嫁にまつわるエトセトラ

香野ジャスミン

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弟ポジション15

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央はもっと朔のことを知るために、聞いてみる。
「朔、前も話をしてくれたよね。
 お兄さんたちが朔をここに住まわせるきっかけってご両親とかのことだけなの?」

朔は、央の追及にたじろぐ。
央も少し朔の引いた様子を逃がさないように手を引っ張り自分の元から離さないようにする。

リビングのソファが目に入り、央は朔をソファまで誘導する。
朔はいつものように自分が先に座ろうとするので、央が思いっきり朔を引っ張り自分が先に腰を落とす。
「・・・央。これだと、私は央をつぶしてしまいます」

「フフフ。
 そんなに僕もひ弱ではないよ。潰れない」

央がソファに深く座って足の間に朔がソファの上で膝をついた状態になっている。
「朔、もう一度、聞くね。ここに住むきっかけはご両親のことだけなのかな?」

朔は沈黙している。
しばらくして
「それは、まるで他の理由もあるように聞こえるのですが…」

央は目を離さずにもう一度、聞く。
「そうだね。僕は、そう聞こえるように言っているつもりだよ。
 朔が自分の話をあまりしてくれないからね。
 どこまで教えてもらっているのか、僕、正直に言ってわからないよ。
 他に理由、ある?」

朔は、央の目を見るような、でも、何か彼の中で色々と考察しているのだろう。

央は朔の腰を自分の元に抱き寄せ、彼のお腹の辺りに頬を寄せる。
「もし、僕のできることがあるなら朔にはしておきたい。
 後悔するのは嫌だもん。
 朔も一緒でしょ。
 僕のことになるといつも普通じゃなくなる。
 ・・今、僕はどういう気持ちか分かる?」

朔は、自分を見上げるように表情を伺う央の耳の横に流れる髪を指先で耳の後ろに流すように触ってくる。

央は耳を触られると身体の奥からぞくぞくと震えが湧いてくる感覚に囚われる。


快感に震え、それを抑えようとする様子を朔は見て、クスリと心が和む。

「そうですね。
 私のことはこのソファーでも知らせましたが、やはり詳しく話しておくのが一番なのでしょう」

「私の一人暮らしは両親のことが一番ですが、その次に、安全な場所の確保でもあります」

安全な場所・・・ってことは、逆に安全ではなかった場所にいたってことでは…

「あぁ、私には特にこれと言って何もありません。
 今のところは…
 ですが、一番上の兄がそうではないのです」

央は衝撃の話で思わず、声を出す。
「えっ」

驚いた央を今度は自分の膝の上に乗せ、結局いつもの大勢に座る。
向かい合う朔は、央の手の平を自分の手に乗せ、自分を落ち着かせるかのように、握っていく。

「兄が生まれた時、親は初めての我が子にもかかわらず、家に使用人を雇い、押し付け、そのまま2人また仕事に戻ったようです。
 あくまでも、これは聞いた話なので、どこまでが本当かわかりません。
 雇われた使用人は必要な場所に必要な人数いた。
 ただ、その業務を監督する家主はずっと不在である。
 報告は行っていたのかわからない。
 ただ、信頼関係も築くことなく監督する人間もいない。
 給料をもらっている手前、仕事は完ぺきではあるがそれ以上のこともしない。

 子どもはどう育つでしょう。

 愛情を与えられることもなく、ただ生かされているようなものでした。
 兄は生まれた時から、とても可愛らしい美しい顔でした。
 その子どもは放置されて育ったわりにとてもよく笑い、人懐っこい良い子どもに育ちました。
 そうなってくると、だんだん放置されていた存在でも、中には優しく接する者もでてきました。
 優しく接してくれる者の中に、我が子にしようと考えたものがいたようです。
 ですが、放置ではあるが、警備はされていました。
 流石に、誘拐はできません。
 そのうち、企んでいることが表沙汰になりそうになり、その者はこともあろうか、兄に危害を加えようとしました。
 自暴自棄ですね。
 その時の状況は知らされていません。
 兄は片目を傷つけられました。
 今は再生されて完治していますが、その目の周りには傷が残っているそうです。
 犯人は捕まりました。

 ただ、精神疾患ですぐに不起訴となりました。

 この話は私が中学卒業時に蒔に教えてもらいました。
 実は、長兄とは久しく会ってません。
 メールは定期的に送ってますよ」

衝撃的な桐嶋家の実情はまだすべてではなかった。
「怪我をした兄を流石にそのままにしておくのは体裁がよくないですから、兄は寄宿舎のある学校に行くことになりました。

 そのころ、蒔はまだ小さかったそうです。
 結局、兄は一人、寄宿舎のある学校へ。
 蒔は一人で家にいることになりました。
 今度はさすがに放置はできません。
 人数を減らしてでも信頼できる人間を使用人として残しました。
 そうして、しばらくしたら、私が生まれました。
 どこで嗅ぎつけたのでしょう。
 例の犯人が私を狙っていると密告を受けたそうです。
 そのころ、両親の仕事上、敵対する者から弱みになるものをと、探りを入れられたりと、結構、家の中も休まりませんでした。
 私を狙っているのか分かりませんが、そのころ、不審者が捕まりました。

