かに噂では知っていた。ラクリマでは毎年、秋の中頃に小さな祭りが開かれるのだ。各家が扉の前にラクリマ伝統のランプを掲げ、太陽が沈むと火を灯す。星祭と呼ばれる理由は遠く離れた街から見るその光景が、まるで地上に落ちた星々の明かりに見えるからだ。祭りの起源は北の魔女への信仰心を示し、今後もラクリマやステラルクスを見守ってくださるよう祈るためだという。
そこまで考えて、あのふてぶてしい魔女の姿を思い出す。昨日までなら、ベッドに転がる尊大な様子が脳裏をよぎっていただろう。だが今ではどうしようと、泣き出す寸前まで怯えた姿を思い出してしまう。
彼女は今頃なにをしているのだろうか。彼女のために捧げられるこの祭りを楽しみにし、少しでも笑顔を取り戻してくれているといいが。
「星祭りは二週間後だよ。もし都合がつけられるなら兵隊さんも見においで。都の祭りほど派手じゃあないだろうが、一度見とく価値は絶対あるからね」
「きっと来れると思う。楽しみにしておこう」
そう言って、今度こそ気のいい女主人に別れを告げた。
しばらく行って、ランプを売っている店が多いことに気づく。店によってデザインが違い、ガラスの色も様々であった。土産としても売っているらしい。
ところで、光る苔が生えたあの家に、ランプの類はあっただろうか?
「ふああ……!」
隣から響くレオンの盛大なあくびに、アルバートもつられてあくびがもれそうになった。奥歯を噛んで耐えれば、「なに変顔してんだよ」とからかわれる。
アルバートが家に帰りついたのは明け方だ。それから僅かな仮眠をとり、昼前には登城していた。百夜通いが始まって通常の勤務からは外されていたが、今日はシャルロットが郊外へ視察に行く予定なのだ。副師団長であるアルバートは、当然その護衛につき従わなければならず、連日の睡眠不足と疲労が残る体でエリオットにまたがっていた。
昼間に出かけるのはずいぶん久しぶりで、この一週間近くはほとんど寝て過ごしていた。眩い太陽に目を細めながら、砂利道を進んでいく。
アルバートとレオンが先頭に立ち、シャルロットを乗せた豪華な馬車が続いている。
久しぶりの仕事はアルバートの本来の立場を思い出させ、身を引き締めさせてくれた。間違っても自分の仕事は魔女のご機嫌とりではないのだ。王のため、国のため、民のために仕事をできる栄誉に、無意識のまま背筋を伸ばす。
「師団長こそあくびなんかして、昨日も遅くまで飲んでたんですか?」
アルバートの問いにレオンはニヤリと笑う。その実はわざわざ尋ねなくとも、朝一番に会った時の酒臭さで答えを知っていた。
「おう、その辺にいた宰相とか大臣とっ捕まえて宴会してたんだ」
「その辺にいたってなんですか……あんまり人様に迷惑をかけず、きちんと師団長としての自覚を持って節度ある振る舞いをしてください」
「俺に小言とはふてえ野郎だな。今度の訓練で徹底的にしごいて欲しいのか?」
「そういう脅し文句をつける前に、部下から小言を言われないように振る舞ってください」
真顔で答えれば、レオンが顔を歪める。貴方の方が変な顔ですよと返すのはさすがにやめた。
「そうやって人のことばっか言うがよ、アルこそ魔女様とはどうなんだよ。世界征服計画は進んでんのか?」
「……まだその話を聞きたがるんですか?」
「おいおい、まさか殿下と俺の苦労を忘れたのか?」
ニヤニヤと笑われ、腹の底から溜め息がもれる。下世話な話が好きなこの男は、なにかとアルバートとイザベラの関係を邪推したがった。こんな性格でよく近衛師団の、それも師団長にまでなれたなと、時おり不思議になるくらいだ。
「本当になんでもありませんよ。花束を喜んでもらえて、お茶に誘っていただいた。それだけです」
「ついでによけいなこと言って怒らせたんだろ」
「……なんでわかるんですか?」
「ああ~! やっぱり怒らせたか、お前!」
仰々しく天を仰がれる。その仕草に口をへし曲げた。
「自分が人付き合いの下手な方だという自覚はあります。それでも私は、なにも間違ったことは言ってません」
「アルは真面目すぎるうえ、融通きかずの堅物だからなあ。ちなみになんて言って怒らせたんだよ」
「……怒らせたというより、傷つけたという方が確かだと思います」
そうだ、確かにアルバートが傷つけたのだ。
血の気が失せ、小刻みに震えるイザベラを思い出す。そこには傲慢な魔女の面影など一切なかった。
彼女は息を潜め、気配を殺し、目の前の嵐をなんとかやり過ごそうとしていた。そうすることが体に刻まれた習性だと言わんばかりに見えた。
ギュッと手綱を握れば、エリオットが甲高く鳴く。アルバートを心配する声に、自分が深く考え込んでいたことに気づいた。アルバートの変化に気づいたレオンも、常の軽薄な雰囲気を消し、気遣わしげに覗き込んでくる。
「おい、大丈夫かよ。本当に魔女様となにがあったんだ?」
「……なんでもありません。それよりそろそろ目的地ですよ」
視線の先には小さな街が現れる。広大な森の前にポツンとあるそれが、北の町ラクリマだ。
