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連載
マーファの日常⑨
急ぎ足で冷蔵庫ダンジョンに向かう。
寒い中、いつもの警備の人達が転移の魔法陣がある小屋のドアを開けてくれる。人数が少ないのに、うん? みたいな顔されたけど。
どうも、と挨拶して、魔法陣に乗る。
『いい? 流すわよ』
ルージュがいつもより長めに魔力を流す。
ふわっ、と景色が変わる。
27階と28階を繋ぐ階段の踊り場だった。
「ルージュ、大丈夫? 少し休んで」
『これくらい平気よ』
私はルームを開ける。ボス部屋をルージュが開けるとフレアタートルがわじゃわじゃ出るから、ノワールに開けてもらおう。
花と三人娘が駆け寄って来た、よしよし。私はまず従魔の部屋を覗く。
「ビアンカ、元気は?」
『ずっと寝ているのです』
「吐いたりしとらん?」
『あれからないのですが、ずっと息がきつそうなのです』
「そう」
私はそっと元気を覗く。息が浅く、早いまま。首には冷却の付与をしたバンダナが巻いてある。
次にダイニングキッチンで作業していた母に声をかける。晃太が父のメモを見ながら、間違いないか確認している。
「どう?」
「うん、なんとかね」
母はせっせと作業しているので、あまり口を挟まない方がよかね。
ノワールを厩舎からホークさんが誘導している。
ルージュの水分補給を済ませる。
『ビアンカ、すぐにフレアタートルを倒してくるわ』
『…………頼むのですルージュ』
『ユイ、行けるわ』
「分かった」
ノワールを連れて、私とホークさんとエマちゃん、テオ君で階段を上がる。
「お願いね、ノワール」
「ブヒヒンッ」
本当にノワールは賢い。ノワールは扉の前に、そしてルージュは集中を始める。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
私達は後退。ルージュに任せるしかない。
光のラインを浮かび上がらせて、ノワールが前足で開けた扉の向こうに飛び込んでいく。
ちゅどどどどどんっ
ちゅどどどどどんっ
ドカーンッ
相変わらず凄か。
音がやみ、ルージュが顔を出す。
『終わったわ』
「お疲れ様。お願いします」
私は控えていたホークさんに声をかける。ボス部屋に入り、真っ先にフレアタートルの肝を探す。確か、いつも大きな瓶に入っていたはず。あ、あったっ。
私は慎重に肝入りの瓶を抱える。
「ホークさん、私、先にルームに行きますからっ。残りを」
「はい」
ホークさんにはAサイズのマジックバッグを託してある。エマちゃんとテオ君が手分けしてドロップ品を回収してくれる。
私は踊り場で開けっ放しのルームに、ノワールを連れて入る。
「あ、ユイさん」
従魔の部屋の前で、ルリとクリスを宥めていたチュアンさんが顔をあげる。
私はまっすぐダイニングキッチンに。
「お母さん、肝よ」
「ああ、ありがとう。もう少しで出きるけん」
「お願いね。私達は冷蔵庫ダンジョンから出たら、リティアさんに捕まるとおもうけん」
「分かった。リティアさんには、お世話になっとるけんね。あ、ディレックスで内服用のゼリーを買ってきて」
「あ、分かった」
私は異世界への扉からディレックスに走り、子供用の内服用ゼリー、スポーツ飲料水のゼリーを購入。すぐに出て、母に渡す。
「チュアンさん、お願いします」
「はい」
すがってくる三人娘を、チュアンさんに託す。
私はルームの扉を閉めて、階段を上がる。
ドロップ品の回収は終わって、宝箱が出ていた。ルージュがすでにチェックしている。
「ユイさん、肝があと一つありましたが」
ホークさんが私にマジックバッグを渡してくる。
「引き取りましょう」
『ユイ、罠の解除したわよ』
「ありがとう」
さ、さっさと開けよう。中にはお馴染みのビロードの箱。確認の為に開けると、色々な宝石がずらりと並んでる。私はマジックバッグにビロードの箱ごと入れる。タージェルさんにみてもらおう。
