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行動計画⑥
マデリーンさんは私にこしょこしょ。
「ユイさん、宜しいですか?」
「はい、いいですよ。皆さん、マデリーンさんの話を聞いてください」
私が皆さんに確認すると、快く了承してくれた。
「ありがとうございます。マデリーンさん、どうぞ」
「はい」
す、と一歩前に出るマデリーンさん。
「発言の許可を頂きありがとうございます。ユイ・ミズサワ様の戦闘奴隷、魔法使い、マデリーンです」
と、改めてご挨拶。
「私の考えですが、お聞きください」
はい、どうぞ。
「桶の件ですが、最適な材料が確実に冷蔵庫ダンジョンにあり、作成するには、ツヴァイク様の技術が必要です」
まあ、そうだね。7メートル超えの桶を何個も特急で頼んだら、怪しまれる。
「ここで肝心なのは、Aランクのパーティーに所属しているツヴァイク様が、参加している大討伐を抜ける理由です」
そう、それ。
「我が主人に流れた噂を利用するんです」
それは以前、パーヴェル様からもたらされた噂。
首都の貴族間で流れた噂。
皆さんはそれを知らないから、なんの事だか、わからない様子。私が言った方がいいかね。
「実は、首都の貴族間で私に関する話が流れて。私を空いているセレドニア国王陛下の第二側室にって話が出たんです」
「「「「「はぁぁぁぁ?」」」」」
異口同音。
「王家の皆様が大反対してくれて、なかった事にはなりましたけどね。話はそれだけでは終わらなくって。私にユリアレーナ王国に有益で相応の伴侶をって話まで出て」
「「「「「はぁぁぁぁ?」」」」」
異口同音、パートツー。
「それをどう利用するんですか?」
全く動揺してないフェリクスさんが首を傾げながら聞いてくる。
「本来のユイさんの後見人であるサエキ様は国を出られています。現在の代理人である方は首都にいますが、今ここにその代理人の近しい血縁者がいらっしゃいます」
「あー」
と、天を仰ぐのはエドワルドさん。そう、代理人はアルベルト・ウルガーさん。エドワルドさんのお兄さんだ。本来の後見人であるサエキ様がユリアレーナにいないから、こんな話が沸いただけだもんね。
「ユイさんがこの噂を不安になり、エドワルド様に相談。大討伐が休息する冬季だけ、ユイさんに同行して周囲を警戒する」
「なるほど」
と、ぱちん、と指をならすツヴァイクさん。
「儂はそのエドワルドのお目付け役って訳じゃな」
「そうです。かなり強引な言い訳になりますが、今思い付く理由がそれしかなくて…………」
マデリーンさんが申し訳なさそうな顔。
「いや、それならスムーズにギルドも許してくれるはずです」
ケルンさんが納得の表情だ。この理由でいいみたい。「エドワルド、カルーラに戻ったら、すぐに首都の兄上に手紙を送りなさい」
「はい」
私に同行する旨を事後報告になるけど伝える為だ。現在の後見人はアルベルトさんになっているけど、実の弟であったとしても、アルベルトさんの許可なく勝手に私の周りで警戒できないんだって。特に今回の私が不安になって相談した理由が、私の人生だけの話やないからね。結局、ビアンカやルージュ、仔達の力やそれに伴う恩恵目的の人達から守るから、色々ややこしい。一般人ではなく、上位貴族達が関わってくる可能性があるからね。私にエドワルドさんが同行しているだけで、揚げ足を取る人達もいるかもしれないから、アルベルトさんには早急に連絡を取っておく必要がある。
なんや、やけにスムーズに決まったけど。
あ、いけん。
「ロッシュさん、マーファに私達戻るので、一緒に帰りません?」
「あ、そ、そうですね、しかし…………」
戸惑いの表情を見せるロッシュさん。内緒として聞いた話、山風は大討伐の途中で抜けるって話になっていたしね。
「うちのノワールは特急だし、ビアンカやルージュ達もいるから安心ですよ」
「そうですが…………」
「あ、なら、マーファに帰ったら、また、晃太の支援魔法のスキルアップに付き合ってください。それでとんとんでしょ? ね?」
