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祭り⑥
目を覚ますと、パーティーハウスの天井だ。
体をよじるも不調はない。めまいはない。よし。
上着とズボンを脱がされている。母が脱がせてくれたんだろう。近くの椅子にかけられたズボンを穿いて部屋を出る。
「わお」
ビアンカとルージュが並んでいた。迫力満点。
『ユイ、やっと起きたのです』
『どう? 具合は? 魔力は回復しているようだけど』
「心配してくれたんね。ありがとう、もう大丈夫よ」
めまいもないし、とにかく空腹なだけ。
「優衣、起きたね。具合は?」
「姉ちゃん大丈夫な?」
ビアンカとルージュの向こうで、母と晃太が心配している。
「大丈夫よ。お父さんは?」
「今日はファベルさんの工房」
「そうね」
とりあえず居間に向かうと、花がお腹を出して大歓迎。あはははん、かわいか、毎朝これやけど、たまらん。
パーティーハウスの庭で遊んでいた元気達も、こちらに来る。
「ギャーッ」
泥まみれやねんっ。特に元気とコハクは、全身泥まみれやねんっ。
お腹空いているけど、ルームを開けてチーズクリームに直行。
「優衣、ご飯食べれる?」
元気とコハクのシャンプーを済ませると、母が食事の準備をしてくれていた。
時間を見たら、10時近い。ちょっと少なめのご飯とじゃがいものお味噌汁。
だが、頂く前に、神様にご報告。
神棚にもへじ生活の個包装のお菓子、バナナとリンゴ、キウイ、オレンジジュース、ストレートティーを並べる。
「神様、アドバイスいただきありがとうございます」
お疲れ様だったな
時空神様が労いの言葉。
いつか、お前の『神への祈り』の事を教えよう。今は始祖神様から口止めされているがな
「はい、ありがとうございます、時空神様。その時が来ればお願いします」
『神への祈り』
あれの発動条件がよく分からないんだよね。
目を開けると、お菓子、果物、ジュースが無くなっていた。
よし、今日は遅くなったけど、ご挨拶は済んだ。
遅めの朝御飯を食べている間に母がリンゴを剥いてくれる。
「優衣、シュタインさんは大丈夫なん? お父さんは大丈夫って言いよったけど」
剥いたリンゴを出してくれながら、母が聞いてくる。私はあの後やはり目を覚まさず、父が運ぼうとしたが無理で、結局ロッシュさんが背負ってくれたそうだ。ロッシュさんにお礼を言わないと。治療院の前で待っていたルージュは、やはり私の様子がおかしかったのに感づいて、入り口付近をうろうろし、警戒されまくっていたと。
「危機は脱したよ。後は中級ポーションで回復可能って」
「そうね」
「後で様子ば見に行ってくるね。次の依頼をどうするか相談せんといかんしね。ロッシュさんと話さんと」
私はリンゴを食べる。ノワールがブヒヒンと自己主張するので、残りはノワールが食べる。
食べてから支度だ。
昨日、汗だくだったのにそのまま寝たので、シャワーを浴びる。着替えて晃太とビアンカで治療院に向かう。
「なあ、姉ちゃん」
「ん?」
歩きながら、晃太が珍しく落ち込んだ様子で話し出す。
「昨日は、ごめんな、すぐに動けんやった」
「昨日? ああ、エリクサーの事?」
「うん。わい、ああ言うのダメやけん。吐きそうになった」
はあ、と息を出す晃太。
昨日のシュタインさんの状況に、血が苦手な晃太は完全に止まってた。仕方ない、普段から苦手なのに、あれは直視もできないくらいのものだったろう。
「仕方なかろう、大声出して叩いて私も悪かったね」
「ううん。それとな、他にもケガしとる人がおって何本か上級ポーション渡したんよ」
「よかよ、使わんと宝の持ち腐れや」
あの時の最も重症だったのはシュタインさんだった。後は上級ポーションでも対応できるケガだったようで、私がシュタインさんの処置中に、晃太が配って回ったそうだ。よく、動けたやん。
治療院に到着。
「ビアンカ、ごめんね。待っとって」
『いいのです』
私と晃太は受付で身分証を提示 個室に行くと、マアデン君とハジェル君が。
「あ、ユイさん」
マアデン君が気が付いてくれた。
「シュタインさん、どう?」
個室に招き入れてくれた。
父の鑑定によれば、明日くらいまでは眠気が強いようだけど。水分や柔らかい食事なら大丈夫だと出たと、言付かった母から聞いた。
シュタインさんの顔色は、随分いいし、呼吸も穏やかで眠っている。
「ちょっと起きたんですけどすぐに寝ちゃって」
「でも、回復の反動だろうって言われたっす。直に目を覚ますって言われたっす」
「そうやろうね。無理に起こさんで、起きた時に水分とったりしてね。食事は柔らかい物をね」
「はい」
「はいっす。でも、ユイさん、凄いっすね。シュタインさんの胸を押した時、格好良かったっす」
「前に、治療院で働いておったけんね」
嘘ではないしね。
シュタインさん寝てるし、あまり長居しないでおこう。
