もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
350 / 865
連載

マーファの日常⑩

しおりを挟む
 あまり眠れず、一夜明けた。
 元気はかわらず、短い呼吸をしている。
 まだまだ身体が熱く、父の鑑定でも39.8と出た。昨日と同じように、晃太が元気の頭を抱えて、私が内服用ゼリーと混ぜた薬を口に運ぶ。
 ぺろり、ぺろり。
 良かったっ、ほとんど飲めた。それから元気は予め器に入れていた水に顔を寄せたので、近付けると、少しだけど飲んだ。
「昨日よか、よかかね?」
 元気の頭を元の位置を戻す。元気はすぐに丸くなり眠りに入る。
 不安そうな晃太。それ以上にビアンカが不安そうだ。
『ユイ、元気はすぐによくならないのですか?』
「おそらく数日はかかるよ」
 私は元気の首のバンダナを新しく巻き直す。私と晃太は交代で朝食を取る。神棚に元気の回復祈願をすると。

 すまんな、ケガなら力を貸してやれるが、病に関しては力になれない。薬に関しても、お前の父親の鑑定力を信じろ

 と、時空神様。
 何となく、そうじゃないかと思っていた。
 以前ダイアナちゃんやティム君に神への祈りが発動しなかった。もしかしたら、病気とかはどうにもならない事かもって、思っていた。だが、父の鑑定は間違っていない、そう確認した。
 でも、この『神への祈り』の発動条件、よく分からん。まあ、そのうち聞いてみよう。
 それからも元気を中心に過ごす。吐きはしないが、やはりお腹が緩い。
 ルリとクリスが、ビアンカを求めて鳴くので、ルージュと交代して対応。
「がぅぅ、がぅぅ」
『ねえね、げんき、おっきしないの?』
 コハクとヒスイも元気の異変を分かっているのだろう、かいかいしていると聞いてくる。
「お熱あるからね」
「がぅ?」
『おねつ~?』
「身体がね、熱くてきついんよ。それで起き上がらんようにして体力を使わんようにしとると。しばらくは遊べんよ」
「がぅー」
『ふーん』
 理解してくれたかな?
 しばらくして、元気の様子が変わる。
『少し、息が穏やかになってきたのです』
『そうね、そんな感じね』
 ビアンカとルージュが眠る元気をのぞきこみながら、ちょっと安堵のため息。
「本当?」
『そうなのです。昨日と比べたらなのですが』
 私も元気を見ると、あまり変わりなさそうだけど、ビアンカとルージュが言うならそうなんだろう。薬が効いてきたかな? 昨日より比べたら、だからまだ予断を許せないね。
 夕方になり、母がフレアタートルで薄味のおじやを作る。いつも食べる量の半分。そっと元気の顔に近付けると、匂いに起きて少しペロペロしながら食べてくれた。昨日は派手にリバースしたのに。それを見て、私は一気に安心してしまったが、気を引き締める。薬に関しては、内服用ゼリーに混ぜて出すとすべて食べてくれた。食べてくれたが、すぐにまた丸くなる。
「少し、良さそうやね」
 心配していた母も、食べたその様子を見て安堵している。
「次はいつも食べる量に戻すね?」
「そうやね。うーん、いや、まだ半分にしとこう。吐いたりしたら元気がきつかろうし」
「分かった」
 母は器を持って下がる。
 昨日に比べて確かに目に力が入っているし、食べてはいるけど、まだどうなるか分からない。
 父が帰って来て、鑑定する。
「熱が38.9やな」
「そうな」
 解熱してきているが、昨日に続いて高熱のままだ。このまま熱が続いたら、色々悪さしないだろうか。
 悶々としながら、再び同じように毛布を持ち込み、一晩越した。

