文字の大きさ
大
中
小
227 / 877
連載
デート?⑤
腹が、きつかあ。
背筋伸ばせば、少しはいいかな。
向かいに座るサエキ様は余裕綽々だ。こっちはきついんだけど。
馬車はゆっくり進む。
グーテオークションは、王城が見える大きな劇場だ。普段は観劇や音楽会が行われている。
警備がすごいこと。赤と青のマントの騎士達ががっちり警備している。
「すごい警備ですね」
「ええ、各国の要人を招待していますからね」
グーテオークションは年2回。
今から行くのは初夏のオークション。こちらは各国から賓客や要人やある程度以上の地位と、身分のしっかりしている人しか参加できない。
「初夏は参加者が限られたものですが、秋のオークションはかなり気軽に参加できますよ」
なんでも秋のグーテオークションは、かなりオープンだそうで気軽に参加できるそうだ。
「こちらは若い文官や新人ギルド職員がすべて行うんです。まあ、彼らの試練みたいなものですね。こちらの方が完全にチャリティーですね。純粋な売り上げは、無料教室や教会併設の孤児院に寄付されます」
「へー。こちらのオークションも、宝石とか並ぶんですか?」
「そうですね。バザーも行われているんですよ」
こちらはお貴族様がいろいろ出していると。このバザーはお貴族様と庶民が、身近に接する機会だと。
「オークションの品は、貴族やギルドからの寄贈。冒険者からもありますね」
「なら、私も寄贈できます?」
「もちろん。ギルドに言えば出来ますよ」
よし、冷蔵庫ダンジョンでちゅどん、どかんだ。
「最上階の、ダイヤモンド…………」
あのキラキラダイヤモンド、また、出るかな?
「ミズサワ殿、あのクラスの物を購入できるのはそうは居ませんよ。もう少し、手頃な物を出してください。例えば、貴女のそのネックレスくらいですかね」
「これ、ですか?」
「ええ、その真珠、ゴールドリップですよね。それだけの粒が揃った物は高価ですよ。中級クラスの貴族のご婦人が欲しがります。初夏のグーテオークションに参加できない人が、こぞって参加するでしょうね」
これ、そんなに高いの? うわあ、肩が凝って来た。
「私じゃよく分からないので、商人ギルドの方と相談して決めます」
ダージェルさんに聞いてみよう。
無料教室や孤児院の寄付になるなら、多少多くてもいいや。がんばるのはビアンカとルージュだから、2人に聞いてからだね。
考えていると、馬車は会場に到着。
足元見えないから恐る恐る降りる。ボーイさん的な人が、手を出してくれたので借りる。ふー。
ちらちら、見られる。仕方ない。ビアンカとルージュがいるからね。
「さあ、ミズサワ殿」
サエキ様が手を出してくれる。
あ、身分証ね。しっかりした身分を現さないとね。
私は冒険者ギルドカードを出す。
「違いますよ。手を乗せてください。エスコートしますから」
「あ、すいません」
私はサエキ様に手を引かれてゆっくり進む。
なんだか、サエキ様に、お手をしている気分になるのは気のせいか?
各国要人や賓客が来ると聞いたけど、確かに今まで感じたことのない雰囲気だ。全員身なりがよく、今までと感じが違う、すべての視線で値踏みされている。
『ふん、ユイをじろじろ見ているのです』
『唸りましょうか?』
「ダメよ」
やめて、本当に。
建物はヨーロッパとかにある有名なオペラハウスの様だ。行ったことないけど。
高い天井に、隅々まで綺麗にされた廊下に、壁には花が飾ってある。等間隔に青のマントの騎士が並ぶ。通り過ぎる度に、着飾った人達がお辞儀をする。私にではない、サエキ様にだ。ビアンカとルージュが後ろを歩くが、騒ぎにならないのは、サエキ様のお陰だね。
本当にすごい人なんだね。
「もうすぐ、オークションの品が並べられたエリアですよ」
「はい」
言われるが、私はドレスの裾を踏みそうで怖い。転けたら私が恥をかく、いや、サエキ様が恥をかく。下を見ながら歩く。
「緊張していますか?」
「はい、転けそうです」
「ふふ、そうですか。おや? 珍しい」
ふいにサエキ様が止まる。
『ユイ、あの雄なのです』
『軍隊ダンジョンにいた、強い雄よ。もう2匹強いのがいるわ』
ビアンカとルージュの鼻先が示したのは、アクションしてそうなイケメン、フェリクスさんだ。今日は冒険者の鎧ではなくスーツだ。おお、スーツでも格好いい。それから、あら、オスヴァルトさん? あれ、オスヴァルトさん? なんかちょっと違うような。
「エドワルドではないですか。珍しい、こちらに帰って来ていたんですか」
「それはこちらのセリフですよ、ひいお祖父様」
はい?
オスヴァルトさんそっくりさんは、軽く会釈して、サエキ様と堂々と話し出す。
「やっと後添えを得ましたか。これで母も安心するでしょう」
「何を言ってるんですか貴方は。こちらはテイマーのミズサワ殿ですよ。噂くらい聞いてるでしょう?」
「誰でも構いませんよ。ひいお祖父様の後添えなら。いい歳なんですよ? 一人自宅で誰にも気づかれないまま冷たくなっていたなんて、洒落になりませんからね。母がどれだけ心配しているか」
「相変わらずの減らず口ですね。誰に似たんだか」
「ひいお祖父様にですよ。せめて住み込みのメイドかフットマンをいれてください」
誰やねん、このオスヴァルトさんによく似た人。会話からしてサエキ様のひ孫さんのようだけど。ビアンカとルージュがいるけど、動じる様子がない。
「ああ、失礼。ミズサワ殿。紹介しますね、彼はエドワルド・ウルガー」
オスヴァルトさんにそっくりさんが、会釈。ウルガーと言うことは。
「彼はオスヴァルトの弟で、私のひ孫になります」
兄弟か、よく似てるわ。て、ことは、オスヴァルトさんもサエキ様のひ孫さんだね。
『この雄、強いのです』
『そうね。かなり強いわ』
興味津々にエドワルドさんを見ている。やめて。
「初めまして、エドワルド・ウルガーと申します」
ビアンカとルージュに動じず、自己紹介してくれる。うん、挨拶の仕草がオスヴァルトさんと同じだ。
「ユイ・ミズサワです」
コルセットがきついけど、お辞儀。腹に、ばら肉に食い込む。フェリクスさんにもお辞儀。向こうもお辞儀。
「ところでエドワルド、貴方はどうしてオークションに?」
「高品質の盾が狙いです。パーティーメンバーがAランクになったはいいが、盾が限界でしてね」
エドワルドさんが1人の男性を紹介する。
がっちりとした男性だが、緊張している。ごわっとした髪を軽くみつあみにしているけど、不思議と似合う。そして、肩とかすごい筋肉だ。
「うちのタンクのツヴァイクです」
「ツヴァイクでございます、サエキ様」
「ダイチ・サエキです。うちのエドワルドがお世話になってます」
いえいえ、いえいえ。
「貴方も珍しいですね、フェリクス殿。Sランクの拝命以来ですかね」
「お久し振りです、サエキ様」
「フェリクス殿はミズサワ殿をご存じですか?」
「はい。スカイランで」
「騒ぎのあった時に助けてもらいました」
ちょっと、フェリクスさんとお話する。
「お久し振りです、フェリクスさん」
「お久し振りです、テイマーさん。まさかこんな所でお会いすることになるなんて」
いたずらっ子みたいな笑みを浮かべるフェリクスさん。
「今日は鎧じゃないんですね」
「このグーテオークションには武装は禁じられていますからね」
私のビアンカとルージュいますけど。
フェリクスさんによると、このグーテオークションを始めた発起人はなんとサエキ様。今は国に運営を任せているが、サエキ様が連れてくる人は基本的に特別待遇だと。
「今日はお一人なんですか?」
他のパーティーメンバーがいないようだけど。
「今日は付き合いで来たんです」
なんでもSランクになった時の保証人の伯爵のお付き合いだと。その人は、飾られている宝石の前に張り付いている。あれ、冷蔵庫ダンジョンから出たルビーじゃない?
「奥方への贈り物にしたいそうなんですが、一人で来る勇気がないから付いてきてくれと」
「大変ですね。あのフェリクスさん、あのエドワルドさんってご存じですか?」
「ああ、エドワルド・ウルガー殿ですね。彼はあのダイチ・サエキ様の血筋で、実質ユリアレーナ最強のSランクの冒険者ですよ」
「へー」
ひいお祖父様はユリアレーナのご意見番、ひ孫は赤騎士団准将と、ユリアレーナ最強のSランク冒険者。どんだけやねん。
「しかし、今日は見違えました」
しげしげとフェリクスさんが見る。
「借り物です。ばら肉が、ハムのようにコルセットで縛り上げられてます」
フェリクスさんが噴き出す。
「面白い人だ」
クスクス笑うフェリクスさん。本当にイケメンやね。
「そう言えば、改修された冷蔵庫ダンジョンを早々に踏破されたそうですね」
「ビアンカとルージュが優秀なので」
「是非、どんな戦闘をされているか、拝見したいですな」
「ウィークスさんみたいな事言うんですね」
「おや? ウィークスをご存じで?」
なんと、あのウィークスさんとフェリクスさんお知り合い。それどころか、パーティー組んでいたそうだ。え、確か、ウィークスさん結構な歳だったはず。え、フェリクスさん、おいくつ?
「どうしました?」
「ええっと、ウィークスさんとフェリクスさんの歳が合わないよう」
「私を幾つだと思います?」
「30半ば? 40行くか行かないか?」
見た感じ。
「もう90を越えてますよ」
「ワオ」
びっくり。
確か、神様も言っていたなあ、寿命に差があるって。
「私は竜人の血が混じっていましてね。その影響で少し長命なんです」
「へー」
竜人は魔族の一種だそうです。
「ミズサワ殿は、何を狙いに?」
「私も付き合いです」
「そうですか」
ちらり、とサエキ様を見る。
丁度お話が終わったようで、私は挨拶して、再びサエキ様に手を引かれて進む。
オークションにかけられる品の半数以上、冷蔵庫ダンジョンから出た物だ。
「何か興味があるものは?」
「いえ、特には。見たことある物ばかりで」
「そうでしょうね。今回はマーファからの出品がほぼですから」
やっぱり。
「さあ、ミズサワ殿、こちらに」
「はい」
転ばないように、サエキ様に手を引かれて歩いた。
背筋伸ばせば、少しはいいかな。
向かいに座るサエキ様は余裕綽々だ。こっちはきついんだけど。
馬車はゆっくり進む。
グーテオークションは、王城が見える大きな劇場だ。普段は観劇や音楽会が行われている。
警備がすごいこと。赤と青のマントの騎士達ががっちり警備している。
「すごい警備ですね」
「ええ、各国の要人を招待していますからね」
グーテオークションは年2回。
今から行くのは初夏のオークション。こちらは各国から賓客や要人やある程度以上の地位と、身分のしっかりしている人しか参加できない。
「初夏は参加者が限られたものですが、秋のオークションはかなり気軽に参加できますよ」
なんでも秋のグーテオークションは、かなりオープンだそうで気軽に参加できるそうだ。
「こちらは若い文官や新人ギルド職員がすべて行うんです。まあ、彼らの試練みたいなものですね。こちらの方が完全にチャリティーですね。純粋な売り上げは、無料教室や教会併設の孤児院に寄付されます」
「へー。こちらのオークションも、宝石とか並ぶんですか?」
「そうですね。バザーも行われているんですよ」
こちらはお貴族様がいろいろ出していると。このバザーはお貴族様と庶民が、身近に接する機会だと。
「オークションの品は、貴族やギルドからの寄贈。冒険者からもありますね」
「なら、私も寄贈できます?」
「もちろん。ギルドに言えば出来ますよ」
よし、冷蔵庫ダンジョンでちゅどん、どかんだ。
「最上階の、ダイヤモンド…………」
あのキラキラダイヤモンド、また、出るかな?
「ミズサワ殿、あのクラスの物を購入できるのはそうは居ませんよ。もう少し、手頃な物を出してください。例えば、貴女のそのネックレスくらいですかね」
「これ、ですか?」
「ええ、その真珠、ゴールドリップですよね。それだけの粒が揃った物は高価ですよ。中級クラスの貴族のご婦人が欲しがります。初夏のグーテオークションに参加できない人が、こぞって参加するでしょうね」
これ、そんなに高いの? うわあ、肩が凝って来た。
「私じゃよく分からないので、商人ギルドの方と相談して決めます」
ダージェルさんに聞いてみよう。
無料教室や孤児院の寄付になるなら、多少多くてもいいや。がんばるのはビアンカとルージュだから、2人に聞いてからだね。
考えていると、馬車は会場に到着。
足元見えないから恐る恐る降りる。ボーイさん的な人が、手を出してくれたので借りる。ふー。
ちらちら、見られる。仕方ない。ビアンカとルージュがいるからね。
「さあ、ミズサワ殿」
サエキ様が手を出してくれる。
あ、身分証ね。しっかりした身分を現さないとね。
私は冒険者ギルドカードを出す。
「違いますよ。手を乗せてください。エスコートしますから」
「あ、すいません」
私はサエキ様に手を引かれてゆっくり進む。
なんだか、サエキ様に、お手をしている気分になるのは気のせいか?
各国要人や賓客が来ると聞いたけど、確かに今まで感じたことのない雰囲気だ。全員身なりがよく、今までと感じが違う、すべての視線で値踏みされている。
『ふん、ユイをじろじろ見ているのです』
『唸りましょうか?』
「ダメよ」
やめて、本当に。
建物はヨーロッパとかにある有名なオペラハウスの様だ。行ったことないけど。
高い天井に、隅々まで綺麗にされた廊下に、壁には花が飾ってある。等間隔に青のマントの騎士が並ぶ。通り過ぎる度に、着飾った人達がお辞儀をする。私にではない、サエキ様にだ。ビアンカとルージュが後ろを歩くが、騒ぎにならないのは、サエキ様のお陰だね。
本当にすごい人なんだね。
「もうすぐ、オークションの品が並べられたエリアですよ」
「はい」
言われるが、私はドレスの裾を踏みそうで怖い。転けたら私が恥をかく、いや、サエキ様が恥をかく。下を見ながら歩く。
「緊張していますか?」
「はい、転けそうです」
「ふふ、そうですか。おや? 珍しい」
ふいにサエキ様が止まる。
『ユイ、あの雄なのです』
『軍隊ダンジョンにいた、強い雄よ。もう2匹強いのがいるわ』
ビアンカとルージュの鼻先が示したのは、アクションしてそうなイケメン、フェリクスさんだ。今日は冒険者の鎧ではなくスーツだ。おお、スーツでも格好いい。それから、あら、オスヴァルトさん? あれ、オスヴァルトさん? なんかちょっと違うような。
「エドワルドではないですか。珍しい、こちらに帰って来ていたんですか」
「それはこちらのセリフですよ、ひいお祖父様」
はい?
オスヴァルトさんそっくりさんは、軽く会釈して、サエキ様と堂々と話し出す。
「やっと後添えを得ましたか。これで母も安心するでしょう」
「何を言ってるんですか貴方は。こちらはテイマーのミズサワ殿ですよ。噂くらい聞いてるでしょう?」
「誰でも構いませんよ。ひいお祖父様の後添えなら。いい歳なんですよ? 一人自宅で誰にも気づかれないまま冷たくなっていたなんて、洒落になりませんからね。母がどれだけ心配しているか」
「相変わらずの減らず口ですね。誰に似たんだか」
「ひいお祖父様にですよ。せめて住み込みのメイドかフットマンをいれてください」
誰やねん、このオスヴァルトさんによく似た人。会話からしてサエキ様のひ孫さんのようだけど。ビアンカとルージュがいるけど、動じる様子がない。
「ああ、失礼。ミズサワ殿。紹介しますね、彼はエドワルド・ウルガー」
オスヴァルトさんにそっくりさんが、会釈。ウルガーと言うことは。
「彼はオスヴァルトの弟で、私のひ孫になります」
兄弟か、よく似てるわ。て、ことは、オスヴァルトさんもサエキ様のひ孫さんだね。
『この雄、強いのです』
『そうね。かなり強いわ』
興味津々にエドワルドさんを見ている。やめて。
「初めまして、エドワルド・ウルガーと申します」
ビアンカとルージュに動じず、自己紹介してくれる。うん、挨拶の仕草がオスヴァルトさんと同じだ。
「ユイ・ミズサワです」
コルセットがきついけど、お辞儀。腹に、ばら肉に食い込む。フェリクスさんにもお辞儀。向こうもお辞儀。
「ところでエドワルド、貴方はどうしてオークションに?」
「高品質の盾が狙いです。パーティーメンバーがAランクになったはいいが、盾が限界でしてね」
エドワルドさんが1人の男性を紹介する。
がっちりとした男性だが、緊張している。ごわっとした髪を軽くみつあみにしているけど、不思議と似合う。そして、肩とかすごい筋肉だ。
「うちのタンクのツヴァイクです」
「ツヴァイクでございます、サエキ様」
「ダイチ・サエキです。うちのエドワルドがお世話になってます」
いえいえ、いえいえ。
「貴方も珍しいですね、フェリクス殿。Sランクの拝命以来ですかね」
「お久し振りです、サエキ様」
「フェリクス殿はミズサワ殿をご存じですか?」
「はい。スカイランで」
「騒ぎのあった時に助けてもらいました」
ちょっと、フェリクスさんとお話する。
「お久し振りです、フェリクスさん」
「お久し振りです、テイマーさん。まさかこんな所でお会いすることになるなんて」
いたずらっ子みたいな笑みを浮かべるフェリクスさん。
「今日は鎧じゃないんですね」
「このグーテオークションには武装は禁じられていますからね」
私のビアンカとルージュいますけど。
フェリクスさんによると、このグーテオークションを始めた発起人はなんとサエキ様。今は国に運営を任せているが、サエキ様が連れてくる人は基本的に特別待遇だと。
「今日はお一人なんですか?」
他のパーティーメンバーがいないようだけど。
「今日は付き合いで来たんです」
なんでもSランクになった時の保証人の伯爵のお付き合いだと。その人は、飾られている宝石の前に張り付いている。あれ、冷蔵庫ダンジョンから出たルビーじゃない?
「奥方への贈り物にしたいそうなんですが、一人で来る勇気がないから付いてきてくれと」
「大変ですね。あのフェリクスさん、あのエドワルドさんってご存じですか?」
「ああ、エドワルド・ウルガー殿ですね。彼はあのダイチ・サエキ様の血筋で、実質ユリアレーナ最強のSランクの冒険者ですよ」
「へー」
ひいお祖父様はユリアレーナのご意見番、ひ孫は赤騎士団准将と、ユリアレーナ最強のSランク冒険者。どんだけやねん。
「しかし、今日は見違えました」
しげしげとフェリクスさんが見る。
「借り物です。ばら肉が、ハムのようにコルセットで縛り上げられてます」
フェリクスさんが噴き出す。
「面白い人だ」
クスクス笑うフェリクスさん。本当にイケメンやね。
「そう言えば、改修された冷蔵庫ダンジョンを早々に踏破されたそうですね」
「ビアンカとルージュが優秀なので」
「是非、どんな戦闘をされているか、拝見したいですな」
「ウィークスさんみたいな事言うんですね」
「おや? ウィークスをご存じで?」
なんと、あのウィークスさんとフェリクスさんお知り合い。それどころか、パーティー組んでいたそうだ。え、確か、ウィークスさん結構な歳だったはず。え、フェリクスさん、おいくつ?
「どうしました?」
「ええっと、ウィークスさんとフェリクスさんの歳が合わないよう」
「私を幾つだと思います?」
「30半ば? 40行くか行かないか?」
見た感じ。
「もう90を越えてますよ」
「ワオ」
びっくり。
確か、神様も言っていたなあ、寿命に差があるって。
「私は竜人の血が混じっていましてね。その影響で少し長命なんです」
「へー」
竜人は魔族の一種だそうです。
「ミズサワ殿は、何を狙いに?」
「私も付き合いです」
「そうですか」
ちらり、とサエキ様を見る。
丁度お話が終わったようで、私は挨拶して、再びサエキ様に手を引かれて進む。
オークションにかけられる品の半数以上、冷蔵庫ダンジョンから出た物だ。
「何か興味があるものは?」
「いえ、特には。見たことある物ばかりで」
「そうでしょうね。今回はマーファからの出品がほぼですから」
やっぱり。
「さあ、ミズサワ殿、こちらに」
「はい」
転ばないように、サエキ様に手を引かれて歩いた。
感想 854
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!