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祭り⑦
次の日。
私と晃太はギルドに。
晃太のアイテムボックス内にある大量のドロップ品提出だ。倉庫で指定されたドロップ品を晃太が出している間に、私は一足先にいつもの応接室に。
今日はストヴィエさんとリティアさんが対応してくれた。
ビアンカとルージュは気ままにごろり。
「ミズサワ殿、先日のブラックゴートベアーの討伐ありがとうございます。おかげで誰一人命を落とすこともなく済みました」
ストヴィエさんが切り出す。
ああ、熊ね。
「ビアンカとルージュが優秀なので」
あの時の熊はほぼビアンカとルージュが対応した。警備の人達や冒険者の人達も対応したが、歯が立たなかった。魔法や矢で距離を置き、チクチク攻撃し、街中に飛び出さないようにするのがやっと。時間をかけて討伐しようとしたそうだ。
ビアンカとルージュが一撃したけどね。
いつもなら、中型の猪や、角ウサギが月に一度か二度と溢れ落ちてくるぐらいらしい。数年に一回あるかないかだが、ああ言った上級魔物が溢れ落ちるそうだ。
あのままだったら、熊は倒せても、いずれ犠牲者が出ていたはずと。たまたま私がエリクサーを持っていてシュタインさんが助かり、他のケガ人も晃太が渡した上級ポーションで大事には至らなかった。
「騎士団長から上級ポーションの代金を預かっております。本来なら直接お渡ししたかったそうですが、生憎手が空かず申し訳ないと申しておりました」
ストヴィエさんが、ちいさな革の袋を出す。
「上級ポーション10本、合計300万です。お納めください」
私はちょっと考えて、受け取る。これは寄付に回そう。
「それからブラックゴートベアーの解体も済んでおります」
ダンジョンから溢れ落ちた魔物は、討伐されると、ダンジョン内とは異なり自動で解体されない。丸まんまだそうだ。
「肉はどうされます?」
「肉ですか」
いらない、シュタインさん襲った熊、いらない。それにまだ、27階の熊の肉は晃太のアイテムボックスにあるはず。なんせ、調査の時に手に入れた分がまだあるし、それからもたまに行ってるし、また行くだろうし。
『ユイ、食べたいのです』
『焼いて、お肉焼いて』
「まだ、在庫あるし、今回はごめん、勘弁して。また上の階に行こうね。その時ね」
視界の隅でリティアさんの目がきらり。気のせい、きっと気のせい。
『ぶー、仕方ないのです』
『ぶー、我慢するわ。今日のおやつ、増やしてね』
「はいはい。お肉は結構です。あ、そうだ良かったらお肉、騎士団と警備の皆さんで召し上がってもらえるようにしてください」
「え? よろしいのですか? 少なくとも500万はしますよ?」
ストヴィエさんが、驚いた顔をする。
だけど、大丈夫。まだ、うちらにはまだいろんなお肉がある。装甲竜(アーマードラゴン)のお肉もあるし。
「足りませんか?」
そうだよね。肉体労働の人達だから、食べるか。
「ワイバーンのお肉も出しましょうか?」
「いえいえ、十分です。ミズサワ殿ありがとうございます。彼らも喜ぶでしょう」
「いいえ、騎士団の人達にもお世話になりましたから」
そう。
実は先日乗馬の訓練をしてくれたが、散々迷惑をかけた上に赤っ恥をかいた。〆に言われたのは、
「あの魔法馬に乗るのは諦めてください。もし、乗るなら誰かに手綱を持ってもらい、ミズサワ様がその人に掴まってください。それもかなりの騎乗能力があるものです。鞍にもできる限りの衝撃吸収の付与をかけなくてはなりません。絶対に単独で乗らないでください」
付き合ってくれた女騎士さんが、真剣に言ってきた。訓練として使ったのは、かわいい魔法馬。ノワールより小さい馬だった。小さくてかわいいと言ったら、これが標準サイズで、向こう、ノワールは魔法馬の中でも飛び抜けて大きいそうだ。
切々と説明する女騎士さんの後ろで爆走するノワール。
あの日の記憶は、思い出したくない。
「では、残りの査定宜しいですか? 毛皮120万、牙が大小あわせて25万、肝が30万、魔石が35万。合計210万になります」
毛皮は毛を手作業で抜き取り、織物と混ぜると防御力が上がり、牙は護符になると。肝は精力剤の材料になるそうだ。
「解体料は?」
「受け取れませんよ。本来犠牲者が出た事態を防いだ上に、ポーションまで惜しみ無く配布したでしょう? あれがなかったらどうなっていたか。おそらくハルスフォン様からも報酬が出るかと」
「いえ。ハルスフォン様からは頂けませんよ」
「そういうわけには行きませんよ」
そうなのかな?