「ユイさん…………ありがとうございます」
ロッシュさん、納得してくれた。良かった。これでマシュー君の半成人に間に合う。ロッシュさんの後ろにいた、ラーヴさん、シュタインさん、マアデン君、ハジェル君もほっとした顔だ。
それから話を詰める。
まずは父の詳しい鑑定が済んでから、内容を確認し、私達はマーファに帰る。途中でアルスさんが自分も一緒に行くとごねて、ファングさんに怒られていた。
冷蔵庫ダンジョンで材料をゲット。ツヴァイクさんが作業に入る。7メートル超えの桶なんて初めて制作するから、数ヶ月は最低欲しいと言われた。ビアンカとアレスがアシスタントしてくれるから、通常より早く出来上がる筈だけど。それから桶自体の強度を増すため、付与が必要になる。これはエリアンさんが出来ると。王冠スライムのコアが絶対に必要だけどね。大丈夫、ちゅどん、ドカンしてきますから。
マーファの春祭り、つまり半成人式が終わった次の日には、カルーラに戻る予定となる。だって、マーファに帰る言い訳として、大討伐の休息時期の冬季のみエドワルドさんが着いてくるって話にしているからね。雪事情でその頃出発がいいしね。
でも、私が噂を聞いて不安だってだけで、簡単にエドワルドさんとツヴァイクさんが同行決定したけど。本当にいいのかな? 本来なら社会的地位のあるAランクの冒険者パーティーのメンバーが抜けるって。今さらだけど。
それぞれのコテージに引き上げていく皆さんを見送って、ちょっと不安になってホークさんに相談。
「ユイさんが不安になる必要はないですよ」
「そうなんですかね?」
「そうですよ。ユイさんは特別なんですから」
「でも、それって、ビアンカやルージュ達がいるからで」
「だからと言って、ユイさんは今までギルドに無理難題言ったりしました? 横柄な態度を取りましたか?」
うっ、スカイランで色々言った記憶が甦る。
「確かに、ビアンカさんやルージュさん達は、色々脅威ですよ。しかし、今までトラブルになりました? ユイさん、しっかり管理していますよね。それはギルドだってよく分かっているはずです」
だって、皆賢いから。
「そんなユイさんが不安を感じる。それは情緒の問題にもなります。流れ流れて、管理している従魔であるビアンカさんやルージュさんが勘づかないわけないですよね。そうなれば、ユイさんを守ろうと、神経を尖らせたビアンカさんやルージュさんが牙を剥かないとも限らない。ギルドとしてはそんな恐ろしい事態にはしたくないから、あの2人の同行を許可しない訳にはいきません」
「そ、そんな大事に?」
「ビアンカさんとルージュさんが安易にそんなことしないことは、俺達は理解していますが、ギルドはそうではないので、あくまでギルドがそう判断するはずです。ユイさん、もし聞かれたら、不安そうにしてくださいね」
「は、はい」
だ、大丈夫かな? 私、大根だし。
「ユイさん」
「あ、はい」
「そういう顔をしていれば十分ですよ」
「え?」
今、大根だって悩んだ顔がいいらしい。なんや、ちょっと違うんやけどなあ。ああ、やっぱり不安。なんか聞かれたら大根大根って念じよう。上手く行くかな。
エドワルドさんとツヴァイクさんが、大討伐を一時的に抜ける話をする時、私も同席の必要もあるし。ケルンさんは任せてくださいっていってくれたけど。
「ユイさん?」
うーん、と大根大根と悩んでいると、ホークさんが顔を近付けて心配そうに覗き込んでいる。
あっふ、ドキドキ。
「だ、大丈夫な大根なので、はい、大丈夫です」
我ながら、何を言っているのかわからない。ホークさんの頭の上に?マークが。
「そうだ。ギルドでエドワルドさん達が抜けるって話の時、ホークさん、付いてきてくれますか?」
「当然付きますよ」
当たり前のように言ってくれるホークさん。あ、嬉しか。
「俺は貴女の戦闘奴隷なんですから」
それも当たり前のように、ホークさんの口から出る。今の私とホークさんの正しい関係なんやけど、私はひどく寂しく感じだ。
