もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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魔境⑨

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 てってれってー
【従魔の入室確認 従魔の部屋 追加されます】
【中庭に特別オプションつきます】

 ポワン、と厩舎の隣に新しい部屋が。覗くと、ビアンカやルージュ達が使う従魔の部屋と同じ作りの部屋が。それから中庭には、なんと大樹がでででん、と立っていた。うわあ、見上げるようにデカかあ。多分幹とか直径何10メートルとかありそう。あの太い枝なら、『彼女さん』が乗っても大丈夫そうや。興奮した仔達が走り回る。うんうん、かわいか。
 さ、部屋と大樹はいいとして。
『名前?』
「そう、それがあると便利なんやけど」
 ビアンカとルージュ達の名前も私達が候補を出し合って決めた。
 従魔契約してからもお食事会が続く。ただ、毎日こんな食事ではないことは説明した。だってぽちゃぽちゃになったら、飛ぶの大変だろうしね。『彼女さん』はビアンカとルージュのお尻を見て納得していた。
 最後にデザートを出す。まずは銀の槌のケーキを並べ、次にうららのパンケーキを並べる。仔達にも、プレーンパンケーキを出す。
『ウム、任セル』
 食べるのに忙しい様子。5枚のパンケーキが面白いようになくなる。追加のタップ。さっきまでわちゃわちゃしていたビアンカとルージュ、お兄さんと鼻水もパンケーキをもくもくと食べてる。静かや。お母さんウルフは、母の部屋で赤ちゃん達と寝てる。
『蜘蛛達はいいのですか?』
『そうね。あれなら、巣を壊滅させる?』
 恐ろしい事を。だけど、気になるあの蜘蛛達。エリアボスの『彼女さん』とお兄さん達がいない時を狙って襲って来ていたし。
『アア、問題ナイ。扇動シテイタ奴ラハ根コソギ潰シテキタ』
 こちらも恐ろしい。あ、おかわりね、はいはい。タップタップタップタップ。
 話を聞いていると、普段あの蜘蛛達は無理に縄張りから出ず、かかった獲物だけで生活している種族だと。なので、こちらからもあえてちょっかいかけることはない。だが、エリアボスが襲われる数日前から、そちら方面の森がざわめいているのに『彼女さん』が気が付いて、お兄さんだけ連れて調べに回った。別方面からは伴侶さんと『彼女さん』の仔が空から偵察。
 で、結果、蜘蛛達を扇動していた特殊個体が複数あり、まさに根こそぎ蹴散らした、と。エリアボスの間を襲撃されたが、本来ならウルフ総出で対応したら、蹴散らしたろうが、出産時期で奥の巣には、たくさんのお母さんウルフと赤ちゃん達がいたため、半数で応戦。日頃お兄さんのへいへいいくぜ行軍のお陰でかなり強いウルフ達は、ギリギリ持ちこたえて、私達が合流。なるほど。
「そんな怖か特殊個体が何体もおるなんて、怖かね」
『アア。ダガ、アレダケ叩イタノダ、シバラクハヤツラモ無理ハデキナイ。他ノエリアボス達モ、警戒シテイル』
 ピタリ。と、止まる、ビアンカとルージュ。
『会ったのですか?』
『貴女、平気だったの?』
『フンッ、イツノ話ダ。トックニ私ガアレヲ上回ッテイルノダ。臆スル理由ナドナイ』
 何やら心配そうなビアンカとルージュに、『彼女さん』は鼻で嗤う。気になるが、その内ね、きっとその内。
 そうそう名前、どうしよう。
 色々候補を出しあう。
 パンケーキに満足した頃に、ようやく決まった。一体何枚のパンケーキを出したのだろう? うららだけで、10万近くした。私達も摘まんだけどね。
「では、イシスで」
『ウム』
『彼女さん』は異論ない様子。もといた世界の、女神様の1人と言うと、羽角がピクピクッてしたので、きっと大丈夫かな。
「伴侶さんはオシリス」
「クゥッ」
 伴侶さんは、普通のグリフォンだ。だけど、鬼教官のリルさんに鍛えられたので、他のグリフォンよりは強いそうだ。イシスやお兄さん、ビアンカ、ルージュには負けるけど。
「君は、ホルスね」
「クルクルッ」
 ご満足な様子。ホルスはイシスと同じエンペラーグリフォンだ。現在6歳だって。元気達のお兄さん的な感じになってくれないかな。
 さて、戦力強化も無事済んだし、片付けして神様にご報告しようと思ったら、すでに就寝時間だ。明日、落ち着いてからにしよう。
 早速、従魔の部屋で、イシス一家が寝るかな? と、思ったら、とりあえず今日は引き上げると。また、明日会うことに。お母さんウルフは、赤ちゃん達と寝ているので、そのまま。必死にすがり付くお兄さんと、きゅるん、と訴える鼻水をビアンカとルージュが追い出して、やっと就寝準備に取りかかった。
 あ、せっかく従魔契約したから、シャンプーに行ってみよう。いくらかかるか分からない。それに、チーズクリームが受けてくれないかもしれない。時間を見ると、すでに閉店時間だ。これも明日確認だ。ある程度の額は覚悟しておこう。