「それから、本日、リティアからミズサワ殿にご相談があるとの事です。宜しいですか?」
「構いません。リティアさんにはお世話になっていますし。私の出きることなら」
「では」
ストヴィエさんが熊の査定の準備のために退室。
なんだろう、相談って。あ、貝の粉? もしかしたら、アルガンや紅花かな?
「ミズサワ様。今、依頼を出されていますよね? ダンジョン日帰りの」
「はい。弟のスキルアップの為にですが」
「それが、ちょっと問題になっていまして」
「え? ご迷惑をかけてます?」
「いいえ、ミズサワ様の依頼を受けたいと躍起になっているものが増えてまして。私共にしてみたら、ランクアップに勤しんでくれるのは大歓迎なんです。ただ、いつか依頼を争奪しようと騒動になりそうなんです」
そんなことになってたの?
「ミズサワ様は予めどのパーティーと組むか決めてから依頼されていますよね? それがちょっとトラブルになってまして。他のパーティーから、依頼を譲渡してもらうように言われたりしているようです。もちろん脅迫とかではなく、酒の席で談笑しながら、冗談交じりにですが。いずれ問題になるかと、心配しております。そこでミズサワ様」
「はい」
本題に入る様子。反射的に背中を伸ばす。
「愚考かと思いましたが、奴隷の冒険者パーティーを購入をおすすめしたいと思っております」
「え? ど、奴隷?」
とんでもないワードがリティアさんの口から飛び出した。
はっきりいって受け付けられない。無理や、奴隷なんて。イメージ悪すぎ。私の顔に出ていたのか、リティアさんが補足説明。
「あまり奴隷にいいイメージがございませんか?」
「はい。全く。スラム街の孤児院での時に未成年の女の子を性奴隷にって話を聞きましたし、私は元々田舎の出で奴隷がいなかったので」
「左様でございますか」
リティアさんがユリアレーナの奴隷制度を教えてくれる。
基本的に奴隷は2種類。借金と犯罪だ。
犯罪奴隷は国や自治体が管理。借金奴隷は個人でも購入できる。ただし、それぞれギルドランクが高いことや、ギルドや爵位のある人からの推薦状がないと購入不可だ。
そして奴隷だからといって故意に傷つけたり、犯罪の片棒を担がせてはならない。肉体関係の無理強いはしてはいけない。
「額の少ない借金奴隷に関してだけは、比較的に街中にいますよ。おそらく気がつかないだけで、一般人と同じように生活しているものもいます。おそらくテーラーのパーカーの工房にもいるはずですよ」
え? そうなん?
借金の額や、何が出きるかで購入額は変わるが、人の売買するんだ、決して安くないはず。パーカーさんの工房にいるのは労働奴隷。そして額により拘束期間が変わる。奴隷購入額と同等の働きをしてから解放となるが、半数近くはそのまま継続雇用を希望するそうだ。つまり給料先払いで、住み込み労働者を雇う感じかな。
リティアさんがおすすめしたのは、冒険者パーティーをまるごと購入だ。彼らは戦闘護衛になる。ちょっとしたお抱えの冒険者だね。彼らがいればわざわざ依頼を出さなくても済むし、何より奴隷になればその主人の知られたくない秘密は口に出来ない誓約魔法がかかるそうだ。
パーティーの冒険者達は、買い手がない場合バラになると。お中元の解体セールやなかろうに。
でも、誓約魔法か、いいかも。一番のネックである、ルーム使っても大丈夫かな?