「また明日来るけんね。ロッシュさんと依頼の延期の話ばせんといかんし」
「はい、リーダーが来たら伝えておきます」
「ユイさん。ありがとうございました」
深く頭を下げるマアデン君とハジェル君に挨拶して、治療院を後にした。
午後からは母とパーカーさんのお店に行って、昨日の報告をした。
結局片付けをほぼしてもらったしね。
「そうですか。大変な事になっていると伺ってましたが。やはりミズサワさんのビアンカ様とルージュ様は凄いですね」
様、付きました。
昨日出た熊はやはり27階の熊。人が大勢いたので、ビアンカとルージュは大技は使わず撃退。まずルージュが光のリンゴを連打し、ビアンカがドラゴンの時のように首に噛みつき、半回転しながら、地面に叩きつけたと。一撃やん。
「あの、昨日の今日で申し訳ないのですが。ケイコさんに仕立ての依頼が来ておりまして…………」
パーカーさんによると、やはり、あの美魔女イザベラ様が一発で気に入ったワンピースが、あっという間に話題になってからの依頼だ。母としては、あまりガチに依頼を受けるのは躊躇われるようで、悩んでいる。あの年に一回のバザーくらいが、母的にはちょうどいいそうで。悩んで、結局お断りしていた。元々指名を受けれる職人ギルドランクでもないし。それを知った上での指名なので、断られても向こうは文句は言えないそうだ。それに、依頼が来ている布はダンジョン産だから、いつでも受けれる訳ではないしね。お断りする代わり、適宜パーカーさんのお店に、ダンジョン産の布を使った服をできる範囲で置く事に。
多分、依頼に来たと思われるご婦人がいたけど、ルージュがさりげなく遮ってくれた。
パーカーさん達に挨拶してパーティーハウスに戻る。
今日は大人しくしておこう。
私と母が出ていた後に、ロッシュさんが訪ねて来たそうだ。エリクサーの代金の支払いに来たそうだ。晃太が対応して、一旦帰ってもらったそうだ。夕方また来ますと。
ルームの台所で作業する。ニンジンの皮を剥き、母指定サイズにカット。ボウル一杯にいくつも作り、次に玉ねぎを手に取る。カットカット。晃太は仔達を中庭で遊ばせている。
『今日はなんなのです?』
『何かしら? いい匂いだわ』
ダイニングキッチンの境目でビアンカとルージュがそわそわ。かわいかね。
「今日は長崎皿うどんよ」
すでに母が調理に入っている。後は国産野菜を使用した冷凍食品だけど、美味しい餃子が次々にホットプレートで焼き上がる。ビアンカとルージュの皿に大量に長崎皿うどんと餃子が並び、母のアイテムボックスに。まだ、夕御飯には早いからね。
『ちょっと食べたいのです』
『1口、1口』
その1口が1人前やねん。
「昨日は大活躍やったからね」
母がそういって1人前ずつ並べる。
『あ、熱いのですっ』
『熱いわっ、でも、下のこれ、かりかりして美味しいわ』
私は少し、しなっとした所が好きなのよ。まあ、ビアンカとルージュはしなっとするまで、残ってないよね。
『ユイ、隙間に挟まったのです』
『私も、何か挟まったわ、取れないわ』
口をモゴモゴさせるビアンカとルージュ。もう家犬の家猫や。
「はいはい。ちょっと見せてん」
私はビアンカとルージュの歯をチェック。あはははん、凄か牙が並んどる。つま楊枝で、ちょいちょい。
それからおかわりコールが来るが残念だけど、母は笑って答えない。
仔達のご飯、ノワールのご飯も準備よし。父が帰って来るまでに、ある程度の食材をカット、片付けをする。
『あ、ユイ、雄が来たのです』
『ロッシュという雄よ』
「いらっしゃったね」
私は手を洗い、ルームを出て、パーティーハウスの玄関に。母とビアンカとルージュ、花まで続く。
御用聞きの冒険者さんとロッシュさんがいた。御用聞きさんには帰って頂く。
「クンクンッ」
花がロッシュさんの足にすがり付くので、母が抱き上げる。
「ロッシュさん、昨日は送ってもらったようで、お手数をかけました」
「いいえ、こちらがお礼を言わないといけないんです。本当にありがとうございます。おかげでシュタインが助かりました。仲間を救っていただいてありがとうございます。エリクサーの支払いに来ました」
「優衣、お金なんて取らんと。半分くらいしか残っとらんかったんやけん」
母がロッシュさんに向かって首を伸ばす花を抱え直す。
「そういう訳には行きません。貴重なエリクサーを与えて頂いたんです。本来なら、エリクサーなんて国や騎士団の上層部、上級貴族や冒険者が大枚叩いても、喉から手が出るほど欲しがるものなんですよ」
「お母さん、これはきっとけじめや」
「そうです。で、ユイさん、おいくら支払いをすれば」
「えーっと」
下級エリクサーは最低600万だったはず。残っていたのは半分。それと上級ポーション2本使った。それから緊急時だったことを踏まえて。
「400万、いただきます」
高いかな?