脱出用魔法陣が出たので、直ぐに脱出。
ふわっ、と景色が変わる。
さ、帰ろう。元気が心配や。
だけど、案の定、白い息を吐き出しながらすっ飛んできたのは、やっぱりリティアさんだ。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様っ」
「はいはい」
私はリティアさんに誘導されてギルドに。いつもはビアンカや晃太がいるのに、私がマジックバッグを持っていたため、ん? みたいな顔だったけど、すぐにスマイル。
私は倉庫でドロップ品を出す。
「すみませんリティアさん、私達、直ぐにお暇したいのですが。査定とかは後日取りに伺っても?」
「? はい、構いませんが」
「後ですね、直ぐに上層階にじっくり行けそうになくて…………急ぎの依頼で困るような事はないですかね?」
リティアさんには、パーティーハウスや依頼の事でかなりお世話になっている。毎回大量のドロップ品をチェックして、依頼をピックアップしてくれている。近々行きますね、なんて行った手前申し訳ない。
「急ぎの依頼はございませんよ。ミズサワ様のご都合で問題ございませんから」
「ありがとうございます」
私はリティアさんに挨拶して、ギルドを後にした。
パーティーハウスに急いで戻り、ルームに直行。
花がわがままボディでローリング。三人娘もやって来た、よしよし。
軽くもふもふしてからダイニングキッチンへ。
母がコーヒーのフィルターに鍋の中身を濾している。
「出来た?」
「出来たよ、一応此れ全部で3日分やね」
すごい、この短時間で。恐らく母も経験値が私と晃太のレベルアップに伴い、魔力保有量が増えたから、この短時間で生活魔法を駆使して出来ただけ。そして母の右の耳介には、晃太のイヤーカフ型の魔法補助のマジックアイテムがはまっている。
フィルターから濾された緑色の液体は、微妙な甘い匂いがする。一回分の緑色の液体を別のカップに。約50ml。なんとか飲ませんと。吐き気が誘発されなきゃよかけど。冷えた子供用内服ゼリーを持ち、従魔の部屋に。
しっかりと元気を抱き抱えたビアンカが顔を上げる。
『ユイ、それで元気が助かるのですか?』
「まだ分からんけど、今の精一杯や。何もしないで元気の体力だけで、乗り越えるのを待つか。これにかけて、熱を下げて、少しでも水分や栄養を取らせて体力の消耗を減らすかよ。どうするね?」
『…………それで元気が楽になるなら、任せるのです』
「もし、途中で吐き気が出たら、時間をおくね」
『分かったのです』
よし、母親の許可あり。
ふぅふぅと息をする元気。私は晃太に指示して、元気の頭を抱えてもらう。ゆっくり抱えたが、衝撃で元気がうっすら目を開ける。
「元気、少し口に入れるよ」
私はゼリーと混ぜた薬をスプーンで掬って、舌にのせる。でも、飲まずにドロリと溢れる。ああ、やっぱり無理かな。だけど、溢れ落ちた後に、元気はぺろりと舌を動かした
チャンスやっ。
私は素早くスプーンを舌にのせて、少しこぼれたけど、元気は飲み込んでくれた。
ぺろり、ぺろり。
だいぶ溢れたけど、全く飲まないよりましや。初回分がなくなった。それから吐かないかしばらく観察。良かった吐かないや。父のメモによると、時間は6時間開けて1日2回。
「ふう、飲んだな」
晃太がほっとして、元気の頭を戻す。
「第一段階やな」
私は息をつく。元気を身体はまだ熱い。まだまだ予断が許せん。
それから、母は更に薬の作成。晃太が手伝い、鷹の目の皆さんはブラッシングをやってくれる。父も帰って来て、元気の鑑定。
「まだ、発熱しとるな。40.3℃」
「そうな」
熱性けいれんとかにならなきゃいいけど。さっき薬をのんだばっかりやしなあ。
私達は交代で元気の側に付き添う。ビアンカは元気から離れようとせず、水も飲まない。
「ビアンカ、水くらいのみ」