 次の日。
 快晴だ。
 色々済ませてお地蔵さんにお祈り。
「おはようございます神様、無事に戦力強化出来ました」
 おはようお嬢さん
 あ、今日は始祖神様や。
 無事に強化出来たのお。では、そのグリフォン一家を、落ち着いたら連れておいで、声をかけておこう
「はい、お待ちください」
 朝御飯の準備をしていると、お母さんウルフと赤ちゃん達が部屋から出てきた。ビアンカとルージュも釣られたように出てくる。
『体調はどうなのです?』
『お乳は順調かしら?』
「わおん、わおん」
 お母さん達の井戸端会議が始まる。花がびくっとするが、お母さんウルフと赤ちゃん達には既に数日接している為、吠えない。
 私の視界の中に、ぽてぽてぽてん、と歩く赤ちゃん達。あはははん、かわいかあ。
「あはははん、おいで~」
 思わず手を差し出すと、赤ちゃんの一匹が私の元に。隣で晃太も口を尖らせている。そろそろさわっても大丈夫かな? お母さんウルフはビアンカとルージュとおしゃべりしてるし。
 私はそっと一匹抱き上げる。あはははん、もふもふ~。口元がかわいかあ。お尻もぷりぷりしてて、もうたまらん。たまらん。
「ちゅー」
 私は堪らずひょっとこの様な口をして、ちゅー。
 ぺろん。
 あはははん、かわいか。ピンクの舌のかわいらしいこと。病気? 神様からのお年玉の指輪があるから、全然大丈夫。

 てってれってー
【フォレストガーディアンウルフ(幼体) 水澤優衣の従魔になりました】

 ……………………………やってしまったーッ。
 いや、だけど、ちょっと待って、本当にちょっとちゅーしただけなのにッ。それに親御さんの許可だってないのに。あ、そうや、一旦解除や。やり方わからんけど、もしかしたら、もう一回ちゅーしてみるが、変わらず。従魔契約ってこんなに簡単なわけ? 不味い、親御さんの許可がないのに、どうしよう。あのお母さんウルフと、やっと信頼っぽいの芽生え始めたばっかりなのに。大事な赤ちゃん取り上げたみたいで、私は焦る。
「姉ちゃん、どうしたん?」
「いや、あの、ね」
 説明どうしようか悩む。抱っこしていた赤ちゃんが、私の腕から降りて、晃太の膝にすがりつく。くっ、お尻がかわいか。あの尻尾っ。たまらん。
 残りの三匹が私の膝に群がるので、さっきの焦りは靴を履いて走り去り、ザ・ウェルカム。
 よしよし、もふもふ~。
 三匹は背伸びして、ペロペロと私の顔を舐める。あはははん、夢のようや、赤ちゃんウルフ達に囲まれて。もふもふ~。