だけど、ロッシュさんはきょとんとした顔だ。
「え? そ、それだけ? そんなに安くてもいいんですか?」
「はい、いいです。これ以上は受けとりません」
私がはっきり言う。
ロッシュさんは納得していないようだが、大金貨4枚を私に差し出す。
「はい、確かに受け取りました。それから、依頼の件ですか。シュタインさんの状況を見て、依頼を受けて貰うか、シュタインさん抜きで受けて貰うか。今回は延期するか、どうします?」
「そうですね」
私とロッシュさんが依頼について相談。シュタインさん抜きで、依頼を受けて貰うことになる。シュタインさんは様子を見て、となる。
「明日もシュタインさんの様子を伺いに行っても?」
「はい。大丈夫です。ありがとうございますユイさん」
ロッシュさんが挨拶して、帰っていく。
「優衣、お金なんて取って。ロッシュさん達にはお世話になっとるんよ」
「だから、これはけじめや。ポーションくらいならいいやろうけど、エリクサーとなると話が違うんよ。これは作る手段がないんやから。受け取らんかったら、問題になるかもしれん、困るのはロッシュさん達になるかもしれんし。それにこんお金は孤児院の寄付に回すよ」
私がそう言うと、母がやっと納得した。
昨日買ったばかりの小銭入れに早速全額入れ、お地蔵さんの前に並べた。
体をよじるも不調はない。めまいはない。よし。
上着とズボンを脱がされている。母が脱がせてくれたんだろう。近くの椅子にかけられたズボンを穿いて部屋を出る。
「わお」
ビアンカとルージュが並んでいた。迫力満点。
『ユイ、やっと起きたのです』
『どう? 具合は? 魔力は回復しているようだけど』
「心配してくれたんね。ありがとう、もう大丈夫よ」
めまいもないし、とにかく空腹なだけ。
「優衣、起きたね。具合は?」
「姉ちゃん大丈夫な?」
ビアンカとルージュの向こうで、母と晃太が心配している。
「大丈夫よ。お父さんは?」
「今日はファベルさんの工房」
「そうね」
とりあえず居間に向かうと、花がお腹を出して大歓迎。あはははん、かわいか、毎朝これやけど、たまらん。
パーティーハウスの庭で遊んでいた元気達も、こちらに来る。
「ギャーッ」
泥まみれやねんっ。特に元気とコハクは、全身泥まみれやねんっ。
お腹空いているけど、ルームを開けてチーズクリームに直行。
「優衣、ご飯食べれる?」
元気とコハクのシャンプーを済ませると、母が食事の準備をしてくれていた。
時間を見たら、10時近い。ちょっと少なめのご飯とじゃがいものお味噌汁。
だが、頂く前に、神様にご報告。
神棚にもへじ生活の個包装のお菓子、バナナとリンゴ、キウイ、オレンジジュース、ストレートティーを並べる。
「神様、アドバイスいただきありがとうございます」
お疲れ様だったな
時空神様が労いの言葉。
いつか、お前の『神への祈り』の事を教えよう。今は始祖神様から口止めされているがな
「はい、ありがとうございます、時空神様。その時が来ればお願いします」
『神への祈り』
あれの発動条件がよく分からないんだよね。
目を開けると、お菓子、果物、ジュースが無くなっていた。
よし、今日は遅くなったけど、ご挨拶は済んだ。
遅めの朝御飯を食べている間に母がリンゴを剥いてくれる。
「優衣、シュタインさんは大丈夫なん? お父さんは大丈夫って言いよったけど」
剥いたリンゴを出してくれながら、母が聞いてくる。私はあの後やはり目を覚まさず、父が運ぼうとしたが無理で、結局ロッシュさんが背負ってくれたそうだ。ロッシュさんにお礼を言わないと。治療院の前で待っていたルージュは、やはり私の様子がおかしかったのに感づいて、入り口付近をうろうろし、警戒されまくっていたと。
「危機は脱したよ。後は中級ポーションで回復可能って」
「そうね」
「後で様子ば見に行ってくるね。次の依頼をどうするか相談せんといかんしね。ロッシュさんと話さんと」
私はリンゴを食べる。ノワールがブヒヒンと自己主張するので、残りはノワールが食べる。
食べてから支度だ。
昨日、汗だくだったのにそのまま寝たので、シャワーを浴びる。着替えて晃太とビアンカで治療院に向かう。
「なあ、姉ちゃん」
「ん?」
歩きながら、晃太が珍しく落ち込んだ様子で話し出す。
「昨日は、ごめんな、すぐに動けんやった」
「昨日? ああ、エリクサーの事?」
「うん。わい、ああ言うのダメやけん。吐きそうになった」
はあ、と息を出す晃太。
昨日のシュタインさんの状況に、血が苦手な晃太は完全に止まってた。仕方ない、普段から苦手なのに、あれは直視もできないくらいのものだったろう。
「仕方なかろう、大声出して叩いて私も悪かったね」
「ううん。それとな、他にもケガしとる人がおって何本か上級ポーション渡したんよ」
「よかよ、使わんと宝の持ち腐れや」
あの時の最も重症だったのはシュタインさんだった。後は上級ポーションでも対応できるケガだったようで、私がシュタインさんの処置中に、晃太が配って回ったそうだ。よく、動けたやん。
治療院に到着。
「ビアンカ、ごめんね。待っとって」
『いいのです』
私と晃太は受付で身分証を提示 個室に行くと、マアデン君とハジェル君が。
「あ、ユイさん」
マアデン君が気が付いてくれた。
「シュタインさん、どう?」
個室に招き入れてくれた。
父の鑑定によれば、明日くらいまでは眠気が強いようだけど。水分や柔らかい食事なら大丈夫だと出たと、言付かった母から聞いた。
シュタインさんの顔色は、随分いいし、呼吸も穏やかで眠っている。
「ちょっと起きたんですけどすぐに寝ちゃって」
「でも、回復の反動だろうって言われたっす。直に目を覚ますって言われたっす」
「そうやろうね。無理に起こさんで、起きた時に水分とったりしてね。食事は柔らかい物をね」
「はい」
「はいっす。でも、ユイさん、凄いっすね。シュタインさんの胸を押した時、格好良かったっす」
「前に、治療院で働いておったけんね」
嘘ではないしね。
シュタインさん寝てるし、あまり長居しないでおこう。
「また明日来るけんね。ロッシュさんと依頼の延期の話ばせんといかんし」
「はい、リーダーが来たら伝えておきます」
「ユイさん。ありがとうございました」
深く頭を下げるマアデン君とハジェル君に挨拶して、治療院を後にした。
午後からは母とパーカーさんのお店に行って、昨日の報告をした。
結局片付けをほぼしてもらったしね。
「そうですか。大変な事になっていると伺ってましたが。やはりミズサワさんのビアンカ様とルージュ様は凄いですね」
様、付きました。
昨日出た熊はやはり27階の熊。人が大勢いたので、ビアンカとルージュは大技は使わず撃退。まずルージュが光のリンゴを連打し、ビアンカがドラゴンの時のように首に噛みつき、半回転しながら、地面に叩きつけたと。一撃やん。
「あの、昨日の今日で申し訳ないのですが。ケイコさんに仕立ての依頼が来ておりまして…………」
パーカーさんによると、やはり、あの美魔女イザベラ様が一発で気に入ったワンピースが、あっという間に話題になってからの依頼だ。母としては、あまりガチに依頼を受けるのは躊躇われるようで、悩んでいる。あの年に一回のバザーくらいが、母的にはちょうどいいそうで。悩んで、結局お断りしていた。元々指名を受けれる職人ギルドランクでもないし。それを知った上での指名なので、断られても向こうは文句は言えないそうだ。それに、依頼が来ている布はダンジョン産だから、いつでも受けれる訳ではないしね。お断りする代わり、適宜パーカーさんのお店に、ダンジョン産の布を使った服をできる範囲で置く事に。
多分、依頼に来たと思われるご婦人がいたけど、ルージュがさりげなく遮ってくれた。
パーカーさん達に挨拶してパーティーハウスに戻る。
今日は大人しくしておこう。
私と母が出ていた後に、ロッシュさんが訪ねて来たそうだ。エリクサーの代金の支払いに来たそうだ。晃太が対応して、一旦帰ってもらったそうだ。夕方また来ますと。
ルームの台所で作業する。ニンジンの皮を剥き、母指定サイズにカット。ボウル一杯にいくつも作り、次に玉ねぎを手に取る。カットカット。晃太は仔達を中庭で遊ばせている。
『今日はなんなのです?』
『何かしら? いい匂いだわ』
ダイニングキッチンの境目でビアンカとルージュがそわそわ。かわいかね。
「今日は長崎皿うどんよ」
すでに母が調理に入っている。後は国産野菜を使用した冷凍食品だけど、美味しい餃子が次々にホットプレートで焼き上がる。ビアンカとルージュの皿に大量に長崎皿うどんと餃子が並び、母のアイテムボックスに。まだ、夕御飯には早いからね。
『ちょっと食べたいのです』
『1口、1口』
その1口が1人前やねん。
「昨日は大活躍やったからね」
母がそういって1人前ずつ並べる。
『あ、熱いのですっ』
『熱いわっ、でも、下のこれ、かりかりして美味しいわ』
私は少し、しなっとした所が好きなのよ。まあ、ビアンカとルージュはしなっとするまで、残ってないよね。
『ユイ、隙間に挟まったのです』
『私も、何か挟まったわ、取れないわ』
口をモゴモゴさせるビアンカとルージュ。もう家犬の家猫や。
「はいはい。ちょっと見せてん」
私はビアンカとルージュの歯をチェック。あはははん、凄か牙が並んどる。つま楊枝で、ちょいちょい。
それからおかわりコールが来るが残念だけど、母は笑って答えない。
仔達のご飯、ノワールのご飯も準備よし。父が帰って来るまでに、ある程度の食材をカット、片付けをする。
『あ、ユイ、雄が来たのです』
『ロッシュという雄よ』
「いらっしゃったね」
私は手を洗い、ルームを出て、パーティーハウスの玄関に。母とビアンカとルージュ、花まで続く。
御用聞きの冒険者さんとロッシュさんがいた。御用聞きさんには帰って頂く。
「クンクンッ」
花がロッシュさんの足にすがり付くので、母が抱き上げる。
「ロッシュさん、昨日は送ってもらったようで、お手数をかけました」
「いいえ、こちらがお礼を言わないといけないんです。本当にありがとうございます。おかげでシュタインが助かりました。仲間を救っていただいてありがとうございます。エリクサーの支払いに来ました」
「優衣、お金なんて取らんと。半分くらいしか残っとらんかったんやけん」
母がロッシュさんに向かって首を伸ばす花を抱え直す。
「そういう訳には行きません。貴重なエリクサーを与えて頂いたんです。本来なら、エリクサーなんて国や騎士団の上層部、上級貴族や冒険者が大枚叩いても、喉から手が出るほど欲しがるものなんですよ」
「お母さん、これはきっとけじめや」
「そうです。で、ユイさん、おいくら支払いをすれば」
「えーっと」
下級エリクサーは最低600万だったはず。残っていたのは半分。それと上級ポーション2本使った。それから緊急時だったことを踏まえて。
「400万、いただきます」
高いかな?
だけど、ロッシュさんはきょとんとした顔だ。
「え? そ、それだけ? そんなに安くてもいいんですか?」
「はい、いいです。これ以上は受けとりません」
私がはっきり言う。
ロッシュさんは納得していないようだが、大金貨4枚を私に差し出す。
「はい、確かに受け取りました。それから、依頼の件ですか。シュタインさんの状況を見て、依頼を受けて貰うか、シュタインさん抜きで受けて貰うか。今回は延期するか、どうします?」
「そうですね」
私とロッシュさんが依頼について相談。シュタインさん抜きで、依頼を受けて貰うことになる。シュタインさんは様子を見て、となる。
「明日もシュタインさんの様子を伺いに行っても?」
「はい。大丈夫です。ありがとうございますユイさん」
ロッシュさんが挨拶して、帰っていく。
「優衣、お金なんて取って。ロッシュさん達にはお世話になっとるんよ」
「だから、これはけじめや。ポーションくらいならいいやろうけど、エリクサーとなると話が違うんよ。これは作る手段がないんやから。受け取らんかったら、問題になるかもしれん、困るのはロッシュさん達になるかもしれんし。それにこんお金は孤児院の寄付に回すよ」
私がそう言うと、母がやっと納得した。
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