『平気なのです。2、3日飲まなくても平気なのです』
「ビアンカが倒れそうやん」
『ビアンカ、私が元気を抱えるから何か食べた方がいいわ』
ルージュにも言われて、しぶしぶビアンカは元気から離れる。ルージュがそっと元気を抱えるようにして寄り添う。
やっと従魔の部屋から出てきたビアンカに、ルリとクリスがぴったり張り付く。
『かぁか~』
『かーか~』
『しばらく我慢してなのです』
ビアンカがルリとクリスをペロペロしている。いつもビアンカにぴったり張り付いていたルリとクリスは、寂しいんだね。
母が準備していた夕御飯を済ませると、すぐにルージュと変わる。
『みんな、今日はここで寝るわよ』
ルージュが、ルリとクリス、コハクとヒスイを従魔の部屋の外に呼ぶ。ルームの居間にあたる部屋だから、そこそこ広いから十分かな。コハクはいつも寝る前に一遊びする元気がおらず、かわりにミゲル君とテオ君が遊んでくれた。
いつもなら自室で休むけど、元気が心配だしね。少し目を覚ましたら、飲めそうならゼリーを元気の口に少しずつ運ぶ。母は薬の作成で疲れてしまい、パーティーハウスの寝室に、花と共に休んだが、やはり心配で、夜中に何度か従魔の部屋に様子を伺いに来た。父も仕事を抱えているので、書斎に籠る。鷹の目の皆さんも交代で、起きて待機してくれた。私と晃太は従魔の部屋に毛布を持ち込み交代で休み、一晩過ごした。
夜、ビアンカに抱えられた元気を見ていると、先代のミックス犬をどうしても思い出してしまう。こうやって、苦しそうに息をして、私達が付きっきりで看病した。様子を伺いに来ていた母が鼻を啜るのを見て、身に詰まされる。
悪い方に考えたくはないが、どうしても思い出してしまう。
もし、元気がこのまま助からなかったら、どうしよう? だけど、出来るだけのことをしている。そのはず。まだ、足りない気がするけど。
私は自分の負のスパイラルのような考えに、答えを見つけられず、一夜を明かした。
寒い中、いつもの警備の人達が転移の魔法陣がある小屋のドアを開けてくれる。人数が少ないのに、うん? みたいな顔されたけど。
どうも、と挨拶して、魔法陣に乗る。
『いい? 流すわよ』
ルージュがいつもより長めに魔力を流す。
ふわっ、と景色が変わる。
27階と28階を繋ぐ階段の踊り場だった。
「ルージュ、大丈夫? 少し休んで」
『これくらい平気よ』
私はルームを開ける。ボス部屋をルージュが開けるとフレアタートルがわじゃわじゃ出るから、ノワールに開けてもらおう。
花と三人娘が駆け寄って来た、よしよし。私はまず従魔の部屋を覗く。
「ビアンカ、元気は?」
『ずっと寝ているのです』
「吐いたりしとらん?」
『あれからないのですが、ずっと息がきつそうなのです』
「そう」
私はそっと元気を覗く。息が浅く、早いまま。首には冷却の付与をしたバンダナが巻いてある。
次にダイニングキッチンで作業していた母に声をかける。晃太が父のメモを見ながら、間違いないか確認している。
「どう?」
「うん、なんとかね」
母はせっせと作業しているので、あまり口を挟まない方がよかね。
ノワールを厩舎からホークさんが誘導している。
ルージュの水分補給を済ませる。
『ビアンカ、すぐにフレアタートルを倒してくるわ』
『…………頼むのですルージュ』
『ユイ、行けるわ』
「分かった」
ノワールを連れて、私とホークさんとエマちゃん、テオ君で階段を上がる。
「お願いね、ノワール」
「ブヒヒンッ」
本当にノワールは賢い。ノワールは扉の前に、そしてルージュは集中を始める。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
私達は後退。ルージュに任せるしかない。
光のラインを浮かび上がらせて、ノワールが前足で開けた扉の向こうに飛び込んでいく。
ちゅどどどどどんっ
ちゅどどどどどんっ