しかしなあ。
「あの、ちょっと考えさせてください。それから教えていただきたいこともあるし」
「はい、なんでございましょう」
「仮に奴隷を購入したとして、私は彼らに何をすれば? あとお給料的なものは?」
「奴隷を購入したのならば、すべて奴隷に共通するのは最低限の衣食住の保証。そして戦闘奴隷の場合は武器防具一式揃えなくてはなりません。給料ですが、そうですね、月1人1万が基準ですね。奴隷のランクによりけりですが。Cランクが基準になります。Bランク以上なら10万です。まあ、Bランクの戦闘奴隷はそうはいません。後はダンジョンに潜った時に日にいくらかですが。相場はそうですね、ダンジョンのレベルによりけりですが、ドロップ品の1%、もしくは追加日当で相場は1000~5000ですかね。もちろん奴隷達の食糧や水の準備は主人の責任ですが」
「そ、そんなもんですか?」
「はい。そうですよ。それから彼らの条件を受け入れたら、よく働いてくれますよ」
「条件?」
「例えば、離れた場所に暮らす家族に手紙を出すとか。よく、女性奴隷にありますが、夜の相手の免除とか」
話を聞きながら、気がすすまない。多分偏見とかもあるとはおもうけど。
「まあ、今日決めなくても、検討していただければ。ただ、条件のいいパーティーはすぐに買い手が着きますよ。もし良ければ、ミズサワ様の条件はございますか? 探してみます。気に入られなければ、ご縁がなかったと言うことで」
「そうですね。奴隷購入に関しては私の一存では決めかねますので。あ、条件でしたね」
気がすすまない。すごくすすまない。
えーっと、えーっと。
どうしようかな。
条件、条件。少し高めにしようかな。リティアさんが説明してくれたけど、いきなりは受け付けられないし。よし、条件高めにしよう。
「ランクはC以上で、攻守共に揃って、あ、女性がいてほしいですね。後は、そうですね、あ、馬、馬に乗るのが上手な人。うちのノワールを乗りこなせるくらいの人がいるパーティーを」
これはかなり高い条件のはず。
騎士団の人達は、ノワール見て、これに乗るのあんた? みたいな顔していたから、相当の乗馬技術が必要なんだろう。おいそれといない気がする。
リティアさんは私の意図が分かっているか分からないが、いつものスマイル浮かべる。
「承知しました。お探しします」
「購入するかまだ決まっていませんよ」
「ご参考までに条件だけを確認をするだけですから。すぐにご希望に添えない場合があります」
「構いません」
それからストヴィエさんから熊のお金を受け取り、晃太と合流。
シュタインさんのお見舞いだ。
伺うと起きていたので、心配だった傷を見せてもらった。やはり痕にはなっていた。左腕はぐるりと一周していたし、腹部もしっかり痕になっていた。ただ、痛みやしびれ、違和感もないそうでホッとした。貧血はまだちょっと顔色悪い感じだが、仕方ないかね。吐き気とかはないと。だけど、初めて直に見た、腹筋割れている人。テレビとかで見たことあるけど、直は初めて。本当に割れてるんだね、しげしげ。確か、ハジェル君はぺったんこだったなあ。
…………………はっ、変態や。私、腹筋見ている変態や。いけない、いけない。
気付かれないように、シュタインさんの眼瞼結膜を見る。ピンク色だけど、薄いかなあ。へえ、シュタインさん灰色の目だね。ふーん、灰色かあ。毛穴もなかけん、うらやましかあ。しげしげ。
………………………はっ、変態や、本当に変態や。こほん、わざとらしく、こほん。
回復傾向、経過良好やね、うん、うん。
最後に気になっていたことを確認。緊急時とはいえ人前で口から血を吸い出すなんて、こちらでそれが医療行為だと理解されてないかも知れないしね。もし、彼女さんとかいて気まずくなったら申し訳ない。聞いたら「今はいません」と。
前いたんやね。まあ、シュタインさんイケメンさんやし、若いし、いてもおかしくはないか。
何故か顔色がよくなるシュタインさん。
うん、経過良好やね。
「シュタインさん。お大事に」
私と晃太は挨拶して、治療院を後にした。
私と晃太はギルドに。
晃太のアイテムボックス内にある大量のドロップ品提出だ。倉庫で指定されたドロップ品を晃太が出している間に、私は一足先にいつもの応接室に。
