惹かれた君とこの先に

香野ジャスミン

文字の大きさ
33 / 45

33

休日のある朝。
ようやく生活が落ち着いたと思ってゆっくりと2人で寝ていたら、来客を知らせるベルが鳴った。
「モニターを見て来るよ」
篤紀の声に半分、寝ぼけていた俺は、モソモソとベッドから出て、彼の後を付いて行った。
眠たいままの俺は、篤紀がモニターの前で、誰かと会話をしていることも、気にせず、背中から抱き着いていた。
「…篤紀…誰か来たの?」
俺の言葉がミニター越しで聞こえたようで、その相手が、部屋に入れるように言っている。
「よくわかんないけど、こんな朝に来るんだから、大切なことなんじゃない?」
俺は、篤紀の返事も聞くこともなく、ソファまで行ってまた、寝ようとした。
その時は、玄関で篤紀が対応する要件だと思っていた俺。
数分後。
玄関のドアが開く音がしたまではよかった。
「え?いや、ちょっと、待ってください!!」
篤紀の慌てた声に、俺はその方向をみて固まった。

見たことのなる紳士が、俺を見て、嬉しそうにしている。
―誰?
でも、仕事で会ったことある…よな…

―!!??
俺は、今の自分の状況を見て、顔を真っ青にしていた。
「すみません!!
 俺、違う部屋に行ってます!!」
俺の慌てた様子を見て、追いかけてきていた篤紀が複雑そうな顔をしている。
「隼人…落ち着いて。
 今日は、休みだから、仕事関係の事は一切ないはずだよ?」
―!
それもそうだと、篤紀を見て、紳士を見る。
会社に何度か来ていた人で、俺はその人の対応をよくしていた。
まさか、この人が篤紀の父親だとは思ってもいなかった。
「初めまして、隼人君。篤紀の父です」
言われてみれば、似ている。
!!!!!
驚いている俺を喜んでいるようで
「篤紀の恋が実ったと田知花から聞いたらね。
 もう、息子がどんなにデレデレなのかと様子を見てみたかったんだよ…」
―デ?デレデレ?
篤紀を見ると、微妙な顔をしている。
対応に困っている様子も、また、見ていて楽しい。
「はぁ、良かった。
 お揃いのパジャマとか着ていたらどうしようとお父さん、ちょっと心配したんだよ?」
篤紀のお父さんは、両手に持っている紙袋から色々と弁当を持ってきている。
「どれがいいかわからないから、たくさん買っちゃった。
 どれも、手作りではないんだよ。
 隼人君が安心して食べれる物を持ってい来たからね」
こんな時間に、これだけの物を用意するのは、とても大変だ。
「あ、ありがとうございます」
俺は、頭を下げると、
「いやいや、そんな礼を言うぐらいなら、隼人君の入れるお茶が飲みたいなぁ…」
―そう言えば、会社に来た時も、この人は、お茶が飲みたいって言っていた。
いつものオネダリの仕方に、クスリと思わず、笑ってしまった。
どことなく、それが篤紀に似ていることに気付いた。
「では、着替えてから淹れますね。」

感想 1

あなたにおすすめの小説

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

恋愛速度【あっというまに始まった、おれと遊び人の先輩の恋の行方……】

毬村 緋紗子
BL
高校生になったばかりの千波矢は、2コ上の先輩、高城 慶と知り合う。 女の子にモテる慶は、これまでかなり派手に遊んできたらしい。 そんな慶から告白されて付き合いはじめた千波矢だったけれど、すぐに身体を求められて、戸惑い、思い悩んでしまう。 先輩は、本当におれのことが好きなのかな おれは、先輩に遊ばれてるだけなのかな──。 〈登場人物〉 瀧川 千波矢 タキガワ チハヤ 高1 高城 慶 タカシロ ケイ 高3 表紙イラストは、生成AIによる自作です。 エールをありがとうございます!(ω〃)

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

三ヶ月だけの恋人

perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。 殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。 しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。 罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。 それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。