魔女が住む北の森に隣接し、この辺りの土地を治めるジャービス家の屋敷も、ラクリマにあった。ジャービス家は長年魔女の監視と抑止を担ってきたなどと、勘違い甚だしい自負を持っている。おかげでアルバートが百夜通いに命じられた際は、──どこから聞きつけたのか──何故魔女の代行者たるジャービス家が勅命をくだされなかったのかと、怒り狂っていたのだ。
そんな事情もあり、なにかとやっかんで来るジャービス家と会うことは、アルバートにとって億劫なことのひとつであった。シャルロットやレオンもそれを知っているのか、町に入る前にシャルロットが乗る馬車へ呼ばれる。どうしたのかと向かえば、小窓の奥からシャルロットの鮮やかなブルーアイズが向けられた。
「ウィルソン、ここから先は君の護衛は必要ないよ。夜まで宿を借りて休んでいろ」
「ですが、殿下。私の職務は殿下をお守りすることです。城を離れられている今、殿下のお側を離れるわけにはいきません」
「そうは言うが、君は陛下のご指示で重要な任務についているところだろう。私に付き合わせたせいで今夜の百夜通いが失敗になれば大変だ。いいから今夜に備えてゆっくり休め」
「しかし……」
「いいから、これは命令だ。休むことはときに、戦うことよりも重要だろう」
穏やかに微笑まれ、それ以上何も言えなくなる。「かしこまりました」と言えば、満足そうに頷かれた。
「我々は夕方には町を出るが、お前はここから魔女の森に向かえ。得をしたな、今日の視察がラクリマで」
「はあ……」
「それじゃあな、ウィルソン。また明日」
それだけ言うと、アルバートをその場に残し、一行は早々と町に入ってしまった。ポツンと取り残されたアルバートは、彼らの後ろ姿を見送る。ただの一度も振り返らないレオンに、薄情者と怨嗟を送った。
とは言えこんなところでぼうとしていても仕方がない。諦めると、アルバートもエリオットから降り、手網を引きながら町へと進んだ。
この一週間、ラクリマは通り過ぎるばかりであり、そうでなくとも城務めのアルバートが、最果ての町へ来ることは滅多になかった。
形ばかり見慣れた町をキョロキョロと見回しながら進む。小さな町は、王都に比べれば活気は少なかった。それでも街道に並ぶ露店には、王都とは違う特色が見える。
石造りの町並みは温かなレンガによって照らされていた。整備された街道には、馬が少ない代わりに多くの露店が出ている。そのひとつひとつを興味深く眺めた。
途中で建物に取りつけられた細工の細やかなランプへと目が止まる。ランプは目の前の店だけでなく、様々な店や民家にも飾られていた。こんなもの昨日までもあっただろうかと見つめていれば、近くにいた露店の女主人が声をかけてきた。
「その服、アンタ近衛師団の人かい。さっきも軍服着た連中がぞろぞろ通ってったけど、まさか置いてかれたのか?」
「ああ、いや、自分は……」
怪しい人物だと思われたのかと慌てる。だが話好きなだけらしい女主人は快活に笑った。
「間抜けな兵隊さんだねえ。領主様の屋敷ならあっちだよ、今度は置いてかれないようにね」
「……お気遣い感謝する。だが私は、彼らとは別行動の予定なんだ」
「なんだい、仲間はずれかい?」
「そういうわけじゃないが……とにかく近くに宿はないか? 馬を預けられる場所もあると助かるんだが」
「それならこの先に馬宿があるよ」
詳しい道順を聞き、礼を言って離れようとする。その間際に例のランプへ目が止まった。
ラクリマは、ガラス細工の工芸品が有名だ。職人たちの技を惜しげなく使われた、薄いガラス細工のランプに火が灯れば、街道は艶やかに彩られることだろう。
「ああ、それは星祭りの準備だよ」
「星祭り?」
「ラクリマの伝統行事さ。都の兵隊さんでも聞いたことあるだろう?」
確かに噂では知っていた。ラクリマでは毎年、秋の中頃に小さな祭りが開かれるのだ。各家が扉の前にラクリマ伝統のランプを掲げ、太陽が沈むと火を灯す。星祭と呼ばれる理由は遠く離れた街から見るその光景が、まるで地上に落ちた星々の明かりに見えるからだ。祭りの起源は北の魔女への信仰心を示し、今後もラクリマやステラルクスを見守ってくださるよう祈るためだという。
そこまで考えて、あのふてぶてしい魔女の姿を思い出す。昨日までなら、ベッドに転がる尊大な様子が脳裏をよぎっていただろう。だが今ではどうしようと、泣き出す寸前まで怯えた姿を思い出してしまう。
彼女は今頃なにをしているのだろうか。彼女のために捧げられるこの祭りを楽しみにし、少しでも笑顔を取り戻してくれているといいが。
「星祭りは二週間後だよ。もし都合がつけられるなら兵隊さんも見においで。都の祭りほど派手じゃあないだろうが、一度見とく価値は絶対あるからね」
「きっと来れると思う。楽しみにしておこう」
そう言って、今度こそ気のいい女主人に別れを告げた。
しばらく行って、ランプを売っている店が多いことに気づく。店によってデザインが違い、ガラスの色も様々であった。土産としても売っているらしい。
ところで、光る苔が生えたあの家に、ランプの類はあっただろうか?
0
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる