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鉱山の魔物①
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
「スカイランの西北に、鉱山を有する町、ソルトがあります」
確か、鉱山あるって聞いた。
「2週間前に、その鉱山でゴーレムが出まして」
「ゴーレム?」
ファンタジー。
「発言の許可を」
基本的にはこういった場では話さないホークさんが珍しい。
グアルダさんが、どうぞ、と。
「ゴーレム程度なら、我が主人が出るまではないかと思います」
そうなの?
よく分からない私に、ホークさんが説明してくれる。ゴーレムって言うのは、無機物の魔物。泥が固まったマッドゴーレム、枯れ木が集まって出来るウッドゴーレムが主で、スライムみたいにコアがあって、それが心臓となる。大きさもサッカーボールから秋田犬くらい。形は丸い。ストーンゴーレムと言う上位種で大型で歩行する足を持つものもいるが、そんなのは魔の森の奥、魔境や、ダンジョンの上層階にしかいない。本来のゴーレムは好戦的ではなく、静かに過ごし、自然に馴染んでいるため、スルーされることも多い。しかも苦労して倒しても、魔石は小さいし、スライムのようにコアが残らない。旨味もない。相手をすると、スピードが遅いだけで、足止めし、直撃さえ受けなければ、時間がかかるが、コアさえ破壊出来れば仕留める事は可能。
つまり、中堅の冒険者なら十分対応可能な魔物。
「確かに、マッドゴーレムやウッドゴーレム程度なら、わざわざ依頼はしませんが、今回ばかりはどうかご助力頂きたい」
『アイアンゴーレムでも出たのかしら?』
話を聞いたルージュがぽつり。
「アイアン?」
え、映画の題名みたいな。
「そうです。よくお分かりで」
感心するグアルダさん。
「新しい坑道が見つかったのですが、そこから出てきまして」
アイアンゴーレムっていうのは、まさに金属のゴーレム。上位種であるストーンゴーレムより更にワンランク上。只でさえ魔境のような所にいる、ストーンゴーレムより上位魔物。しかも金属の魔物だから、とにかく硬い、ひたすら硬い、そして一撃なんてくらったらこっちが木っ端微塵だ。倒すとなると、魔法でひたすら攻撃して、外皮を削り、内部のコアを破壊する人海戦術しかなく、上位の魔法職の冒険者と国の軍が動く。
ソルトで出てきたアイアンゴーレムは、はっきり分かっていないが、体長は約2メートルくらい。おとなしいならほっとけばいいのに、と思ったけど、そうは簡単にはいかない。新しい坑道から出てきて、繋がったメインの坑道に居座ってしまったと。
『ゴーレムは上位になればなるほど、縄張り意識が強いの。だから、占拠されてしまったら、追い出すには力で排除しかないわ』
メインの坑道が使えなくては、ソルトは死活問題だし、今は坑道内に留まっているが、もし地上に出てきたら、大惨事だ。ソルトはユリアレーナ有数の鉱山の町。そこそこの規模だ。
大変や。
「現在、坑夫達は避難して、坑道は封鎖していますが、いつまでもつか分かりません。アイアンゴーレムが奥に引っ込んだ時を狙ってわざと崩落させる手もありますが、現実的ではありません。一度縄張りと認識されてしまっている以上は、再び出てくるでしょう。そうなればソルトは干上がり、ユリアレーナの金属の流通にも影響し、人々の生活にもそれは及ぶでしょう。国の魔法を主体とする師団に指示を仰いでいます。しかし、軍の師団よりテイマー殿の従魔達の方が上手でしょう。貴女に依頼するのが、もっとも被害が少なくなるはずと判断しました。領主も同じ考えです。是非にも受けて頂きたい、と」
新しい領主さんは、そのアイアンゴーレムが出たので、国への連絡やらでもろもろの対応に追われているそうだ。
「なるほど」
私は、ちら、とルージュを見る。
ルビーみたいな目が、私を見て、そっぽ向く。
『ゴーレムなんて、美味しくないわー。そもそも食べ物ではないわー。手間がかかるわー。めんどくさいわー』
なんやねん、その棒読みっ。ゴロゴロ、ゴロリン、ゴロリン。
だいたい、この後に出そうなセリフ、分かるんやけどっ。
『エビが食べたいわー。果実をパリパリの皮で包んだのも食べたいわー。エビエビー』
やっぱりっ。おそらくルームの中のビアンカだって、似たような感じになってるはず。
「ええいっ。好きなだけ、食べてよかたいっ」
『ヤるわっ』
こうして、アイアンゴーレムの討伐依頼を受けることになった。