 次の日。
「38.5」
「すっきり下がらんね」
 後、薬は今日の朝分を飲んだら、後2回分。
「お父さん、薬の配合はあのままでよか?」
「そうやな。ちょっと待ってな」
 うーん、と父が鑑定し、最初の薬の配合を少しだけ変更。
「今の薬がなくなったら、次はこれにしてみて」
「分かった。フレアタートルの肝はやっぱりいるね」
 手に入れないと。
 元気はおじやと薬は問題なく食べた。自分で顔を上げて食べた。吐きはしないが、やっぱりお腹は緩いまま。そして丸くなる。
『ユイ、元気はどうなるのです? 少し食べれているようなのですが』
「ビアンカ、熱がまだしっかり下がらんけん、薬の配合を変えて見るね。ご飯を食べれるくらいはなっとるけど、出来る手段はすべて出そう」
『分かったのです。ユイに任せるのです』
 私は元気の首のバンダナを巻き直す。
「ルージュ、フレアタートルの肝が必要なんよ」
『任せて』
 黙って見ていてくれたルージュが赤い目を滾らせて答えてくれる。
 母は薬の作成に入り、晃太がフォローに入る。
 前回と同じメンバーで、冷蔵庫ダンジョンに向かい、問題が起きる訳もなく、フレアタートルはルージュの前に完敗しドロップ品となる。
 肝以外はギルドに回し、リティアさんに挨拶してそそくさと帰る。
 帰りながら思う。今回は元気が熱を出したが、ルリやクリス、コハクやヒスイがそうならない可能性はない。そうなれば、やっぱり薬の作成となると、フレアタートルの肝が必要になるかも。元気の体調がよくなったらある程度確保が必要になるかも。今回はたまたま冷蔵庫ダンジョンのあるマーファにいたからすぐに手に入ったけど。もし、『彼女さん』に会いに行ってる途中でなったら、どうしようもない。
 元気の容態次第だけど、やはり、手に入れないと。

 心配したけど、元気の容態は悪化することなく、徐々に回復した。
 初回の薬を飲みきった次の日、元気は自ら従魔の部屋の水呑場まで歩いた。熱が37℃台になると、食欲が戻って来た。
「くぅーん」
『足りないようなのです』
 おじやを食べきった元気に、ビアンカは嬉しそうに頬擦りする。
「そうね、足りんね」
 母が嬉しそうにおじやを追加する。
 お腹はまだ緩いけど、仕方ない。抗生剤効果がある薬やからね。
『ユイ、元気が良くなっているのです、ありがとうなのです』
「いいんよ、私は当たり前の事をしただけよ」
 元気は熱が下がり、楽になったのか、従魔の部屋をうろちょろしている。
「元気、しばらくは大人しくしとかんね」
「くぅーん、くぅーん」
 ああ、甘えた声だして、もう。
 でも、良かったあ、本当に良かったあ。一時はどうなるか不安で堪らなかったけど、本当に良かった。私は元気をよしよしと撫でる。元気は数日前の状態が分からないくらいに、私の前でお腹を出してゴロリ。
 ああ、本当に、本当に良かった。