ドカーンッ
相変わらず凄か。
音がやみ、ルージュが顔を出す。
『終わったわ』
「お疲れ様。お願いします」
私は控えていたホークさんに声をかける。ボス部屋に入り、真っ先にフレアタートルの肝を探す。確か、いつも大きな瓶に入っていたはず。あ、あったっ。
私は慎重に肝入りの瓶を抱える。
「ホークさん、私、先にルームに行きますからっ。残りを」
「はい」
ホークさんにはAサイズのマジックバッグを託してある。エマちゃんとテオ君が手分けしてドロップ品を回収してくれる。
私は踊り場で開けっ放しのルームに、ノワールを連れて入る。
「あ、ユイさん」
従魔の部屋の前で、ルリとクリスを宥めていたチュアンさんが顔をあげる。
私はまっすぐダイニングキッチンに。
「お母さん、肝よ」
「ああ、ありがとう。もう少しで出きるけん」
「お願いね。私達は冷蔵庫ダンジョンから出たら、リティアさんに捕まるとおもうけん」
「分かった。リティアさんには、お世話になっとるけんね。あ、ディレックスで内服用のゼリーを買ってきて」
「あ、分かった」
私は異世界への扉からディレックスに走り、子供用の内服用ゼリー、スポーツ飲料水のゼリーを購入。すぐに出て、母に渡す。
「チュアンさん、お願いします」
「はい」
すがってくる三人娘を、チュアンさんに託す。
私はルームの扉を閉めて、階段を上がる。
ドロップ品の回収は終わって、宝箱が出ていた。ルージュがすでにチェックしている。
「ユイさん、肝があと一つありましたが」
ホークさんが私にマジックバッグを渡してくる。
「引き取りましょう」
『ユイ、罠の解除したわよ』
「ありがとう」
さ、さっさと開けよう。中にはお馴染みのビロードの箱。確認の為に開けると、色々な宝石がずらりと並んでる。私はマジックバッグにビロードの箱ごと入れる。タージェルさんにみてもらおう。
脱出用魔法陣が出たので、直ぐに脱出。
ふわっ、と景色が変わる。
さ、帰ろう。元気が心配や。
だけど、案の定、白い息を吐き出しながらすっ飛んできたのは、やっぱりリティアさんだ。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様っ」
「はいはい」
私はリティアさんに誘導されてギルドに。いつもはビアンカや晃太がいるのに、私がマジックバッグを持っていたため、ん? みたいな顔だったけど、すぐにスマイル。
私は倉庫でドロップ品を出す。
「すみませんリティアさん、私達、直ぐにお暇したいのですが。査定とかは後日取りに伺っても?」
「? はい、構いませんが」
「後ですね、直ぐに上層階にじっくり行けそうになくて…………急ぎの依頼で困るような事はないですかね?」
リティアさんには、パーティーハウスや依頼の事でかなりお世話になっている。毎回大量のドロップ品をチェックして、依頼をピックアップしてくれている。近々行きますね、なんて行った手前申し訳ない。
「急ぎの依頼はございませんよ。ミズサワ様のご都合で問題ございませんから」
「ありがとうございます」
私はリティアさんに挨拶して、ギルドを後にした。
パーティーハウスに急いで戻り、ルームに直行。
花がわがままボディでローリング。三人娘もやって来た、よしよし。
軽くもふもふしてからダイニングキッチンへ。
母がコーヒーのフィルターに鍋の中身を濾している。
「出来た?」
「出来たよ、一応此れ全部で3日分やね」
すごい、この短時間で。恐らく母も経験値が私と晃太のレベルアップに伴い、魔力保有量が増えたから、この短時間で生活魔法を駆使して出来ただけ。そして母の右の耳介には、晃太のイヤーカフ型の魔法補助のマジックアイテムがはまっている。
フィルターから濾された緑色の液体は、微妙な甘い匂いがする。一回分の緑色の液体を別のカップに。約50ml。なんとか飲ませんと。吐き気が誘発されなきゃよかけど。冷えた子供用内服ゼリーを持ち、従魔の部屋に。