 てってれってー
【アーマーナイトウルフ(幼体) アーマーナイトウルフ(幼体) アーマーナイトウルフ(幼体) 水澤優衣の従魔になりました】

 不味い、非常に、まずい。
 不味いーッ。ど、どうしよう。もふもふ。
 うーん、やはりここは素直に言って、赤ちゃん達を取り上げるつもりはない事を言わんとね。やっぱり、お母さんウルフの側が絶対によかはず。
「あのビアンカ、ルージュ、よか?」
『なんなのです?』
『どうしたの?』
「実はね、この赤ちゃん達と従魔契約してしまったんよ、あ、不可抗力やけんねっ。でもね、私は赤ちゃん達を取り上げるような事はせんって、お母さんウルフに説明してくれん?」
 ビアンカとルージュが顔を見合わせる。
『先を越されたのですね』
『それは、心配無いわよ。ね、貴女もしてはどう?』
 なんの話をしていたん? お母さんウルフが私に迫る、あはははんっ、迫力満点っ。赤と紫の目が、わあ、綺麗やあ。ビアンカと違う感じのオッドアイ。ビアンカは色味的に清楚感漂う色だけと。こちらはなんとも色っぽい感じや。
 そして、ベロリン。
 うぷうっ。でっかいザラザラした舌が、私の顔面をベロリ。く、くさかあっ。

 てってれってー
【アーマークイーンウルフ 水澤優衣の従魔になりました】

「いやいや、ちょっと待ってん。よかとね? こんな簡単に契約して」
 私はべとべとになった顔を拭く。
『構わないのですって』
『数日前から色々話していたのよ』
 お母さんウルフと、ビアンカとルージュがずっと話していたそうだ。赤ちゃんウルフは全部で4匹。上位種族特有の生存率の問題がある。上手くいけば生き残れるのはたったの2匹。切ない。
 だけど、元気、ルリ、クリス、コハク、ヒスイは全員無事に育っている。
『ユイ達がいたから、皆成体になれそうなのです。元気だって、あの時、ユイ達が手を尽くしてくれたから今があるのです。ルリとクリスにしてもそうなのです。どちらも乗り越えらなかったと思うのです』
『コハクとヒスイもよ。ヒスイはあの熊から逃れられても、持たなかったわ。本当に感謝しているのよ』
「そ、そうな」
『それに、ユイが彼女に『神への祈り』で回復してくれたのです』
『お乳にいいようなご飯を絶えず出してくれたわ』
 それはつまり。
「赤ちゃん達の為に来るって事?」
『『そう』』
『彼女自身かなり優秀なのですよ。あの兄の伴侶になってくれているのですから』
『元々、アーマーナイトウルフだったの。ノワールの様に殻を破り、進化したんだから』
「いやいや、そのお兄さんはどうするん?」
 だって、お母さんウルフの伴侶だし、赤ちゃん達のお父さんよね。
 ふいに、向こうを向くビアンカとルージュ。
『イシスがいるのです』
『な、なんとかなるわ。ここに残るように言うし』
「大丈夫なあ?」
 晃太が赤ちゃんを抱っこしながら疑いの眼差し。ここ数日でお兄さんのビアンカやルージュ達、お母さんウルフと赤ちゃん達へのスキンシップを見ているからだ。確かにずいぶんすりすりしていた。元気は平気そうだが、コハクはたまに嫌そうだし、三人娘はすり寄られて嫌がって、デレデレされてドン引きしてた。ビアンカとルージュもたまに手加減しないで、パンチ食らわせている。要は溺愛しているのだ。
「それでよかと?」
 私はお母さんウルフに確認。お母さんウルフは別に、といった顔。
「わおん、わおん」
『私とルージュがいれば安心なのですって』
『ルームもあるから、会うのには困らないって』
「それでお兄さん納得するね?」
『あ、ユイが同行させなければいいのですっ』
『そうね、そうよっ』
「私に対応押し付けんで」
 私は最初にちゅーした赤ちゃんを抱える。ちゅー、ちゅー。ペロペロ。
 嫌な予感がするが。
 じっと私を見つめる、赤と紫のオッドアイ。なんだか不安そうやけど。うーん、と思っていたが、赤ちゃんがペロペロ。あはははん、かわいか。もう、どうでもよか。何匹増えようがよか。かわいかもん。もふもふやもん。赤ちゃんかわいかもん。しっかりお世話せんとね。
「優衣、どうしたん? ご飯、手伝って」
「はいはい」
 私は赤ちゃんをお母さんウルフに預けた。
 後で名前考えよう。
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