今日はストヴィエさんとリティアさんが対応してくれた。
ビアンカとルージュは気ままにごろり。
「ミズサワ殿、先日のブラックゴートベアーの討伐ありがとうございます。おかげで誰一人命を落とすこともなく済みました」
ストヴィエさんが切り出す。
ああ、熊ね。
「ビアンカとルージュが優秀なので」
あの時の熊はほぼビアンカとルージュが対応した。警備の人達や冒険者の人達も対応したが、歯が立たなかった。魔法や矢で距離を置き、チクチク攻撃し、街中に飛び出さないようにするのがやっと。時間をかけて討伐しようとしたそうだ。
ビアンカとルージュが一撃したけどね。
いつもなら、中型の猪や、角ウサギが月に一度か二度と溢れ落ちてくるぐらいらしい。数年に一回あるかないかだが、ああ言った上級魔物が溢れ落ちるそうだ。
あのままだったら、熊は倒せても、いずれ犠牲者が出ていたはずと。たまたま私がエリクサーを持っていてシュタインさんが助かり、他のケガ人も晃太が渡した上級ポーションで大事には至らなかった。
「騎士団長から上級ポーションの代金を預かっております。本来なら直接お渡ししたかったそうですが、生憎手が空かず申し訳ないと申しておりました」
ストヴィエさんが、ちいさな革の袋を出す。
「上級ポーション10本、合計300万です。お納めください」
私はちょっと考えて、受け取る。これは寄付に回そう。
「それからブラックゴートベアーの解体も済んでおります」
ダンジョンから溢れ落ちた魔物は、討伐されると、ダンジョン内とは異なり自動で解体されない。丸まんまだそうだ。
「肉はどうされます?」
「肉ですか」
いらない、シュタインさん襲った熊、いらない。それにまだ、27階の熊の肉は晃太のアイテムボックスにあるはず。なんせ、調査の時に手に入れた分がまだあるし、それからもたまに行ってるし、また行くだろうし。
『ユイ、食べたいのです』
『焼いて、お肉焼いて』
「まだ、在庫あるし、今回はごめん、勘弁して。また上の階に行こうね。その時ね」
視界の隅でリティアさんの目がきらり。気のせい、きっと気のせい。
『ぶー、仕方ないのです』
『ぶー、我慢するわ。今日のおやつ、増やしてね』
「はいはい。お肉は結構です。あ、そうだ良かったらお肉、騎士団と警備の皆さんで召し上がってもらえるようにしてください」
「え? よろしいのですか? 少なくとも500万はしますよ?」
ストヴィエさんが、驚いた顔をする。
だけど、大丈夫。まだ、うちらにはまだいろんなお肉がある。装甲竜(アーマードラゴン)のお肉もあるし。
「足りませんか?」
そうだよね。肉体労働の人達だから、食べるか。
「ワイバーンのお肉も出しましょうか?」
「いえいえ、十分です。ミズサワ殿ありがとうございます。彼らも喜ぶでしょう」
「いいえ、騎士団の人達にもお世話になりましたから」
そう。
実は先日乗馬の訓練をしてくれたが、散々迷惑をかけた上に赤っ恥をかいた。〆に言われたのは、
「あの魔法馬に乗るのは諦めてください。もし、乗るなら誰かに手綱を持ってもらい、ミズサワ様がその人に掴まってください。それもかなりの騎乗能力があるものです。鞍にもできる限りの衝撃吸収の付与をかけなくてはなりません。絶対に単独で乗らないでください」
付き合ってくれた女騎士さんが、真剣に言ってきた。訓練として使ったのは、かわいい魔法馬。ノワールより小さい馬だった。小さくてかわいいと言ったら、これが標準サイズで、向こう、ノワールは魔法馬の中でも飛び抜けて大きいそうだ。
切々と説明する女騎士さんの後ろで爆走するノワール。
あの日の記憶は、思い出したくない。
「では、残りの査定宜しいですか? 毛皮120万、牙が大小あわせて25万、肝が30万、魔石が35万。合計210万になります」
毛皮は毛を手作業で抜き取り、織物と混ぜると防御力が上がり、牙は護符になると。肝は精力剤の材料になるそうだ。
「解体料は?」
「受け取れませんよ。本来犠牲者が出た事態を防いだ上に、ポーションまで惜しみ無く配布したでしょう? あれがなかったらどうなっていたか。おそらくハルスフォン様からも報酬が出るかと」
「いえ。ハルスフォン様からは頂けませんよ」
「そういうわけには行きませんよ」
そうなのかな?