せっかく宿を予約して、年始年末はゆっくりなんて思っていたのに。宿に関しては、ギルドが代金を肩代わりしてくれることになり、そのまま予定の日まで確保してくれると。半分は領主がポケットマネーで出すと。とにかく今日中にはソルトに向かって欲しいと言われた。ルージュは軽く大丈夫よ、と。
「ありがとうございますテイマー殿」
心底安心したようなグアルダさん。直ぐに手配に走るサハーラさん。入れ替わるようにして、アステリさんがお茶を運んできた。
「ホークさん、こんな感じになりましたがいいですか?」
「はい、問題はありません」
お茶を頂くと、あ、この薫りは。
「ノータのベリーの紅茶ですか?」
「はい、そうです。ミズサワ様のご愛飲ですか?」
「いえ、頂いたんです。紅茶はこれしか分かりませんが、自分で淹れる中では、好きな味ですね」
「そうですか。では次もこちらをお出ししますね」
「ありがとうございます」
ふーふー、一口。うん、酸味と甘味、美味しい。ミルクティにするともっと美味しいんだよ。
お茶を頂いていると晃太もやって来た。スカイランで到着報告した時に対応してくれた、赤毛の女性が、アステリさんに書類の束を渡している。会話が耳に入る。赤毛の女性はマリーチャさんという名前のようだ。そのマリーチャさんは、私に申し訳なさそうに、何か言いたそうだが、アステリさんに言われてドアの向こうに。
「ミズサワ様、こちらは軍隊ダンジョンのドロップ品の依頼です」
と、書類の束を見せる。そうだと、思ったよ。
せっせとサインと魔力。ドロップ品はマジックアイテムは父の鑑定待ち、他は半分ギルドに回した。私達に必要な革や、大量のお肉は確保している。
よし、終了と。
依頼が出ていた以外のドロップ品の1%を、鷹の目のパーティーカードにいれてもらう。
それからサハーラさんから書状と木札を受け取る。
「こちらの木札を向こうの門番に見せたら、直ぐにギルドに通されます。書状はギルドにお渡しください、直ぐに分かるようになっていますし、宿を手配してくれます」
「ありがとうございます」
木札には、スカイラン冒険者ギルド、指名依頼受注中と刻まれている。晃太は近隣の地図を受け取り、確認している。頼むね、私は地図読めんもん。
私達は、グアルダさん達に見送られてギルドを後にした。
今年もよろしくお願いいたします。
「スカイランの西北に、鉱山を有する町、ソルトがあります」
確か、鉱山あるって聞いた。
「2週間前に、その鉱山でゴーレムが出まして」
「ゴーレム?」
ファンタジー。
「発言の許可を」
基本的にはこういった場では話さないホークさんが珍しい。
グアルダさんが、どうぞ、と。
「ゴーレム程度なら、我が主人が出るまではないかと思います」
そうなの?
よく分からない私に、ホークさんが説明してくれる。ゴーレムって言うのは、無機物の魔物。泥が固まったマッドゴーレム、枯れ木が集まって出来るウッドゴーレムが主で、スライムみたいにコアがあって、それが心臓となる。大きさもサッカーボールから秋田犬くらい。形は丸い。ストーンゴーレムと言う上位種で大型で歩行する足を持つものもいるが、そんなのは魔の森の奥、魔境や、ダンジョンの上層階にしかいない。本来のゴーレムは好戦的ではなく、静かに過ごし、自然に馴染んでいるため、スルーされることも多い。しかも苦労して倒しても、魔石は小さいし、スライムのようにコアが残らない。旨味もない。相手をすると、スピードが遅いだけで、足止めし、直撃さえ受けなければ、時間がかかるが、コアさえ破壊出来れば仕留める事は可能。
つまり、中堅の冒険者なら十分対応可能な魔物。
「確かに、マッドゴーレムやウッドゴーレム程度なら、わざわざ依頼はしませんが、今回ばかりはどうかご助力頂きたい」
『アイアンゴーレムでも出たのかしら?』
話を聞いたルージュがぽつり。
「アイアン?」
え、映画の題名みたいな。
「そうです。よくお分かりで」
感心するグアルダさん。
「新しい坑道が見つかったのですが、そこから出てきまして」
アイアンゴーレムっていうのは、まさに金属のゴーレム。上位種であるストーンゴーレムより更にワンランク上。只でさえ魔境のような所にいる、ストーンゴーレムより上位魔物。しかも金属の魔物だから、とにかく硬い、ひたすら硬い、そして一撃なんてくらったらこっちが木っ端微塵だ。倒すとなると、魔法でひたすら攻撃して、外皮を削り、内部のコアを破壊する人海戦術しかなく、上位の魔法職の冒険者と国の軍が動く。
ソルトで出てきたアイアンゴーレムは、はっきり分かっていないが、体長は約2メートルくらい。おとなしいならほっとけばいいのに、と思ったけど、そうは簡単にはいかない。新しい坑道から出てきて、繋がったメインの坑道に居座ってしまったと。
『ゴーレムは上位になればなるほど、縄張り意識が強いの。だから、占拠されてしまったら、追い出すには力で排除しかないわ』
メインの坑道が使えなくては、ソルトは死活問題だし、今は坑道内に留まっているが、もし地上に出てきたら、大惨事だ。ソルトはユリアレーナ有数の鉱山の町。そこそこの規模だ。
大変や。
「現在、坑夫達は避難して、坑道は封鎖していますが、いつまでもつか分かりません。アイアンゴーレムが奥に引っ込んだ時を狙ってわざと崩落させる手もありますが、現実的ではありません。一度縄張りと認識されてしまっている以上は、再び出てくるでしょう。そうなればソルトは干上がり、ユリアレーナの金属の流通にも影響し、人々の生活にもそれは及ぶでしょう。国の魔法を主体とする師団に指示を仰いでいます。しかし、軍の師団よりテイマー殿の従魔達の方が上手でしょう。貴女に依頼するのが、もっとも被害が少なくなるはずと判断しました。領主も同じ考えです。是非にも受けて頂きたい、と」
新しい領主さんは、そのアイアンゴーレムが出たので、国への連絡やらでもろもろの対応に追われているそうだ。
「なるほど」
私は、ちら、とルージュを見る。
ルビーみたいな目が、私を見て、そっぽ向く。
『ゴーレムなんて、美味しくないわー。そもそも食べ物ではないわー。手間がかかるわー。めんどくさいわー』
なんやねん、その棒読みっ。ゴロゴロ、ゴロリン、ゴロリン。
だいたい、この後に出そうなセリフ、分かるんやけどっ。
『エビが食べたいわー。果実をパリパリの皮で包んだのも食べたいわー。エビエビー』
やっぱりっ。おそらくルームの中のビアンカだって、似たような感じになってるはず。
「ええいっ。好きなだけ、食べてよかたいっ」
『ヤるわっ』
こうして、アイアンゴーレムの討伐依頼を受けることになった。
せっかく宿を予約して、年始年末はゆっくりなんて思っていたのに。宿に関しては、ギルドが代金を肩代わりしてくれることになり、そのまま予定の日まで確保してくれると。半分は領主がポケットマネーで出すと。とにかく今日中にはソルトに向かって欲しいと言われた。ルージュは軽く大丈夫よ、と。
「ありがとうございますテイマー殿」
心底安心したようなグアルダさん。直ぐに手配に走るサハーラさん。入れ替わるようにして、アステリさんがお茶を運んできた。
「ホークさん、こんな感じになりましたがいいですか?」
「はい、問題はありません」
お茶を頂くと、あ、この薫りは。
「ノータのベリーの紅茶ですか?」
「はい、そうです。ミズサワ様のご愛飲ですか?」
「いえ、頂いたんです。紅茶はこれしか分かりませんが、自分で淹れる中では、好きな味ですね」
「そうですか。では次もこちらをお出ししますね」
「ありがとうございます」
ふーふー、一口。うん、酸味と甘味、美味しい。ミルクティにするともっと美味しいんだよ。
お茶を頂いていると晃太もやって来た。スカイランで到着報告した時に対応してくれた、赤毛の女性が、アステリさんに書類の束を渡している。会話が耳に入る。赤毛の女性はマリーチャさんという名前のようだ。そのマリーチャさんは、私に申し訳なさそうに、何か言いたそうだが、アステリさんに言われてドアの向こうに。
「ミズサワ様、こちらは軍隊ダンジョンのドロップ品の依頼です」
と、書類の束を見せる。そうだと、思ったよ。
せっせとサインと魔力。ドロップ品はマジックアイテムは父の鑑定待ち、他は半分ギルドに回した。私達に必要な革や、大量のお肉は確保している。
よし、終了と。
依頼が出ていた以外のドロップ品の1%を、鷹の目のパーティーカードにいれてもらう。
それからサハーラさんから書状と木札を受け取る。
「こちらの木札を向こうの門番に見せたら、直ぐにギルドに通されます。書状はギルドにお渡しください、直ぐに分かるようになっていますし、宿を手配してくれます」
「ありがとうございます」
木札には、スカイラン冒険者ギルド、指名依頼受注中と刻まれている。晃太は近隣の地図を受け取り、確認している。頼むね、私は地図読めんもん。
私達は、グアルダさん達に見送られてギルドを後にした。
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