我ながら、自分勝手な感情だと、後で後悔した。
「ユイさん、宜しいですか?」
「はい、いいですよ。皆さん、マデリーンさんの話を聞いてください」
私が皆さんに確認すると、快く了承してくれた。
「ありがとうございます。マデリーンさん、どうぞ」
「はい」
す、と一歩前に出るマデリーンさん。
「発言の許可を頂きありがとうございます。ユイ・ミズサワ様の戦闘奴隷、魔法使い、マデリーンです」
と、改めてご挨拶。
「私の考えですが、お聞きください」
はい、どうぞ。
「桶の件ですが、最適な材料が確実に冷蔵庫ダンジョンにあり、作成するには、ツヴァイク様の技術が必要です」
まあ、そうだね。7メートル超えの桶を何個も特急で頼んだら、怪しまれる。
「ここで肝心なのは、Aランクのパーティーに所属しているツヴァイク様が、参加している大討伐を抜ける理由です」
そう、それ。
「我が主人に流れた噂を利用するんです」
それは以前、パーヴェル様からもたらされた噂。
首都の貴族間で流れた噂。
皆さんはそれを知らないから、なんの事だか、わからない様子。私が言った方がいいかね。
「実は、首都の貴族間で私に関する話が流れて。私を空いているセレドニア国王陛下の第二側室にって話が出たんです」
「「「「「はぁぁぁぁ?」」」」」
異口同音。
「王家の皆様が大反対してくれて、なかった事にはなりましたけどね。話はそれだけでは終わらなくって。私にユリアレーナ王国に有益で相応の伴侶をって話まで出て」
「「「「「はぁぁぁぁ?」」」」」
異口同音、パートツー。
「それをどう利用するんですか?」
全く動揺してないフェリクスさんが首を傾げながら聞いてくる。
「本来のユイさんの後見人であるサエキ様は国を出られています。現在の代理人である方は首都にいますが、今ここにその代理人の近しい血縁者がいらっしゃいます」
「あー」
と、天を仰ぐのはエドワルドさん。そう、代理人はアルベルト・ウルガーさん。エドワルドさんのお兄さんだ。本来の後見人であるサエキ様がユリアレーナにいないから、こんな話が沸いただけだもんね。
「ユイさんがこの噂を不安になり、エドワルド様に相談。大討伐が休息する冬季だけ、ユイさんに同行して周囲を警戒する」
「なるほど」
と、ぱちん、と指をならすツヴァイクさん。
「儂はそのエドワルドのお目付け役って訳じゃな」
「そうです。かなり強引な言い訳になりますが、今思い付く理由がそれしかなくて…………」
マデリーンさんが申し訳なさそうな顔。
「いや、それならスムーズにギルドも許してくれるはずです」
ケルンさんが納得の表情だ。この理由でいいみたい。「エドワルド、カルーラに戻ったら、すぐに首都の兄上に手紙を送りなさい」
「はい」
私に同行する旨を事後報告になるけど伝える為だ。現在の後見人はアルベルトさんになっているけど、実の弟であったとしても、アルベルトさんの許可なく勝手に私の周りで警戒できないんだって。特に今回の私が不安になって相談した理由が、私の人生だけの話やないからね。結局、ビアンカやルージュ、仔達の力やそれに伴う恩恵目的の人達から守るから、色々ややこしい。一般人ではなく、上位貴族達が関わってくる可能性があるからね。私にエドワルドさんが同行しているだけで、揚げ足を取る人達もいるかもしれないから、アルベルトさんには早急に連絡を取っておく必要がある。
なんや、やけにスムーズに決まったけど。
あ、いけん。
「ロッシュさん、マーファに私達戻るので、一緒に帰りません?」
「あ、そ、そうですね、しかし…………」
戸惑いの表情を見せるロッシュさん。内緒として聞いた話、山風は大討伐の途中で抜けるって話になっていたしね。
「うちのノワールは特急だし、ビアンカやルージュ達もいるから安心ですよ」
「そうですが…………」
「あ、なら、マーファに帰ったら、また、晃太の支援魔法のスキルアップに付き合ってください。それでとんとんでしょ? ね?」
「ユイさん…………ありがとうございます」