「それから、本日、リティアからミズサワ殿にご相談があるとの事です。宜しいですか?」
「構いません。リティアさんにはお世話になっていますし。私の出きることなら」
「では」
ストヴィエさんが熊の査定の準備のために退室。
なんだろう、相談って。あ、貝の粉? もしかしたら、アルガンや紅花かな?
「ミズサワ様。今、依頼を出されていますよね? ダンジョン日帰りの」
「はい。弟のスキルアップの為にですが」
「それが、ちょっと問題になっていまして」
「え? ご迷惑をかけてます?」
「いいえ、ミズサワ様の依頼を受けたいと躍起になっているものが増えてまして。私共にしてみたら、ランクアップに勤しんでくれるのは大歓迎なんです。ただ、いつか依頼を争奪しようと騒動になりそうなんです」
そんなことになってたの?
「ミズサワ様は予めどのパーティーと組むか決めてから依頼されていますよね? それがちょっとトラブルになってまして。他のパーティーから、依頼を譲渡してもらうように言われたりしているようです。もちろん脅迫とかではなく、酒の席で談笑しながら、冗談交じりにですが。いずれ問題になるかと、心配しております。そこでミズサワ様」
「はい」
本題に入る様子。反射的に背中を伸ばす。
「愚考かと思いましたが、奴隷の冒険者パーティーを購入をおすすめしたいと思っております」
「え? ど、奴隷?」
とんでもないワードがリティアさんの口から飛び出した。
はっきりいって受け付けられない。無理や、奴隷なんて。イメージ悪すぎ。私の顔に出ていたのか、リティアさんが補足説明。
「あまり奴隷にいいイメージがございませんか?」
「はい。全く。スラム街の孤児院での時に未成年の女の子を性奴隷にって話を聞きましたし、私は元々田舎の出で奴隷がいなかったので」
「左様でございますか」
リティアさんがユリアレーナの奴隷制度を教えてくれる。
基本的に奴隷は2種類。借金と犯罪だ。
犯罪奴隷は国や自治体が管理。借金奴隷は個人でも購入できる。ただし、それぞれギルドランクが高いことや、ギルドや爵位のある人からの推薦状がないと購入不可だ。
そして奴隷だからといって故意に傷つけたり、犯罪の片棒を担がせてはならない。肉体関係の無理強いはしてはいけない。
「額の少ない借金奴隷に関してだけは、比較的に街中にいますよ。おそらく気がつかないだけで、一般人と同じように生活しているものもいます。おそらくテーラーのパーカーの工房にもいるはずですよ」
え? そうなん?
借金の額や、何が出きるかで購入額は変わるが、人の売買するんだ、決して安くないはず。パーカーさんの工房にいるのは労働奴隷。そして額により拘束期間が変わる。奴隷購入額と同等の働きをしてから解放となるが、半数近くはそのまま継続雇用を希望するそうだ。つまり給料先払いで、住み込み労働者を雇う感じかな。
リティアさんがおすすめしたのは、冒険者パーティーをまるごと購入だ。彼らは戦闘護衛になる。ちょっとしたお抱えの冒険者だね。彼らがいればわざわざ依頼を出さなくても済むし、何より奴隷になればその主人の知られたくない秘密は口に出来ない誓約魔法がかかるそうだ。
パーティーの冒険者達は、買い手がない場合バラになると。お中元の解体セールやなかろうに。
でも、誓約魔法か、いいかも。一番のネックである、ルーム使っても大丈夫かな?
しかしなあ。
「あの、ちょっと考えさせてください。それから教えていただきたいこともあるし」
「はい、なんでございましょう」
「仮に奴隷を購入したとして、私は彼らに何をすれば? あとお給料的なものは?」
「奴隷を購入したのならば、すべて奴隷に共通するのは最低限の衣食住の保証。そして戦闘奴隷の場合は武器防具一式揃えなくてはなりません。給料ですが、そうですね、月1人1万が基準ですね。奴隷のランクによりけりですが。Cランクが基準になります。Bランク以上なら10万です。まあ、Bランクの戦闘奴隷はそうはいません。後はダンジョンに潜った時に日にいくらかですが。相場はそうですね、ダンジョンのレベルによりけりですが、ドロップ品の1%、もしくは追加日当で相場は1000~5000ですかね。もちろん奴隷達の食糧や水の準備は主人の責任ですが」
「そ、そんなもんですか?」
「はい。そうですよ。それから彼らの条件を受け入れたら、よく働いてくれますよ」
「条件?」
「例えば、離れた場所に暮らす家族に手紙を出すとか。よく、女性奴隷にありますが、夜の相手の免除とか」
話を聞きながら、気がすすまない。多分偏見とかもあるとはおもうけど。
「まあ、今日決めなくても、検討していただければ。ただ、条件のいいパーティーはすぐに買い手が着きますよ。もし良ければ、ミズサワ様の条件はございますか? 探してみます。気に入られなければ、ご縁がなかったと言うことで」
「そうですね。奴隷購入に関しては私の一存では決めかねますので。あ、条件でしたね」
気がすすまない。すごくすすまない。
えーっと、えーっと。
どうしようかな。
条件、条件。少し高めにしようかな。リティアさんが説明してくれたけど、いきなりは受け付けられないし。よし、条件高めにしよう。
「ランクはC以上で、攻守共に揃って、あ、女性がいてほしいですね。後は、そうですね、あ、馬、馬に乗るのが上手な人。うちのノワールを乗りこなせるくらいの人がいるパーティーを」
これはかなり高い条件のはず。
騎士団の人達は、ノワール見て、これに乗るのあんた? みたいな顔していたから、相当の乗馬技術が必要なんだろう。おいそれといない気がする。
リティアさんは私の意図が分かっているか分からないが、いつものスマイル浮かべる。
「承知しました。お探しします」
「購入するかまだ決まっていませんよ」
「ご参考までに条件だけを確認をするだけですから。すぐにご希望に添えない場合があります」
「構いません」
それからストヴィエさんから熊のお金を受け取り、晃太と合流。
シュタインさんのお見舞いだ。
伺うと起きていたので、心配だった傷を見せてもらった。やはり痕にはなっていた。左腕はぐるりと一周していたし、腹部もしっかり痕になっていた。ただ、痛みやしびれ、違和感もないそうでホッとした。貧血はまだちょっと顔色悪い感じだが、仕方ないかね。吐き気とかはないと。だけど、初めて直に見た、腹筋割れている人。テレビとかで見たことあるけど、直は初めて。本当に割れてるんだね、しげしげ。確か、ハジェル君はぺったんこだったなあ。
…………………はっ、変態や。私、腹筋見ている変態や。いけない、いけない。
気付かれないように、シュタインさんの眼瞼結膜を見る。ピンク色だけど、薄いかなあ。へえ、シュタインさん灰色の目だね。ふーん、灰色かあ。毛穴もなかけん、うらやましかあ。しげしげ。
………………………はっ、変態や、本当に変態や。こほん、わざとらしく、こほん。
回復傾向、経過良好やね、うん、うん。
最後に気になっていたことを確認。緊急時とはいえ人前で口から血を吸い出すなんて、こちらでそれが医療行為だと理解されてないかも知れないしね。もし、彼女さんとかいて気まずくなったら申し訳ない。聞いたら「今はいません」と。
前いたんやね。まあ、シュタインさんイケメンさんやし、若いし、いてもおかしくはないか。
何故か顔色がよくなるシュタインさん。
うん、経過良好やね。
「シュタインさん。お大事に」
私と晃太は挨拶して、治療院を後にした。
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