 弱みを握るため私の髪の毛を持ち出されそうになりました。
 鑑定をするつもりだったようです。
 不審者が捕まり、家の中も安らげません。
 長兄と次兄は私の安全を念のために最優先するためにここを用意してくれたのです。
 兄を傷つけた犯人は亡くなったと聞いてます。
 家族が一人、残っているとは、聞いてましたが…」

朔は淡々と自分のことなのに、どこか他人の目で見ている。
「私はここに越してきた時、結構自分の中では荒れていました。
 自分の境遇に流されるだけで悲劇のヒロインと思っていました。
 でも、幸運だったのは、央に会えたことです。
 そして、藤咲家のみなさんに受け入れてもらえたことです」

央はじっと聞いていた。

自分とは違う環境で育った朔。
それに、彼を守ろうとしてくれた長兄と次兄に感謝をしたいぐらいだ。
ふと、央は気になった。
「犯人の人は亡くなったのなら安心できるのかな?
 家族の人とか、逆恨みとかする人もいるって聞いたことがあるけど、想像のしすぎなのかな。
 確認できる人っていない?」

朔がしばらく考えて、
「今夜、写真を添付して一応、確認を取ってみましょうか?あの人も仕事中毒ですからね」

「蒔さんってそうなの?」

「いえ、一番上の兄です。あの人は集中すると返信は帰ってこないですからね」

あぁ、でも分かる。僕も色を塗るとき、そうだからね。
早く返事が来たらいいんだけどね。
「その一番上のお兄さんは何してる人なの?」

「詳しくは知らないんですよ。服飾関係って言ってましたけど。

 …央。心配してますよね」

朔がなんとも言えない複雑な顔をしている。
「こんな危ない人間は嫌ですか?」

…何?それ?

央は、急に胸の奥が冷たくなるのを感じた。
朔は僕が嫌うかもしれないので、今まで話をしなかったのだろう。
「…へぇ。僕ってあまり信頼されてなかったんだね」

そう言って央は朔の元から降りる。

様子のおかしい央に朔は自分が何を言ったのか思い出し慌てる。
朔は立ち上がって央のほうに向かう。
央は、近づく朔から離れようと後ろに下がる。
「央!そうではないのです。私が…臆病者なんです」

朔は続けて
「だってそうでしょう!?
 一緒にいればいるほど央を好きになる自分がいるんです。
 その央を失うかもしれないって思うだけで私は、自分が狂ってしまいそうです!」

「それって朔だけではないよ。
 僕だって朔を思う気持ちはだれにも負けない。
 朔が僕を救ってくれたように僕も、朔を救いたい。
 僕には、力が何もないから。それでなのか…」

自分で話をしながら納得した。
情けない…
涙が出てくる。
「・・・ごめん。ちょっと、カッとなった」

央は、自分の袖口で目元の涙をこすり、ふき取る。
泣き終わるまで朔はじっと央にかける言葉をまとめていた。
「央、抱きしめさせてください。
 そして、央から口づけをしてください。
 この、情けない私の支えになってください」

こすった目元が少しヒリヒリとしているが、央は朔の元にいく。
抱きしめられて、央はゆっくり朔にキスをした。
「好きなると、臆病にもなるね」

央は朔の唇を舌でチロチロと舐める。
顔の向きを変え、手を朔の顎の方に持っていき、支える。
央の舌は徐々に、朔の唇の奥へと進んでいく。

出会って、吸われたり、先の方で刺激をしあったり…
「ん…」

どれくらいの時間をしていたのだろう。
央の唇も朔の唇も赤くなっている。

央は、素直に
「はぁ。気持ちがいいね」

と、言う。

朔はその艶めいている唇を見て、
「もっと、味わいたい…」

それを聞いた央は、ボンっと顔を赤らめた。
「僕は食べても美味しくないので、食べないでね」

朔はほほ笑みながら
「気を付けておきますね。食べられないようにしてくださいね。央も」

あまり会ったことのない長兄にメールを送る。
彼は日本より海外で過ごすほうがいいようである。
日本には帰っても誰にも知らせることはしていないようである。

人嫌いである。

朔は長兄にメールを送り、返事をするように。
もしものために、日本でコンタクトのとれる人物を紹介してもらうように送った。

返事はすぐに来た。
央の不安が当たったのだった。
彼女は兄への危害を加えた犯人の家族だった。
ただ、朔が兄の弟であるとは知らないようである。
偶然である。
見た目も違うし、血縁とは思わない。