ロッシュさん、納得してくれた。良かった。これでマシュー君の半成人に間に合う。ロッシュさんの後ろにいた、ラーヴさん、シュタインさん、マアデン君、ハジェル君もほっとした顔だ。
それから話を詰める。
まずは父の詳しい鑑定が済んでから、内容を確認し、私達はマーファに帰る。途中でアルスさんが自分も一緒に行くとごねて、ファングさんに怒られていた。
冷蔵庫ダンジョンで材料をゲット。ツヴァイクさんが作業に入る。7メートル超えの桶なんて初めて制作するから、数ヶ月は最低欲しいと言われた。ビアンカとアレスがアシスタントしてくれるから、通常より早く出来上がる筈だけど。それから桶自体の強度を増すため、付与が必要になる。これはエリアンさんが出来ると。王冠スライムのコアが絶対に必要だけどね。大丈夫、ちゅどん、ドカンしてきますから。
マーファの春祭り、つまり半成人式が終わった次の日には、カルーラに戻る予定となる。だって、マーファに帰る言い訳として、大討伐の休息時期の冬季のみエドワルドさんが着いてくるって話にしているからね。雪事情でその頃出発がいいしね。
でも、私が噂を聞いて不安だってだけで、簡単にエドワルドさんとツヴァイクさんが同行決定したけど。本当にいいのかな? 本来なら社会的地位のあるAランクの冒険者パーティーのメンバーが抜けるって。今さらだけど。
それぞれのコテージに引き上げていく皆さんを見送って、ちょっと不安になってホークさんに相談。
「ユイさんが不安になる必要はないですよ」
「そうなんですかね?」
「そうですよ。ユイさんは特別なんですから」
「でも、それって、ビアンカやルージュ達がいるからで」
「だからと言って、ユイさんは今までギルドに無理難題言ったりしました? 横柄な態度を取りましたか?」
うっ、スカイランで色々言った記憶が甦る。
「確かに、ビアンカさんやルージュさん達は、色々脅威ですよ。しかし、今までトラブルになりました? ユイさん、しっかり管理していますよね。それはギルドだってよく分かっているはずです」
だって、皆賢いから。
「そんなユイさんが不安を感じる。それは情緒の問題にもなります。流れ流れて、管理している従魔であるビアンカさんやルージュさんが勘づかないわけないですよね。そうなれば、ユイさんを守ろうと、神経を尖らせたビアンカさんやルージュさんが牙を剥かないとも限らない。ギルドとしてはそんな恐ろしい事態にはしたくないから、あの2人の同行を許可しない訳にはいきません」
「そ、そんな大事に?」
「ビアンカさんとルージュさんが安易にそんなことしないことは、俺達は理解していますが、ギルドはそうではないので、あくまでギルドがそう判断するはずです。ユイさん、もし聞かれたら、不安そうにしてくださいね」
「は、はい」
だ、大丈夫かな? 私、大根だし。
「ユイさん」
「あ、はい」
「そういう顔をしていれば十分ですよ」
「え?」
今、大根だって悩んだ顔がいいらしい。なんや、ちょっと違うんやけどなあ。ああ、やっぱり不安。なんか聞かれたら大根大根って念じよう。上手く行くかな。
エドワルドさんとツヴァイクさんが、大討伐を一時的に抜ける話をする時、私も同席の必要もあるし。ケルンさんは任せてくださいっていってくれたけど。
「ユイさん?」
うーん、と大根大根と悩んでいると、ホークさんが顔を近付けて心配そうに覗き込んでいる。
あっふ、ドキドキ。
「だ、大丈夫な大根なので、はい、大丈夫です」
我ながら、何を言っているのかわからない。ホークさんの頭の上に?マークが。
「そうだ。ギルドでエドワルドさん達が抜けるって話の時、ホークさん、付いてきてくれますか?」
「当然付きますよ」
当たり前のように言ってくれるホークさん。あ、嬉しか。
「俺は貴女の戦闘奴隷なんですから」
それも当たり前のように、ホークさんの口から出る。今の私とホークさんの正しい関係なんやけど、私はひどく寂しく感じだ。
我ながら、自分勝手な感情だと、後で後悔した。
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