しっかりと元気を抱き抱えたビアンカが顔を上げる。
『ユイ、それで元気が助かるのですか?』
「まだ分からんけど、今の精一杯や。何もしないで元気の体力だけで、乗り越えるのを待つか。これにかけて、熱を下げて、少しでも水分や栄養を取らせて体力の消耗を減らすかよ。どうするね?」
『…………それで元気が楽になるなら、任せるのです』
「もし、途中で吐き気が出たら、時間をおくね」
『分かったのです』
よし、母親の許可あり。
ふぅふぅと息をする元気。私は晃太に指示して、元気の頭を抱えてもらう。ゆっくり抱えたが、衝撃で元気がうっすら目を開ける。
「元気、少し口に入れるよ」
私はゼリーと混ぜた薬をスプーンで掬って、舌にのせる。でも、飲まずにドロリと溢れる。ああ、やっぱり無理かな。だけど、溢れ落ちた後に、元気はぺろりと舌を動かした
チャンスやっ。
私は素早くスプーンを舌にのせて、少しこぼれたけど、元気は飲み込んでくれた。
ぺろり、ぺろり。
だいぶ溢れたけど、全く飲まないよりましや。初回分がなくなった。それから吐かないかしばらく観察。良かった吐かないや。父のメモによると、時間は6時間開けて1日2回。
「ふう、飲んだな」
晃太がほっとして、元気の頭を戻す。
「第一段階やな」
私は息をつく。元気を身体はまだ熱い。まだまだ予断が許せん。
それから、母は更に薬の作成。晃太が手伝い、鷹の目の皆さんはブラッシングをやってくれる。父も帰って来て、元気の鑑定。
「まだ、発熱しとるな。40.3℃」
「そうな」
熱性けいれんとかにならなきゃいいけど。さっき薬をのんだばっかりやしなあ。
私達は交代で元気の側に付き添う。ビアンカは元気から離れようとせず、水も飲まない。
「ビアンカ、水くらいのみ」
『平気なのです。2、3日飲まなくても平気なのです』
「ビアンカが倒れそうやん」
『ビアンカ、私が元気を抱えるから何か食べた方がいいわ』
ルージュにも言われて、しぶしぶビアンカは元気から離れる。ルージュがそっと元気を抱えるようにして寄り添う。
やっと従魔の部屋から出てきたビアンカに、ルリとクリスがぴったり張り付く。
『かぁか~』
『かーか~』
『しばらく我慢してなのです』
ビアンカがルリとクリスをペロペロしている。いつもビアンカにぴったり張り付いていたルリとクリスは、寂しいんだね。
母が準備していた夕御飯を済ませると、すぐにルージュと変わる。
『みんな、今日はここで寝るわよ』
ルージュが、ルリとクリス、コハクとヒスイを従魔の部屋の外に呼ぶ。ルームの居間にあたる部屋だから、そこそこ広いから十分かな。コハクはいつも寝る前に一遊びする元気がおらず、かわりにミゲル君とテオ君が遊んでくれた。
いつもなら自室で休むけど、元気が心配だしね。少し目を覚ましたら、飲めそうならゼリーを元気の口に少しずつ運ぶ。母は薬の作成で疲れてしまい、パーティーハウスの寝室に、花と共に休んだが、やはり心配で、夜中に何度か従魔の部屋に様子を伺いに来た。父も仕事を抱えているので、書斎に籠る。鷹の目の皆さんも交代で、起きて待機してくれた。私と晃太は従魔の部屋に毛布を持ち込み交代で休み、一晩過ごした。
夜、ビアンカに抱えられた元気を見ていると、先代のミックス犬をどうしても思い出してしまう。こうやって、苦しそうに息をして、私達が付きっきりで看病した。様子を伺いに来ていた母が鼻を啜るのを見て、身に詰まされる。
悪い方に考えたくはないが、どうしても思い出してしまう。
もし、元気がこのまま助からなかったら、どうしよう? だけど、出来るだけのことをしている。そのはず。まだ、足りない気がするけど。
私は自分の負のスパイラルのような考えに、答えを見つけられず、一夜を明かした。
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