だが、彼女の思考は違ったようだ。

親の危害を加えた相手が、桐嶋。

そして自分が見つけた彼も調べてみれば 桐嶋。

奇跡、運命。彼女はそのあたりを加速させたのだろう。
確かに、彼女には何回か声をかけられたことがある。
朝の通学時に乗り物に乗る者は習慣で同じ場所に向かう傾向にある。

それは痴漢被害を調べるときに学んだことである。
兄からは事件の時にお世話になった探偵を紹介してもらった。
弁護士も知らせてもらった。
兄たちに対応してもらえるようにお願いしてみよう。

未成年であることを理由に頼み、後日、報告してもらうように頼んだ。
本当は把握していた方がいいのだろう。
ただ、それでは一緒にいる央が不安を膨らませるだろう。

「央、例の女性の件、対応を決めました」

ソファに座り、話を聞くため、朔は央を膝の上に横に座らせる。
「兄から連絡があり、彼女への対応を検討するとありました。
 こちらは未成年ですからね。大人にまかせておきましょう」

朔の話を聞き、まだ心配している央をゆっくりなだめる様に背中を擦る。
「すぐには、無理だと思います。
 反応をみて、本人の意識の改善もありますからね。
 まだ若いんですから、少し考えれば人生を棒に振ることはしません。
 ただ、警戒はしておきましょう」

ストーカーのことって、とても解決が難しいって聞く。
「うん。大きい事件とかにならないようにしたい。
 朔が傷つけられるのは嫌だ」

朔は央を抱き寄せ
「私も央が傷つけられると嫌ですよ。
 まず、そのようなことをした者には、使えるものを使って再起できないようにします。
 怖いですね」

・・・気持ちはわかるが、朔も、怖い…

朔が学校が始まる前に、一度利用する時間に電車に乗ることを練習しようと言ってくれた。
そして、電車に向かうホームの人の流れを央は冷静に見ている。
今までの利用していた時間より2本、乗る電車の時間を早めることにした。
混雑具合も密着するほどではない。
ただ、車両の出入り口は混みあっている。
そして人の流れを見ていた。

朔はそばで付き添う。
電車に乗り込んでからも注意をして周りを見る。
朔は、周りの様子で変わった動きをしている自分がいないか見る。

無事に学校の最寄り駅に到着しホッとする。
「やっぱり、電車から降りるまでは緊張するね。
 それに、2本早めただけでも、人は少なくなるね」

私服姿の朔と央は、自然と学校に足を向ける。
今日はまだ、人もすくないだろう。
朝の冷たい空気だが、2人でいると寒さも違って感じる。
「朔、あの女の人って、どんな時に声をかけてきた?」

朔は絞り出すように眉間にしわを寄せ、
「電車を降りるときや買い物をしているときは、会いました。
 たぶん、利用する電車は一緒です。
 本来の降りる場所が同じなのかはわかりません。
 ただ、駅から近いのにこの前、写真を撮るときは車でした。
 近いのか、遠くなのかわからないですね。
 待ち伏せでは寒い時、車の中で過ごすのも納得しますから」

計画してあの時、写真を撮ったのなら、どこまで行為を加速させていくのだろう。
制服で通っている学校はすぐに特定されるだろう。

制服かぁ

こうやって私服で学校に通うのは、今後、高校を卒業してからだろう。
「朔、大学生になっても、この道を二人で歩けるといいね」

朔は央の言葉を少し意地悪で返す。
「ひどいですね、央は。大学生だけじゃないですよ。
 大人になってもいろんな道を一緒に歩きましょうね。
 まるで、何かあったら歩けないかのようではないですか」

央は顔を真っ赤にして朝から通学路で想いを伝えられて慌てる。
「あ、えぇ。いや、そうじゃなくって、そう意味じゃなく…うぅぅ。
 …意地悪」

学校につき、職員室で簡単に練習を兼ねてきたことを伝え、学校を去ろうとしたら
「おぉい!桐嶋!藤咲!」

先生から呼び止められる。
「藤咲の目が戻ってきてるからって一人は何かと不安だろ。
 桐嶋、まだ藤咲につけるか?」

央は改めて先生に言われて朔の顔を見る。
「もちろん、そのつもりですよ。
 しばらくは一緒に登下校するつもりです。そうですよね」

朔は確かめるように央にたずねる。
「そうですね。
 先生。
 桐嶋くんが助けてくれるので安心して電車に乗れます」

これで、教師公認である。
今回のことで、朔はたぶん、来年の生徒会会長に推薦されるだろう。
自分は、どうなるかわからない。でも、経験者として手伝うことができる。
ただ、そばにいた場所に、他の誰かがいるようになるのは...

新学期直前、少しずつ、学校生活に戻る話が近づいてきた。

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