 更に数日後、元気はコハクと走り回っている。
 ああ、目頭が熱くなりそう。母は隣で鼻を啜る。ルリとクリスは存分にビアンカに甘えている。元気はちょっと痩せてしまったが、食欲は完全に戻り、投薬も止まった。お腹の調子もバッチリ。
「良かったあ、元気」
 晃太も走り回っている元気に安心している。
「ずずっ、そうやな。でも、あんな熱が出たんやろうね?」
 元気は仔達の中で一番大きいし、まさに元気だし、良く食べるし、体力有り余ってるし。抵抗力がありそうな感じがするんやけど。まあ、私の勝手なイメージかな?
「そりゃ、あんだけ、雪の中で走り回っていたけんやない?」
「そうやったけ?」
 晃太の言葉で記憶を引っ張り出す。
 確かに前日大雪だった。
 元気は興奮してずっと外で遊んでいた。コハクやヒスイ、ルリとクリスはちょっと遊んで満足して、暖かい従魔の部屋で大人しくしてたけど。去年はまだ今より小さいから捕まえたけど、現在はちょっと厳しい。なんせ足は速いし、パワーはあるし、体力あるし。なんとか室内へ誘導したけど、知らないうちにドアをこじ開けて、中庭に出てるし。それを何度か繰り返し、毎回元気は雪でびちゃびちゃ。
「あー………………」
 そう言えば、雪の中で、腹出して寝てたよ。ビアンカも嗜めてたなあ。
「あー、そうやったねえ………………」
 母も思い当たったようだ。
 原因はそれかなあ。
「中庭のドア、この時期はカギを常にかけるようにしようかね」
 私がぽつり。中庭は仔達が好きに遊んでもらおうと、カギをかけないようにしていたけど。
「「そうやな」」
 晃太と母の返事は早かった。
 私はすぐに鷹の目の皆さんにも協力を仰いだ。
 話している最中に、元気は雪がしっかり残る中庭に飛び出していく。あ、カギ、壊れてるっ。
 せっかく良くなったのにっ。
「元気、戻っておいでっ」
『元気戻るのですっ』
「わんわんっ」
 走り回る元気。ビアンカもあわてて追いかける。そして見つける雪だるま。
 記念に作ってみたんだけど、元気はへっへ言って雪だるまを見ている。
「元気、また、熱がね……………」
 追い付いた私が言うと、元気は一際大きな声で吠える。
「わんわんっ」
  ぼすうっ
 元気が何か白いのを発射し、雪だるまの頭が吹っ飛ぶ。
「『……………え?』」
 私とビアンカが止まる。
「わんわんっ」
  ぼすうっ
 第2弾、雪だるまの下の部分まで吹っ飛ぶ。
 元気はそれを見て、満足したように私とビアンカに振り返り、尻尾ぷりぷり。
「ビアンカさん、今、元気は何の魔法を使ったん?」
『こ、氷の魔法なのです………………』
 確か、ビアンカがなかなか覚醒しなくて、半ば諦めていて、神様がブーストくれた時をきっかけで使えるようになったはず。え? 確か、水の属性魔法があったら覚醒する、上位魔法よね? え? これ、普通なん? 水属性魔法が覚醒してから、氷属性魔法やないと? 違う? 下手したら覚醒せんって聞いた気がする。
「これ、普通なん?」
『んな訳ないのですーっ』
 ビアンカが吼える。
『元気は、色々規格外ね』
 見ていたルージュもなんとも言えない顔だ。
『ビアンカ、元気の魔力操作の訓練を継続しないと。才能だけは、おそらくフォレストガーディアンウルフの中でも桁外れのはずよ。暴発したら大変』
『そ、そうなのですね。元気、こっちに来るのです』
 ビアンカが言うが素直に来るわけない。
 仕方ない、食パンをちらつかせると、ダッシュできた。完全に元気に戻ったなあ。でも、新たな問題?があるようや、ビアンカが頭を抱えてる。幼い魔力操作でいくつも属性魔法があると、混乱する原因だって。
 体調見ながら、元気の魔力操作指導しているけど、なかなか言うこと聞かずに、ビアンカが雷を落としたのは、数日後だった。
しおりを挟む
感想 819

あなたにおすすめの小説

私を婚約破棄した国王が処刑されたら、新しい国王の妃になれですって? 喜んで…と言うとでも?

あんど もあ
ファンタジー
幼い頃から王子の婚約者だったアイリスは、他の女性を好きになった王子によって冤罪をかけられて、田舎で平民として生きる事に。 面倒な貴族社会から解放されて、田舎暮らしを満喫しているアイリス。 一方、貴族たちの信頼を失った王子は、国王に即位すると隣国に戦争を仕掛けて敗北。処刑される。 隣国は、アイリスを新しい国王の妃にと言い出すが、それには思惑があって…。

四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?

白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。 王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。 だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。 順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。 そこから始まる物語である。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。